carebase(ケアベース)コラム

2026.7.31

介護のケース記録の書き方|客観的に伝わる例文と時短のコツ

介護のケース記録は、5W1Hに沿って主観を避け、客観的な事実を時系列で書くのが基本です。この記事では、書き方の基本ルールから場面別の例文、使ってはいけない表現、そして時短のコツまでを順に解説します。「例文がほしい」「毎日書いているのに伝わらないと言われる」——現場でよく聞かれる悩みに、根拠とともに答えます。

介護のケース記録とは?書く目的と役割

ケース記録は多職種・家族・行政をつなぐ共通言語として5つの役割を担う(保存義務の出典: e-Gov 指定居宅サービス等の運営基準 第39条第2項)

ケース記録とは、利用者の状態やケアの経過を、多職種・家族・行政に正確に伝えるための事実記録です。単なる業務日誌ではなく、ケアプランの見直し・情報共有・施設と職員を守る証拠という複数の役割を担います。だからこそ「誰が読んでも同じ状況が分かる」書き方が求められます。

ケース記録が果たす役割

ケース記録は、一人の利用者に関わる複数の職種をつなぐ共通言語です。日々の記録が、次のケアの判断材料になります。

具体的な役割は次のとおりです。

  • ケアプラン作成・見直しの参考情報(生活状況や変化の根拠になる)
  • スタッフ間の情報共有(勤務交代やシフトをまたいでも状態を引き継げる)
  • 看護師・機能訓練指導員・ケアマネジャーなど他職種への情報提供
  • 家族への報告(面談や連絡時の事実の裏づけ)
  • 施設や職員を守る記録(事故や苦情の際に、事実を確認する一次資料になる)

これらの役割はいずれも「書いた本人以外が読んで役立つか」で決まります。自分だけが分かる書き方では、記録の価値は大きく下がります。

記録が不十分だと生じるリスク

記録が抽象的だと、情報共有の漏れだけでなく、事実確認や監査の場面でも支障が出ます。ケアの根拠を後から説明できないためです。

介護サービスの提供記録は、運営基準上「記録の整備」が事業者に義務づけられており、その完結の日から二年間保存することが定められています(e-Gov 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第39条第2項、2026年7月時点)。自治体の条例で5年と定める場合もあるため、実際の保存年数は所管の市町村・都道府県に確認してください。

また、記録は都道府県・市町村が行う運営指導(2022年度に「実地指導」から名称変更)でも、サービスが基準どおり提供されたかを確認する基礎資料になります。記録の法的な位置づけと保管の詳細は、介護記録の法的要件と保管期間の解説運営指導(実地指導)のチェックリストもあわせて確認すると理解が深まります。記録は「書いて終わり」ではなく、共有され保存され、後から確認される前提で書くものです。

ケース記録の書き方の基本ルール

5W1Hで要素を整理し、主観(解釈)と客観(事実)を分けて時系列で簡潔に書くのが記録の基本の型

ケース記録の基本は、5W1Hで要素を整理し、主観を避けて客観的な事実を、時系列で簡潔に書くことです。専門用語やあいまいな表現を避けると、経験の浅い職員や他職種にも同じ内容が伝わります。まずはこの型を押さえるだけで、記録の抜け漏れと解釈のばらつきが減ります。

5W1Hで抜け漏れなく整理する

5W1Hは、伝えたいことの抜け漏れを防ぐ基本の枠組みです。特に「いつ」「どうなった」が抜けると、記録の価値が下がります。

要素 内容 記録での例
When(いつ) 日付・時刻をできるだけ具体的に 1月5日 12時30分
Where(どこで) 場面・場所 食堂にて
Who(誰が) 利用者・対応した職員 Aさん/職員B
What(何を) 起きた事実・行為 昼食中にむせ込み
Why(なぜ) 原因・背景(推測は区別する) 汁物を早く飲んだためと思われる
How(どのように・どうなった) 対応と結果 水分を提供し、5分後に落ち着いた

5W1Hをさらに文例つきで練習したい場合は、介護記録の書き方と5W1Hの解説も参考になります。

主観ではなく客観的事実で書く

ケース記録で最も重要なのが、主観(解釈・印象)と客観(見た・聞いた・測った事実)を分けることです。「元気だった」「不穏だった」は解釈であり、事実ではありません。

たとえば「本人は元気だった」だけでは、何をもって元気と判断したのかが伝わりません。「10時、廊下を笑顔で歩き、職員の声かけに『おはよう』と返答」と書けば、読み手も同じ状況を思い描けます。解釈を残したいときは、事実と分けて「〜の様子から〇〇と思われる」と根拠つきで書きます。

