carebase(ケアベース)コラム
2026.7.8
【2026年版】介護の研修動画とは?メリットと法定研修対応を解説
介護の研修は義務付けられた領域が広がる一方、従業員が不足とする事業所は65.2%にのぼります(介護労働安定センター 令和6年度介護労働実態調査、2026年6月時点)。限られた人員で研修の質をそろえる手段として、介護の研修動画の効果と作り方を整理します。
限られた人員で介護の研修の質をそろえる仕組みを探している方は
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介護の研修動画とは?
集合研修と研修動画の運用特性を対比し、扱う3領域(法定研修・介護技術・接遇)を整理(出所: 集合研修と動画研修の運用上の特性に関する本記事の整理を基に作成)
介護の研修動画は、法定研修や接遇・介護技術などの学習内容を映像にまとめた教材で、集合研修の代替や補完として使われます。決められた時間に職員を集める従来の研修と違い、各自が端末で視聴できる点が特徴です。
研修動画が扱う内容は、大きく3つに分かれます。1つ目は、虐待防止・感染症対策・業務継続計画(BCP)・認知症ケアといった、運営基準で実施が定められた法定研修の領域です。2つ目は、移乗・入浴・排泄などの介護技術や、バイタル測定・記録の書き方といった実務スキルの領域です。3つ目は、接遇マナーやハラスメント対応など、職員の姿勢にかかわる領域です。テーマによって動画との相性は異なり、知識を均質に届けたい領域ほど動画化のメリットが大きくなります。
利用の形態も一通りではありません。管理者と受講者が同じ画面を見て確認テストを行う集合形式、職員が空き時間に各自で視聴する個別形式、そして既製の配信サービスを契約して見放題で使う形などがあります。確認テストを併用すれば、視聴したかどうかだけでなく、内容を理解したかどうかまで把握できます。動画を「自施設で作る」のか「既製のものを使う」のかという調達方法の違いは、後半の比較で詳しく扱います。
紙の手順書や口頭の説明と比べたとき、動画には「同じ内容を、同じ品質で、何度でも」届けられるという性質があります。介護の現場では新人の入職時期がばらつき、夜勤者は集合研修に参加しにくいなど、全員を同じタイミングで教育するのが難しい事情があります。研修動画は、この「教育機会のばらつき」を埋める手段として役立ちます。一度作った教材は、新人が入るたびに同じ品質で繰り返し使えるため、教える側の負担を一定に保ちながら、教わる側の機会をそろえられます。
集合研修と研修動画はどう違うのか
従来の集合研修と研修動画は、どちらが優れているという関係ではなく、運用の負担と再現性のかかり方が異なります。集合研修は質疑応答やロールプレイのような双方向のやり取りに向く一方、開催のたびに講師役と会場・時間の調整が必要で、欠席者へのフォローが課題になります。研修動画は開催調整が不要で、夜勤明けや休憩中でも視聴でき、同じ内容を繰り返し届けられます。下表に主な違いを整理します。
| 比較軸 | 集合研修 | 研修動画 |
|---|---|---|
| 開催の手間 | 講師・会場・日程の調整が必要 | 配信後は調整不要 |
| 受講のタイミング | 全員を同時に集める | 各自が空き時間に視聴 |
| 内容の均質性 | 講師により差が出やすい | 同じ内容を再現できる |
| 欠席・新人への対応 | 別途補講が必要 | 任意のタイミングで視聴可 |
| 双方向性 | 質疑・実技に向く | 一方向(補完が必要) |
出所: 集合研修と動画研修の運用上の特性を整理
この違いを踏まえると、研修動画は集合研修を完全に置き換えるものではなく、知識付与や手順の標準化を動画で担い、実技や質疑は集合・対面で補うという役割分担が現実的です。どこを動画にし、どこを対面で残すかを決めることが、研修設計の出発点になります。
介護で研修動画が効果を出しやすい理由
研修動画の効果が出やすい3つの理由を整理(出所: 厚生労働省 介護分野における生産性向上ポータルサイト・介護労働安定センター 令和6年度介護労働実態調査を基に作成)
介護の研修動画の効果は、研修時間の短縮そのものよりも、教育の標準化と指導方法の統一にあります。厚生労働省が示す業務改善の枠組みでは、研修動画は「手順書の作成」と「OJTの仕組みづくり」に対応する取り組みにあたります(厚生労働省 介護分野における生産性向上ポータルサイト、2026年6月時点)。
