2026.8.21
デイサービスの稼働率の平均は70.7%|黒字化の目安と上げる方法
デイサービスの稼働率は、1か月の延べ利用者数を「営業日数×定員」で割って求めます。2024年度決算の全国平均は70.7%で、収支がプラスに転じる分かれ目は利用率60%台後半にあります。自施設の目標水準の決め方と、稼働率を上げる打ち手をまとめます。
稼働率の改善に充てる時間を現場に作りたい方は
CareBase(ケアベース)のサービス資料をダウンロード
デイサービスの稼働率とは?計算方法と利用率との違い
計算式と計算例、統計上の「利用率」との関係を整理(出所: 福祉医療機構「経営分析参考指標」に基づき編集部作成)
デイサービスの稼働率は、1か月の延べ利用者数を営業日数と定員の積で割って求める、定員の埋まり具合を示す指標です。介護報酬の請求実績からそのまま算出でき、国や独立行政法人の経営統計では「利用率」という名称で同じ考え方の数値が集計されています。
稼働率の計算式と計算例
稼働率の計算式は次のとおりです。
稼働率(%)= 1か月の延べ利用者数 ÷(1か月の営業日数 × 1日の利用定員)× 100
たとえば1日の定員が30名、1か月の営業日数が24日、延べ利用者数が500人だった事業所の場合、分母は30×24=720となり、稼働率は500÷720=69.4%になります。
分母に使う定員は、指定を受けた際の利用定員です。実際に受け入れられる人数を独自に設定して分母に入れてしまうと、他事業所や統計値と比べられない数値になります。参考までに、2024年度決算の平均像は定員30.0人・年間営業日数303.3日でした(福祉医療機構「経営分析参考指標」、2026年8月時点)。月あたりに直すと営業日数はおよそ25日となり、先ほどの計算例に近い規模が平均的な姿です。
統計で使われる「利用率」との関係
経営統計で「利用率」と書かれている数値は、稼働率と同じく延べ利用者数を営業日数と定員の積で割ったものです。呼び名が違うだけなので、自施設の稼働率と統計値はそのまま比較できます。
一方で混同しやすいのが「登録者数」に関する数値です。登録者は契約している利用者の総数であり、週2回利用の人も週1回の人も1人と数えます。登録者が定員を上回っていても、利用頻度が低ければ稼働率は伸びません。稼働率は「登録者数×利用頻度」の結果として現れる数値だと押さえておくと、後述する打ち手の切り分けがしやすくなります。
デイサービスの稼働率の全国平均は70.7%
デイサービスの稼働率(利用率)の全国平均は、2024年度決算で70.7%、前年度は69.6%でした。1.1ポイント上がった一方で、経常増減差額がマイナスの赤字施設の割合は44.8%と前年度から1.0ポイント増えています(福祉医療機構「経営分析参考指標」、2026年8月時点)。
ただし全体平均だけを見て自施設の位置を判断すると、実態とずれます。事業形態別に分けると、水準はかなり違います。
| 事業形態 | 定員数 | 利用率 | 赤字施設割合 |
|---|---|---|---|
| 地域密着型通所介護 | 17.9人 | 74.6% | 40.6% |
| 通常規模型通所介護 | 32.1人 | 68.9% | 48.3% |
| 大規模型(Ⅰ) | 46.6人 | 74.2% | 30.5% |
| 大規模型(Ⅱ) | 68.7人 | 76.8% | 27.7% |
データ出典: 福祉医療機構「経営分析参考指標」2024年度決算分(2026年8月時点)
比較軸で見ると、最も高い大規模型(Ⅱ)の76.8%と、最も低い通常規模型の68.9%の間には7.9ポイントの開きがあります。事業所数が最も多い通常規模型は全体平均を1.8ポイント下回っており、赤字施設割合も48.3%と4区分で最も高い水準です。つまり通常規模型の事業所が「全体平均70.7%」を基準に自施設を評価すると、実際より厳しく見えてしまいます。自施設と同じ事業形態の平均を基準にしてください。
黒字化の目安になる稼働率は何%か
0%線をまたぐのは利用率60%以上70%未満の区分。80%台以降は伸びが鈍る(出所: 福祉医療機構「2023年度 通所介護の経営状況について」に基づき編集部作成)