時系列で「経過」が分かるように書く

ケース記録では、出来事の流れを時系列で追えるように書きます。状態が変化した場面では、「変化のきっかけ→変化→対応→その後」の順で書くと因果が分かります。

順番が前後すると、対応が適切だったかを後から検証できません。「12時30分に食堂でむせ込み(変化)→水分を提供(対応)→5分後に落ち着く(その後)」のように、時刻とともに経過を並べます。

専門用語・あいまい表現を避け、簡潔に書く

記録は多くの人が読むため、施設内でしか通じない略語や造語は避けます。文体は、事実を簡潔に言い切る「だ・である調(常体)」が一般的です。

「特変なし」「様子観察」だけで終わる記録は、何を観察したかが残りません。観察した事実を一つでも添えると、記録の密度が上がります。以上のように、5W1H・客観・時系列・簡潔の順で書けば、経験に頼らず一定の質に近づきます。だからこそ、まず「5W1Hがそろっているか」「客観的な事実か」の2点を毎回の記録で自己点検することが、伝わる記録への近道になります。

場面別|ケース記録の例文とNG・OKの書き換え

各場面のNG記録に「時刻・行為・事実・対応」を補うと、次の職種が判断できるOK記録に変わる

場面別のケース記録は、あいまいな一文を「時刻・行為・事実・対応」に分解して書き換えると具体的になります。食事・排泄・入浴・トラブルのいずれも、NG例とOK例を並べて比べると、何を足せば伝わるかが分かります。以下に代表的な書き換え例を示します。

食事・水分の記録例

食事の記録は、摂取量と本人の発言・様子を数値と事実で残すのが基本です。

  • NG: 昼食はあまり食べなかった
  • OK: 12時15分、食堂。昼食は主食5割・副菜2割を摂取。「食欲がない」と発言。汁物は全量摂取

「あまり」を割合に置き換えるだけで、次の職種が水分・栄養状態を判断できるようになります。

排泄の記録例

排泄の記録は、排尿・排便の有無と、本人の訴えや身体の状態を客観的に書きます。

  • NG: 排泄介助を行った。問題なし
  • OK: 14時10分、トイレ誘導。排尿あり・排便なし。下腹部に軽い張りの訴えあり。表情に苦痛は見られず

「問題なし」は主観です。何を確認して問題なしと判断したかを残します。排泄記録の書き方は排泄介助の記録の解説でも詳しく扱っています。

入浴・移乗の記録例

入浴・移乗では、動作の自立度と皮膚の状態、痛みの訴えを記録します。

  • NG: 入浴介助。特変なし
  • OK: 10時30分、一般浴。移乗時に右膝の痛みを訴え、手すりを支えに自力で立位を保持。皮膚に発赤・傷なし

「特変なし」で済ませず、観察した部位と結果を書くと、皮膚トラブルの早期発見につながります。

服薬・夜間の記録例

服薬や夜間の記録は、時刻・実施の有無・本人の状態を確実に残します。夜勤帯は交代時の引き継ぎに直結するため、特に具体性が求められます。

  • NG: 薬は飲んでもらった。夜は問題なし
  • OK: 20時、夕食後薬を配薬。むせなく内服を確認。22時と2時の巡視で入眠を確認し、体位変換を実施。排尿は2時に1回

服薬は誤薬防止の観点からも、誰が・いつ・何を確認したかを残します。夜間の記録は、夜勤の記録・申し送りの解説もあわせて確認すると引き継ぎの精度が上がります。

事故・ヒヤリハット等トラブル場面の記録例

事故やヒヤリハットの記録は、時刻・場所・状況・身体所見・報告先まで事実を残します。感情や自己弁護は書きません。

  • NG: 転んでしまった。ケガはなさそう
  • OK: 15時40分、居室前の廊下でAさんが尻もちをつく。頭部打撲なし、右手首に軽い擦過傷。バイタル正常。看護師に報告し、家族へ連絡

トラブル場面の記録は、事故報告書との整合も欠かせません。書き方の詳細はヒヤリハット報告書の書き方を参照してください。

使ってはいけない表現(NGワード)

記録には、読み手に誤解を与えたり、利用者の尊厳を損なったりする表現を残さないよう注意します。

NGの種類 NG表現の例 OKの書き換え
侮辱・見下す表現 わがまま/困った利用者 「〇〇してほしい」と繰り返し訴える
断定できない推測 たぶん体調が悪い 「頭が重い」と訴え、朝食を半分残す
主観的評価のみ 不穏だった 落ち着かず室内を往復し、「家に帰る」と発言
施設内の造語・略語 いつもの対応 声かけして5分ほど付き添い、本人の訴えを傾聴

