carebase(ケアベース)コラム
2026.7.28
認知症介護基礎研修の義務化とは?対象者・期限・実施方法を解説
認知症介護基礎研修は、2024年4月から無資格の介護職員に受講が義務づけられた研修です。対象となる職員は介護業務に従事してから原則1年以内に受講する必要があり、未受講のままでは運営基準上の指摘につながる可能性があります(大阪府、2026年7月時点)。本記事では、対象者・受講期限・実施方法(eラーニング/集合研修)を公的機関の情報で整理し、施設として漏れなく受講管理を進める手順まで解説します。
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認知症介護基礎研修の義務化とは?2024年4月からの制度概要
制度成立から完全義務化までの流れと運営基準上の義務を整理(出典: 厚生労働省・大阪府の公表情報を基に作成)
認知症介護基礎研修の義務化は令和3年度の介護報酬改定で規定され、3年の経過措置を経て2024年4月に完全義務化されました。介護に直接携わる無資格の職員へ研修を受講させる措置を、事業者が講じることが運営基準上の義務です(厚生労働省 令和3年度介護報酬改定について、2026年7月時点)。
義務化の根拠は、令和3年厚生労働省令第9号による人員・運営基準等の改正にあります。制度導入時から2024年3月までは努力義務とされる経過措置期間が設けられ、2026年7月時点ではこの経過措置は終了しています。つまり現在は、対象となる職員を確実に受講させることが施設運営の前提になっています。
制度の趣旨は、認知症への理解のもとで本人主体の介護を行い、介護に関わるすべての職員の認知症対応力を向上させることにあります(大阪府、2026年7月時点)。無資格で入職した職員にも認知症ケアの基礎を学んでもらい、サービスの質を底上げする狙いがあるため、対象者の把握と受講管理までを含めた継続的な運用が求められます。法定研修全体の種類と管理の考え方は、介護施設で義務化された法定研修の解説記事もあわせて確認すると整理しやすくなります。
認知症介護基礎研修の対象者は誰か|無資格者と対象外の資格
業務内容と資格の有無から受講対象者を見分ける判定フロー(出典: 大阪府の公表情報を基に作成)
対象は介護に直接携わる無資格の職員で、看護師・介護福祉士・初任者研修修了者などの有資格者は対象外です。パートや派遣、中途採用の職員も、利用者と接する介護業務に従事していれば対象に含まれます(大阪府、2026年7月時点)。
対象になる職員
対象になるのは、介護保険施設・事業所で介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない人です。身体介護に限らず、見守りや生活支援など利用者と関わる業務に従事している無資格者が広く該当します。雇用形態は問わないため、常勤・パート・派遣を横断して確認する必要があります。
判断に迷いやすいのが、介護補助職や送迎担当など直接的な身体介護を行わない職員です。こうした職種でも、利用者と接する介護業務に従事している場合は対象となりえます。資格の有無だけでなく、実際の業務内容を基準に一人ずつ確認することが、対象者の取りこぼしを防ぐポイントです。
対象外になる資格・研修修了者
各資格のカリキュラム等で認知症介護の基礎的な知識・技術を習得しているとみなされる有資格者は、受講対象外です。具体的には次の資格・修了者が該当します(大阪府、2026年7月時点)。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 介護に直接携わる無資格の職員(パート・派遣・中途採用を含む) |
| 対象外(医療系) | 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師、柔道整復師 |
| 対象外(福祉・介護系) | 介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程・訪問介護員養成研修(一級・二級)修了者 |
| 受講期限 | 介護業務に従事した日(採用日)から1年以内 |
| 実施方法 | 都道府県・指定都市が指定する法人によるeラーニングまたは集合研修 |
(出典: 厚生労働省・大阪府など公的機関の公表情報を基に作成)
