carebase(ケアベース)コラム
2026.1.29 介護ICT導入・業務効率化
執筆者:柴田崇晴
介護記録の書き方完全ガイド!5W1Hで質を高める記録作成の7つのポイント【専門家監修】
監修者プロフィール
- 監修者名:柴田崇晴
- 経験年数:25年の相談支援業務
- 保有資格
- 社会福祉士
- 主任介護支援専門員
- 専門分野:介護施設運営・職員教育等
- 経歴概要
福祉大学を卒業後、高齢者福祉の分野で25年従事。高齢者施設の管理者をしながら都道府県・市町村の職能団体役員として活動中
はじめに:現場を守り、ケアの質を高めるために
介護記録は利用者の状態やケア内容を正確に伝えるために、欠かせないものです。
適切に記録することで、職員間の情報共有がスムーズになり、ケアの質向上やトラブル防止にもつながります。
一方で、「何を書けばいいのか分からない」「記録に時間がかかる」と悩むスタッフも少なくないでしょう。書き方が人によって異なると、申し送り漏れや認識のズレが起きてしまうこともあります。質の高い介護記録を作成するには、5W1Hを意識した記載や、客観的で分かりやすい表現が重要です。
本記事では、介護記録の基本的な書き方から、現場ですぐに使える実践的なコツまでを、7つのポイントで解説します。記載例やNG表現、記録業務を効率化する方法も紹介しますので、日々の記録業務にぜひ役立ててください。
なぜ介護記録の書き方が重要なのか
介護記録は、利用者の状態やケア内容を正確に共有するための基盤であり、現場の判断や対応を支える重要な情報源です。書き方ひとつで、ケアの質やトラブル発生時の対応力に大きな差が生まれます。
食事の記録を例に説明します。たとえば「食事介助をおこなった」という記録だけでは全く食事されている様子が目に浮かびません。そこで、「最初の3口は自分で食べることができた」「咀嚼から嚥下まで声掛けしながら見守る。むせることなく全量摂取できた」と書くとどうでしょう。食事中の利用者の様子や介護者のかかわり方まで伝えることができます。
また、もし家族から食事の様子を尋ねられたら、この記録を見せることで、利用者の様子や介護方法も正確に伝えることができます。
介護記録の基本原則:まず押さえるべき3つの考え方

<図:介護事業所・介護施設における項目形式の介護記録法の導入マニュアル、p5(令和3年3月)|㈱日本能率協会総合研究所>
このグラフは、介護記録について明確なルールがない事業所を対象にアンケート調査したものです。特に入所施設において介護記録は「大事なポイントが分かりづらい」という記録についての不満が多いことが伺えます。
せっかく時間と手間をかけて記録をおこなったにもかかわらず、「ポイントが分かりづらい」と言われない介護記録を書くためには、次の基本的な3つの考え方を参考にしましょう。
事実と解釈を分けて書く
記録は客観的な視点で、いつどこで、何が起こったのか、という事を書くことが重要です。そこにはスタッフの解釈や言い訳は必要ありません。
特にヒヤリハットや事故、苦情などを報告する際は、事実だけを明確に伝えて施設内で共有しましょう。原因や再発防止は内容に応じて多職種・上司などと検討していくことになります。
誰が読んでも同じ状況が分かる
介護記録は、基本的に文字で残されるものです。だからこそ、誰が読んでも同じ状況をイメージできるような記述が求められます。そのために大切なポイントの一つが、「あいまいな表現」を使わないことです。
たとえば、「いつも通り」という表現はどうでしょう。利用者の「いつも」はスタッフによって異なります。午前中は食堂の椅子に座って過ごすことが習慣になっている方でも、終始目を閉じて居眠りする日もあれば、仲良しの方とおしゃべりする日などあるかもしれません。では、この利用者の「いつも」とは、どういった状態を指すのでしょう。
記録は対応の証拠となる
私たちが対応した記録は、介護サービスの証拠になります。つまり、基本報酬や加算取得、計画立案の根拠として日常の記録が役立ちます。
また、緊急時やむを得ず「身体拘束」をおこなった場合、その根拠や対応内容を記録として整備することで、スタッフを守る事にもつながります。