推測を事実のように書くことは、後の事実確認を難しくします。推測は「〜と思われる」と明確に区別して書きます。

利用者の変化を正確に伝える記録テクニック

利用者の変化を正確に伝えるには、印象語を数値と行動の事実に置き換え、観察の視点を決めて書きます。SOAPやフォーカスチャーティングなどの様式は、主観(S)と客観(O)を分けて整理する助けになります。記録は多職種・家族・運営指導の三方向に読まれる前提で書きます。

数値化と具体化で「伝わる」記録にする

抽象的な印象を避けるには、数値・回数・時間・部位を添えるのが有効な工夫です。「よく食べた」より「主食8割・副菜10割」のほうが、状態の変化を追えます。

変化を比較できる形にするのがポイントです。前回と今回で摂取量・歩行距離・発語の回数などが比べられると、悪化や改善の兆しに気づきやすくなります。数値化できない項目は、行動の事実(何をした・何と言った)で具体化します。

SOAP・フォーカスチャーティングを使い分ける

記録の様式には、SOAPやフォーカスチャーティングなどがあります。いずれも、主観と客観を分けて整理するための枠組みです。

  • SOAP: S(主観=本人の訴え)/O(客観=観察・測定した事実)/A(評価=解釈)/P(計画=今後の対応)の順に整理する
  • フォーカスチャーティング: フォーカス(着目点)に対し、D(データ)/A(アクション)/R(反応)で記録する

たとえば「お腹が張って尿が出にくい」という訴え(S)に対し、排尿の有無や下腹部の状態(O)を分けて書くと、評価と計画の根拠が明確になります。どちらの様式でも、まず事実(O・D)を正確に残すことが土台です。様式は、施設で扱っている記録システムや記録の目的に合わせて選びます。

多職種・家族・運営指導の三方向に伝わる書き方

ケース記録は、書いた本人以外に、他職種・家族・行政という三方向の読み手がいます。それぞれが必要とする情報を意識すると、記録の抜けが減ります。

看護師には身体所見、ケアマネジャーには生活状況の変化、家族には日々の様子、運営指導ではサービス提供の事実——同じ出来事でも、読み手によって注目点が異なります。いずれの読み手にも共通するのは「事実が具体的に特定できること」です。日時・行為者・事実がそろっていれば、どの読み手にも耐える記録になります。

記録を読み返して次の記録に活かす

書いた記録は、時間を置いて読み返すと、事実が抜けている箇所や解釈が混じった表現に気づけます。読み返しを習慣にすると、記録の質は少しずつ安定します。

自分の記録を「初めて読む他職種の視点」で見直すと、専門用語や省略が伝わりにくい箇所が見えてきます。施設内で良い記録の例を共有し、書き方をそろえていくと、職員ごとの差も縮まります。

ケース記録を効率化・時短する方法

記録の時短はテンプレート化・ルール統一・ICT活用を組み合わせるほど効果が積み上がる(介護職員必要数の出典: 厚生労働省 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)

ケース記録を時短するには、よく使う表現のテンプレート化、施設内での記録ルールの統一、ICT・介護記録ソフトの活用という3つの方向があります。人員が限られる中で記録の質を保つには、書く負担そのものを仕組みで下げる工夫が求められます。自施設の課題に合う手段を選ぶのが出発点です。

よく使う表現をテンプレート化する

毎回ゼロから文章を考えると時間がかかります。場面ごとの定型文や、よく使う言い回しを登録しておくと、記入の負担が下がります。

食事・排泄・入浴などの頻出場面は、5W1Hの枠に沿ったテンプレートを用意し、数値や本人の発言だけを差し替える方式にすると、記入時間を短縮しつつ抜け漏れも防げます。ただし、テンプレートに頼りすぎると「特変なし」の量産につながるため、観察した事実を一言添える運用にします。

記録ルールを施設内で統一する

同じ出来事でも、職員によって書き方が違うと、記録の質にばらつきが出ます。用語・略語・記入の粒度を施設内で統一すると、誰が書いても読みやすい記録になります。

「摂取量は割合で書く」「痛みは部位と程度を書く」といったルールを明文化し、新人教育に組み込むと、指導のたびに基準が変わる事態を防げます。ルールは一度作って終わりではなく、運営指導での指摘や現場の声を踏まえて見直します。

