carebase(ケアベース)コラム

2026.7.31

執筆者:川﨑翔太

介護記録の保管期間は2年?5年?書類種別・起算日・電子保存を解説

訪問先でバインダーに介護記録を書き込む介護スタッフ(介護記録の作成・保管期間管理のイメージ)

監修者プロフィール

  • 監修者名:川﨑翔太
  • 現職:介護支援専門員
  • 経験年数:介護業界17年(現場7年・介護支援専門員10年)
  • 保有資格
    • 介護福祉士
    • 介護支援専門員
    • 福祉住環境コーディネーター2級
    • 福祉用具専門相談員
  • 専門分野
    現役のケアマネジャーとして在宅高齢者のケアマネジメント業務に従事。3年前より介護・健康ジャンルを中心にWEBライターとして活動開始。これまでに介護施設の選び方・介護ICT・介護職員の働き方など多数の記事の執筆を経験。
  • 経歴概要
    介護福祉士として医療機関・介護付き有料老人ホームでの介護現場に従事。ケアマネ資格取得後、地域密着型特養のケアマネジャーを経験し、現在は居宅介護支援事業所ケアマネジャーとして在宅で生活する要介護高齢者のケアマネジメントに携わる。

介護記録の保管期間は、国の運営基準では「その完結の日から2年」、多くの自治体は条例で5年に延長しています。「2年で処分してよいのか、5年残すべきか」は書類種別と所在市町村の条例で変わります。この記事では、書類種別ごとの保管期間を早見表で示し、起算日の考え方、そしてe-文書法に基づく電子保存の要件までを厚生労働省・自治体の公式情報をもとに整理します。

介護記録の保管期間は何年?【結論と書類種別の早見表】

書類は3系統で保管年数が異なる。介護記録本体は国基準2年・多くの自治体は条例で5年、請求書類5年、税務書類7年(出典: 厚生労働省 省令第37号・東大阪市条例を基に作成、2026年7月時点)

介護記録の保管期間は、国の運営基準で「その完結の日から2年」、多くの自治体は条例で5年です(厚生労働省 省令第37号、2026年7月時点)。「全国一律5年」ではなく、事業所の所在市町村の条例で年数が変わる点が判断の起点になります。

国の運営基準は「その完結の日から2年」

指定居宅サービス等の運営基準を定める省令(平成11年厚生省令第37号ほか)は、サービス提供に関する記録を「その完結の日から二年間保存しなければならない」と定めています。たとえば訪問介護は第39条、訪問看護は第73条の2に同じ規定が置かれています(厚生労働省 省令第37号、2026年7月時点)。

ここで見落とされやすいのが起算日です。数え始めるのは記録の「作成日」ではなく「その完結の日から」で、契約終了やサービス提供の完了、事故対応の終結など、その記録が一連の対応として区切りを迎えた日が起点になります。作成日で2年を数えて早めに処分すると、実際にはまだ保存義務期間内という食い違いが起こり得ます。

多くの自治体は条例で「5年」/請求書類は5年が一般的

2012年の地方分権一括法により、運営基準は市町村の条例で定める事項になりました。これを受けて、多くの自治体が記録の保存期間を条例で5年に延長しています。たとえば東大阪市は、国基準の「その完結の日から2年間」を「サービスを提供した日から5年間」等に変更し、条例施行時にすでに保存している文書にも5年を適用する旨を明記しています(東大阪市 介護保険事業の運営等に関する条例、2026年7月時点)。川崎市も、厚生労働省令は2年だが川崎市では5年とすることを示しています(川崎市 記録の整備・保存、2026年7月時点)。

介護給付費請求関係書類(国保連への請求控えなど)は、過誤調整や返還請求の実務に備えて5年保存が一般的です。つまり、国基準だけを見て2年で処分すると、条例や請求実務の観点で不足する余地が残ります。

書類種別ごとの保管期間 早見表

書類種別ごとに、保管期間(国基準/条例)・起算日・根拠を1枚に整理すると、自事業所の運用に落とし込みやすくなります。次の早見表は、運営基準省令と自治体条例、請求・税務の各根拠を突き合わせたものです。

