carebase(ケアベース)コラム

2026.5.25

執筆者:川﨑翔太

【専門家監修】介護施設における個人情報保護と記録管理|電子化で注意すべきポイント

監修者プロフィール

  • 監修者名:川﨑翔太
  • 現職:介護支援専門員
  • 経験年数:介護業界17年(現場7年・介護支援専門員10年)
  • 保有資格
    • 介護福祉士
    • 介護支援専門員
    • 福祉住環境コーディネーター2級
    • 福祉用具専門相談員
  • 専門分野
    現役のケアマネジャーとして在宅高齢者のケアマネジメント業務に従事。3年前より介護・健康ジャンルを中心にWEBライターとして活動開始。これまでに介護施設の選び方・介護ICT・介護職員の働き方など多数の記事の執筆を経験。
  • 経歴概要
    介護福祉士として医療機関・介護付き有料老人ホームでの介護現場に従事。ケアマネ資格取得後、地域密着型特養のケアマネジャーを経験し、現在は居宅介護支援事業所ケアマネジャーとして在宅で生活する要介護高齢者のケアマネジメントに携わる。

はじめに|介護施設で重要性が高まる個人情報保護と記録管理

介護施設では、利用者の氏名や住所、既往歴、介護記録など、多くの個人情報を日常的に取り扱っています。特に介護記録には、身体状況や認知症に関する情報など、慎重な管理が求められる内容も含まれます。

近年は介護記録の電子化やICT導入が進み、情報共有や申し送りの効率化が進む一方で、情報漏えいや端末紛失、アクセス権限管理といった新たな課題も増えています。紙の記録の置き忘れや、共有端末のログイン放置など、現場の小さなミスが大きなトラブルにつながるケースも少なくありません。

そのため、介護施設では「電子化すること」だけでなく、アクセス権限・端末管理・保管ルール・職員教育まで含めた適切な記録管理体制を整備することが重要です。

本記事では、介護施設における個人情報保護の基本から、介護記録を電子化する際に注意したいポイントまでをわかりやすく解説します。

介護施設で扱う「個人情報」とは?

介護施設では、利用者や家族に関する多くの個人情報を日常的に取り扱うため、適切な個人情報保護と記録管理が欠かせません。介護現場ではただ生活を支援するだけでなく、心身の状態や家族背景まで把握しながら支援する必要があるためです。

具体的には、氏名・住所・生年月日などの基本情報に加え、病歴や服薬状況、認知症の有無、身体機能などの情報を扱います。これらは個人情報保護法における「要配慮個人情報」に該当し、通常以上に慎重な管理が必要です。

また、家族構成や生活歴、経済状況なども介護サービス提供に必要な情報として共有される場合があります。さらに、レクリエーション時の写真や動画、事故報告書に添付する画像データなど、本人を識別できる情報も個人情報に含まれます。

申し送りやカンファレンスでは多職種が介護記録を閲覧するため、「必要な人が必要な範囲のみ閲覧する」という意識が大切です。近年は介護記録の電子化が進み、タブレットやクラウドシステムを導入する施設も増えています。

一方で、端末紛失や不正アクセスによる情報漏えいのリスクも高まっているため、介護施設全体で安全な情報管理を徹底する必要があります。

介護施設で起こりやすい個人情報漏えいの事例

介護施設では、利用者に関する多くの個人情報を扱うため、日々の業務における小さなミスが情報漏えいにつながることがあります。特に、近年は介護記録の電子化が進み、紙とデータの両方で適切な記録の管理が必要です。

実際に介護施設で起こりやすい事例には、以下のようなケースがあります。

  • 紙の介護記録をデスクに置き忘れる
  • 共有パソコンをログイン状態のまま放置する
  • メールや添付ファイルを誤送信する
  • USBメモリや業務用スマートフォンを紛失する
  • 私物のスマートフォンで利用者の個人情報を撮影する
  • SNSへ利用者情報を不用意に投稿する

例えば、紙の介護記録をデスクに置いたまま離席すると、来訪者や家族に情報を見られる可能性があります。また、共有端末をログインしたまま放置すると、他の職員による誤閲覧や誤操作の原因にもなります。

特に私物端末の利用は管理が難しく、紛失すると大規模な情報漏えいに発展するリスクがあるため注意が必要です。こうしたトラブルを防ぐには、「少しだけなら大丈夫」という意識をなくし、職場全体で個人情報保護のルールを徹底することが重要です。

