carebase(ケアベース)コラム

2026.7.28

【2026年版】介護テクノロジー導入支援事業とは|補助率と申請の流れ

導入する機器の書類を担当者と確認する施設スタッフ(介護テクノロジー導入支援事業の申請・相談のイメージ)

介護テクノロジー導入支援事業は、介護ロボットやICT機器の導入費用を都道府県が補助する制度です。令和6年度に「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」が統合された事業で、一定の要件を満たせば補助率は4分の3を下限に設定されます。対象になる機器や補助率から申請の流れまで、自施設で活用できるかを判断するための点を順に整理していきます。

介護テクノロジー導入支援事業とは|制度の全体像

都道府県主体・旧2事業統合・目的の3点で制度の全体像を整理(出典: 厚生労働省 実施要綱を基に作成)

介護テクノロジー導入支援事業は、都道府県が実施主体となり、介護事業所が介護ロボットやICTを導入する費用の一部を補助する制度です(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。地域医療介護総合確保基金を財源に、令和6年度から従来の2事業を統合して再編されました。

介護分野では、サービス需要が高まる一方で生産年齢人口が減っていくことが見込まれています。限られた人員で同じ業務量をこなす必要が高まるため、記録や申し送りといった間接業務をテクノロジーで効率化し、生まれた時間を直接的なケアへ振り向ける「生産性向上」が政策の柱になっています。

事業の目的は負担軽減と人材確保

事業の目的は、介護テクノロジーの導入によって介護従事者の身体的負担や業務負担を軽くし、働きやすい職場環境を整えて人材の確保につなげることです。厚生労働省の実施要綱では、身体的負担の軽減や業務の効率化を「介護従事者が継続して就労するための環境整備」と位置づけています(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。

導入は目的ではなく手段です。記録・申し送り・請求のどの工程に時間がかかっているかを先に把握し、その工程を効率化できる機器やソフトかどうかで選ぶほうが、投資に対する効果を得やすくなります。まずは自施設の業務のどこに負担が集中しているかを洗い出すことが出発点になります。ICT導入で現場の業務が具体的にどう変わるかを俯瞰したい場合は、別記事介護ICTの導入メリットと進め方で整理しています。

実施主体は都道府県|申請窓口も都道府県

実施主体は都道府県です。国が実施要綱で全国共通の枠組みを示し、その枠内で各都道府県が補助率や上限額、公募スケジュールを設定して事業を運営します。そのため、申請先は国ではなく、施設が所在する都道府県の担当窓口になります。

制度が「都道府県主体」であることは、実務上とても重要です。補助率や補助上限、申請の締切は都道府県ごとに異なります。国の枠組みだけを見て計画を立てると、実際の県の要領と食い違うことがあります。全国共通の考え方を押さえたうえで、最終的には所管都道府県の公募要領を確認する二段構えが必要になります。

令和6年度に旧2事業を統合して再編

介護テクノロジー導入支援事業は、それまで別々に運用されていた「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」を令和6年度に統合し、発展的に見直した事業です。ロボットとICTを一体の「介護テクノロジー」として扱い、両方を組み合わせて導入する「パッケージ型導入」の考え方が明確になった点が特徴です。

都道府県によっては、この事業を「介護テクノロジー定着支援事業」といった名称で実装している例もあります。名称が異なっても、根拠となる国の枠組みは同じ介護テクノロジー導入支援事業です。過去に介護ロボット導入支援事業やICT導入支援事業を利用したことがある施設は、再編後の位置づけを次の章で確認しておくと混乱を避けられます。

介護報酬の生産性向上との関係

本事業は、介護報酬側の動きと連動しています。令和6年度の介護報酬改定では、生産性向上に取り組む施設を評価する「生産性向上推進体制加算」が新設されました。テクノロジー導入と業務改善の取り組みを、補助(初期費用の支援)と加算(運営中の評価)の両面から後押しする構図です。