書類種別 保管期間 起算日 根拠
ケアプラン(居宅/施設サービス計画) 国基準2年/条例で5年 その完結の日から 運営基準省令 記録の整備+市町村条例
モニタリング記録 国基準2年/条例で5年 その完結の日から 運営基準省令 記録の整備+市町村条例
サービス提供記録(介護記録本体) 国基準2年/条例で5年 その完結の日から 運営基準省令 記録の整備
事故報告書 国基準2年/条例で5年 その完結の日から 運営基準省令 記録の整備
苦情記録 国基準2年/条例で5年 その完結の日から 運営基準省令 記録の整備
身体拘束等の記録 国基準2年/条例で5年 その完結の日から 運営基準省令 記録の整備
市町村への通知に係る記録 国基準2年/条例で5年 その完結の日から 運営基準省令 記録の整備
介護給付費請求関係書類(国保連控え等) 5年が一般的 サービス提供(請求)月等 過誤調整・返還実務(地方自治法236条)
会計・税務書類(請求書・領収書等) 7年 事業年度末等 法人税法(電子保存は電子帳簿保存法の対象)

データ出典: 厚生労働省 省令第37号・東大阪市条例(2026年7月時点)を基に作成。

会計・税務書類の7年は法人税法にもとづく別系統で、介護記録本体の保存期間とは根拠が異なります。介護記録・請求書類・税務書類は「別々のルールで動く3系統」と捉えると、混同を避けられます。

保管年数とあわせて確認しておきたいのが、改ざん防止と証拠性の確保の観点からコピーではなく原本で残すことが望ましい書類です。原本での保管が求められる主な書類は次のとおりです。

  • 契約書・同意書
  • ケアプラン
  • アセスメントシート
  • モニタリング記録
  • サービス提供記録
  • 日報・介護記録
  • 医師からの指示書
  • 事故・苦情報告書

要点: 介護記録本体は国基準2年・多くの自治体は条例で5年、請求書類は5年、税務書類は7年です。国基準の2年だけで処分せず、まず所在市町村の条例を確認するのが実務上の安全策になります。

介護記録に求められる法的要件とは

運営基準省令が求める主な記載事項6項目と、特養・デイ・訪問介護などサービス種別ごとの記録の違い(出典: 厚生労働省 運営基準省令を基に作成)

介護記録は、介護保険法や運営基準省令で記載事項が定められた業務であり、記録の不備は実地指導での指摘対象になります。まず、種別を問わず共通して押さえるべき基本要件を整理します。

省令で求められる主な記載事項

運営基準省令は、サービス提供の事実を後から検証できるよう、記録に一定の項目を求めています。主な記載事項は次のとおりです。

  • 利用者の氏名
  • サービス内容
  • サービス提供の日時
  • 実施者の氏名
  • サービスによる評価や状態の変化
  • ケアプランとの整合性

これらが欠けたり時系列が乱れたりすると、サービス提供の根拠を示せず、実地指導での指摘につながります。日々の記録の書き方や文例をさらに詳しく確認したい場合は、介護記録の5W1Hと文例ケース記録の書き方もあわせて参照すると具体化しやすくなります。

サービス種別(特養・デイ・訪問介護など)ごとの違い

同じ「介護記録」でも、求められる記録の種類や内容はサービス種別で異なります。代表的な違いは次のとおりです。

  • 特別養護老人ホーム:日々の健康状態・生活状況の記録
  • デイサービス:日々の利用状況、入浴や機能訓練の記録
  • 訪問介護:自宅での生活支援の内容

このため保管の対象になる帳票も種別ごとに変わります。自事業所の運営基準に沿って、どの記録を何年残すかを種別単位で決めておくと、保管漏れを防げます。

保管期間はなぜ「2年」と「5年」に分かれるのか

国基準の2年は下限(床)、多くの自治体は条例で5年に延長。背景には地方自治法236条が定める金銭債権の時効5年がある(出典: 厚生労働省 省令第37号・東大阪市条例・地方自治法236条を基に作成、2026年7月時点)

保管期間が2年と5年に分かれるのは、国の運営基準(2年)と、自治体が条例で上乗せする延長(5年)という二層構造があるためです。5年の背景には、介護報酬の過誤調整・返還請求に記録を備えておく必要があります。

国基準2年の根拠(運営基準省令・起算日は完結の日から)

国の運営基準省令は、記録の整備義務として「その完結の日から二年間保存」を全国共通の下限に置いています(厚生労働省 省令第37号、2026年7月時点)。これは「最低でも2年は残す」という床であり、上限を定めたものではありません。だからこそ、自治体が条例でこれより長い期間を求めることが可能になっています。

現場で迷いやすいのは「何をもって完結とみなすか」です。サービス種別ごとに、区切りの目安は次のように整理できます。

  • 訪問介護やデイサービスなど継続利用のサービス:利用契約が終了した日(退所・契約解除・利用者の逝去など)を一連の記録の完結とみなす運用が一般的
  • 事故報告書:事故対応が完了した日
  • 苦情記録:苦情対応が終結した日
  • 日々の記録:その利用者との一連の関わりが終わった時点

