carebase(ケアベース)コラム

2026.7.8

介護記録の電子化とは|メリット・費用・法的要件まで徹底解説

記録業務にあたる医療・介護スタッフ(介護記録の電子化のイメージ)

介護記録の電子化とは、紙やExcelで管理していた記録を専用システムでデジタルデータとして作成・保存・共有する取り組みです。記録時間の短縮と、電子保存の法的要件への適合を両立できる点が特徴で、人手不足が続く現場の業務改善策として導入が広がっています。メリットや費用相場、電子保存の法的要件、移行手順までを一次情報をもとに整理します。

なぜ今、介護記録の電子化が求められるのか

2026年度に必要な介護職員約240万人・2040年度約272万人と増員規模を示し記録業務の効率化が急務である背景を整理した図解

必要数の増加(25万人増→57万人増)に対し人員確保が難しいため記録の効率化が急務(出所: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」を基に作成)

介護記録の電子化が注目される背景には、構造的な人手不足があります。記録業務の効率化は、限られた人員でケアの質を保つための優先課題になっています。

厚生労働省の推計では、2026年度(令和8年度)に必要な介護職員は約240万人で、2022年度の実績から約25万人の増員が求められています。さらに2040年度には約272万人が必要で、約57万人の増加が見込まれています(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」、2024年7月発表・2026年6月時点)。必要数が増え続ける一方で人員確保は容易ではなく、有効求人倍率も全職種平均より高い水準で推移しています。

この状況下で、紙やExcelによる記録は二重入力や転記、保管・検索の手間という形で職員の時間を奪います。記録・申し送り・情報共有をデジタルへ移すことで職員の負担を軽減し、利用者と向き合う時間を確保しようという動きが、国が進める介護DXの流れと重なって進んでいます。

人手不足は一過性ではなく構造的な課題です。まずは自施設で記録業務にどれだけの工数がかかっているかを把握し、電子化で何を改善したいのかを明確にすることが、検討の出発点になります。

以降では、電子化とIT化・DXの違い、メリットと費用相場、電子保存の法的要件(真正性・見読性・保存性)、紙からの移行手順までを順に解説します。

介護記録の電子化とは?IT化・DXとの違い

電子化→IT化→DXの3段階を示し、記録のデジタル化から業務効率化・現場改善へと取り組み範囲が広がる流れを整理した図解

電子化(土台のデジタル化)→IT化(業務効率化)→DX(現場改善への活用)と段階的に範囲が広がる(出所: 厚生労働省「介護分野におけるICT・介護DXの推進」等の整理に基づき編集部作成)

介護記録の電子化とは、紙の記録をデジタルデータに置き換えて保存・閲覧できるようにする最初の段階を指します。IT化・DXとは取り組みの範囲が異なります。

電子化の検討を始めると「電子化」「IT化(ICT化)」「DX」という言葉を目にしますが、いずれも同じ意味ではありません。三つの違いを段階として整理すると、自施設がどこから着手すべきかが見えてきます。

電子化|記録の土台をデジタルにする段階

介護記録の電子化は、これまで紙で管理していた記録をデジタルデータへ置き換える取り組みです。記録の保存・閲覧をデジタル化し、業務の土台を整える段階にあたります。電子化によって、紙の記録をデータとして保存・管理でき、過去の記録を素早く検索・確認でき、紛失や劣化のリスクを減らし、複数の職員が同時に記録を確認できるようになります。多くの施設が最初に取り組みやすい入口です。

IT化(ICT化)|ツールで業務そのものを効率化する段階

IT化は、記録をデジタルにするだけでなく、ITツールを活用して業務そのものを効率化する取り組みです。介護記録アプリやクラウドサービスの導入がこれにあたります。スマホやタブレットでのその場入力、テンプレートや選択式入力による記録時間の短縮、情報のリアルタイム共有、集計や確認作業の自動化が実現します。記録作業の時間を削り、職員がケアに集中できる環境を整えやすくなります。

