carebase(ケアベース)コラム

2026.5.29

外国人スタッフ向け法定研修を多言語対応で運用するには?施設管理者向け実践ガイド

はじめに|外国人スタッフの増加で「法定研修の伝わらなさ」が課題に

介護業界では人材不足を背景に、外国人スタッフの採用が進んでいます。技能実習や特定技能などを通じて、多くの施設で外国人介護人材が活躍するようになりました。

一方で、施設管理者からは「法定研修の内容がきちんと伝わっているか不安」「日本語だけの説明では理解度に差がある」といった悩みも聞かれます。

介護施設では、感染症対策や虐待防止、BCP(業務継続計画)など、安全な施設運営に欠かせない法定研修の実施が求められます。しかし、研修を実施しただけでは十分ではありません。重要なのは、スタッフが内容を理解し、現場で実践できる状態になっているかです。

さらに、監査対応を見据えると、受講履歴や運用記録を適切に残しておく必要もあります。
本記事では、外国人スタッフ向け法定研修について、多言語対応・運用記録・定着支援の観点から、施設で実践しやすい運用方法を解説します。

外国人スタッフにも法定研修は必要|介護施設で求められる研修とは

介護施設で実施が求められる主な法定研修

介護施設では、職員の安全意識やケア品質を維持するために、さまざまな法定研修が求められています。施設種別によって内容は多少異なりますが、感染症対策、身体拘束適正化、高齢者虐待防止、BCP(業務継続計画)、事故防止、個人情報保護などが代表的です。

これらの研修は、単なる知識共有ではありません。利用者の安全確保や事故防止に直結する内容が多く、現場で適切に行動できる状態をつくることが目的です。

たとえば感染症対策では、手順の理解不足が感染拡大につながる可能性があります。虐待防止や身体拘束に関する認識不足は、施設リスクを高める要因にもなります。
だからこそ、「研修を実施した」という事実だけでなく、内容が正しく伝わり、理解されているかが重要になります。

外国人スタッフだから免除されるわけではない

外国人スタッフの中には、介護補助や周辺業務からスタートする人もいます。しかし、雇用形態や国籍に関係なく、施設運営上必要なルールや安全管理について理解する必要があります。

特に介護現場では、急変時対応や感染対策、事故防止、個人情報保護など、現場全体で共通認識を持つべき内容が数多くあります。
ただし、ここで課題になるのが「理解度」です。

日本語で説明しているだけでは、専門用語や制度特有の表現が障壁となり、内容が十分に伝わらないことがあります。受講済みになっていても、実際には理解が曖昧なまま現場に出ているケースも珍しくありません。
法定研修では、“参加したこと”よりも“理解できたこと”が重要です。そのため、外国人スタッフ向けの研修では、「どう伝えるか」という工夫が求められます。

研修内容が理解できないことで起こる現場リスク

法定研修の内容が十分に理解されていない場合、介護現場ではさまざまなリスクが発生します。

たとえば感染対策のルールが十分に共有されていないと、防護具の着脱方法や衛生管理の認識に差が出ることがあります。結果として、施設内感染のリスクを高めてしまう可能性があります。

また、BCPや事故防止研修の理解が不十分な場合、急変時や災害時の初動対応に遅れが出ることもあります。介護現場では、緊急時ほど共通認識が重要です。
さらに、身体拘束や虐待防止については、文化や価値観の違いが影響するケースもあります。本人に悪意がなくても、日本の介護現場で求められるルールとのズレが問題になる可能性があります。
こうしたリスクを防ぐには、単純に研修資料を翻訳するだけでは十分ではありません。「理解しやすい環境を整えること」と「理解できたかを確認すること」の両方が必要になります。

外国人スタッフ向け法定研修でよくある3つの課題

課題① 日本語中心の研修で理解度に差が出る

多くの介護施設では、日本語の資料や動画を使って法定研修を行っています。しかし、日本語能力には個人差があるため、同じ内容を受講していても理解度に差が生まれることがあります。