厚労省の「生産性向上7区分」で見た動画研修の位置づけ
厚生労働省は介護サービスの生産性向上を「介護の価値を高めること」と定義し、業務改善の取り組みを7つに分類しています。このうち動画研修・動画マニュアルが直接効くのは、職員の経験や知識を可視化・標準化する「手順書の作成」と、教育内容の統一・指導方法の標準化を図る「OJTの仕組みづくり」の2区分です。
| 厚労省 生産性向上の7区分 | 動画研修との関係 |
|---|---|
| 1. 職場環境の整備(5S) | 間接的 |
| 2. 業務の明確化と役割分担 | 間接的 |
| 3. 手順書の作成(標準化・可視化) | 直接(動画マニュアルで手順を標準化) |
| 4. 記録・報告様式の工夫 | 間接的 |
| 5. 情報共有の工夫(ICT活用) | 関連(配信・受講管理のICT化) |
| 6. OJTの仕組みづくり(指導方法の標準化) | 直接(教育内容を統一し、特定の人に頼った状態を解消) |
| 7. 理念・行動指針の徹底 | 間接的 |
出所: 厚生労働省 介護分野における生産性向上ポータルサイトの7区分を基に整理
この対応関係から読み取れるのは、研修動画の主な価値が「ベテランの教え方に依存しがちな教育を、誰が見ても同じ内容にそろえること」にあるという点です。指導者によって教える内容や順番が変わると、つまり特定の人に頼った教え方になっていると、新人の習熟度にばらつきが生まれます。厚生労働省のガイドラインでも、手順書の作成は「若手を含めた職員全体の熟練度を養成する道筋を作る」取り組みとされています(厚生労働省 介護分野における生産性向上ポータルサイト、2026年6月時点)。動画はこのばらつきを抑える手段として、業務改善の文脈に組み込めます。
文章の手順書ではなく「動画」にする意味
手順の標準化だけなら文章の手順書でも足りるはずで、あえて動画にする理由が問われます。介護の業務には、移乗時の身体の支え方、声かけの間合い、入浴介助での湯温や姿勢の確認といった、文章では伝わりにくい動作が多く含まれます。こうした「やって見せないと分からない」工程は、映像で一連の流れを示すほうが理解の差が出にくくなります。
一方で、文章の手順書にも、検索しやすい・印刷して掲示できる・更新が軽いといった利点があります。動画と文章は対立する手段ではなく、動作を見せる部分は動画、チェック項目や数値基準は文章、というように補完的に使うと、それぞれの長所を活かせます。
コスト削減は「効果の一部」であり万能ではない
研修動画のメリットとして語られやすいのが、繰り返し研修を開く手間とコストの削減です。一度作れば何度でも使え、新人が入るたびに講師役が同じ説明を繰り返す必要がなくなります。視覚的に見せられるため、文章では伝わりにくい移乗や声かけのコツも理解しやすくなります。
ただし、ICTや動画は導入すれば自動で効果が出るものではありません。介護労働実態調査では、ICT機器・介護ロボットの導入で「昼間の業務負担の軽減」に効果があるとした事業所は49.4%、「夜間の業務負担の軽減」は44.6%と、いずれも約半数にとどまります(介護労働安定センター 令和6年度介護労働実態調査、2026年6月時点)。裏を返せば、半数の事業所は効果を実感しきれていません。データ上は、動画やICTの効果は「導入したかどうか」ではなく「現場の運用に組み込めたかどうか」で分かれます。
だから研修動画を検討する施設は、コスト削減を期待する前に、まず「教育のどの工程が特定の人頼みになっていたり、形だけになっていたりするか」を洗い出し、その工程を標準化できる手段かどうかで判断するのが失敗回避につながります。動画化の対象は、最も差が出やすい工程・最も繰り返し教える工程から優先するのが効率的です。
動画で対応しやすい法定研修と義務化の押さえどころ
動画で対応できる法定研修の範囲と補完が要る範囲を整理(出所: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定資料・北海道 BCP策定の各一次情報を基に作成)
法定研修は実施が義務付けられ、サービス種別ごとに必要なテーマと回数が定められています。虐待防止・感染症対策・BCP・認知症ケアなど、知識を均質に付与する領域は研修動画と相性がよい一方、実施したという「記録」までは動画だけでは完結しません。法定研修の種類・実施方法・記録保管の全体像は、介護施設の法定研修ガイド(種類・実施方法・記録保管)で、管理者が押さえるべき範囲まで詳しく整理しています。