DX|記録を現場改善に活かす段階

介護記録DXは、電子化やIT化を土台に、業務プロセスや働き方そのものを変えていく考え方です。記録を「残すための作業」から「現場改善に活かす情報」へと進化させることが目的で、記録データを活用したケアの質向上、管理者のマネジメント負担の軽減、多職種連携の強化、人材不足を見据えた業務設計につなげます。

電子化 → IT化 → DX は一気に進める必要はありません。 まずは自施設の課題に合った形で電子化・IT化に取り組み、段階的にDXを目指すのが現実的です。スマホ・タブレットで使えるIT化の入口としては、介護記録アプリのおすすめ比較(無料・有料の選び方)も参考になります。

介護記録を電子化する5つのメリット

記録時間の短縮・情報共有の円滑化・検索性向上・記録の標準化・実地指導対応の5つの電子化メリットを番号付きで整理した図解

日常業務と管理の両面に効く5つのメリットを整理(出所: 本記事の各一次出典の整理に基づき編集部作成)

介護記録を電子化する主なメリットは、記録時間の短縮・情報共有の円滑化・検索性の向上・記録の標準化・監査対応のしやすさの5つです。日常業務と管理の両面で効果が表れます。

1. 記録時間を短縮できる

手書きやExcelでの記録は時間がかかりやすく、転記も発生します。テンプレートや選択式入力を使える電子記録なら、入力にかかる時間を短縮しやすくなります。クラウド型でスマホ・タブレットに対応した製品では、その場で記録を残せるため、メモを後でまとめて清書する手間も減らせます。

2. 情報共有がスムーズになる

紙の記録は申し送りや回覧が必要で、共有にタイムラグが生まれます。電子記録では入力と同時に情報が反映され、複数の職員がリアルタイムで状況を把握できます。施設内だけでなく、管理者や本部が離れた場所から記録を確認できる製品もあり、多拠点運営での情報のまとめ管理に役立ちます。

3. 必要な情報をすぐに検索できる

過去の記録を紙で探すのは手間がかかります。電子記録なら利用者名や日付などで即座に検索でき、ケアの振り返りや家族への説明の際にも必要な情報をすぐ取り出せます。

4. 記録の質・正確性が向上する

書き方が職員ごとにばらつくと、後から読む人に内容が正しく伝わりません。電子記録では表記や項目を標準化しやすく、選択式入力や定型文によって記入漏れや読み間違いを減らせます。記録の質が安定すると、申し送りミスの防止にもつながります。

5. 実地指導・加算対応がしやすくなる

実地指導(運営指導)や加算の届出では、必要な記録をそろえて提示する必要があります。電子記録は必要な書類を素早く呼び出せるため、書類準備の負担を抑えやすくなります。データの紛失・劣化リスクについても、自動バックアップを備えたクラウド型なら低減できます。なお、加算や実地指導で求められる記録は制度ごとに異なるため、詳細は所管自治体の基準を確認してください。

紙記録と電子記録の違いを項目ごとに整理すると、次のようになります。

比較項目 紙記録 電子記録
記録にかかる時間 手書き中心で時間がかかりやすい テンプレート・選択式で短縮しやすい
情報共有 申し送り・回覧が必要 入力と同時にリアルタイム共有
検索性 過去記録を探すのに手間 利用者名・日付などで即検索
記録の統一 書き方が職員ごとにばらつく 表記・項目を標準化しやすい
保管・管理 ファイル・保管スペースが必要 クラウド保存で省スペース
実地指導対応 書類準備に時間がかかる 必要記録をすぐ提示可能
紛失リスク 災害・劣化のリスクあり バックアップで低減

紙記録と電子記録の主要7項目の比較(出所: 本記事の各一次出典の整理に基づき編集部作成)