補助は導入時の費用負担を下げる仕組み、加算は導入後の継続的な取り組みを報酬で評価する仕組みで、役割が異なります。両方を視野に入れると、初期費用を抑えつつ、導入後の運用まで見据えた計画を立てやすくなります。加算の要件や算定可否は施設の状況で変わるため、詳細は所管の都道府県窓口や介護報酬の告示で確認します。

補助対象になる介護テクノロジーの3区分と対象機器

補助対象は「介護ロボット」「ICT」「パッケージ型導入」の3区分に整理されます。介護記録ソフトやタブレット、見守りセンサー、移乗支援ロボットなどが対象で、通信環境の整備費や保守費も含まれます(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。ただし通信費など一部は対象外です。

対象になる事業所は幅広く、介護保険法に基づくサービスを提供するすべてのサービス事業所(訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を含む)と、老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホームが含まれます。自施設のサービス種別が対象に入るかは、まずこの範囲で確認できます。

介護ロボット|重点分野の機器が対象

介護ロボットは、経済産業省と厚生労働省が定める「介護テクノロジー利用の重点分野」に該当し、介護従事者の負担軽減効果があるものが対象です。移乗支援・移動支援・排泄支援・見守りやコミュニケーション支援・入浴支援・介護業務支援といった分野の機器が該当します。

対象になるには、目的要件(重点分野への該当と負担軽減効果)、技術的要件(センサー等で状況を認識し、解析し、動作するロボット技術など)、市場的要件(販売価格が公表され一般に購入できる状態)の3つを満たす必要があります。研究開発段階の試作品ではなく、市販されている製品が前提です。

なお、重点分野は制度の見直しに合わせて更新されています。従来の分野に加えて対象が整理され、令和7年4月以降に適用される区分へ改訂されています(厚生労働省、2026年7月時点)。導入を検討する機器がその時点の重点分野に該当するかは、最新の一覧で確認するのが確実です。

ICT|介護ソフト・タブレット・通信環境・保守費

ICTの区分では、介護ソフトを中心に幅広い経費が対象になります。実施要綱では、次のような経費が挙げられています。

ICTの対象経費 具体例
介護ソフト等 記録・情報共有・請求業務を一気通貫で行い、転記が発生しないソフト
タブレット情報端末等 記録用タブレット、職員間の情報共有・移動負担軽減のためのインカム
通信環境機器等 Wi-Fiルーターなど環境整備に必要な機器(通信費は対象外)
保守経費等 クラウドサービス、保守・サポート費、セキュリティ対策
その他 勤怠管理・シフト作成・人事・給与等のバックオフィスソフト、電子サイン、AI活用のケアプラン原案作成支援ソフト

介護ソフトの月額利用料やリース費、保守・サポート費も対象に含まれます。一方で、持ち運びを前提にしない据置きのパソコンやプリンター、通信費そのものは対象外です。対象と対象外の線引きは細かいため、機器ごとに都道府県の要領で確認するのが確実です。

介護ソフトについては、記録・情報共有・請求を一気通貫で行い、転記が発生しないことが要件として重視されます。二重入力や紙からの書き写しが残る運用では、要件を満たしにくくなります。導入前に、いまの業務でどこに転記が発生しているかを確認しておくと、対象になる製品を選びやすくなります。電子化のメリット・費用に加えて法的要件まで押さえておくと判断を誤りにくくなるため、介護記録の電子化(メリット・費用・法的要件)もあわせて検討するとよいでしょう。

補助対象にならない経費・機器

補助を受けられない経費もあります。実施要綱では、持ち運びを前提にしない据置きのパソコンやプリンター、通信費そのものは対象外とされています(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。タブレット端末等を導入する場合も、介護ソフトをインストールして業務にのみ使用することが条件とされています。

また、事業所が独自開発する介護ソフトの開発費に補助を充てることは認められていません。補助対象は、企業が保証する市販の製品や、それを要件に対応させるための改修が中心です。すでに導入済みの機器も原則として対象外で、新規導入が前提になります。何が対象で何が対象外かは細かく分かれるため、見積もりの段階で費目ごとに都道府県の要領と照らし合わせておくと、申請後の減額や対象外の指摘を避けられます。