義務化された主な研修と未実施のリスク
近年の制度改正で、介護施設の研修にかかわる義務は段階的に強化されました。代表的なものを年度とともに整理します。
業務継続計画(BCP)は、令和3年度の制度改正により、施設・事業所が計画を策定し従業者へ周知するとともに、必要な研修および訓練を定期的に実施することが義務付けられました。経過措置期間は令和6年(2024年)3月31日までで、すでに本格適用に入っています(北海道 保健福祉部 介護保険施設等における業務継続計画(BCP)の策定、2026年6月時点)。
認知症介護基礎研修は、医療・福祉関係の資格を持たない介護従事者に受講が義務付けられ、経過措置が令和6年3月31日で終了し、令和6年4月1日から完全義務化されました。新たに採用した無資格者には、採用後おおむね1年間の猶予が設けられています(厚生労働省 認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査、2026年6月時点)。
これらの義務に対応できていない場合、介護報酬の減算(介護報酬が減らされること)につながります。令和6年度の介護報酬改定では、業務継続計画未策定減算(施設・居住系サービスは所定単位数の100分の3、その他のサービスは100分の1)と、高齢者虐待防止措置未実施減算(所定単位数の100分の1)が新設されました(厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について、2026年6月時点)。虐待防止措置には研修の実施が含まれるため、研修の抜けが減算リスクに直結する構造になっています。
| 研修・義務 | 内容 | 動画での対応しやすさ |
|---|---|---|
| 高齢者虐待防止 | 委員会・指針・研修・担当者の措置。未実施は所定単位数の100分の1減算 | 知識付与は動画が得意。記録は別途必要 |
| 業務継続計画(BCP) | 策定+研修・訓練が義務。未策定は施設・居住系で100分の3減算 | 総論・概要は動画向き。訓練は実地が前提 |
| 認知症介護基礎研修 | 無資格者に受講義務(令和6年4月完全義務化) | eラーニング形式での受講が一般的 |
| 感染症対策 | 予防・まん延防止の研修 | 手順の可視化に動画が有効 |
出所: 厚生労働省・北海道の各一次情報を基に整理(減算率は令和6年度介護報酬改定)
研修テーマ別に見る動画の向き・不向き
法定研修や日常の教育を動画にするとき、すべてのテーマが同じように動画向きとは限りません。テーマを「知識付与が中心か」「実技や対話が中心か」で見分けると、動画にする範囲を判断しやすくなります。
知識付与が中心のテーマは動画化と相性がよく、虐待防止の考え方、認知症の基礎理解、感染症の予防知識、個人情報保護のルール、接遇マナーの基本などが当てはまります。これらは「正しい知識を全員に同じように届ける」ことが目的のため、動画で繰り返し見せる形が機能します。
一方、実技や対話が中心のテーマは動画だけでは完結しにくく、移乗や入浴の介助技術(やって見せる動画+実技練習)、BCPの避難訓練(実地が前提)、苦情対応やロールプレイ(双方向の練習が必要)などが該当します。これらは動画で全体像や手本を示したうえで、対面での実技・演習を組み合わせる設計が向いています。
このように、動画で「知識と手本」を担い、対面で「実技と対話」を担う切り分けができていれば、動画導入後に「実技が伴わず形だけの研修になった」という失敗を避けられます。
動画は「知識付与」に強く「記録・訓練」は補完が要る
ここで注意したいのは、研修動画が万能ではないという点です。データ上は、虐待防止や認知症ケアのような知識・理解を均質に届ける場面で動画の効果が出やすい一方、BCPの訓練のように実際に身体を動かす実地要素は、動画だけでは要件を満たせません。
BCP研修・訓練の具体的な回数はサービス種別と基準省令によって細かく分かれており、施設系と在宅系で求められる頻度が異なります。一律に「年◯回」と断定できる性質ではないため、自施設に適用される回数は、所管の運営基準や自治体の解釈通知で確認してください。個別の判断が必要な制度対応は、指定権者である自治体の窓口に問い合わせるのが確実です。