日常業務の効率と管理面では電子記録が優位ですが、後述するとおり初期コストや操作習得というハードルもあります。どの項目を重視するかを施設ごとに整理しておくと、製品選びの判断軸になります。記録時間の短縮を最優先するのか、実地指導対応の効率化を狙うのかで、選ぶべき製品も変わってきます。

電子化でどこまで効率化できるか(施設規模別の試算)

介護記録の電子化による効率化の目安は、施設規模で大きく変わります。記録時間の短縮分を人件費に換算すると、投資判断の材料になります。

「実際にどれくらい時間とコストが削減できるのか」は、検討時に最も気になる点です。ここでは1人あたり1日20分の記録時間短縮が実現した場合を前提に、施設規模別の試算を示します。

施設規模 1日の削減時間 年間削減時間 人件費換算(時給1,500円)
小規模(利用者20名/職員10名) 約3.3時間 約876時間 年間 約130万円相当
中規模(利用者50名/職員25名) 約8.3時間 約2,196時間 年間 約330万円相当
大規模(利用者100名以上/職員50名) 約16.6時間 約4,392時間 年間 約650万円相当

施設規模別の記録時間削減シミュレーション(carebase(ケアベース)の独自試算)

【試算方法】対象: 記録時間短縮の効果を試算するモデル/前提: 1人あたり1日20分の記録時間短縮・時給1,500円換算/集計方法: 職員数 × 1日の短縮時間 × 月22日稼働で月間・年間を算出/データ出所: carebase(ケアベース)の独自試算(実測値ではなく試算)

この数字はあくまで前提を置いた試算であり、実際の削減効果は記録方法や運用によって変わります。それでも、規模が大きいほど短縮の累積が大きくなる構造は共通しています。注意したいのは、削減できた時間を単純なコスト削減と捉えるのではなく、残業時間の削減、職員の負担軽減による離職防止、利用者対応時間の増加によるサービス向上といった経営全体への波及効果として考えることです。

要点: 記録時間の短縮効果は施設規模に比例して累積し、中規模施設でも年間数百万円相当の人件費改善が見込めます。導入コストと削減効果を突き合わせれば、投資回収が可能かを自施設の職員数で概算できます。

知っておきたいデメリットと回避策

介護記録の電子化には、初期コスト・操作習得・システム障害・心理的抵抗という4つのハードルがあります。いずれも事前の対策で多くは解消できます。

電子化はメリットが多い一方で万能ではありません。導入前に課題を把握し、対策とセットで検討することが、定着への近道です。

代表的なデメリットは初期コストです。システム利用料や端末導入費が発生するため、費用面の不安は小さくありません。また操作に慣れるまで一定の時間が必要で、職員のITリテラシーに差がある場合は定着まで工夫が求められます。さらに、システムトラブルやネットワーク障害への不安、紙記録への慣れからくる心理的抵抗感も、導入をためらう要因になりやすい点です。

これらの課題は、導入がうまくいっている施設の工夫から対策が見えてきます。

  • 初期コストへの対策: 補助金や助成金を活用すれば実質的な負担を抑えられます。介護記録システムは後述の介護テクノロジー導入支援事業の対象になる場合があり、費用面のハードルは想像より低くなることがあります。
  • 操作への不安への対策: 直感的に使える製品を選び、導入時のサポート体制を確認します。スマートフォン操作に近い感覚で使える製品も多く、短期間で定着する施設もあります。
  • 定着しないリスクへの対策: 一度にすべてを切り替えるのではなく、一部業務から段階的に導入します。完璧を目指さず、小さく始めて広げる進め方が現実的です。
  • システムトラブルへの対策: クラウド型では自動バックアップやサポート対応が整備されているため、紙より安全性が高い場合もあります。障害時の運用ルールを事前に決めておくとリスクを抑えられます。

定着しない施設に共通する4つの失敗パターン

システムを導入すれば必ず成功するわけではありません。「導入したが使われなかった」「結局紙運用に戻った」というケースには共通点があり、事前に知っておけば多くは回避できます。