デイサービスの収支がプラスに転じるのは、利用率が60%以上70%未満の区分からです。この区分のサービス活動増減差額比率は0.2%で、50%未満の区分では△12.8%まで落ち込みます(福祉医療機構「2023年度 通所介護の経営状況について」、2026年8月時点)。「80%が目安」と語られることの多いテーマですが、実データの分かれ目はもう少し手前にあります。
利用率区分別に見た収支の分かれ目
2023年度決算の5,988事業所を利用率10%刻みで区分すると、収支は次のように変化します。
| 利用率区分 | サービス活動増減差額比率 | 定員1人当たり登録者数 |
|---|---|---|
| 50%未満 | △12.8% | 1.7人 |
| 50%以上60%未満 | △5.7% | 1.9人 |
| 60%以上70%未満 | 0.2% | 2.6人 |
| 70%以上80%未満 | 4.7% | 2.9人 |
| 80%以上90%未満 | 8.7% | 2.8人 |
| 90%以上 | 9.0% | 3.9人 |
データ出典: 福祉医療機構「2023年度 通所介護の経営状況について」(2025-003)(2026年8月時点)
利用率50%未満の区分では赤字事業所の割合が74.6%に達します。一方で、80%以上90%未満の8.7%と90%以上の9.0%の差は0.3ポイントしかありません。データ上は、70%台から80%台へ引き上げる区間で収支が大きく改善し、そこから先の伸びは小さくなります。
ただし、この0.2%という数値は区分ごとの平均であり、必要な水準は費用構造によって変わります。同じ2023年度決算で人件費率は黒字事業所60.5%・赤字事業所77.3%と16.8ポイントの差があり(福祉医療機構、2026年8月時点)、人件費などの費用が重い事業所では同じ稼働率でも収支は下振れします。目標は「まず70%台に乗せ、次に80%台を狙う」という二段階で置きつつ、自施設の費用構造とあわせて確認するのが現実的です。
月間の延べ利用者数から見る損益ライン
定員が事業所ごとに違うため、稼働率だけでなく実数でも確認しておくと判断しやすくなります。厚生労働省の調査では、月間延べ利用者数の階級別に収支差率が示されています。
| 月間延べ利用者数 | 収支差率 |
|---|---|
| 300人以下 | △4.2% |
| 301〜450人 | △0.1% |
| 451〜600人 | 5.3% |
| 601〜750人 | 7.9% |
| 751〜900人 | 6.3% |
| 901人以上 | 10.0% |
データ出典: 厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」第77表(令和6年度決算)(2026年8月時点)
301〜450人の階級で収支差率がほぼゼロになり、451〜600人で5.3%まで上がります。月間延べ450人前後が損益の分かれ目にあたる計算です。定員30名・営業25日の事業所なら、稼働率60%が延べ450人に相当します。利用率区分の結果ともほぼ一致するため、どちらの見方でも同じ結論になります。
デイサービスの稼働率が上がらない主な原因
差の大きさと、登録者数・利用頻度・欠席のどの型に当てはまるかを対応させた図(出所: 福祉医療機構「2023年度 通所介護の経営状況について」に基づき編集部作成)
稼働率が上がらない原因は、登録者数の不足・利用頻度の低さ・欠席の多さの3つに分解できます。2023年度決算では、赤字事業所の利用率は63.9%で、黒字事業所の73.7%を9.9ポイント下回りました(福祉医療機構、2026年8月時点)。
1つ目の登録者数の不足は、新規紹介が細っている場合と、入院や施設入所による退会が続いた場合の両方で起こります。退会は避けられないため、毎月一定数の新規を受け入れ続けられているかが問われます。
2つ目の利用頻度の低さは、週1回利用の登録者が多い構成で起こります。登録者数は足りているのに稼働率が伸びない事業所は、この型に当てはまります。