パッケージ型導入|複数のテクノロジーを組み合わせる

パッケージ型導入は、介護ロボットとICTなど複数のテクノロジーを組み合わせて導入する類型です。単体の機器だけでなく、見守りセンサー・インカム・記録ソフトをまとめて導入し、施設全体の業務フローを見直すような取り組みを想定しています。

単体導入は投資額を抑えて特定の課題に対処しやすい一方、パッケージ型は複数の工程をまとめて効率化でき、後述する補助上限も高く設定される傾向があります。どの区分が自施設に合うかは、解決したい課題が単一工程か、業務全体かによって変わります。

補助率と補助上限額はいくら?要件で変わる仕組み

補助額は「実支出額×補助率」と基準額の少ない方に決まる仕組みを計算例で図解(出典: 厚生労働省 実施要綱を基に作成)

補助率は、要件を満たす場合が4分の3を下限、満たさない場合が2分の1を下限として、各都道府県が設定します(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。補助額は「対象経費の実支出額×補助率」と、区分ごとの基準額を比べて、少ない方の金額になります。

「最大3分の4」「最大250万円」という表現をよく見かけますが、これは要件を満たしたうえで基準額に達した場合の上限です。要件を満たせなければ補助率は2分の1が下限になり、実額も基準額の範囲内に収まります。実際にいくら補助されるかは、機器の区分・要件の充足・職員数によって変わります。

介護ロボットの補助率と基準額

介護ロボットの補助率と基準額は、実施要綱の表1・表2に定められています。

区分 補助率(下限)
要件を満たす場合(入所・泊まり・居住系は3つの要件、その他は2つの要件を充足) 4分の3を下限に都道府県が設定
上記以外 2分の1を下限に都道府県が設定
介護ロボットの種類 基準額
移乗支援(装着型・非装着型)・入浴支援 100万円
上記以外の介護ロボット 30万円

移乗支援と入浴支援は身体的負担が大きい業務のため、基準額が100万円と高めに設定されています。それ以外のロボットは30万円が基準額です。1回あたりの導入台数の上限は、都道府県が必要と認める台数とされています。

ICTの補助率と基準額(職員数別)

ICTの基準額は、職員数に応じて段階的に設定されています。

職員数 基準額
1名以上10名以下 100万円
11名以上20名以下 150万円
21名以上30名以下 200万円
31名以上 250万円

職員数は常勤換算で数え、直接処遇職員だけでなく、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員なども算入できます。補助率はロボットと同じ考え方で、要件を満たせば4分の3を下限、満たさなければ2分の1を下限として都道府県が設定します。過年度に交付を受けた際の職員数と、当該年度の申請時点の職員数で、少ない方の区分で算定される点にも注意します。

「最大3分の4」の実際|補助額の計算方法

補助額は、要件充足による補助率と、区分・職員数に応じた基準額の両方で決まります。たとえば職員が25名の事業所が要件を満たしてICTを導入し、対象経費が300万円だった場合、補助率4分の3では225万円ですが、職員21〜30名の基準額200万円と比べて少ない200万円が補助額になります。

「最大3分の4・最大250万円」は、要件を満たし基準額まで使い切ったときの上限であって、すべての施設に自動的に適用される数字ではありません。まず自施設が要件を満たせるか、機器がどの区分・基準額に当たるかを確認し、実額の見通しを立ててから計画を組むと、過大な見積もりによる資金計画のずれを避けられます。

補助率や補助上限をより幅広い補助制度と横断的に比べたい場合は、介護ソフトの補助金・助成金まとめもあわせて確認できます。

補助率3分の4を満たすための要件

補助率4分の3を受けるには、生産性向上に資する取り組みを計画・実施することが条件になります。介護ロボットでは見守りセンサー・インカム・記録ソフトの3点活用など、ICTではケアプランデータ連携やLIFE連携などが求められます(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。要件を満たさない場合の補助率は2分の1が下限です。