  1. 一斉切り替えで現場が混乱する: 「今日からすべて電子化」と急に変えると負担が急増します。回避策は、一部ユニットや申し送り・記録など限定的な業務から始め、成功体験を積みながら段階的に広げることです。
  2. 機能の多さだけで選んでしまう: 高機能でも操作が複雑だと現場で使われません。機能の多さより使いやすさが定着を左右します。デモ画面や無料体験で事前確認しましょう。
  3. 目的が曖昧なまま進める: 「結局何が良くなるのか」という不満が出やすくなります。記録時間を減らす、申し送りミスを防ぐ、実地指導対応を楽にするなど、改善したい課題を先に明確にします。
  4. 現場への説明不足: 説明がないまま導入すると「仕事が増える」と誤解されます。導入前に「何が楽になるのか」を共有し、現場目線で不安を解消しておくと定着しやすくなります。

電子化の成否を分けるのは、システムそのものよりも導入の進め方です。無理なく始めて自施設に合う形へ調整していくことが、失敗回避につながります。

介護記録の電子化にかかる費用相場

介護記録の電子化にかかる費用は、主に初期費用・月額利用料・端末費用・研修サポート費で構成されます。クラウド型は比較的低コストで始めやすい傾向があります。

費用は大きく「初期費用」と「月額費用」に分かれます。初期費用にはシステムの導入設定やアカウント発行、操作研修などが含まれます。クラウド型の介護記録アプリは初期費用を抑えて始められる製品が増えている一方、オンプレミス型やカスタマイズが必要な場合は費用が大きくなる傾向があります。月額費用は利用人数や機能によって変動し、記録機能のみのシンプルなプランは低価格、シフト管理や請求連携などを含む多機能型は高くなりやすい構造です。

費用は製品・施設規模・契約内容によって幅が大きいため、相場を一律の金額で断定するのは適切ではありません。複数製品の見積もりを取り、自施設の利用人数と必要機能で比較するのが確実です。

見落としがちな「隠れコスト」

導入時に注意したいのが、システム費用以外のコストです。職員研修にかかる時間、導入初期の一時的な業務負担増、運用ルール変更に伴う調整工数は、計画に組み込んでおかないと「思ったより大変だった」という印象につながります。

費用対効果は総合的に判断する

費用対効果を判断する際は、単純なシステム料金だけでなく、年間で削減できる記録時間、残業代の圧縮、離職率低下による採用コスト削減、監査リスクの回避まで含めて総合的に考える必要があります。前章の試算のように、削減効果が年間コストを上回るケースもあります。費用は「経費増」ではなく「生産性向上への投資」として捉え、次章で触れる補助金を併用できれば実質負担はさらに抑えられる場合があります。

介護記録の電子化・標準化はcarebase(ケアベース)の機能で対応できます。

導入費用は補助金で抑えられる場合がある

介護記録の電子化には、介護テクノロジー導入支援事業などの補助金を活用できる場合があります。介護ソフトも対象になることがあり、初期費用のハードルを下げられる可能性があります。

ただし補助の有無・補助率・基準額・募集状況や申請要件は、年度と自治体によって異なります。利用を検討する場合は、所管自治体の公表資料で最新の内容を確認してください。補助金の種類・補助率・申請手順の詳細は介護ソフトの補助金まとめ(種類・補助率・申請手順)で整理しています。

介護記録の電子保存の法的要件と保存期間

介護記録は一定の条件を満たせば電子データでの保存が法的に認められています。電子保存には真正性・見読性・保存性の3要件があり、保存期間は省令と自治体条例で定められています。

「電子化して法律的に問題ないのか」という不安は、検討を止める要因の一つです。電子保存の根拠と要件を押さえておけば、製品選定と運用設計の判断軸になります。

電子保存の3要件(真正性・見読性・保存性)

保存義務のある記録を電子的に保存するには、e-文書法に基づく省令(厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令 第4条第4項)で定められた3つの要件を満たす必要があります(厚生労働省「電子保存の要求事項について」、2026年6月時点)。