特に難しいのが、介護現場特有の専門用語です。「身体拘束」「ヒヤリハット」「リスクマネジメント」など、日本人スタッフでも難しく感じる言葉は少なくありません。
また、外国人スタッフの中には、「分からない」と言いづらい人もいます。そのため、理解できていないまま研修が終わり、現場で初めて困るというケースもあります。

だからこそ、一方的に説明するだけでなく、やさしい日本語や図解、多言語サポートなどを取り入れ、理解しやすい環境を整えることが重要です。

課題② 研修記録が紙管理で煩雑になる

外国人スタッフ向け法定研修では、「内容をどう伝えるか」と同じくらい、運用記録の管理も課題になりやすいポイントです。
介護施設ではシフト勤務が基本のため、全員が同じタイミングで研修を受けることは簡単ではありません。特に外国人スタッフの場合、日本語理解のフォローや補足説明が必要になるケースもあり、個別対応が増えやすくなります。
その結果、次のような状況が起こりがちです。

  • 誰が受講済みなのか把握しにくい
  • 未受講者へのフォローが後回しになる
  • 研修資料や参加記録が紙で散在する
  • 監査前に慌てて資料を整理する

特に紙管理中心の施設では、「実施した記録はあるが、探すのに時間がかかる」というケースも少なくありません。
法定研修は、実施そのものだけでなく、“継続的に運用できる状態”を作ることが重要です。誰が、いつ、何を受講したのかを可視化できる仕組みがあると、教育担当者の負担軽減にもつながります。

課題③ 教育負担が一部職員に偏る

外国人スタッフ向けの研修では、教育担当者の負担が大きくなりやすい傾向があります。

たとえば、「この説明は日本語だけでは伝わりにくいから補足しよう」「理解できているか確認しよう」といった対応が必要になると、特定の職員に教育業務が集中してしまうことがあります。

また、新人スタッフが入職するたびに同じ説明を繰り返す状況も少なくありません。
本来であれば標準化できる研修内容でも、

「この人にはここまで説明した」
「このスタッフには別の言い方で教えた」

というように、教育が属人化してしまうケースがあります。
こうした状態が続くと、教育担当者の負担が増えるだけでなく、スタッフごとの理解度にも差が出やすくなります。
そのため、外国人スタッフ向け法定研修では、“個人の頑張り”ではなく“仕組み”で運用できる状態をつくることが重要です。

外国人スタッフ向け法定研修を多言語対応で運用するポイント

研修資料は“やさしい日本語+多言語”を意識する

外国人スタッフ向け法定研修というと、「すべて翻訳しなければならない」と考える施設もあります。
しかし、必ずしも完璧な翻訳が必要とは限りません。

大切なのは、内容を理解しやすい形に変えることです。
たとえば、日本語だけで長文説明をするのではなく、「やさしい日本語」を意識するだけでも理解度は変わります。
難しい表現を避け、短く分かりやすく伝えることで、理解しやすい研修になります。

「感染拡大防止のため衛生管理を徹底してください」
という表現よりも、
「手洗い・消毒をして、病気が広がらないようにしましょう」
の方が伝わりやすいケースがあります。

さらに、図解や動画を組み合わせることで、言葉だけでは伝わりにくい内容も理解しやすくなります。
必要に応じて母国語補足ができる環境があると、スタッフ側の不安軽減にもつながります。

重要なのは、“翻訳すること”ではなく“伝わること”を目的にすることです。

動画・オンライン研修を活用し、反復学習できる環境をつくる

外国人スタッフ向け研修では、「一度説明して終わり」にしないことも重要です。

日本語の理解度や介護経験には個人差があるため、1回の研修だけで内容を完全に理解するのは難しい場合があります。

そこで有効なのが、動画やオンライン研修の活用です。

動画形式であれば、分からない部分を繰り返し確認できるため、理解を深めやすくなります。特に感染症対策や移乗介助など、動作を伴う内容は、文章だけよりも動画の方が伝わりやすいケースがあります。

また、シフト勤務が中心の介護施設では、集合研修の調整が難しいこともあります。オンライン形式を取り入れることで、勤務状況に合わせた受講もしやすくなります。

加えて、同じ内容を繰り返し説明する必要が減るため、教育担当者の負担軽減にもつながります。
法定研修を継続的に運用するうえでは、「教える仕組み」を標準化することが大切です。