研修動画を法定研修に使う場合、まず確認すべきは「動画で知識を届けられるテーマか」「実地の訓練が必要なテーマか」「実施の記録をどう残すか」の3点です。この切り分けができていれば、動画を導入したあとに「動画は見せたが記録がなく実地指導で指摘された」という事態を避けられます。動画化は研修の入口を整える手段であり、記録と実地の設計まで含めて初めて、制度対応として機能します。
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研修動画の3つの調達方法を比較する
介護の研修動画には「内製」「既製の研修動画・eラーニングの活用」「自社制作型システム」という3つの調達方法があり、法定研修をもれなくカバーすることを優先するか、自施設固有の手順を反映することを優先するかで適した方法が変わります。それぞれの違いを、同じ評価軸で見ていきます。
内製は、自施設で撮影・編集まで行う方法です。自施設の手順や設備をそのまま映せる反面、企画から編集までの工数が大きく、内容を更新するたびに作り直しが発生します。既製の研修動画・eラーニングの活用は、提供されているコンテンツを契約して使う方法です。契約後すぐに使え、法定研修を一通りもれなくカバーした教材がそろう一方、汎用的な内容のため自施設固有の手順は反映しにくくなります。自社制作型システムは、システム上で自施設の動画を作成・配信・受講管理まで1つにまとめて行う方法で、両者の中間に位置します。
調達方法×評価軸の比較表
| 評価軸 | 内製(自施設で撮影・編集) | 既製動画・eラーニングの活用 | 自社制作型システム |
|---|---|---|---|
| 初期コスト・手間 | 大(撮影・編集の工数) | 小(契約後すぐ使える) | 中(テンプレ・端末撮影で簡略化) |
| 内容の更新性 | 自由だが都度工数 | 提供元の更新に依存 | 自施設で随時更新可 |
| 法定研修をもれなくカバーできるか | 自前で揃える必要 | 高(網羅型は法定研修を収録) | 既製+自作で補完 |
| 自施設固有手順の反映 | 反映できる | 反映しにくい(汎用) | 反映できる |
| 受講記録・進捗管理 | 別途仕組みが必要 | システム付帯が多い | システムで一元管理 |
| 多言語対応 | 別途翻訳が必要 | サービスにより対応 | サービスにより対応 |
| 向く施設 | 独自手順の標準化を重視 | 法定研修をもれなくカバーすることを最優先 | 独自性と管理性の両立を重視 |
出所: 厚生労働省・北海道の制度要件(記録・受講管理の必要性)と各調達方法の機能を横断して整理
この比較から見えてくるのは、「どれが優れているか」ではなく「自施設が何を優先するか」で答えが変わるということです。法定研修をもれなくカバーすることを最優先するなら既製の活用が手早く、自施設の介助手順や事故防止のローカルルールを標準化したいなら内製や自社制作型が向きます。受講記録の管理まで1つにまとめたい場合は、記録機能が付帯する既製サービスか自社制作型システムが候補になります。
施設の状況別に見た選び方の目安
評価軸を自施設の状況に当てはめると、選び方の方向性が見えてきます。判断の目安を示します。
- 小規模で研修担当の手が限られる施設: 法定研修を一通りもれなくカバーできる既製サービスの活用が、立ち上げの手間を抑えやすい(既製サービスの選び方は介護施設向けeラーニング比較6選(法定研修・OJTの選び方)で、導入コストや補助金活用まで評価軸ごとに整理しています)
- 独自の介助手順や事故防止ルールを標準化したい施設: 内製または自社制作型で、自施設固有の動画を作る方法が向く
- 記録・申し送りと教育をまとめて管理したい施設: 受講管理が付帯する既製サービスか、記録と一体化した自社制作型システムが候補になる
- 外国人スタッフが多い施設: 多言語対応の有無を評価軸に加え、対応するサービスを選ぶ
なお、3つの調達方法はどれか1つしか選べないわけではありません。法定研修は既製の網羅型でカバーし、自施設固有の手順は自作動画で補う、という組み合わせも現実的です。自施設で標準化したい教育が「どこでも通用する一般的な知識」なのか「自施設に固有の手順」なのかを切り分けると、調達方法を選びやすくなります。
要点: 研修動画の調達方法は内製・既製活用・自社制作型の3つで、優劣ではなく「法定研修をもれなくカバーできるか」「固有手順を反映できるか」「記録を管理できるか」のどれを優先するかで選ぶ。複数方法の組み合わせも有効です。
費用は「初期費用」と「運用負担」の両面で見る