要件 制度上の要求事項 実務で求められる対応の例
真正性の確保 改変・消去の有無と内容を確認でき、作成の責任の所在を明らかにすること ID・パスワードによる本人認証、操作履歴・アクセスログの保存、権限設定、更新履歴の保持
見読性の確保 必要に応じ、直ちに明瞭かつ整然とした形式で表示・書面作成できること 監査時にすぐ画面表示・印刷できる、障害時のバックアップ・代替手段
保存性の確保 保存すべき期間中、復元可能な状態で保存できること 自動バックアップ、ウイルス・災害対策、媒体劣化前の複写

電子保存の3要件と実務対応(出所: 厚生労働省「電子保存の要求事項について」(e-文書法省令)を基に編集部作成)

たとえば真正性では、故意・過失による虚偽入力や書き換え・消去を防ぐため、本人認証と操作記録の監査が求められます。見読性では、診療や監査・訴訟の際に求められるタイミングで肉眼で読める状態に表示できることが必要です。保存性では、ウイルスや媒体劣化からデータを守り、保存期間を通じて復元できる状態を維持することが求められます。

これら3要件は、紙記録では運用と保管で守っていたものを、電子保存ではシステムの機能と運用ルールの両面で守る形に変わります。そのため製品選定時には、本人認証・操作ログ・バックアップといった機能が3要件に対応しているかを確認することが、法適合の前提になります。

介護記録の保存期間(省令2年・自治体条例で5年)

介護記録には保存義務があります。サービス提供に関する記録の保存期間は、厚生労働省令では完結の日から2年間と定められていますが、自治体の指定基準(条例)で5年間としている例が多くあります(川崎市「記録の整備・保存」、2026年6月時点)。たとえば川崎市は条例で保存期間を5年間と定めており、運営規程や契約書・重要事項説明書で保存期間を5年未満としている場合は改めるよう求めています。

同資料では「記録の保存にあたっては、電子文書による保存も可能」と明記されており、電子保存は保存義務を満たす手段として認められています。ただし保存期間の起算日は記録の種類によって異なり、また自治体やサービス種別で保存年数が変わるため、自施設の所管自治体の基準を必ず確認してください。記録の種類別の保存年数や起算日の考え方、実地指導への対応は介護記録の法的要件と保管期間(実地指導対応・デジタル保存の注意点)で詳しく整理しています。

要点: 介護記録の電子保存は法的に認められていますが、真正性・見読性・保存性の3要件を満たすことが前提です。保存期間は省令の2年が基準で、自治体条例で5年とする例が多いため、製品の機能対応と所管自治体への確認の両方が欠かせません。

紙から電子化へ移行する手順

紙の介護記録を電子化する基本的な流れは、現状整理・範囲決定・製品選定・運用ルール整備・試験運用・段階移行の6ステップです。一度に全部を切り替えず、段階的に進めるのが定着のポイントです。

  1. 現在の記録業務を整理する: どの記録に、誰が、どれだけ時間をかけているかを把握します。現状(As-Is)が見えないと、電子化で何が改善するのかを評価できません。
  2. 電子化する範囲を決める: すべてを同時に変えず、記録や申し送りなど効果が出やすい業務から始めます。目的(記録時間の削減、申し送りミスの防止など)を明確にしておきます。
  3. 介護記録システムを選定する: 操作性・費用・サポート・必要機能・電子保存の3要件への対応・拡張性で比較します。デモや無料体験で現場が使えるかを確認します。
  4. 施設内の運用ルールを整備する: 入力のタイミング、権限設定、端末管理など、定着のカギになる運用ルールを決めます。タブレット等の端末管理はセキュリティの観点でも欠かせません。
  5. スタッフ研修・試験運用を行う: 一部のユニットや業務でスモールスタートし、現場の声を反映しながら調整します。
  6. 紙運用を段階的に減らす: 試験運用で問題がなければ対象を広げ、紙との二重運用を計画的に解消していきます。