ICT・介護記録ソフトを活用する

記録の効率化手段は複数あります。ただ、記録・申し送り・教育のどこに時間がかかっているかを棚卸しし、その工程を一元化できるかという軸で比べると、機能が分散したツールより一元化型のほうが転記や二重入力の手間を減らせます。厚生労働省の推計では、2040年度に約272万人の介護職員が必要とされており(厚生労働省 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について、2024年7月時点)、限られた人員で同じ業務量をこなす必要が高まっています。だから記録の負担を減らしたい施設は、まず「記録・申し送り・教育が一元化できるか」を選定軸に確認するのが合理的です。

一方で、ICTは導入すれば自動的に効率化するわけではありません。入力項目が現場に合わない、運用ルールを決めずに導入する、といった場合は定着せず、かえって負担が増える例もあります。導入の詳細は介護記録の電子化の解説も参考になります。なお、導入費用の一部には補助金・助成金を活用できる場合があり、詳細は介護ソフトの補助金まとめで確認できます。以上のように、テンプレート化・ルール統一・ICTは排他ではなく、書く前の準備と書いた後の共有を組み合わせるほど時短の効果は積み上がります。

記録・申し送り・教育を一体で効率化するならCareBase(ケアベース)

記録・申し送り・教育を別々のツールで管理していると、同じ内容を何度も転記する手間が生じます。CareBase(ケアベース)は介護記録・申し送り・動画マニュアルをクラウドで一元化し、記録から共有・教育までを一つの画面で扱えるようにする機能を備えています。

記録手段を選ぶときは、同じ評価軸で並べて比べると判断しやすくなります。次の表は、時短の3つの方向を「記録の効率」「申し送り連携」「教育との連携」「多言語対応」「導入コスト」で同粒度に整理したものです。

手段 記録の効率 申し送り連携 教育との連携 多言語対応 導入コスト
CareBase(ケアベース) 記録を一元管理 申し送りを共有・既読管理 動画マニュアルと連携 多言語対応あり 有料(補助金活用可の場合あり)
テンプレート活用 記入を定型化 別途共有が必要 連携なし 手動 低(既存様式で運用可)
施設内ルール統一 ばらつきを抑制 口頭・紙に依存しやすい 教育に組込可 手動 低(運用整備の労力)
汎用の記録ソフト 記録を電子化 製品により異なる 製品により異なる 製品により異なる 有料

(出所: 介護現場の記録実務の一般的な運用と、各手段の公開情報・CareBase(ケアベース)公式の機能情報を基に作成)

比較軸のうち「記録・申し送り・教育の一元化」を重視する施設では、CareBase(ケアベース)が候補になります。動画マニュアルと多言語対応により、外国人職員を含む教育の標準化にも対応しています。機能・対応領域・導入要件の詳細は、サービス資料で確認できます。

ケース記録の書き方に関するよくある質問(FAQ)

ケース記録は「だ・である調」と「です・ます調」どちらで書きますか?

記録本体は、事実を簡潔に言い切る「だ・である調(常体)」で書くのが一般的です。文字数を抑えつつ客観的な印象になります。ただし、施設の様式やルールで指定がある場合は、それに従います。まずは自施設の記録ルールを確認してください。

ケース記録に主観(気持ちや印象)は書いてはいけませんか?

観察した事実を書くのが原則で、印象だけの表現は避けます。ただし、職員の解釈が判断に必要な場合は、「〜の様子から〇〇と思われる」と事実と分けて書けば問題ありません。大切なのは、事実と解釈が読み手に区別できることです。

介護のケース記録は何年間保存する必要がありますか?

運営基準では、サービス提供に関する記録を「その完結の日から二年間保存」することが定められています(e-Gov 指定居宅サービス等の運営基準 第39条第2項、2026年7月時点)。ただし、自治体の条例で5年と定める場合もあるため、実際の保存年数は所管の市町村・都道府県に確認してください。

SOAPとフォーカスチャーティングはどちらを使えばよいですか?

どちらも主観と客観を分けて整理するための様式で、優劣はありません。SOAPは評価と計画まで含めて整理したい場面に、フォーカスチャーティングは着目点に対する経過を追いたい場面に向きます。施設で使っている記録システムや目的に合わせて選ぶのが実務的です。

まとめ|ケース記録は「正確さ」と「効率」を両立できる

ケース記録は、5W1Hで整理し、主観と客観を分け、時系列で書くという基本を押さえるだけで、他職種にも家族にも伝わる記録に近づきます。場面別のNG→OKの書き換えを繰り返せば、書き方は着実に身につきます。そして、テンプレート化・記録ルールの統一・ICTの活用を組み合わせれば、記録の質を保ちながら書く時間を減らせます。日々の記録が正確で、共有もスムーズに回る現場では、職員は記録に追われず、利用者と向き合う時間を取り戻せます。まずは自施設の記録を、5W1Hと「客観的か」の2点で見直すところから始めてみてください。

介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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