この起点で数えると、帳票間で保存期間の食い違いが起きにくくなります。判断に迷う場合は、指定権者へ確認して運用基準を文書に残しておくと安全です。

自治体条例で5年に延長される仕組み(地方自治法236条・過誤調整)

多くの自治体が5年を採用するのは、介護報酬の過誤調整や返還請求が後から発生し得るためです。金銭債権の消滅時効を定める地方自治法第236条は、この種の債権の時効を5年としています。記録が2年で失われていると、5年目に返還請求や過誤の確認が生じたときに事業所側が事実を示せず、不利になります。記録の保存期間を返還請求の時効に合わせて5年へそろえておく、という発想です(東大阪市条例、2026年7月時点)。

このため、国基準の2年で処分するのは、条例で5年を求める自治体では基準違反になり得ます。年数の判断は「国基準か条例か」ではなく「自事業所の所在市町村の条例に合わせる」が正しい順序になります。

自分の事業所は何年?所在市町村の条例の確認方法

自事業所が2年か5年かは、指定権者である市町村(または都道府県)の運営基準条例で確認します。次の順で調べると迷いにくくなります。

  1. 所在市町村(政令市・中核市は市、それ以外は都道府県が指定権者の場合あり)の名称と「介護保険」「運営基準」「条例」で検索し、運営基準条例のページを開く
  2. 条例本文または解説の「記録の整備」「記録の保存」の条項を確認し、保存期間(2年か5年か)と起算日(完結の日から/サービスを提供した日から)を読む
  3. 集団指導資料やQ&Aで、既存文書への遡及適用の有無を確認する
  4. 判断に迷う場合は指定権者の介護保険担当課へ問い合わせ、書面やメールで回答を残す

条例は改正されることがあるため、最新の条文で確認し、根拠ページを控えておくと、実地指導の際にも説明の裏づけになります。

実地指導で見られる「記録の不備」とリスク

記録の遅れ・抜け漏れ・根拠のない記載は、実地指導で最も指摘されやすい項目です。整合性と時系列が保たれていないと、サービス提供の事実を示せず、返戻や過誤調整につながります。

よくある不備(コピー&ペースト・日付誤り・未署名)

実地指導で疑われやすいのは、記録の「真正性」を損なう次のような不備です。

  • 前日の記録の使い回し(コピー&ペーストで内容が同一)
  • 提供開始・終了時間の未記載や日付の誤り
  • 署名・実施者名の欠落
  • 同じ事象が帳票ごとに違う表記になっている

「異常なし」だけの抽象的な記載も、根拠が不十分と判断されやすい典型です。誰が・いつ・何をしたかを具体的に、時系列で残すことが、指摘を避ける基本になります。

不備がある場合の行政リスク(改善指導・返戻・過誤調整)

記録に不備があると、まず改善指導の対象になり、是正されなければ介護報酬の返戻や過誤調整に進みます。虚偽記録や重大な不備が続く場合は、指定の効力停止や取消しといった重い処分に至ることもあります。記録の正確性を保つことは、事業所の信用と事業継続を守る前提だといえます。実地指導の具体的な確認項目や事前準備は、実地指導チェックリスト運営指導対策ガイドで詳しく整理しています。

介護記録を電子保存(電子化)する場合の要件と注意点

介護記録の電子保存の根拠はe-文書法(電子帳簿保存法は税務書類のみ)。真正性・見読性・保存性の3基準を満たすことが条件(出典: e-文書法・厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを基に作成)

介護記録を電子保存する法的根拠はe-文書法であり、電子帳簿保存法ではありません。e-文書法と厚生労働省のガイドラインが求める真正性・見読性・保存性の3基準を満たすことが、電子記録を有効に扱う条件になります。

電子保存の法的根拠は「e-文書法」(電子帳簿保存法ではない)

介護記録(ケアプランやサービス提供記録など)を電子的に保存する根拠は、e-文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)と、これを受けた厚生労働省の省令・ガイドラインです(厚生労働省 e-文書法対応の概要、2026年7月時点)。

一方、電子帳簿保存法が対象とするのは、総勘定元帳や請求書・領収書などの国税関係帳簿・書類です。介護事業所でも電子帳簿保存法が関わるのは税務会計の書類のみで、介護記録本体の保存根拠にはなりません。両者を混同すると、必要な要件を取り違える原因になります。介護記録の電子化はe-文書法、税務書類の電子化は電子帳簿保存法、と分けて理解しておくと整理しやすくなります。