移行時に避けたいのが、「電子化しただけ」で運用が変わらない状態と、紙と電子の二重運用が長引くことです。二重運用が続くと、かえって手間が増えてしまいます。あわせて、ID管理や権限設定などのセキュリティ対策も移行時にあわせて整えておくと、前章の3要件への対応が進みます。

電子化で現場はどう変わるか

電子化が定着すると、記録の入力から共有・活用までの流れが変わり、職員がケアに向き合う時間を取り戻しやすくなります。変化は記録時間だけでなく、情報共有や教育にも及びます。

紙やExcelの運用では、記録を書く・転記する・回覧する・保管するという工程が分かれていました。電子化が進むと、入力した記録がそのまま申し送りや多職種連携の情報として共有され、転記の工程が減ります。スマホ・タブレットでその場入力ができれば、利用者のそばで記録を残し、後でまとめて清書する手間もなくなります。

情報の流れが変わることで、管理者の業務にも変化が生まれます。記録が数値やデータとして蓄積されると、ケアの傾向や業務量を把握しやすくなり、担当者ごとにばらついていた記録の質を一定に保ちやすくなります。バイタルや生活記録をグラフ化できる製品では、利用者ごとの状態変化を可視化し、ケアの見直しに活かすことも可能です。

一方で、こうした変化は導入しただけで自動的に起きるわけではありません。運用ルールの整備と現場への共有があってはじめて、記録が「残すための作業」から「現場改善に活かす情報」へと変わっていきます。電子化を効率化の手段にとどめず、情報の活用までを見据えて設計することが、現場の変化を定着させるポイントになります。

失敗しない電子化ツールの選定基準

介護記録ツールの選定では、操作性・費用の明確さ・サポート体制・必要機能・拡張性の5つを基準にすると、自施設に合う製品を選びやすくなります。

製品が多くて選べないという場合は、評価軸を先に決めておくと比較がぶれません。

  • 現場が直感的に使える操作性か: ITが苦手な職員でも使えるか、デモや無料体験で確認します。
  • 初期費用・月額費用が明確か: 利用人数や機能による変動、隠れコストまで見積もります。
  • 導入・運用サポート体制があるか: 導入後の定着支援や問い合わせ対応の有無を確認します。
  • 必要な機能に過不足がないか: 記録・情報共有・請求連携・電子保存の3要件対応など、自施設に必要な機能をMust(必須)とWant(あれば良い)に分けて整理します。
  • 将来的な拡張性があるか: 申し送りや教育、多拠点運営への拡張に対応できるかを見ます。

要件定義の段階で、現状把握(As-Is)と目的設定(To-Be)、必要機能の整理、運用設計、費用対効果の検証まで言語化しておくと、製品選定の精度が上がります。比較ポイントや費用相場の詳細は介護ソフトの選び方(比較ポイントと費用相場)でも整理しています。「比較すること」と「最終的に決めること」を分け、開示された評価軸で複数製品を同じ基準で見比べることが、失敗回避につながります。

情報共有・申し送りまで含めて考える(一元化の視点)

記録だけを電子化しても、申し送りや教育が分断されたままでは現場の課題は残りやすくなります。記録・情報共有・教育をまとめて扱える仕組みで考えると、効率化の効果が広がります。

電子化の目的は記録時間の短縮だけではありません。記録した情報が申し送りや多職種連携にスムーズにつながり、新人教育にも活かせて初めて、現場全体の負担が下がります。記録システムを選ぶ際に、申し送りや教育との連携まで視野に入れておくと、後から別ツールを継ぎ足す手間を避けられます。

申し送り業務の電子化については申し送りの電子化とは(メリット・費用・進め方)で詳しく解説しています。記録軸と申し送り軸の両面から、自施設に合う形を検討してください。

