carebase(ケアベース)コラム
2026.7.8
申し送りの電子化とは?メリット・費用・進め方を解説
申し送りの電子化とは、口頭や紙で行っていた引き継ぎを介護記録システムなどで記録・即時共有し、誰でも同じ情報を参照できる状態にすることです。介護現場では記録の電子化が進む一方、申し送りは紙・口頭のまま残り、残業や伝達ミスの一因になっています。この記事では、申し送りを電子化するメリットと費用・補助金、法的な扱い、定着の進め方を厚生労働省などの公的データで整理します。
紙の申し送りから電子化へ移行したい方は
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申し送りの電子化とは?紙・口頭運用との違い
紙・口頭から即時共有への転換と、記録75.4%/情報共有38.9%の普及差を整理(出所: 介護労働安定センター 令和6年度介護労働実態調査・令和3年厚生労働省令第9号の整理に基づき編集部作成)
申し送りの電子化とは、引き継ぎ事項を介護記録システムやアプリに入力し、全スタッフがリアルタイムで同じ情報を確認できるようにする取り組みを指します。口頭や紙のノートに依存した運用との最大の違いは、情報が一元化され、いつ・誰でも・最新の状態で参照できる点にあります。
申し送りの電子化は「記録・即時共有」を仕組みにすること
紙の申し送りノートや口頭での伝達では、記録した内容が次の勤務者に届くまでにタイムラグが生まれます。特に夜勤と日勤の交代時は、口頭だけで伝わる情報、ノートの確認漏れ、最新情報の所在が分からないといった事態が起きやすく、対応漏れにつながります。紙資料は保管場所も分散しやすく、必要な情報を探す時間そのものが業務負担になります。
電子化された申し送りでは、入力した内容がその場で全員に共有されます。優先度のタグ付けや未読・既読の管理、利用者ごとの注意事項の表示、写真付きの共有といった機能を使えば、「伝えたつもり」「聞いていない」という行き違いを減らせます。申し送りの電子化は、人の記憶や口頭の伝達に頼らず、情報共有を仕組みとして担保する手段だと位置づけられます。
なお、介護記録そのものの電子化(メリットや費用、法的要件までの全体像)については、介護記録の電子化とは|メリット・費用・法的要件まで徹底解説で詳しく整理しています。
「記録」は電子化が進んでも「申し送り」は遅れている
介護現場のICT化を機能別に見ると、記録と申し送りで進み方に差があります。介護労働安定センターの令和6年度介護労働実態調査では、利用者情報(ケア記録・ケアプラン等)の入力・保存・転記の機能を日常的に利用している事業所は75.4%に達しています。一方で、職員間の報告・連絡・相談を行うグループウェアの機能は38.9%、タブレット端末・スマートフォンで他の職員と業務連絡できる機能は35.1%にとどまります(介護労働安定センター 令和6年度介護労働実態調査、2026年6月時点)。
このデータから読み取れるのは、記録の電子化は7割を超えて普及した一方、申し送りや情報共有の電子化は4割に届いていないという普及格差です。記録を電子化しても、その情報を引き継ぐ申し送りが紙や口頭のままでは、入力した内容が次の勤務者に十分活かされません。だからこそ施設管理者の方は、記録単体ではなく記録と申し送りをつなぐ電子化を優先課題として検討することが、現場の伝達ミスと二度手間を減らす近道になります。
申し送りの電子化は監査・実地指導でも認められている
「紙でなくて監査や実地指導は大丈夫か」という不安は、電子化をためらう要因になりやすい論点です。結論として、介護記録の電子的な作成・保存は制度上認められています。令和3年1月25日に公布された「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第9号)」により、利用者の利便性向上や事業者の業務負担軽減の観点から、電磁的記録による取扱いが明文化されました(三重県 電磁的記録等に関する取扱いについて、2026年6月時点)。
この省令では、事業者は省令で規定する書面(被保険者証に関するものを除く)の作成・保存等を電磁的記録によって行えるとされています。電磁的記録とは、パソコンのハードディスクやUSBメモリなどに記録・保存された電子データを指します。つまり、申し送りや介護記録を電子データで残すこと自体は、紙と同等に取り扱える前提が整っています。ただし、解釈通知の留意事項やサービス種別ごとの扱いは自治体によって運用が分かれる場合があるため、導入前に所管自治体の解釈通知を確認しておくと安心です。
申し送りを電子化する5つのメリット
情報共有・記録時間・引き継ぎ・可視化・教育の5観点で効果を整理(出所: 厚生労働省 ICT導入支援事業 令和3年度 導入効果報告の整理に基づき編集部作成)