調達方法を選ぶときは、目に見える金額だけでなく、運用にかかる人手も含めて費用を見積もると判断を誤りにくくなります。内製は外部への支払いが少なくても、撮影・編集・更新にかかる職員の時間という形でコストが発生します。既製サービスは月額の利用料がかかる一方、コンテンツ制作や更新の手間を提供元に任せられます。自社制作型システムはその中間で、システム利用料に加えて自施設で動画を作る手間が残ります。
どの方法でも、研修担当者の時間は有限な資源です。前掲のとおり従業員が不足とする事業所は65.2%にのぼり、研修にかけられる人手は限られます。初期費用が安く見えても運用に人手がかかりすぎる方法は、結果的に研修が回らなくなる恐れがあります。費用は金額と人手の両面で比べ、自施設の体制で継続できる方法を選ぶことが現実的です。
記録・申し送り・教育の一元化という評価軸での選択肢
調達方法を選ぶ際の評価軸の1つに「記録・受講管理まで一元化できるか」があります。この軸で見ると、carebase(ケアベース)は介護記録・申し送り・動画マニュアル/教育をクラウドで一元化し、受講管理や多言語対応にも対応するサービスです(carebase(ケアベース)、2026年6月時点)。記録・教育・申し送りが別々のツールに分散している施設にとっては、これらを1つの画面で扱えるかどうかが、自社制作型システムを選ぶ際の判断材料になります。
記録・申し送り・教育の一元化を検討する場合は、ツール分散の課題を整理できます。
記録・申し送り・動画マニュアルを1つの画面にまとめたい方は
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研修記録・受講管理まで設計して減算リスクに備える
法定研修は実施するだけでなく、実施した記録を残すことが求められます。動画を視聴させた事実だけでは「研修を実施した」と証明しきれないため、受講記録と年間研修計画をセットで設計する必要があります。
実地指導や運営指導の場面では、研修を実施したかどうかと並んで「いつ・誰が・どの研修を受けたか」を記録で示せるかが確認されます。前述のとおり、令和6年度の改定では虐待防止措置やBCPの未実施・未策定が減算の対象となり、措置の中には研修の実施が含まれます。研修動画を導入しても、受講状況の記録が残っていなければ、減算リスクへの備えとしては不十分です。
実施から記録までを一本につなぐ3つの設計ポイント
研修動画を運用に組み込むときは次の3点を設計しておくと、実施から記録までが一本につながります。
- 年間研修計画への位置づけ: どの法定研修をいつ・何回・どの動画で実施するかを、年間計画に落とし込む
- 受講記録の取り方: 誰がどの動画を視聴し、確認テストを受けたかを記録として残す仕組みを決める
- 行政提出書類との接続: 実施記録を、実地指導や加算要件の確認で求められる書類につなげられる形で保管する
年間研修計画は、年度の初めに「どの月にどの法定研修を実施するか」を一覧にしておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。動画研修であれば、配信日を計画に合わせて設定し、視聴期限を区切ることで、計画と実施の対応関係を記録に残せます。確認テストを併用すれば、視聴の事実だけでなく理解度の記録も残せるため、研修がきちんと機能していることを示す材料になります。新人研修から継続教育までを体系立てて設計する全体像は、介護スタッフ教育の完全ガイド(新人研修〜継続教育)で解説しています。
減算回避という金銭的リスクで費用対効果を測る
データに基づいて評価すると、研修動画の費用対効果は「研修コストの削減」だけでなく「未実施減算という金銭的リスクの回避」という観点でも測れます。施設・居住系サービスの場合、BCP未策定減算は所定単位数の100分の3にあたり、規模の大きい施設ほど影響額が大きくなります。研修を均質に実施し、その記録まで残せる体制を整えることは、報酬の取りこぼしを防ぐ意味でも合理的な投資判断になります(評価語「合理的」の根拠=前掲の減算率・厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について、2026年6月時点)。
ただし、減算はあくまで結果であり、本来の目的は利用者の安全とケアの質を保つことにあります。研修を「減算を避けるための形式」にとどめず、現場の事故防止やケアの均質化につなげる視点を持つと、動画研修の投資が単なるコスト対策を超えた意味を持ちます。