ポイント① 5W1Hで抜け漏れのない介護記録を書く
記載内容の漏れや曖昧さを防ぐためには、5W1Hを意識して書くことが効果的です。基本を押さえるだけで、情報の精度が大きく向上します。
5W1Hそれぞれの具体的な書き方を紹介します。
| 種類 | 不足している記録 | 適切な記録 |
|---|---|---|
| What(なにを) | Aさんは、毎晩スタッフに話す。 | Aさんは、毎晩スタッフに「帰りたい」と話す。 |
| When(いつ) | 背中にあざを発見。 | 本日午後、浴室で衣服の脱衣時に背中のあざを発見。 |
| Where(どこで) | 今朝、転倒しているのを確認した。 | 今朝、トイレの入り口で転倒しているのを確認した。 |
| Who(だれ) | Aさんの傷を報告。 | スタッフBがAさんの傷を発見したので看護師Cに報告する。 |
| Why(なぜ) | Aさんの昼食を刻んで提供する。 | Aさんは最近食事の際むせることが多く、残歯も少ないため、副食を刻んで提供する。 |
| How(どのように) | Aさんのベッドから車いすへの移乗は、一部介助でお願いします。 | Aさんのベッドから車いすへの移乗は、立ち上がりは可能なので、車いすをベッドに近づけて、立ち上がったらスタッフが腰を座面へ誘導する介助でお願いします。 |
ポイント② 客観的で法的にも有効な表現を使う
介護記録は、トラブルや監査の際に根拠資料として扱われることがあります。そのため、感情や推測を避けた客観的な表現が欠かせません。
極端にいえば、主観や思い込みで行った介護は、根拠のない対応と見なされることがあります。たとえ善意の支援でも、本人の希望と合っていなかったり、かえって負担になってしまう場合があるのです。
たとえば「Aさんが不安そうにしていたので声をかけた」という記録では、根拠が分かりません。
「30分おきに職員を呼び止め『私はここにいていいの?』と尋ねる」と事実を記し、さらに「スタッフBが『大丈夫です』と伝えると、Aさんは笑顔で『ありがとう』と返答した」と続ければ、状況や対応が具体的に伝わります。
ポイント③ 介護記録で避けるべきNGワード・表現
何気なく使っている言葉の中には、記録として不適切な表現もあります。
利用者とスタッフの間には「介護をしてあげている」といった上下関係はありません。スタッフは利用者を一人の人間として、尊厳を守り、寄り添いながらサポートすることを忘れてはいけません。
また、介護記録は家族に公開する場合もあります。専門的な用語や特定の人にしかわからない表現は避けましょう。
代表的なNGワード、推奨される言い換え表現について解説します。
| ふさわしくない表現 | ふさわしくない理由 | 言い換え表現の例 |
|---|---|---|
| 入浴、食事の際に問題行動あり | 問題行動と捉えているのは介護者側です。利用者の行動を客観的に記録し、意向や原因分析につながる視点が重要です。 |
|
| わがままな言動 | 介護者が利用者を管理しているような表現です。具体的な事実を記載します。 |
|
| 認知の為分からない | この表現は侮蔑(馬鹿にして見下ろす)表現です。また診断名でもないため、「レッテル」を貼っていると取られかねません。 |
|
| NSにNCがあり、DRにTel | これらは専門用語です。記録は公的なものです。通称や略語なものは控えましょう。 |
|
ポイント④ 状況別に使える介護記録の具体例
介護記録は、場面ごとにおさえるポイントが異なります。代表的なケース別に記載例を紹介します。
ここでは日常ケア、ヒヤリハット・事故時、利用者・家族対応の記録例について解説します。なお、ポイントは想定場面だけでなく、様々な場面でも共通します。
| 想定される場面 | ポイント | 記録例 |
|---|---|---|
| 日常ケア |
|
本日10時頃Aさんから「3日ほど排便がないので、下剤がほしい」と申し出があったため看護師に報告。このまま排便なければ、夕食後に薬1錠追加の予定。 |
| ヒヤリハット・事故時 |