なお、認知症サポーター養成講座などの民間資格は対象外扱いにはならず、無資格者であれば受講が必要です。資格証の未確認や有効性の見落としで対象者の判断を誤ると、未受講者が残る原因になります。対象者の判断は資格名だけでなく、実際の業務内容と資格証の確認をセットで行うことが取りこぼし防止の起点になります。
受講期限はいつまで?未受講の場合のリスクと罰則
対象職員は介護業務に従事してから1年以内の受講が必要で、未受講が続くと運営基準上の指摘・指導の対象になりえます。採用直後にすぐ受講する必要はありませんが、期限が明確に定められているため計画的な管理が欠かせません(大阪府、2026年7月時点)。
受講期限は採用後1年以内
新規採用・中途採用を問わず、新たに採用した無資格の従業者には採用後1年間の猶予期間が設けられています。この1年を経過するまでに認知症介護基礎研修を受講させることが求められます。中途採用や職員の入れ替わりが多い施設では、採用日を起点にした期限管理が属人化しやすく、確認が遅れると未受講のまま期限を迎えるおそれがあります。採用時点で対象者リストに登録し、受講期限を可視化しておく運用が現実的です。
未受講だとどうなるか
未受講そのものに、ただちに罰金などの罰則が科される規定はありません。ただし受講は運営基準上の義務であるため、義務を満たさない状態が続けば運営基準違反として行政指導の対象になりえます。改善が見られない場合は指導や改善命令につながり、施設運営に影響する可能性があります(厚生労働省 令和3年度介護報酬改定について、2026年7月時点)。制度面のリスクに加えて、認知症への理解が不足したままのケアは、事故やトラブル、利用者・家族からの信頼低下にもつながりかねません。
実地指導(運営指導)では研修記録が確認される
実地指導(運営指導)では、研修を計画的に実施しているか、修了記録が確認できる状態で整備されているかが確認対象になります。罰則の有無で対応を判断するよりも、対象者リストと修了記録を「いつでも確認できる状態」で保つことが、指摘の回避に直結します。修了証だけでなく、受講履歴や修了日をたどれる形で管理しておくことが安全策です。実地指導そのものへの備えは、介護の実地指導(運営指導)チェックリストで準備項目を確認できます。未受講対応は罰則の重さで測るのではなく、期限管理と修了記録の保持を判断軸にすると運営リスクを抑えられます。
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認知症介護基礎研修の実施方法|eラーニングと集合研修の違い
受講料の幅と所要時間、施設に合う実施方法の選び方を整理(出典: 大阪府の公表情報を基に作成)
実施方法はeラーニングと集合研修の2種類で、多くの自治体がeラーニングを採用し受講料は3,000円程度が目安です。標準カリキュラムは「認知症の人の理解と対応の基本」で、所要時間は150分程度とされています(大阪府、2026年7月時点)。
| 比較軸 | eラーニング | 集合研修 |
|---|---|---|
| 受講形態 | パソコン・スマホで自学習 | 会場での対面受講 |
| 日程調整 | 時間・場所を選ばず受講可 | 開催日程に合わせたシフト調整が必要 |
| 理解のしやすさ | 各自のペースで反復学習 | 講師への質問・意見交換がしやすい |
| 向く施設 | シフト制・職員数が多い・中途採用が多い施設 | 対面での学びを重視する施設 |
| 受講料の目安 | 3,000円程度(指定法人により異なる) | 自治体により異なる |
(出典: 大阪府など公的機関の公表情報を基に作成)
eラーニングの特徴と受講料
eラーニングは、パソコンやスマートフォンを使い時間や場所を選ばず受講できる方法です。シフト制の現場でも導入しやすく、職員数が多い施設や中途採用が多い場合に効率的に運用できます。受講料は指定法人によって幅があり、大阪府の例では2,200円から5,000円まで複数の指定法人があり、代表的な社会福祉法人東北福祉会の認知症介護研究・研修仙台センターでは3,000円(税込)です(大阪府、2026年7月時点)。申込は事業所が「事業所コード」の発行手続きを行い、受講者が専用サイトから申し込む流れが一般的です。
集合研修の特徴