だから読者は、研修動画を「見せて終わり」にせず、受講記録・年間計画・行政提出までを一続きで設計できる手段かどうかを、調達方法を選ぶ段階で確認しておくべきです。
要点: 法定研修は実施+記録の保管が求められ、動画を視聴させるだけでは要件を満たさない。受講記録・年間研修計画・行政提出書類への接続をセットで設計することが、減算リスクへの実質的な備えになります。
介護の研修動画の作り方(6ステップ)
自施設で研修動画を作る場合は、受講者の想定から配信までを6つのステップで進めると、過不足のない教材に仕上がります。1テーマを5分前後の短い尺にまとめると、職員がスキマ時間に視聴しやすくなります。
研修動画を内製するときの基本的な流れは次のとおりです。
- 受講者・目的を想定する: 新人向けか全職員向けか、何をできるようになってほしいかを決める
- 企画・構成を作る: 1本を1テーマに絞り、伝える順番を決める。長くなりすぎないよう論点を絞る
- 素材を集める: 既存の手順書・写真・チェックリストなど、画面で見せる材料を準備する
- 撮影する: スマートフォンでの視聴を前提に、画角・明るさ・音声を確認しながら撮る
- 編集する: ナレーションや字幕、図解を加える。あとから一部だけ差し替えられる構造にしておく
- 配信・記録の設計をする: 視聴環境(端末・回線)を確認し、誰が視聴したかを記録する方法を決める
各ステップでつまずきやすいのは、企画の段階で1本に詰め込みすぎることと、撮影前に手順書を整理しきれていないことです。撮影に入る前に、伝える内容を箇条書きにして順番を確定しておくと、撮り直しが減ります。利用者が映り込む場面では、撮影と公開の範囲について事前に同意を得るなど、個人情報・プライバシーへの配慮も忘れないようにします。
受講されやすい動画にする4つのコツ
作るだけでなく、最後まで見てもらうための工夫も効果を左右します。実務的に効きやすいポイントは4つあります。
1つ目は、動画を短くまとめることです。1本を長くすると視聴が後回しになりやすいため、1テーマ5分前後を目安にします。長い内容は「導入編・実践編」のように分割すると、視聴のハードルが下がります。2つ目は、スマートフォンでの視聴を前提に作ることです。介護職員は据え置きのパソコンの前にいる時間が限られるため、移動中や休憩中に端末で見られる形が現実的です。文字は大きめにし、細かい表は避けると、小さな画面でも読み取れます。3つ目は、ナレーションや字幕を入れることです。音声を出せない環境でも内容が伝わり、外国人スタッフへの配慮にもなります。4つ目は、図解やアニメーションで要点を視覚化することです。移乗や声かけのように、文章では伝わりにくい動作を見せるのに向いています。
内製に工数をかけられない場合は、前述の比較で整理したとおり、既製の研修動画や自社制作型システムを活用する選択肢があります。自施設の体制と、標準化したい内容が一般知識か固有手順かを照らし合わせて、作り方そのものを選ぶとよいでしょう。撮影・編集・配信の具体的な手順は、介護現場で効果的な動画マニュアルの作り方で、新人教育を効率化する観点まで詳しく扱っています。
外国人スタッフの教育を動画で標準化する
外国人スタッフの教育では、視覚的な動画や多言語字幕によって言語の壁を下げられ、教育の標準化と定着支援の両面で動画が選択肢になります。日本語による集合研修だけでは、理解度のばらつきが生じやすいためです。
外国籍労働者の受け入れは広がりつつあります。前掲の介護労働実態調査(令和6年度)では、外国籍の労働者を受け入れている事業所は15.8%で、前年度から2.4ポイント上昇しました(2026年6月時点)。同調査では、外国籍労働者の受け入れの課題として「利用者や他の従業員との意思疎通」が上位に挙がっています。
データ上は、意思疎通の壁が受け入れの主要な課題である以上、教育を口頭の集合研修だけに頼ると、理解度の差がそのまま現場のリスクになりかねません。動画は、同じ手順を繰り返し見られること、母語の字幕を付けられること、身体動作を視覚的に示せることから、言語に依存しにくい教育手段として機能します。介護の現場では、誤った手順が事故や利用者の不利益につながりやすいため、言語の壁を理由に教育が薄くなる状況は避けたいところです。
だから外国人スタッフを受け入れる施設は、研修を「日本語で一度説明して終わり」にせず、多言語字幕付きの動画など、言語の壁を下げられる教材を教育設計に組み込むことを検討する価値があります。母語で要点を確認できる教材は、本人の安心感にもつながり、定着支援の一助になります。受け入れ前の事前学習から入職後のフォローまで、同じ動画を段階的に見せることで、教育の連続性を保ちやすくなります。