3つ目の欠席は、体調不良・受診・家族の都合などで発生します。欠席は稼働率の分子を直接削るため、当日の空き枠をどう扱うかが結果に効いてきます。自施設がどの型に当てはまるかを先に特定してから、対応する打ち手に絞り込んでください。
デイサービスの稼働率を上げる4つの打ち手
収支への効き方は利用者単価より登録者数のほうが大きい(出所: 福祉医療機構「2023年度 通所介護の経営状況について」に基づき編集部作成)
稼働率を上げる打ち手は、登録者数・利用頻度と滞在時間・欠席・利用者単価の4系統に整理できます。黒字事業所と赤字事業所の差は登録者数で11.7人あるのに対し、利用者1人1日当たりの単価では209円にとどまります(福祉医療機構、2026年8月時点)。
1. 登録者数を増やす
登録者数の目安として使えるのが、定員1人当たりの登録者数です。収支がプラスに転じる利用率60%以上70%未満の区分では2.6人、90%以上の区分では3.9人となっており、黒字事業所の多くは定員の2.5倍以上の登録者を確保しています(福祉医療機構、2026年8月時点)。定員30名なら75人が一つの水準になります。
新規の入り口は、地域包括支援センターと居宅介護支援事業所のケアマネジャーです。訪問頻度そのものより、空き枠の状況や利用者の変化を定期的に伝えられる関係を保てているかが実務上の差になります。
2. 利用頻度と滞在時間を見直す
サービス提供時間の構成にも黒字・赤字の差が出ています。7時間以上8時間未満の利用者が占める割合は、黒字事業所で52.9%、赤字事業所で48.1%と4.8ポイントの開きがあります(福祉医療機構、2026年8月時点)。
ただし提供時間はケアプランを基に利用者の状態や家族の希望を踏まえて決まるもので、送迎時間の長さにも左右されます。長時間利用を一律に勧めるのではなく、長時間の受け入れに応えられる体制やプログラムがあるかを先に整える順序になります。
3. 欠席・キャンセルへの対応を仕組みにする
欠席は当日連絡が中心のため、担当者の裁量に任せると対応がばらつきます。連絡を受ける窓口と記録の残し方を決め、欠席理由を蓄積できる形にしておくと、体調不良が多い曜日や特定の時期といった傾向が見えてきます。
空いた枠については、同じ週内での振替利用を提案できるかどうかで結果が変わります。振替の可否は利用者ごとの支給限度額やケアプランに左右されるため、ケアマネジャーへ早めに相談できる連絡経路をあらかじめ用意しておいてください。
4. 加算の算定状況を点検する
利用者単価を左右するのが加算の算定です。2023年度決算では、科学的介護推進体制加算の算定率は黒字事業所55.7%・赤字事業所47.7%、個別機能訓練加算(Ⅱ)は31.5%・24.1%という差がありました。
| 加算 | 黒字事業所 | 赤字事業所 |
|---|---|---|
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)(イ)・(ロ) | 80.2% | 70.4% |
| 科学的介護推進体制加算 | 55.7% | 47.7% |
| 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 31.5% | 24.1% |
| 入浴介助加算(Ⅱ) | 14.3% | 8.4% |
データ出典: 福祉医療機構「2023年度 通所介護の経営状況について」(2025-003)(2026年8月時点)
差は最大でも9.8ポイントで、登録者数の差ほど大きくはありません。加算は単価を底上げする手段であり、稼働率そのものを動かす打ち手ではないという位置づけになります。算定要件は介護報酬改定で変わるため、算定可否は最新の告示と自治体の通知で確認してください。単価の改善より先に登録者数の確保へ人手と時間を配分するほうが、収支への効き方は大きくなります。
ケアマネジャーへの連絡や欠席のフォローを記録とまとめて残したい方は
CareBase(ケアベース)のサービス資料を無料ダウンロード
稼働率を追うときに確認したい2つの注意点