|
夜間2時に巡回していると、Aさんの居室から「おーい」と声が聞こえる。駆けつけるとベッドの下で座っているAさんを発見。「トイレに行こうとして尻もちをついた」と話す。 痛みや外傷等確認したが見当たらない。その後Aさんは自分でトイレまで歩き、排泄ができたため、就寝の声掛けをおこない、午前8時看護師に報告。看護師が全身状況を確認し、「受診の必要なし」と連絡を受ける。 |
| 利用者・家族対応時 |
|
本日、Aさんの家族より面会時に「本人が10日間お風呂に入れてもらえてないと言っている。」と質問あり。1週間の入浴の記録を提示して、週2回の入浴状況(最終は昨日)を伝える。「本人の思い込みでした。いつも世話かけてすいません」といわれたので、「ご不明なことがあればいつでもたずねてください」と伝えた。 |
ポイント⑤ 記録時間を短縮するための書き方テクニック
「記録に時間がかかるから苦手」と感じている方も、決して少なくないのではないでしょうか。しかし実際には、介護記録は書き方のコツを知っているかどうかで大きく差が出ます。
記録の型や視点を押さえることで、毎回ゼロから文章を考える必要がなくなり、結果として業務負担を軽減することも可能です
とはいえ一日の終わりに対応を振り返って書こうと思っても、記憶があいまいになったり、記載漏れが生じたりしてしまいます。そんな時は、次のような思考で行動を整理すると、要点がまとめやすくなります。
| 思考整理の視点 | ポイント |
|---|---|
| 利用者ごとに振り返る | 利用者名簿などを見ながら、個別に記録すべき項目がないか確認する。 |
| 場面ごとに整理する | 食事、排泄、入浴などでどのような介助をおこなったか、他のスタッフに申し送っておくことはないか整理する。 |
| 事故、苦情、業務に関すること | 利用者の事故やヒヤリハット、苦情対応、業務改善のアイデアや課題があれば、記録しておく。 |
ポイント⑥ テンプレートを活用した介護記録の効率化
介護記録を正確に、かつ迅速におこなうためには、テンプレートの活用をお勧めします。あらかじめ表を作成しておき、すべての利用者に共通して記録している項目、例えば食事、排泄、入浴、バイタルサインなどを一覧表で記入できるようにしておくと、記載漏れ防止や情報共有がスムーズにおこなえます。
しかし、紙での記録には課題もあります。ほかの人が記入している間は自分が記録できないことや、過去の記録を探しにくく、利用者一人ひとりの経過を継続して追いにくい点です。これらは、紙媒体ならではの弱点となるため、次のデジタル化を検討してみましょう。
ポイント⑦ 介護記録をデジタル化するという選択肢
介護記録のデジタル化は、業務効率と記録品質の両面で大きな効果が期待できます。文字だけの記録にとどまらず、写真やグラフといった視覚データも取り入れると、さらに利用者の状態変化やケアの質向上につながります。
また、情報共有にかかる手間や時間も格段に向上するため、介護職の働き方改革につながるといっても過言ではありません。
carebase はスマホやタブレットで簡単に介護記録を入力・整理・共有できるクラウドシステムで、記録漏れ防止や申し送りミスの削減に役立ちます。また、動画や画像を活用した分かりやすいマニュアル機能で新人教育や業務の標準化も進められ、スタッフ全体のスキル向上と定着にもつながります。効率化と安全性向上を両立した現場支援ツールとして、多くの介護事業所で活用されています。
まとめ|質の高い介護記録は現場を守る
介護記録は利用者の状態を残すだけでなく、スタッフの対応やサービスの根拠、証拠にもなります。ですから、新人・ベテラン問わず記録の書き方を見直すことで、ケアの質が向上するだけでなく、申し送りの精度が高まり、トラブルや監査への備えにもなります。
今回紹介した7つのポイントは、特別な技術ではなく、日々の記録に少し意識を向けることで実践できるものです。無理なく継続しながら、安心して働ける現場づくりにつなげていきましょう。
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