carebase(ケアベース)コラム

2026.7.28

介護職の離職防止|原因データと定着率を高める対策の進め方

介護職の離職は「給与の低さが最大の原因」と考えられがちですが、介護労働安定センターの調査では、前職を辞めた理由の最上位は「職場の人間関係」で、賃金の低さはそれに次ぐ要因でした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。離職防止には人間関係・職場環境・業務効率化・育成を含む多面的な対策と、効果の高い打ち手からの優先順位づけが必要です。原因を公的データで確認し、施設が何から着手すべきかを整理します。

介護職の離職率はいま高いのか|最新データで見る現状

離職率は下がっても不足感は上昇——率と人手不足のずれを示す(出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」を基に作成)

訪問介護員と介護職員を合わせた2職種計の離職率は12.4%で、2年連続の低下となりました(介護労働実態調査、2025年7月公表)。一方で事業所の不足感は65.2%へ上昇しており、辞める人が減っても現場の人手不足は下がりにくい構造にあります。離職防止を考える出発点は、この「率」と「不足感」のずれを正しくつかむことです。

介護職の離職率は12.4%|「高い業界」という印象とのずれ

介護は離職率の高い業界という印象が語られがちですが、直近のデータはその印象とややずれています。2職種計の離職率は12.4%で、参考として厚生労働省「雇用動向調査」の全産業の離職率15.4%(令和5年)を下回る水準です(介護労働実態調査、2025年7月公表)。職種別では介護職員が12.8%、訪問介護員が11.4%で、いずれも低下傾向にあります。まず押さえたいのは、離職率そのものは改善方向にあるという事実です。

数値だけを見れば状況は好転しているように映ります。ただし「率が下がったから現場は楽になった」とは言い切れません。その理由が次の不足感のデータに表れています。

離職が減っても「不足感」は上昇する構造

離職率が下がる一方で、現場の負担感はむしろ強まっています。従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」のいずれかと答えた事業所の割合は65.2%で、前年度の64.7%より0.5ポイント上昇しました(介護労働実態調査、2025年7月公表)。職種別では訪問介護員が83.4%、介護職員が69.1%と高く、必要な人員に対して供給が追いついていない状態が続いています。

背景には需要側の拡大があります。厚生労働省の推計では、2040年度に必要な介護職員は約272万人とされ、2022年度から約57万人の増加が見込まれています(厚生労働省、2024年7月公表)。限られた人員で同じ業務量をこなす必要が高まるため、退職者を減らす対策と同時に、一人あたりの負担を下げる対策が現実的な選択になります。

主要指標を一つの表に整理すると、離職防止で見るべき論点が見えてきます。

指標 数値 傾向・補足
2職種計 離職率 12.4% 2年連続の低下
介護職員 離職率 12.8% 低下傾向
事業所の不足感 65.2% 前年度より0.5pt上昇
退職理由の最上位 職場の人間関係 24.7% 賃金より上位
職場定着に最も効果があった方策 休暇・勤務変更のしやすさ 34.4% 実施率も最多

介護職の離職に関する主要指標一覧。離職率は低下する一方で不足感は上昇している(出所: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」結果の概要を基に作成)

介護職が離職する本当の理由|「給与」より上位にある要因

退職理由は賃金より人間関係が上位で、中身は指導のきつさ・パワハラが半数近く(出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」を基に作成)

前職の介護の仕事を辞めた理由の最上位は「職場の人間関係に問題があったため」で24.7%、しかもその中身は上司・先輩の指導のきつさやパワーハラスメントが半数近くを占めます(介護労働実態調査、2025年7月公表)。給与への不満も要因の一つですが、単独の最大要因ではありません。原因を給与に一本化すると、対策の的を外しやすくなります。

退職理由の最上位は「職場の人間関係」

離職対策で最初に向き合うべきは、人間関係の問題です。中途採用者が直前の介護の仕事を辞めた理由を見ると、「職場の人間関係に問題があったため」が24.7%で最も高くなっています(介護労働実態調査、2025年7月公表)。介護以外の仕事から転職してきた人では「結婚・妊娠・出産・育児のため」が最多で、事情は職種によって異なります。

つまり介護現場で人が辞める局面では、待遇よりも先に「誰と、どう働くか」が問われています。この点を見落として賃金だけを議論すると、実際に人が辞めている理由から離れてしまいます。

人間関係トラブルの中身はパワハラ・きつい指導

「人間関係」と一括りにすると対策があいまいになるため、中身を分解します。退職理由を「職場の人間関係に問題があった」とした人のうち、その具体的な内容は「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が49.1%で最も高くなっています(介護労働実態調査、2025年7月公表)。同僚同士の相性の問題というより、指導する側の関わり方が定着を左右していることを示すデータです。