稼働率の目標は、人員配置と送迎の負荷という2つの制約と同時に決める必要があります。利用者が増えれば必要な職員数も送迎ルートの負担も増えるため、数値だけを先に決めると採用や送迎の現場で無理が出ます。到達できる水準かどうかは、この2点から先に確認してください。
1. 人員配置とサービスの質
利用者数が増えると、人員配置基準を満たすために必要な職員数も変わります。募集をかけてもすぐに採用できるとは限らないため、稼働率の目標は採用計画とセットで置いてください。人員配置基準の解釈や必要な職員数の算定は自治体によって運用が異なる場合があるため、個別の判断は指定権者である自治体の窓口に確認してください。介護分野全体の人材確保の状況については、介護の人手不足の現状と原因で詳しく扱っています。
2. 送迎の負荷
送迎の所要時間は平均33.0分、最長で50.4分です(福祉医療機構「経営分析参考指標」、2026年8月時点)。利用者を増やすほどルートは複雑になり、送迎に割く職員とサービス提供に割く職員の配分が変わります。新規受け入れを検討する際は、既存の送迎ルートに無理なく組み込める地域かどうかも確認する材料になります。
打ち手を動かす時間は記録・情報共有の見直しで作る
ケアマネジャーとの連携も欠席のフォローも、日々の業務時間の中から捻出する必要があります。厚生労働省は生産性向上のための7つの取組の一つとして「情報共有の工夫」を挙げ、ICTなどを用いた転記作業の削減や、一斉同時配信による報告・申し送りの効率化を示しています(厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト」、2026年8月時点)。
国が示す枠組みでは「記録・報告様式の工夫」と「情報共有の工夫」が別々の取組として並び、同じ情報を何度も書き写す作業の削減が独立した論点として置かれています。手書きの記録をパソコンへ入力し、さらに申し送りノートへ書き写す流れが残っていれば、同じ内容を3回書いていることになります。そのため稼働率の打ち手を増やす前に、同じ情報が何回書かれているかを数え、転記が発生している工程から手を付けるのが優先順位として合理的です。
進め方の全体像は介護の生産性向上とは?7つの取組と進め方、申し送りや記録の共有方法の具体策は介護施設の情報共有を効率化する方法にまとめています。導入費用の一部に使える制度もあるため、費用面を検討する場合は介護ソフトの補助金まとめもあわせてご確認ください。
稼働率対策の時間を生み出すならCareBase(ケアベース)
CareBase(ケアベース)は、介護記録・申し送り・動画マニュアルによる教育をクラウドで一元化する、介護施設向けの業務支援サービスです。株式会社ウィルグループが提供しています。
記録した内容をそのまま申し送りとして共有できるため、紙の記録からの転記や申し送りノートへの二重入力を減らせます。手順や介助方法は動画マニュアルとして残せるので、新しく入った職員への説明にかかる時間も抑えられます。稼働率の打ち手に人手と時間を回すための土台として、記録・申し送り・教育の3つを1つの仕組みにまとめたい事業所に対応できる領域です。
記録と申し送りの二重入力をなくして事務の時間を減らしたい方は
CareBase(ケアベース)のサービス資料を確認
まとめ
デイサービスの稼働率は延べ利用者数を営業日数と定員の積で割って求め、2024年度決算の全国平均は70.7%です。収支がプラスに転じるのは利用率60%台後半で、目標は70%台から80%台へ段階的に置くのが現実的です。打ち手は登録者数の確保から着手すると効きやすく、定員の2.5倍以上の登録者が一つの水準になります。まずは自施設の稼働率を、同じ事業形態の平均と損益ラインの両方と比べるところから始めてください。
稼働率の打ち手を続けられる体制を整えたい方は
CareBase(ケアベース)のサービス資料を見る
介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
carebase(ケアベース)の無料体験、
資料請求、お問い合わせはこちら