アクセス権限の設定や端末ロック、定期的な研修などを通じて、安全な管理体制を整えましょう。

申請前に必ず押さえておくべき準備の画像

介護記録を電子化するメリットと注意点

介護記録の電子化は、業務負担の軽減や効率化につながる取り組みとして、多くの介護施設で導入が進んでいます。特に、人手不足が続く介護現場では、記録業務の負担軽減や多職種連携の強化に役立つ点が大きなメリットです。

一方で、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクもあるため、適切な記録の管理体制を整える必要があります。介護記録を電子化するメリットは、以下のとおりです。

  • タブレット入力による記録業務の効率化
  • リアルタイムでの情報共有
  • 申し送り漏れや転記ミスの防止
  • 紙の介護記録の保管スペース削減
  • 災害時における個人情報のバックアップ

例えば、タブレット端末を活用すれば、その場で記録へ入力できるため、後から紙へ転記する手間を減らせます。また、職員間で最新情報を共有しやすくなり、ケアの質の向上につながりますが、以下のような注意点もあります。

  • 共有端末のログイン放置
  • パスワードの管理不足
  • 端末の紛失による情報漏えい
  • ウイルス感染や不正アクセス
  • 不適切なアクセス権限設定

安全に運用するには、端末ロックや二段階認証、アクセス権限の設定などを徹底することが大切です。電子化は便利さだけではなく、個人情報保護を前提に運用ルールを整備することが求められます。

介護施設で必要なアクセス権限管理の考え方

介護施設には、介護職、看護職、ケアマネジャー、事務職など、多種多様な専門職が働いています。全員で密な情報共有を行うことは大切ですが、だからといって「すべての職員がすべての情報に制限なく触れられる状態」にするのは、セキュリティや誤操作防止の観点から望ましくありません。
そこで重要となるのが、アクセス権限管理における「業務に応じた適切な割り当て」です。
具体的には、以下のようにそれぞれの役割や業務範囲に合わせて、必要な情報にスムーズにアクセスできる環境を整えることが推奨されます。

  • 現場のケアスタッフ: 日々の様子やサービス提供に関する介護記録の確認・入力
  • 医療・看護スタッフ: 処置や健康管理に関する重要な情報のスムーズな共有
  • 事務・管理スタッフ: 請求業務や契約、施設運営に関わる各種手続きの管理

このように情報の閲覧・編集範囲を適切にコントロールすることで、データの改ざんや誤消去を防ぐだけでなく、「誰が・いつ・どのデータを操作したか」を把握しやすくなり、施設全体のガバナンス強化に繋がります。
また、アクセス権限の運用は、人事異動や職員の退職が発生した際にも迅速に対応する必要があります。定期的な見直しを運用のサイクルに組み込み、常に「今の業務に最適な権限状態」を保つことが、安全な情報管理の第一歩です。

介護施設における端末管理・セキュリティ対策

介護記録を電子化する場合は、システム導入だけでなく、タブレットやスマートフォンなどの端末管理を徹底することも重要です。介護現場では端末を持ち歩く機会が多く、紛失や不正利用による個人情報漏えいリスクが高いためです。

安全な記録管理を行うには、施設全体でセキュリティ対策を共有する必要があり、まずはパスワード管理と画面ロックの徹底です。短いパスワードや使い回しを避け、一定時間操作がない場合は自動ロックが作動する設定にしましょう。

また、私物のスマートフォンで利用者情報を閲覧・保存する行為は禁止し、業務用端末のみを使用するルール整備も欠かせません。

さらに、Wi-Fi環境の管理も重要です。フリーWi-Fiは閲覧内容を盗み見られるリスクがあるため、施設内では暗号化された安全なネットワークを利用しましょう。

加えて、OSやアプリを最新状態に更新することで、ウイルス感染や不正アクセス対策につながります。端末管理は管理者だけの課題ではなく、職員が「個人情報を扱っている」という意識を持つことが、介護施設全体の情報セキュリティの強化につながります。

紙と電子データの保管ルール|記録管理で押さえるべきポイント

介護記録は、紙・電子データを問わず適切に保存・管理することが重要です。介護記録には氏名や病歴、生活状況などの個人情報が含まれており、紛失や情報漏えいが発生すると、施設の信用低下につながるためです。

また、実地指導や監査では、記録の保存状況や管理体制を確認される場合もあり、サービス提供の証拠として一定期間の保存が必要です。一般的には2年間の保存が義務付けられています。