集合研修は、講師から直接指導を受けられる点が特徴です。対面でのグループワークや意見交換を通じて理解が深まりやすく、現場での対応力向上につながります。一方で、開催日程に合わせたシフト調整が必要になるため、職員数が少ない施設では実施が難しい場合があります。また、集合研修は地域によって実施されていないこともあるため、自施設のある自治体で開催があるかを事前に確認する必要があります。
外国人職員はどう受講させるか
日本語に不安のある外国人職員の受講には、自治体が用意する多言語・やさしい日本語の環境が活用できます。大阪府では2022年4月から、日本語能力N4レベル程度で学べる「やさしい日本語」のeラーニング環境を提供し、補助テキストはベトナム語・英語・インドネシア語・中国語・ビルマ語でダウンロードできます。2023年9月からは字幕付き動画・音声ガイド付き動画も追加されています(大阪府、2026年7月時点)。自治体により提供状況は異なるため、所属地域の実施内容を確認したうえで、外国人職員が理解しやすい方法を選ぶことが受講完了の近道です。外国人スタッフの法定研修を多言語で運用する具体策は、外国人スタッフ向け法定研修の多言語対応ガイドも参考になります。
実施方法の選び方
比較軸で見ると、職員数が多くシフト調整が難しい施設ほどeラーニングが向き、対面での学びや質疑を重視する施設は集合研修が候補になります。地域で集合研修が開催されていない場合はeラーニングが現実的な選択肢です。自施設の職員数・シフト・地域の実施状況という3点を軸に選ぶと、受講漏れを抑えやすくなります。実施方法ごとの運用は、介護施設向けeラーニングの比較で選定の観点を整理できます。実施方法を決めるときは費用の安さだけで判断せず、自施設のシフトと地域の実施状況に合うかどうかを見て選ぶと、受講完了率を高めやすくなります。
認知症介護基礎研修と他の認知症研修の違い|研修体系の全体像
義務化対象の基礎研修を入口に上位研修へ続く研修体系の全体像(出典: 厚生労働省・大阪府の公表情報を基に作成)
認知症介護基礎研修は研修体系の入口で、実践者研修・実践リーダー研修・指導者養成研修へと段階的に続きます。義務化されているのは無資格者への基礎研修であり、上位の研修は職員の役割や経験に応じて計画的に受講者を配置するものです(大阪府、2026年7月時点)。
| 研修 | 主な対象 | 役割 |
|---|---|---|
| 認知症介護基礎研修 | 無資格の介護職員 | 認知症ケアの基礎を学ぶ入口(義務化対象) |
| 認知症介護実践者研修 | 現場でケアを担う職員 | BPSDへの対応や個別ケアの実践力を高める |
| 認知症介護実践リーダー研修 | チームをまとめるリーダー | 職員への指導方法・チームマネジメント |
| 認知症介護指導者養成研修 | 指導者・研修講師を担う職員 | 職員育成・研修指導の専門性を高める |
(出典: 厚生労働省・大阪府など公的機関の公表情報を基に作成)
基礎研修を土台に、施設の状況に応じてどの研修を誰に受講させるかを整理することが、ケアの質の標準化につながります。特に認知症対応型サービスでは、研修修了者の配置が運営基準に関わる場合があるため、体系を理解したうえで人材育成計画に落とし込むことが有効です。上位研修は全職員に必須ではありませんが、キャリアパスと連動させると教育の見通しが立てやすくなります。
義務化対応でつまずかない受講管理の進め方
義務化対応は受講させて終わりではなく、対象者の把握・受講期限の管理・修了記録の保管を継続的に回すことが要点です。職員の入れ替わりが多い施設では、この3つが属人化すると未受講や記録漏れが起きやすくなります(大阪府、2026年7月時点)。
対象者の把握と受講計画
最初の一歩は、職員データをもとに無資格者を洗い出し、対象者リストを作ることです。採用日を起点に受講期限を並べ、期限が近い職員から優先的に受講を割り当てます。中途採用が入るたびにリストへ追加し、受講状況を更新する運用にすると、期限切れの見落としを防げます。Excelやシフトシステムでもリストとしくみは作れますが、更新の手間と確認の抜けが課題になりやすい部分です。
修了記録の保管
修了証だけでなく、受講履歴や修了日を後からたどれる状態で保管しておくことが重要です。実地指導では研修の実施状況と記録の整備が確認されるため、紙の修了証をファイルに綴じるだけでは、対象者全体の受講状況を即座に示しにくくなります。誰が・いつ受講し・いつ修了したかを一覧で確認できる形にしておくと、指導対応と内部管理の両方が楽になります。