新人や中堅が「指導のたびに萎縮する」状態は、教える側の意図とは別に離職の引き金になり得ます。だからこそ対策は、個人の性格ではなく指導・教育の仕組みに落とし込む必要があります。

満足度データが示す不満の所在

不満がどこに集中しているかは、満足度D.I.(「満足」から「不満足」を差し引いた指標)で確認できます。プラスが大きいのは「職場の人間関係」の+32.4、「仕事の内容・やりがい」の+28.2です。一方でマイナスが大きいのは「人員配置体制」の▲21.3、「休憩室などの付帯設備」の▲15.3、「賃金水準」の▲14.3でした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。

項目 満足度D.I. 符号
職場の人間関係 +32.4 プラス
仕事の内容・やりがい +28.2 プラス
人員配置体制 ▲21.3 マイナス
休憩室などの付帯設備 ▲15.3 マイナス
賃金水準 ▲14.3 マイナス

労働条件等の満足度D.I.。人間関係・仕事内容はプラス、配置・設備・賃金にマイナスが集中する(出所: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」結果の概要を基に作成)

読み取れるのは、人間関係や仕事内容は満たされ得る領域である一方、配置・設備・賃金には構造的な不満が残るという分布です。人間関係が退職理由の上位に来るのは「満たせるはずの領域が悪化したとき」の落差が大きいから、と解釈できます。

給与改善だけでは定着しない理由

賃金を軽視してよいという意味ではありません。現在の仕事の悩み・不安・不満では「人手が足りない」が49.1%で最も高く、「仕事内容のわりに賃金が低い」が35.3%で続きます(介護労働実態調査、2025年7月公表)。賃金は確かに上位の不満ですが、それを上回る不満が「人手不足」である点は見落とせません。

人手が足りないから一人あたりの負担が増え、負担が増えるから関係がぎすぎすし、指導も雑になりやすい――このつながりを断つには、賃金だけでなく人員のやりくりと業務量の両面に手を入れる必要があります。退職理由の最上位は人間関係であり、賃金は要因の一つにとどまるため、対策も人間関係・人手不足・待遇を並行して進めるのが実態に合っています。

離職防止に効果があった対策は何か|データで見る打ち手の優先順位

採用課題は賃金、定着課題は休暇・勤務の柔軟性——目的で打ち手が変わる(出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」を基に作成)

事業所調査で「職場定着に最も効果があった」とされた方策は、有給休暇の取得や勤務日時を変更しやすい職場づくりで34.4%でした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。賃金水準の向上は「採用」で最も効果がある一方、定着では単独の決め手になりにくい結果です。対策は「採用に効くもの」と「定着に効くもの」を分けて考えるのが出発点になります。

職場定着に最も効果があったのは「休暇・勤務の柔軟性」

限られた原資でも着手しやすい打ち手から見ていきます。職場定着・離職防止の方策として実施率が最も高いのは「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」で74.7%、次いで「人間関係が良好な職場づくり」が72.0%です。そして実際に「職場定着に効果があった」とされた方策の最上位も、休暇・勤務変更のしやすさで34.4%でした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。

休暇の取りやすさやシフトの柔軟性は、大きな追加原資がなくても運用の見直しで改善できる領域です。多くの事業所が実施し、かつ効果を実感している点で、優先度の高い着手先といえます。

賃金改善は採用に効くが定着では単独で決まらない

賃金の位置づけを、データに沿って整理します。同じ調査で「採用」に最も効果があった方策は「賃金水準の向上」で36.0%と最上位でした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。賃金は人を集める局面では強い効果を持ちます。一方で「職場定着」の効果最上位は休暇・勤務の柔軟性であり、賃金は定着面では単独の決め手になりにくいという分布です。

この違いは、対策の順番を考えるうえで示唆に富みます。人が集まらない施設は賃金の見直しが効きやすく、入っても辞める施設は休暇・勤務・人間関係の見直しが効きやすい、という切り分けができます。

客観的に見た着手の優先順位

一般論としては「対策は多面的にやるべき」と語られます。ただしデータに沿って評価すると、限られた原資の中では着手の順番に合理性が生まれます。職場定着で最も効果があったのが休暇・勤務の柔軟性(34.4%)で、実施率も最多(74.7%)であること、退職理由の最上位が人間関係(24.7%)であることを踏まえると(介護労働実態調査、2025年7月公表)、まず休暇・勤務の柔軟性と人間関係づくりから着手し、その後に賃金・設備へ広げる進め方が、投じる原資に対して効果を得やすい順序です。読者である施設側の判断基準としては、「自施設は採用と定着のどちらに課題があるか」を先に見極め、採用課題なら賃金、定着課題なら休暇・人間関係を優先軸に置くと、打ち手を選びやすくなります。