理解確認と受講記録をセットで管理する

外国人スタッフ向け法定研修では、「受講したか」だけではなく、「理解できたか」を確認する視点が欠かせません。
そのため、研修後に簡単な確認テストやチェックシートを設ける施設も増えています。

  • 感染症発生時の対応手順
  • 緊急時の連絡方法
  • 身体拘束に関するルール

など、最低限理解しておくべきポイントを確認することで、理解不足の早期発見につながります。

また、理解確認と同時に重要なのが受講履歴の管理です。
誰が、いつ、どの研修を受けたのかを一覧化できれば、未受講者のフォローもしやすくなります。監査対応の際にも、資料を探し回る必要がなくなり、スムーズな説明につながります。
法定研修は一度実施して終わりではありません。定期的な実施や振り返りが必要だからこそ、記録まで含めて運用できる仕組みづくりが重要になります。

外国人スタッフの定着率向上にも“研修環境”が影響する

外国人スタッフの受け入れでは、「採用できたら終わり」ではありません。現場で安心して働き続けてもらうためには、教育環境づくりも重要です。

特に、言葉の壁がある環境では、「分からないまま働く不安」が離職理由になることがあります。

研修内容が理解できる、困ったときに確認できる、必要な情報にアクセスできる、こうした環境が整っている施設では、安心感につながりやすくなります。

また、教育体制が整っている施設ほど、現場でのコミュニケーションも円滑になりやすく、スタッフ同士の信頼関係構築にもつながります。

法定研修は単なる義務対応ではなく、外国人スタッフの定着支援という観点でも重要な取り組みといえるでしょう。

外国人スタッフ向け法定研修の運用効率化ならcarebase(ケアベース)

外国人スタッフ向け法定研修では、「どう伝えるか」と「どう管理するか」の両方が重要です。しかし現場では、説明負担の増加や受講漏れ、研修記録の管理に悩む施設も少なくありません。

carebase(ケアベース)では、AI自動翻訳による11か国語(ミャンマー語・英語・中国語・ヒンディー語・インドネシア語・タイ語・ベトナム語・フィリピン語・ネパール語・カンボジア語・モンゴル語)に対応しており、多言語対応機能を活用しながら、外国人スタッフにも情報が伝わりやすい環境づくりを支援しています。

法定研修だけでなく、日々の申し送りや情報共有にも活用しやすく、言葉の壁による認識ズレを減らしやすい点が特長です。
また、研修履歴や記録の管理を効率化しやすいため、「誰が・いつ・何を確認したか」を把握しやすくなり、継続的な教育運用にもつながります。
外国人スタッフの受け入れが進む中、教育や情報共有を属人化させず、施設全体で運用しやすい仕組みづくりを考えることが重要です。

まとめ|外国人スタッフ向け法定研修は“多言語×記録管理”がカギ

外国人スタッフの採用が進む中、介護施設における法定研修では、「実施すること」だけでなく、内容を正しく理解し、現場で実践できる状態をつくることがより重要になっています。

特に、日本語だけの研修では理解度に差が生まれやすく、内容が十分に伝わらないまま現場に入ってしまうケースもあります。感染症対策や虐待防止、BCPなど、安全管理に関わる研修だからこそ、「受講した」ではなく「理解できた」を重視する視点が欠かせません。

また、外国人スタッフ向け法定研修では、言語対応だけではなく、継続的に運用できる仕組みづくりも重要です。研修履歴の記録、理解確認、情報共有のしやすさまで含めて整備することで、教育負担の軽減や現場リスクの低減にもつながります。
今後、外国人介護人材の受け入れがさらに進むことを考えると、法定研修も「その場限り」ではなく、多様なスタッフに伝わる運用へ見直していくことが求められるでしょう。

施設全体で安心して働ける環境をつくるためにも、まずは現在の研修体制を見直し、「伝わる仕組み」が整っているか確認してみてはいかがでしょうか。

【関連記事】

介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

carebase

carebase(ケアベース)の無料体験、
資料請求、お問い合わせはこちら

お問い合わせ

コラム一覧へ

おすすめ記事