要件は「機器を買うこと」ではなく「機器を使って業務をどう変えるか」に重点が置かれています。導入前に課題を洗い出し、生産性向上の計画を立て、一定期間その効果を確認して報告することが前提になります。書類の準備を含め、計画づくりに時間がかかる点をあらかじめ見込んでおくと安心です。

介護ロボットの要件

介護ロボットで4分の3を受けるには、入所・泊まり・居住系サービスの場合は次の3つ、それ以外のサービスでは2つ目と3つ目の要件を満たす必要があります。

  1. 見守りセンサー、インカム・スマートフォン等のICT機器、介護記録ソフトの3点を活用していること
  2. 従前の介護職員等の人員体制の効率化を行っていること
  3. 利用者のケアの質の維持・向上や、職員の休憩時間の確保などの負担軽減に資する取り組みを予定していること

1つ目の要件からわかるように、介護ロボット単体ではなく、ICT機器や記録ソフトと組み合わせて現場全体の業務を見直す姿勢が求められます。ロボット導入をきっかけに、記録や情報共有の仕組みもあわせて整えると要件を満たしやすくなります。

ICTの要件

ICTで4分の3を受けるには、在宅系サービスの場合は1つ目、それ以外のサービスでは2つ目か3つ目のいずれかを満たす必要があります。

  1. ケアプランデータ連携システム等を利用し、データ連携を行う相手の事業所が決まっていること
  2. LIFEの標準仕様に沿って介護ソフトからCSVを出力し、LIFEへデータを提供している、または提供を予定していること
  3. 文書量の半減を実現させる導入計画になっていること

いずれの要件も、単に記録を電子化するだけでなく、事業所間や国のデータベースとのデータ連携、文書作業そのものの削減まで踏み込むことを求めています。転記が発生しない介護ソフトを選び、連携や文書削減を計画に落とし込むことが、補助率を引き上げる鍵になります。

業務改善計画と効果検証の考え方

要件を満たすうえで中心になるのが、業務改善計画です。多くの都道府県では、導入前に現状の課題を洗い出し、テクノロジーで何をどれだけ改善するかを計画にまとめ、導入後に効果を確認して報告することを求めています。埼玉県では、業務改善支援の実施や業務改善計画の作成が要件として示されています(埼玉県、2026年7月時点)。

効果検証では、たとえば記録にかかる時間や書類の枚数、残業時間といった指標を、導入前後で比べる形が想定されます。数字で語れる指標をあらかじめ決めておくと、計画づくりも報告もスムーズになります。「導入して終わり」ではなく、効果を測って改善を続ける前提で準備することが、要件充足の近道になります。

介護ロボット導入支援事業・ICT導入支援事業との違い

ICT導入は2年で約27倍に拡大し令和6年度に事業統合された流れを可視化(出典: 厚生労働省の公表データを基に作成)

介護テクノロジー導入支援事業は、令和6年度に「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」を統合して再編した事業です。かつて別々だった2つの補助を一本化し、ロボットとICTを組み合わせるパッケージ型導入を位置づけた点が主な違いです(厚生労働省、2026年7月時点)。

過去に介護ロボット導入支援事業やICT導入支援事業を利用した施設にとっては、「以前の制度がなくなったのか」「同じ機器で再び申請できるのか」が気になるところです。制度の系譜を押さえておくと、重複申請や対象外の思い込みを避けられます。

再編の系譜|複数事業が段階的に整理された

都道府県の資料では、関連する事業が段階的に実施・整理されてきた経緯が示されています。茨城県の例では、次のような系譜が確認できます(茨城県、2026年7月時点)。

年度 主な事業
平成27〜令和5年度 ロボット介護機器普及支援事業
令和3〜5年度 ICT導入支援事業
令和6年度 介護施設等生産性向上推進事業
令和6〜7年度 介護テクノロジー定着支援事業

このように、ロボット系とICT系の支援が別々に走っていたものが、令和6年度の再編で「介護テクノロジー」としてまとめられました。参考までに、旧ICT導入支援事業の補助実績は令和元年度の195事業所から令和3年度には5,371事業所へと大きく増えており、ICT化そのものが広く進んできた流れが読み取れます(厚生労働省、2026年7月時点)。