対策を効果と着手しやすさで整理すると、次のようになります。

対策 主な効き先 実施率・効果の目安 着手しやすさ
休暇取得・勤務変更のしやすさ 定着 実施率74.7%/定着効果最多34.4% 高(運用見直し中心)
人間関係が良好な職場づくり 定着 実施率72.0%
業務効率化・ICT導入 負担軽減 昼間の負担軽減に効果49.4%
教育・研修の標準化 定着(新人) 指導の質のばらつき抑制
賃金水準の向上 採用 採用効果最多36.0% 低(原資が必要)

対策の効果と着手優先度マップ。定着効果と実施率が高い休暇・勤務の柔軟性が着手先として選びやすい(出所: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」結果の概要を基に作成)

採用と定着では効く方策が異なるため、定着に課題がある施設は休暇・勤務の柔軟性と人間関係づくりを先に、賃金・設備は次段階に置く進め方がデータと整合します。

職場環境と人間関係を整える|今日から着手できる改善策

定着効果と実施率が高い休暇・勤務の柔軟性を軸にした3つの改善策(出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」の対策データを基に作成)

定着に直結しやすいのは、休暇を取りやすくシフトを柔軟にすること、上司・先輩の関わり方を見直すこと、面談で不満を早期に把握することの3点です。いずれも大きな追加原資を必要とせず、運用とマネジメントの見直しで着手できます。前章の優先順位を、現場の具体策に落とし込みます。

休暇を取りやすく勤務を柔軟にする

最初の一歩は、休暇と勤務の柔軟性を仕組みにすることです。前述のとおり、この方策は実施率74.7%・定着効果の最上位34.4%というデータの裏づけがあります(介護労働実態調査、2025年7月公表)。具体的には、有給休暇の計画的取得、希望休の申請ルールの明確化、急な勤務変更に応じられる交代体制の整備などが挙げられます。

制度を作っても「人がいないから休めない」状態では機能しません。休める体制と、休んでも回る業務設計はセットで考える必要があります。

上司・先輩の関わり方とハラスメント対策

次に、指導する側の関わり方を見直します。退職理由の人間関係の中身は、指導のきつさやパワハラが49.1%を占めていました(介護労働実態調査、2025年7月公表)。個人の資質に委ねるのではなく、指導方法の標準化、ハラスメント相談窓口の設置、管理職・指導役への研修といった仕組みで対応するのが現実的です。

指導の言い方一つで新人の定着が左右される場面もあります。「何を、どの順で、どう伝えるか」を教育側で共有できれば、指導のばらつきを抑えられます。

面談・1on1で不満を早期に把握する

不満は、辞意が固まる前に拾えるかどうかが分かれ目になります。満足度D.I.では人員配置体制が▲21.3、賃金水準が▲14.3とマイナスが目立ちました(介護労働実態調査、2025年7月公表)。こうした不満は日常では言語化されにくいため、定期的な面談や1on1で早期に把握する場を設けることが有効です。

面談は実施すること自体が目的ではありません。把握した不満を配置やシフトの調整に反映して初めて、定着への効果につながります。

人を育てて辞めさせない|教育とキャリアの仕組み化

新人が早期に辞めない体制づくりには、教え方の属人化を防ぐ教育・研修の標準化と、将来像を示すキャリアパス・評価の見える化を仕組みとして整えることが要点になります。指導が人によってばらつくと新人が混乱し、定着の妨げになります。育成を個人の力量から仕組みへ移すことが、離職防止の中核になります。

新人が早期に辞めない育成体制

育成でまず整えたいのは、教える内容と順序の共通化です。指導のきつさが退職理由の人間関係の中身の半数近くを占める状況(49.1%、介護労働実態調査、2025年7月公表)を踏まえると、新人がつまずきやすい業務を洗い出し、教える手順をそろえておくことが有効です。誰が教えても同じ基準で伝わる状態にすれば、新人の不安と指導者の負担を同時に下げられます。

動画マニュアルなどで手順を可視化しておくと、口頭説明のばらつきや「前に教えたはず」のすれ違いを減らせます。撮影・編集・配信の進め方や新人が迷いにくい構成のコツは、介護現場向け動画マニュアルの作り方で整理しています。