デジタル化という選択肢
近年は、法定研修の受講管理にICTを活用する施設が増えています。対象者の抽出・受講期限・進捗・修了記録の保管を一元管理できるかどうかで、担当者の運用負荷が大きく変わります。CareBase(ケアベース)は、法定研修に対応した動画教育と受講管理、修了記録の保管をクラウドで一元化する機能を備えています。受講管理の負担を減らしたい施設は、まず「対象者の把握と修了記録の保管を漏れなく回せているか」を点検し、そのうえでデジタル化が必要かを判断すると進めやすくなります。補助金・助成金を活用してICTを導入する方法もありますが、詳細は介護ソフト導入に使える補助金・助成金の解説記事にゆずります。
研修の受講状況と修了記録を一元管理したい方は
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研修管理を効率化するならCareBase(ケアベース)
認知症介護基礎研修を含む法定研修の運用では、「誰が対象か」「いつまでに受講するか」「進捗と修了記録はどうか」という管理業務が欠かせません。CareBase(ケアベース)は、介護記録・申し送り・教育(動画マニュアル)をクラウドで一元化し、法定研修の動画教育・受講管理・修了記録の保管に対応しています。動画マニュアルや多言語・視覚的なマニュアルを備えているため、外国人職員を含めた教育の標準化にも活用できます。
機能・料金・導入要件はサービス資料で確認できます。機能の詳細はCareBase(ケアベース)の全機能・料金の解説記事でも整理しています。
よくある質問(FAQ)
認知症介護基礎研修の費用と受講時間はどれくらいですか?
受講料は指定法人により幅があり、3,000円程度が一つの目安です(大阪府の例では2,200〜5,000円)。標準カリキュラム「認知症の人の理解と対応の基本」の所要時間は150分程度で、eラーニングでは各自のペースで受講できます(大阪府、2026年7月時点)。自治体や指定法人により金額・運用が異なるため、所属地域の実施情報を確認してください。
外国人職員はどのように受講させればよいですか?
自治体が用意する多言語・やさしい日本語の環境を活用できます。大阪府では日本語能力N4レベル程度で学べる「やさしい日本語」のeラーニングや、5言語の補助テキスト、字幕・音声ガイド付き動画が提供されています(大阪府、2026年7月時点)。提供状況は自治体ごとに異なるため、所属地域の内容を確認したうえで理解しやすい方法を選びます。
修了証や受講履歴はどう扱えばよいですか?
修了証に加えて、受講履歴や修了日をたどれる状態で保管することが望まれます。実地指導では研修の実施状況と記録の整備が確認されるため、対象者全体の受講状況を一覧で示せる形にしておくと対応がスムーズです。個別事情や必要書類は所管の自治体窓口で確認してください。
介護職員初任者研修を持っていれば対象外ですか?
介護職員初任者研修の修了者は、認知症介護基礎研修の対象外です。看護師・介護福祉士・実務者研修修了者などの有資格者も同様に対象外とされています(大阪府、2026年7月時点)。一方で無資格の職員は、これらの資格を持たない限り受講が必要です。
まとめ
認知症介護基礎研修の義務化は、無資格の介護職員に2024年4月から受講を求める制度で、対象職員は採用後1年以内の受講が必要です。未受講そのものにただちに科される罰則はありませんが、運営基準上の指摘を避けるには、対象者の把握・受講期限の管理・修了記録の保管を継続的に回す体制が要になります。実施方法はeラーニングと集合研修があり、自施設の職員数・シフト・地域の実施状況に合わせて選ぶと受講漏れを抑えられます。
対象者リストと修了記録が「いつでも確認できる状態」で整っていれば、実地指導にも落ち着いて対応でき、認知症ケアの質を組織として底上げしていく土台になります。まずは自施設の対象者と受講状況を棚卸しし、管理をどう仕組み化するかを検討することが、次の一歩になります。
認知症介護基礎研修を含む法定研修の教育を標準化したい方は
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