同じ機器で再び申請できるか

すでに導入済みの機器は、原則として本事業の対象になりません。本事業は新規導入の経費を補助するものだからです。ただし、既に使っている介護ソフトを、ケアプランデータ連携やLIFE連携などの要件に対応させるための改修費は対象になる場合があります。

「過去に補助を受けたから今回は使えない」わけではなく、「今回新たに導入する経費か」で判断されます。過去の利用歴があっても、新しい機器やソフトの導入、あるいは要件対応の改修であれば対象になり得ます。個別の可否は都道府県の要領で確認するのが確実です。

都道府県で補助率・上限・締切はどう違う?

補助率は国の下限3分の4に対し県で上乗せ差があることを比較(出典: 長野県・埼玉県・茨城県の公表資料を基に作成)

補助率や補助上限、申請の締切は都道府県ごとに異なります。国が「要件充足で4分の3を下限」と定める一方、埼玉県や茨城県は5分の4(約80%)を設定し、長野県は4分の3を採用するなど、県によって上乗せの有無が分かれます(各県の公表資料、2026年7月時点)。

同じ制度名でも、実際の補助率・上限額・締切は所在地の都道府県で確認しなければ正確にはわかりません。ここでは3つの県の実装を横並びで比べ、どの程度の幅があるかを示します。

3都道府県の実装比較

長野県・埼玉県・茨城県の公表内容を、国の下限と同じ軸で並べると次のようになります。

項目 国の実施要綱(下限) 長野県(令和7年度) 埼玉県(令和8年度) 茨城県(令和8年度)
補助率 要件充足4分の3・未充足2分の1 4分の3 5分の4(約80%) 5分の4(約80%)
ロボット上限(移乗・入浴等) 基準額100万円 100万円/機器・500万円/事業所 100万円/機器・500万円/事業所 別紙による
ICT上限(職員数別) 100〜250万円 100〜250万円 100〜250万円(定着支援込み115〜265万円) 別紙による
パッケージ型上限 1,000万円/事業所 750万円/事業所 別紙による
申請の目安 都道府県が設定 申請期限 令和7年9月25日 事前協議 令和8年7月22日 令和8年8〜9月に要項公表予定

出典: 長野県埼玉県茨城県(いずれも2026年7月時点)。

県別に見ると、補助率は国の下限4分の3を上回る県(埼玉・茨城の5分の4)があり、パッケージ型の上限も長野1,000万円・埼玉750万円と差があります。締切も9月・7月と県で異なります。「最大3分の4」は全国の最低ラインであって、実際の補助率・上限・締切は所管都道府県の公募要領で確認する必要があります。

自分の都道府県の情報を確認する手順

自施設が対象の補助率や締切を調べるには、まず所在地の都道府県名と事業名で検索するのが早道です。「(都道府県名) 介護テクノロジー 定着支援事業 令和8年度」のように、年度を添えて検索すると、担当部局の公募ページにたどり着きやすくなります。県によって「導入支援事業」「定着支援事業」など名称が異なるため、両方の言い方で探すと見つけやすくなります。

公募ページでは、補助率・補助上限・対象経費・事前協議や交付申請の締切・必要書類の様式を確認します。締切は年度前半に設定される県もあるため、年度替わりの時期に一度チェックしておくと、準備の時間を確保できます。要領のPDFや交付要綱に細かい条件が書かれていることが多いので、本文だけでなく添付資料まで目を通すと、対象外の思い込みを防げます。

なぜ県で差が出るのか

差が生まれるのは、国が下限を示し、その範囲で都道府県が財源や地域の状況に応じて上乗せや上限を設定するためです。地域医療介護総合確保基金を活用する事業であり、県ごとの配分や施策の重点が反映されます。

そのため、他県の記事や一般的な解説だけで判断せず、自施設が所在する都道府県のページで最新の要領を確認することが欠かせません。締切が年度前半に設定される県もあり、年度替わりの時期に情報を取りに行くと準備の時間を確保しやすくなります。