法定研修・OJTを標準化して属人化を防ぐ

制度面でも、研修の抜け漏れを防ぐ仕組みが求められます。介護施設では虐待防止・感染症対策・BCP(業務継続計画)などの研修が義務化されており、実施と記録の管理は運営上の必須事項です。研修内容や実施状況を一元管理できると、担当者ごとの抜け漏れや準備負担を抑えられます。義務化された研修の詳しい種類と運用は、介護施設の法定研修に関する解説記事もあわせて確認できます。

OJTについても、チェックリストや到達目標を共有しておけば、指導役が変わっても教える水準を保ちやすくなります。

キャリアパスと評価を見える化する

新人の定着だけでなく、中堅の離職を防ぐ視点も欠かせません。仕事の内容・やりがいの満足度D.I.は+28.2とプラスでした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。この前向きな評価を離職防止につなげるには、将来像を示すことが有効です。等級ごとの役割、必要な資格、昇給の目安を明文化し、評価基準を本人に開示することで、「この施設で続ける意味」を可視化できます。

キャリアパスと評価の見える化は、処遇改善加算の要件とも関わります。制度対応と定着施策を切り離さず、一体で設計する視点が求められます。

業務負担を減らす|ICT・記録効率化で「人手不足感」を和らげる

記録や申し送りなどの間接業務は現場の時間を圧迫します。ICT機器・介護ロボットの導入は約半数の事業所が業務負担軽減に効果ありと回答しており、負担軽減は人手不足感の緩和につながります(介護労働実態調査、2025年7月公表)。人を増やしにくい状況では、一人あたりの負担を下げる打ち手が現実的です。

記録・申し送りの間接業務が現場を圧迫する構造

まず、時間がどこに使われているかを見ます。日常的に利用しているICT機器で最も多いのは「利用者情報(ケア記録・ケアプラン等)の入力・保存・転記の機能」で75.4%でした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。裏を返せば、記録と転記はそれだけ多くの施設で日常的に負担となっている業務だといえます。

紙の記録は、転記・検索・共有のたびに時間がかかり、記録漏れや二重入力の一因にもなります。この間接業務を圧縮できれば、その分をケアや休憩、指導の時間に回す余地が生まれます。

ICT・介護ロボットの導入効果

次に、効率化がどれだけ効くかをデータで確認します。ICT機器・介護ロボットの導入効果について、「効果がある」「やや効果がある」の合計は「昼間の業務負担の軽減」で49.4%、「夜間の業務負担の軽減」で44.6%と、いずれも約半数の事業所が効果を実感しています(介護労働実態調査、2025年7月公表)。負担が下がれば、不足感(65.2%)の緩和や休暇の取りやすさにも波及します。

ただしICTは導入すれば自動的に効くものではありません。誰がどの工程を効率化するかという運用設計が伴わなければ、定着せず形骸化する例もあります。記録・申し送り・教育のどの工程に時間がかかっているかを棚卸しし、その工程を一つの画面で扱えるかという軸で手段を評価すると、選定の失敗を避けやすくなります。CareBase(ケアベース)は、介護記録・申し送り・動画マニュアルによる教育を一元化する機能を備えています。

記録・転記の効率化は約半数の事業所で負担軽減に効いており、負担を下げることが人手不足感の緩和と休暇の取りやすさにつながります。

外国人職員の定着には多言語・視覚的な教育が鍵

人材確保の選択肢として、外国人職員の受け入れも広がりつつあります。外国籍労働者を受け入れている事業所は15.8%で、前年度から2.4ポイント上昇しました(介護労働実態調査、2025年7月公表)。一方で受け入れの課題の最上位は「利用者や他の従業員との意思疎通(日本語能力及びコミュニケーション)が難しい」で36.5%です。定着の前提として、言葉の壁を下げる教育体制が欠かせません。

動画や図解を使った視覚的なマニュアル、多言語での手順共有は、意思疎通の負担を下げる具体策になります。外国人職員の定着に絞った実践手順は、外国人介護スタッフの定着に関する解説記事で詳しく確認できます。

処遇と制度を活用して原資を確保する

処遇改善や生産性向上を後押しする加算は、限られた原資の中で待遇・体制を整える支えになります。2024年度(令和6年度)の介護報酬改定で加算は整理されており、要件を満たすことで賃金・体制づくりの原資を確保しやすくなります。制度の適用可否は施設の状況によって異なるため、詳細は所管の窓口で確認するのが確実です。