満たすべき3基準:真正性・見読性・保存性

e-文書法と厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、電子的に保存する記録に3つの基準を求めています(厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、2026年7月時点)。

  • 真正性:作成者や作成の責任が明確で、あとから改ざんされていないこと(入力・修正の履歴が残る)
  • 見読性:必要なときに画面や書面で明瞭に表示・出力できること
  • 保存性:保存期間中、記録が消失や劣化なく保たれること

この3基準は、電子帳簿保存法の要件とは別に、介護記録の電子保存で満たすべき軸になります。

改ざん防止・アクセス権限管理・バックアップ

3基準を実際の運用に落とすと、次の管理が必要になります。

  • アクセス権限管理:職種や役割ごとに閲覧・編集範囲を制限する(真正性の担保)
  • 改ざん防止:修正すると自動で履歴が残る仕組みを備える(真正性の担保)
  • バックアップ:クラウド保存や外部メディアへの二重保存など、複数手段で用意する(保存性の担保)

災害やシステム障害でも記録が失われない多重化が、事業継続と法令遵守の両立につながります。

なお、電子化しても実地指導では書面提出を求められる場合があり、必要な記録をすぐ印刷して提示できる体制も見読性の一部として求められます。電子で保存しつつ紙でも提示できる状態を保っておくと、指導時の対応がスムーズになります。

保管期間を過ぎた記録の廃棄と個人情報の取り扱い

保存義務の期間が過ぎたあとも、介護記録は要配慮個人情報を含むため、個人情報保護法上の安全な廃棄が必要です。紙はシュレッダーや溶解・焼却で復元できない状態にし、電子データは復元不能な方法で消去します。専門業者へ委託する場合は、委託先を監督し、廃棄証明を受け取って保管しておくと安全です(厚生労働省 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス、令和8年4月施行・2026年7月時点)。廃棄フェーズの個人情報の取り扱いは、介護施設の個人情報保護と記録管理でさらに詳しく整理しています。

なお、電子化にあたっては国や自治体の補助金・助成金を活用できる場合があります。制度の種類や申請手順は介護ソフト導入に使える補助金まとめを確認してください。

紙保管を続けるか、電子保存へ移行するかの判断

紙のまま続けるか電子保存へ移行するかは、保管年数・書類量・提示頻度・改ざん耐性の要件で判断できます。次の観点で自事業所の状況を確認すると、どちらが適するかを整理しやすくなります。

確認する条件 紙保管を続けやすいケース 電子保存を検討したいケース
保管年数(条例で5年か) 保管量が少なく2年で完結 条例で5年・書類が累積する
書類量・保管スペース キャビネットに収まる 保管スペースが不足しつつある
実地指導での提示頻度 提示機会が少ない すぐに検索・提示したい
改ざん耐性・履歴の要件 原本管理で足りる 修正履歴を残したい
一部だけ紙が残る運用 全書類を紙で統一 事故報告書などだけ紙が残り二度手間

データ出典: e-文書法の3基準(真正性・見読性・保存性)と現場の保管条件を基に作成。

電子保存へ移行すると決めた場合は、前述の3基準(真正性・見読性・保存性)を満たせる運用・ツールかどうかが選定の軸になります。事故報告書やヒヤリハットだけ紙が残り、紙からスキャンして入力し直す二度手間が発生していると、電子化の効果が半減します。どの記録まで電子で完結できるかを事前に確認しておくと、中途半端な電子化を避けられます。

要点: 介護記録の電子保存の根拠はe-文書法で、真正性・見読性・保存性の3基準を満たすことが条件です。電子帳簿保存法は税務書類のみに関わるため、混同せずに要件を整理することが正確な運用につながります。

介護記録の保管・電子化を進めるならCareBase(ケアベース)

介護記録の保管期間の遵守と電子保存の3基準を、紙運用や自前の仕組みだけで満たし続けるのは負担が大きくなりがちです。CareBase(ケアベース)は、記録・申し送り・教育を一元化するクラウド型の業務支援ツールで、法令要件の充足を運用に組み込みたい施設の選択肢の一つになります。

検索性・転記不要化(見読性の担保)

CareBase(ケアベース)では、紙の記録で発生していた「探す」「書き写す」作業を減らせます。記録は項目ごとに整理され、必要な情報を短時間で検索でき、バイタルや利用者情報は各帳票へ自動反映されます。重複入力や転記ミスを防ぎながら、必要なときに明瞭に表示・出力できる状態、すなわち見読性を運用に取り込めます。

改ざんを防ぐログ管理(真正性の担保)