申請の流れと注意点|交付決定前の購入はNG

申請は都道府県の公募を起点に、事前協議・交付申請・導入・実績報告の順に進みます。最も重要な注意点は、交付決定の前に機器を購入・契約すると対象外になることです(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。手続きの順番を守ることが、補助を確実に受けるための前提になります。

都道府県ごとに細部は異なりますが、共通する骨格は次のとおりです。実施要綱と、長野県・埼玉県の公募スケジュールで確認できます。

申請から交付までの流れ

  1. 都道府県の公募開始・要領を確認する(時期は都道府県次第。年度前半に事前協議を締め切る県もある)
  2. 事前協議書を提出する(業務改善計画の骨子や、導入するテクノロジーの検討内容を示す)
  3. 交付申請書を提出する(見積書や、要件に該当することを示す書類を添える)
  4. 交付決定を受ける(この決定後に発注・購入する)
  5. 機器・ソフトを導入する
  6. 実績報告書を提出し、補助金の交付を受ける(導入後に効果を報告する場合もある)

長野県では申請期限が令和7年9月25日、実績報告が令和8年2月28日までとされ、埼玉県では事前協議が令和8年7月22日、導入完了・支払が令和9年1月31日までといったスケジュールが示されています(長野県・埼玉県、2026年7月時点)。年度内に導入から報告まで終える必要があるため、逆算した工程管理が求められます。

導入計画づくりと課題の洗い出し

申請の準備で最初に取り組みたいのが、現場の課題の洗い出しです。どの業務に時間がかかっているか、どこでミスや二重入力が起きているかを具体的に把握すると、導入するテクノロジーと期待する効果が明確になります。課題があいまいなまま機器だけを選ぶと、要件で求められる業務改善計画に落とし込みにくくなります。

現場の職員を巻き込んで課題を整理すると、導入後の定着もスムーズになります。誰がどの場面で使うのか、運用が変わることでどんな負担が減るのかを共有しておくと、導入後に「使われないまま」になるリスクを抑えられます。計画づくりの段階から現場の声を反映することが、効果を出すための土台になります。ソフトの選定から現場定着までを段取りよく進めるうえでは、介護ソフト導入を成功させる7ステップと失敗しない選び方が参考になります。

準備しておく主な書類

申請では、要件に該当することを示す書類が必要になります。都道府県によって様式は異なりますが、一般的には次のような書類が求められます。

  • 事前協議書・交付申請書(都道府県指定の様式)
  • 業務改善計画(現状の課題、導入するテクノロジー、期待する効果を記載)
  • 導入する機器・ソフトの見積書やカタログ
  • 要件該当を示す資料(ケアプランデータ連携やLIFE連携の予定など)
  • 実績報告書(導入後に提出)

書類の準備には時間がかかるため、公募開始を待ってから動き出すのではなく、公募が見込まれる時期の前から課題の整理や見積もりの取得を進めておくと、締切に余裕を持って対応できます。

見落としやすい注意点

手続き上、特に注意したい点を整理します。

  • 交付決定前の購入・契約は対象外。良い機器を見つけても、交付決定を待ってから発注します。
  • 導入済みの機器は原則対象外。新規導入が前提で、既存ソフトは要件対応の改修費のみ対象になる場合があります。
  • 対象経費の上限は「実支出額×補助率」と基準額の少ない方。見積もりの段階で実額を試算しておきます。
  • 埼玉県ではSECURITY ACTIONの宣言や業務改善計画の作成、ケアプランデータ連携システムの利用実績などが要件とされるなど、県ごとに追加要件があります(埼玉県、2026年7月時点)。

個別の適用条件や必要書類は都道府県や事業所の状況によって変わります。判断に迷う場合は、所管の都道府県窓口に確認することをおすすめします。

記録・申し送り・教育を一元化するならCareBase(ケアベース)

介護テクノロジー導入支援事業は、機器を導入するだけでなく、生産性向上に資する取り組みを計画・実施することを求めます。記録・申し送り・教育を一つの仕組みにまとめることは、要件で挙げられる「人員体制の効率化」や「職員の負担軽減」の取り組みと接続します。CareBase(ケアベース)は、これらを一元化するクラウド型のサービスです。