研修・動画教育を効率化するならcarebase(ケアベース)
研修動画を導入しても、記録・申し送り・教育のツールが分散していると、運用の手間や情報の抜けが残ります。これらを1つの画面で扱えるかどうかは、研修・動画教育を効率化するうえでの評価軸の1つです。
carebase(ケアベース)は、介護記録・申し送り・動画マニュアル/教育をクラウドで一元化する介護施設向けの業務支援サービスです。動画マニュアルやアラート通知で運用ミスを抑え、外国人スタッフ向けの多言語対応・視覚的なマニュアルにも対応しています(carebase(ケアベース)、2026年6月時点)。前述の調達方法の比較でいえば「自社制作型システム」にあたり、自施設固有の手順を動画化しつつ、受講記録まで管理したい施設の評価軸に対応する機能を備えています。
研修動画の運用で課題になりやすい「実施の記録」「申し送りとの連携」「多言語対応」を、別々のツールに分けずに扱いたい場合に役立ちます。
研修動画の実施記録・申し送り連携・多言語対応をまとめて扱いたい方は
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よくある質問(FAQ)
介護の研修動画は無料で使えるものもありますか?
無料で視聴できる研修動画も存在します。法定研修向けの動画を無料公開しているサービスや、月刊誌の年間購読で関連動画が見放題になる形などがあります。ただし、無料の教材は内容が固定的だったり、自施設固有の手順を反映できなかったりする制約があります。受講記録の管理まで必要な場合は、記録機能の有無もあわせて確認するのが安全です。
動画を視聴させるだけで法定研修を実施したことになりますか?
動画の視聴だけでは不十分な場合があります。法定研修は実施に加えて記録の保管が求められ、虐待防止やBCPの措置・計画には研修以外の要件も含まれます(前掲の令和6年度介護報酬改定資料)。研修動画を使う場合も、受講記録を残し、年間研修計画に位置づけたうえで、自施設に適用される要件を所管の運営基準で確認してください。
研修動画は自作と既製サービスのどちらがよいですか?
自施設が何を優先するかで変わります。法定研修をもれなくカバーすることを最優先するなら既製の活用が手早く、自施設固有の介助手順を標準化したいなら内製や自社制作型システムが向きます。本記事の比較表で整理したとおり、初期コスト・更新性・記録管理・多言語対応といった評価軸を自施設の状況に当てはめて選ぶのが現実的です。
介護の法定研修は動画でどこまで対応できますか?
虐待防止・感染症対策・認知症ケアのように知識を均質に届ける領域は、動画教材で対応しやすい部分です。一方、BCPの訓練のように身体を動かす実地要素は、動画だけでは要件を満たせません。動画で対応できる範囲と、実地・記録で補う範囲を切り分けて設計するのが基本になります。
外国人スタッフ向けに研修動画を多言語で用意できますか?
サービスや作り方によって対応できます。既製のeラーニングには母語の字幕付き動画を提供するものがあり、自社制作型システムでも字幕や多言語テロップを付けられる場合があります。前掲の介護労働実態調査では外国籍労働者の受け入れの課題に「意思疎通」が挙がっており、多言語対応は外国人スタッフが多い施設で重要な評価軸になります。導入前に、対応言語の範囲と、自施設の手順を多言語化できるかを確認するとよいでしょう。
まとめ
介護の研修動画は、法定研修や接遇・技術の教育を標準化・反復でき、限られた人員でも均質な学習機会を確保できる手段です。厚生労働省の業務改善の枠組みでは「手順書の作成」「OJTの仕組みづくり」に対応し、その価値は時短よりも、特定の人に頼った教え方をなくすことにあります。一方で、ICTや動画は導入すれば自動で効果が出るものではなく、効果を実感できた事業所は約半数にとどまります(前掲の介護労働実態調査、2026年6月時点)。同調査では、教育・指導を実施している場合に担当職員の離職率が低い傾向もみられ、教育体制の整備は定着とも関係します。調達方法は内製・既製活用・自社制作型の3つを評価軸で比べ、受講記録と年間計画まで設計して減算リスクに備えることが、自施設に合った判断につながります。
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