処遇改善加算・生産性向上推進体制加算の位置づけ

賃金の底上げは、加算の活用と組み合わせて考えると現実的です。採用では賃金水準の向上が最も効果のある方策(36.0%、介護労働実態調査、2025年7月公表)である一方、原資の確保が課題になります。処遇改善加算は職員の賃金改善に、生産性向上推進体制加算はICT活用などによる業務改善に対応する加算として、2024年度改定で位置づけられています。これらは前章までの「業務効率化」「教育の標準化」とも接続します。

なお、加算の要件・区分は年度や施設類型で変わり、個別の適用判断は制度に沿った確認が必要です。補助金・助成金を使った設備・ICT導入の詳細(補助率・申請手順・自治体別の制度)は、介護ソフトの補助金に関する解説記事にまとめています。本記事では制度の位置づけの紹介にとどめ、個別事情は所管自治体・専門職へ確認することをおすすめします。

記録・申し送り・教育を一体化して定着を支えるなら CareBase(ケアベース)

記録・申し送り・動画マニュアルによる教育を一つの画面で扱えると、間接業務の削減と教育の標準化を同時に進められます。ここまで見てきたとおり、離職防止では休暇・勤務の柔軟性、人間関係、教育の標準化、業務効率化が要点になります。手段を選ぶ際は「記録・申し送り・教育が一元化できるか」を軸に評価すると、負担軽減と定着施策を結びつけやすくなります。

CareBase(ケアベース)は、介護記録・申し送り・教育(動画マニュアル)をクラウドで一元化し、外国人スタッフ向けの多言語・視覚的マニュアルにも対応するサービスです。記録・転記の間接業務が多くの施設で負担になっている状況(利用機能の最多は記録・転記の75.4%、介護労働実態調査、2025年7月公表)に対し、記録から教育までを一画面で扱えるかという評価軸では、機能が分散したツールより一元化型のほうが転記の手間や情報共有の漏れを減らしやすい構造です。導入の可否は自施設の課題との突き合わせで判断するのが確実です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 介護職の離職率は今どのくらいですか?

訪問介護員と介護職員を合わせた2職種計の離職率は12.4%で、2年連続の低下です(介護労働実態調査、2025年7月公表)。参考として全産業の離職率は15.4%(令和5年・雇用動向調査)で、介護が突出して高いわけではありません。ただし事業所の不足感は65.2%と上昇しており、率の低下と現場の負担感は別に見る必要があります。

Q2. 介護職が辞める一番の理由は何ですか?

前職の介護の仕事を辞めた理由の最上位は「職場の人間関係に問題があったため」で24.7%です(介護労働実態調査、2025年7月公表)。その具体的な内容は、上司・先輩の指導のきつさやパワーハラスメントが49.1%を占めます。賃金への不満も上位ですが、単独の最大要因ではない点が特徴です。

Q3. 離職防止で最初に取り組むべきことは何ですか?

データ上、職場定着に最も効果があった方策は「休暇の取得や勤務日時を変更しやすい職場づくり」で34.4%、実施率も74.7%で最多です(介護労働実態調査、2025年7月公表)。大きな追加原資がなくても着手しやすいため、まず休暇・勤務の柔軟性と人間関係づくりから始めるのが取り組みやすい順序です。

Q4. 給与を上げないと離職は防げないのですか?

賃金は要因の一つですが、単独の決め手ではありません。賃金水準の向上は「採用」で最も効果がある方策(36.0%)である一方、「職場定着」の効果最上位は休暇・勤務の柔軟性でした(介護労働実態調査、2025年7月公表)。採用に課題がある施設は賃金、定着に課題がある施設は休暇・人間関係を優先軸にするのが実態に合います。

Q5. ICTの導入は離職防止に役立ちますか?

記録・申し送りなどの間接業務の負担軽減を通じて、間接的に役立ち得ます。ICT機器・介護ロボットの導入効果は「昼間の業務負担の軽減」で49.4%、「夜間」で44.6%が効果ありと回答しています(介護労働実態調査、2025年7月公表)。ただし運用設計が伴わないと定着しないため、効率化する工程を明確にして導入することが前提になります。

まとめ

介護職の離職率は12.4%と低下傾向にある一方、事業所の不足感は65.2%へ上昇しています。退職理由の最上位は「職場の人間関係」で、その中身は指導のきつさやパワハラであり、賃金は要因の一つにとどまります。データ上、職場定着に最も効果があったのは休暇・勤務の柔軟性でした。まず休暇・勤務の柔軟性と人間関係づくりから着手し、教育の標準化・業務効率化を重ね、賃金・設備を次段階に置く進め方が、限られた原資に対して効果を得やすい順序です。自施設の課題が採用と定着のどちらにあるかを見極めることが、次の一手を選ぶ出発点になります。

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