介護記録・申し送り・動画マニュアルによる教育・多言語対応をクラウドで一元化し、申し送りの共有と既読管理で情報共有の漏れを抑えます。バイタルの異常を自動でアラート通知する機能を備え、外国人職員の教育では、AIによる11言語翻訳と法定研修16種の教材を活用できます。処遇改善加算や生産性向上推進体制加算に対応した機能も用意されています。

一方で、特定の製品が本事業の補助対象「介護ソフト」に該当するかは、記録・情報共有・請求の一気通貫や、ケアプランデータ連携・LIFE連携といった要件を都道府県が審査して判断します。そのため、まず業務改善計画で「どの工程の負担をどれだけ減らすか」を具体化し、その計画を満たす機能かどうかで選ぶことが失敗回避につながります。補助対象の可否や要件適合は、所管の都道府県窓口とあわせて確認するのが確実です。

よくある質問(FAQ)

介護テクノロジー導入支援事業はどこに申請すればよいですか?

申請先は、施設が所在する都道府県の担当窓口です。実施主体は都道府県で、国は全国共通の枠組みを示す立場です(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。公募時期や必要書類は都道府県ごとに異なるため、都道府県の介護担当部局のページで最新の公募要領を確認します。

介護ロボット導入支援事業・ICT導入支援事業と何が違うのですか?

介護テクノロジー導入支援事業は、令和6年度に「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」を統合して再編した事業です(厚生労働省、2026年7月時点)。ロボットとICTを一体の介護テクノロジーとして扱い、両方を組み合わせるパッケージ型導入が位置づけられた点が主な違いです。

交付決定の前に機器を購入した場合はどうなりますか?

交付決定の前に購入・契約した経費は、原則として補助の対象外になります。本事業は交付決定後に発注・導入する流れが前提のためです。良い機器が見つかっても、都道府県の交付決定を待ってから発注することが、補助を確実に受けるための条件になります。

見守りセンサーやインカムは単体でも補助対象になりますか?

見守りセンサーやインカムは、ICTの対象経費や介護ロボットの要件に含まれる機器です。ただし、補助率4分の3を受ける要件では、見守りセンサー・インカム等のICT機器・介護記録ソフトを組み合わせて活用することが求められる場合があります(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。単体導入が可能かは、区分や都道府県の要領で確認します。

補助率4分の3の要件を満たせない場合はどうなりますか?

要件を満たせない場合の補助率は、2分の1を下限として都道府県が設定します(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。補助が受けられなくなるわけではなく、率が下がる仕組みです。データ連携や文書量削減といった要件は計画づくりで満たせる余地があるため、導入前に要件を確認して計画に反映することが実額を左右します。

職員数はどのように数えるのですか?

ICTの基準額を決める職員数は、常勤換算で算定します(厚生労働省 実施要綱、2026年7月時点)。直接処遇職員だけでなく、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員なども算入できます。過年度に交付を受けた際の職員数と当該年度の申請時点の職員数を比べ、少ない方の区分で算定される点に注意します。

まとめ

介護テクノロジー導入支援事業は、都道府県を実施主体として、介護ロボットとICTの導入費を補助する制度です。令和6年度に旧2事業を統合して再編され、要件を満たせば補助率は4分の3を下限に設定されます。対象は3区分に整理され、補助額は要件・区分・職員数で変わります。補助率や上限、締切は都道府県で差があるため、国の枠組みを押さえたうえで所管都道府県の要領を確認することが欠かせません。

要件と申請の順番を正しく押さえて計画を立てれば、記録や申し送りの負担が軽くなり、生まれた時間を利用者と向き合うケアに振り向けられる職場に近づきます。まずは自施設の業務のどこに負担が集中しているかを洗い出し、生産性向上の取り組みとして仕組み化する一歩から始めてみてください。個別の適用条件は、所管の都道府県窓口に確認することをおすすめします。

介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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