入力・修正の履歴はタイムスタンプ付きで自動的に記録されます。誰が・いつ・どの情報を編集したかが残るため、意図しない書き換えや記録の混在を防ぎ、真正性を保ちやすくなります。追跡できる履歴が残ることで、実地指導の際にも提示・説明がしやすくなります。

保管スペース削減・リアルタイム共有(保存性と事故防止)

記録を電子化すると、紙の保管スペースの負担を抑えつつ、バックアップによる保存性を確保できます。入力した記録はリアルタイムで職員に共有されるため、申し送りの伝達漏れを防ぎ、急な状態変化にも対応しやすくなります。安全なケア体制を支える情報共有の基盤として機能します。

施設が守るべき「記録ルール」と職員教育のポイント

保管期間や電子保存の要件を満たすには、個々の職員任せにせず、施設として統一した記録ルールと教育・チェック体制を整えることが欠かせません。ルールの標準化と点検の仕組みが、実地指導への対応力を安定させます。

記録の標準化(文体・時間表記・略語の統一)

文体・時間表記・略語を施設内で統一し、マニュアル化しておくと、新人や派遣職員でも迷わず同じ基準で記録できます。誰が書いても表記がそろうことで、実地指導や監査での確認がしやすくなり、記録の整合性も保ちやすくなります。標準化は、保管した記録を後から検証可能な状態にしておく前提でもあります。

研修・OJTで記録の質をそろえる

記録の質を高めるには、研修やOJT(現場での実務指導)で基礎から学ぶ機会が有効です。記録の目的、時系列で整理する書き方、実地指導で見られる観点を、具体例とあわせて示すと、新人や派遣職員も理解しやすくなります。とくに保管期間や起算日の考え方は、日々の記録が後から検証されることを前提に伝えると、記録に対する意識が高まります。継続的な教育は、法令遵守と実地指導への適切な対応の土台になります。

管理者が整えるチェック体制

管理者は、記録漏れや誤記を早期に発見する二重チェックや、定期的な内部点検の仕組みを設けることが必要です。整合性や時系列の確認をルール化しておくと、職員全体の記録の質が安定します。こうした体制は、保管期間の管理(どの記録を何年残すか)とあわせて運用することで、実地指導での指摘リスクを下げることにつながります。

よくある質問(FAQ)

介護記録の保管期間は2年ですか、5年ですか?

国の運営基準では「その完結の日から2年」ですが、多くの自治体は条例で5年に延長しています(厚生労働省 省令第37号、2026年7月時点)。実務では、国基準の2年ではなく、所在市町村の条例で定める年数に合わせて保管します。「全国一律5年」ではないため、まず自事業所の条例を確認してください。

保管期間はいつから数えますか(起算日)?

数え始めるのは記録の作成日ではなく「その完結の日から」です。契約終了やサービス提供の完了、事故対応の終結など、その記録が一連の対応として区切りを迎えた日が起点になります。作成日で数えると、実際の保存義務期間より早く処分してしまう恐れがあります。

電子データだけで保管してよいですか?

e-文書法と厚生労働省のガイドラインが求める真正性・見読性・保存性の3基準を満たせば、電子データでの保管が可能です(厚生労働省 e-文書法対応の概要、2026年7月時点)。ただし実地指導で書面提出を求められる場合があるため、必要な記録をすぐ印刷して提示できる体制も整えておくと安全です。

保管期間を過ぎた記録は破棄してよいですか?

保存義務の期間を過ぎれば破棄できますが、介護記録は要配慮個人情報を含むため、復元できない安全な方法で廃棄する必要があります。紙は溶解やシュレッダー、電子データは復元不能な消去を行い、業者委託の場合は廃棄証明を受け取って保管します(厚生労働省 個人情報ガイダンス、令和8年4月施行・2026年7月時点)。

電子帳簿保存法は介護記録に関係ありますか?

介護記録本体には関係しません。電子帳簿保存法が対象とするのは、請求書・領収書・帳簿などの国税関係書類です。介護記録の電子保存の根拠はe-文書法であり、両者を分けて理解することが正確な運用につながります。

まとめ

介護記録の保管期間は、国の運営基準で「その完結の日から2年」、多くの自治体は条例で5年です。まず所在市町村の条例を確認し、書類種別ごとに保管年数と起算日を管理することが、実地指導対策とトラブル防止の基本になります。電子保存を進める場合は、根拠がe-文書法であることを踏まえ、真正性・見読性・保存性の3基準を満たせる運用を選びます。あわせて、保管期間経過後の安全な廃棄や、統一した記録ルールと教育・チェック体制まで整えておくと、記録の管理を法令に沿って安定させられます。

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