クラウド型の介護記録システムは、こうした一元化と相性が良い点も特徴です。施設内だけでなく自宅や他拠点からの閲覧・入力、管理者・本部によるリアルタイム把握、通信暗号化やアクセス制限・二段階認証によるセキュリティ強化、複数施設のまとめ管理、バイタル・生活記録のグラフ化や科学的介護情報システム(LIFE)との連携など、ローカルPC型では難しかった運用が可能になります。

介護記録を電子化して記録・申し送りを効率化するならcarebase(ケアベース)

carebase(ケアベース)は、介護記録・申し送り・教育(動画マニュアル)をクラウドで一元化できる介護施設向けの業務支援システムです。記録の電子化から情報共有・教育までを一つの仕組みでカバーします。

carebase(ケアベース)は、定型文を使って最短10秒で記録を残せる入力設計と、申し送りや記録の自動連携によって、記録業務の負担軽減を支援します。スマホ・タブレット・PCに対応し、クラウド管理でどこからでも情報を共有できます。バイタルや生活記録のデータ分析を通じてケアの質向上を支える点も特徴です。

クラウド型のため、通信暗号化やアクセス制限、自動バックアップといったセキュリティ機能を備え、前章で触れた電子保存の3要件への対応や多拠点運営にも活用できます。外国人スタッフ向けの多言語・視覚的なマニュアルにも対応しており、人材の多様化が進む現場の教育標準化にも役立ちます。

機能・料金・導入要件や補助金の活用可否は資料で確認できます。記録だけでなく申し送り・教育まで一元化したい施設にとって、検討の選択肢の一つになります。

よくある質問(FAQ)

Q. 介護記録を電子化すると、保存期間は何年になりますか?
A. 保存期間は紙でも電子でも同じです。サービス提供に関する記録は厚生労働省令で完結の日から2年間が基準ですが、自治体の条例で5年間としている例が多くあります(川崎市、2026年6月時点)。電子文書による保存も認められています。詳細は所管自治体の基準をご確認ください。

Q. 介護記録の電子保存に必要な要件は何ですか?
A. e-文書法に基づく省令で定められた真正性・見読性・保存性の3要件です。改ざん防止と作成責任の明確化(真正性)、必要時に表示・印刷できること(見読性)、保存期間中に復元可能な状態で保存できること(保存性)が求められます(厚生労働省、2026年6月時点)。

Q. 電子化に使える補助金はありますか?
A. 介護テクノロジー導入支援事業などが対象になる場合があります。補助率・基準額・募集状況は年度と自治体で異なるため、所管自治体の交付要綱を確認してください。補助金の種類・補助率・申請手順は本文「導入費用は補助金で抑えられる場合がある」で詳しく整理しています。

Q. 紙の介護記録は、電子化したらすぐ捨ててよいですか?
A. 保存期間内の記録は保存義務があるため、すぐに破棄はできません。電子化後も、紙と電子の二重運用を計画的に解消しながら、保存期間を満たす形で管理する必要があります。

Q. ITが苦手な職員が多くても電子化できますか?
A. 直感的に使える製品の選定と、段階的な導入・研修・サポートの組み合わせで、定着している施設があります。一度に全部を切り替えず、一部業務から小さく始めることが定着のポイントです。

まとめ

介護記録の電子化は、紙の記録をデジタルへ置き換える取り組みであり、記録時間の短縮・情報共有の円滑化・検索性や記録品質の向上といったメリットがあります。一方で初期コストや操作習得、二重運用といった課題もあるため、目的を明確にして段階的に進めることが定着のカギになります。費用は補助金(介護テクノロジー導入支援事業など)で抑えられる場合があり、電子保存は真正性・見読性・保存性の3要件を満たせば法的に認められます。保存期間は省令2年が基準で、自治体条例で5年とする例が多い点も押さえておきましょう。自施設の課題と照らし合わせ、記録だけでなく申し送り・教育まで含めた一元化の視点で検討を進めることをおすすめします。

介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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