しかし、自治体によっては5年間の保存が求められる場合もあるため、地域ごとのルールを確認することも欠かせません。

記録管理は、具体的に以下のような方法で適切に管理しましょう。

  • 紙の介護記録は鍵付きキャビネットで保管する
  • データにはパスワードやアクセス制限を設定する
  • USBメモリーや端末への持ち出しを制限する
  • 定期的にバックアップを実施する
  • 廃棄時はシュレッダー処理などで完全に削除する

特に電子化を進める場合は、「誰が・いつ・どの記録を閲覧したか」を確認できるアクセス管理も大切です。職員ごとに閲覧権限を設定することで、不必要な閲覧や内部での不正アクセスなどの防止につながります。

介護施設では、安全に記録を管理し、廃棄する体制まで整備することが重要です。

個人情報保護を現場に定着させるための教育・運用体制

介護施設で個人情報保護を徹底するには、ルールを作るだけで終わらせず、職員全員が理解し実践できる環境を整えることが重要です。介護現場では、多くの職種が利用者情報を共有する機会が多く、小さなミスが情報漏えいにつながるリスクがあります。

そのため、継続的な職員への教育と運用ルールの徹底が欠かせません。特に重要なのが、定期的な研修の実施です。新人研修だけでなく、全職員を対象に継続的に研修を行うことで、個人情報保護の重要性や必要性などの意識を維持しやすくなります。

具体的な研修内容として、以下が挙げられます。

  • 個人情報保護法の基礎知識
  • SNS投稿や写真撮影時の注意点
  • USBメモリー・スマートフォンなどの利用ルール
  • 誤送信や紛失時の報告手順
  • 電子記録システムの適切な操作方法

また、忙しさを理由にルールが形骸化しないよう、「私物端末の利用禁止」「離席時の画面ロック」「申し送り場所の限定」など、具体的なルールを明文化することも重要です。さらに、ヒヤリハット事例を共有する仕組みを整えることで、職員一人ひとりが「自分にも起こり得る問題」として認識しやすくなり、情報漏えいの防止に役立ちます。

個人情報保護は、一度の対策で終わるものではありません。研修や日々の声かけを続けながら、施設全体で守る意識を高めることが大切です。

安全な記録管理・情報共有を実現するならcarebase(ケアベース)

介護施設における個人情報管理では、「どこまで安全にデータを扱えるか」が重要な判断基準になります。carebase(ケアベース)は、介護記録や申し送りなどの重要な情報を、専用のクラウド環境で安全に管理できる設計となっています。
すべての通信は暗号化されており、外部からの不正アクセスや情報漏えいリスクを低減。個人情報保護に配慮したセキュリティ設計により、安心して日々の記録管理や情報共有を行うことができます。
主なセキュリティ・管理の特長は以下の通りです。

  • 専用クラウド環境でデータを一元管理
  • 通信はすべて暗号化され安全性を確保
  • 個人情報保護に配慮したシステム設計
  • 施設内の情報共有を安全な環境で実現

これにより、紙の記録管理で起こりやすい紛失や持ち出しリスク、また個人端末を介した情報漏えいのリスクを抑えながら、必要な情報を適切に共有できる環境を構築できます。
介護現場では、情報の正確性とスピードが求められる一方で、個人情報の保護も同時に徹底しなければなりません。carebase(ケアベース)は、その両立を支える基盤として、安全な記録管理とスムーズな情報共有を実現します。

まとめ|介護施設の個人情報保護は「ルール」と「運用」の両立が重要

介護施設では、利用者の氏名や病歴、介護記録など多くの個人情報を日常的に扱うため、適切な個人情報保護と記録管理が欠かせません。近年は介護記録の電子化が進み、情報共有や業務効率化が進む一方で、端末紛失や不正アクセス、誤送信などのリスク対策も求められています。

特に介護現場では、紙の記録の置き忘れや共有端末のログイン放置など、日常業務の小さなミスが情報漏えいにつながるケースも少なくありません。そのため、アクセス権限の設定や端末管理、保管と廃棄ルールの整備だけでなく、職員一人ひとりが「個人情報を扱っている」という意識を持つことが重要です。

また、個人情報保護はルールを作るだけでは不十分です。定期的な研修やヒヤリハット事例の共有を通じて、現場で継続的に運用できる体制を整える必要があります。

ルールと運用を両立させることで、安全な情報共有と利用者・家族からの信頼確保につながるでしょう。

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