申し送りを電子化する主なメリットは、情報共有の即時化、記録の二度手間の削減、引き継ぎの正確性向上の3点に集約されます。厚生労働省の調査では、情報共有のしやすさを実感した事業所が9割に達しており、定量的にも効果が確認されています。
1. 情報共有がリアルタイムになり、伝達漏れが減る
申し送りを電子化する最大のメリットは、情報がリアルタイムで全スタッフに共有される点です。厚生労働省のICT導入支援事業 令和3年度の効果報告では、情報共有がしやすくなったと回答した事業所が90.3%、事業所内の情報共有が円滑になった(話し合い時間の増加等)が88.0%にのぼります(厚生労働省 ICT導入支援事業 令和3年度 導入効果報告、2026年6月時点)。これは補助事業所5,371のうち5,058事業所(94.2%)が回答した大規模な調査結果です。
口頭や紙の申し送りでは、気づいた人だけが情報を持っている状態が生まれやすく、スタッフ間で情報が分断されます。電子化すれば、記録した瞬間に全員へ届き、通知機能で重要情報の見落としも防げます。利用者の体調変化や突発的な出来事は時間を選ばず起こるため、記録のタイムラグがそのまま申し送りミスにつながりがちです。入力と同時に情報が行き渡る仕組みは、「知らなかった」「聞いていない」という伝達ミスを構造的に減らせる点で、現場の安全性に直結します。
2. 二重入力・転記がなくなり、記録時間が減る
紙運用では、現場メモ・介護記録・日報・申し送り・LIFE提出データといった複数の書類に同じ内容を繰り返し書く場面が多くあります。この二重入力が、記録の後回しや残業、記載漏れの原因になります。
電子化によって入力した情報を他の書類にも活用できるようになると、この二度手間が解消されます。前述の効果報告では、入力済みの情報を他の文書でも利用できるようになったが84.8%、文書作成の時間が短くなったが81.9%、記録に要する時間が削減されたが78.7%、全体の業務量が減ったが68.5%という結果でした(厚生労働省、2026年6月時点)。一度の入力で記録と申し送りを兼ねられる仕組みは、限られた人数で運営する施設ほど効果が大きくなります。スマートフォンやタブレットでその場で記録できる環境を整えれば、メモから清書する作業や事務所へ戻る回数も減り、現場移動の負担軽減にもつながります。バイタル・食事介助・排泄介助・入浴介助・服薬確認といった頻度の高い記録を定型フォーマット化しておくと、選択式・チェック形式で入力でき、記録時間をさらに短縮できます。
3. 夜勤・日勤、多職種の引き継ぎがスムーズになる
申し送りで特に負担が大きいのが、夜勤帯と日勤帯の交代時の引き継ぎです。電子化すれば、夜間の体調変化、服薬拒否、転倒リスク、褥瘡の状態変化といった重要情報をその都度記録・共有できるため、朝の申し送り時間の短縮につながります。交代のたびに口頭で長時間かけて伝えていた内容を、記録を見れば把握できる状態に変えられます。
さらに、介護職だけでなく看護師・リハビリ職・ケアマネジャーといった多職種とも同じ情報を同時に確認できるため、ケア方針のズレを減らせます。厚生労働省の効果報告では、電子化で削減できた間接業務時間の活用先として、利用者とコミュニケーションする時間が52.0%、利用者の直接ケアの時間が45.0%、職員の残業時間の削減が1年目39.8%・2年目45.9%という回答が得られています(厚生労働省、2026年6月時点)。引き継ぎが短縮された分の時間が、ケアや残業削減に回っている実態がうかがえます。
4. 未読・既読や優先度の管理で「伝えたつもり」をなくす
口頭の申し送りは、ニュアンスを伝えやすい反面、聞き漏れや解釈のズレが起きやすく、情報の再現性が低いという課題があります。電子化された申し送りでは、優先度タグ・未読既読管理・利用者ごとの注意事項表示・写真付き共有といった機能で、誰が・いつ・どの情報を確認したかが可視化されます。
受け手が自分のタイミングで再確認でき、重要情報には強調表示が付くため、「伝えたつもり」「見たつもり」を減らせます。口頭で伝えた内容を後から記録と照合できるようにしておくと、聞き逃しや曖昧な表現を記録が補完してくれます。なお、電子化はあくまで仕組みであり、申し送りの内容そのものの質を高めるには進め方や書き方のコツも欠かせません。フォーマットの統一や二重確認といった実践的な手順は、介護の申し送りのコツと進め方|ミスを防ぐ5つの実践ステップで具体的に解説しています。電子化と書き方の両輪で、引き継ぎの精度が安定します。
5. 記録の標準化で、新人・外国人スタッフの教育がしやすい
紙運用では、記録や申し送りの書き方が職員ごとに異なり、ベテランしか書けない、表現ルールが統一されていない、新人が何を書けばよいか分からない、といった属人化が起きやすくなります。電子化で入力フォーマットを統一すれば、何を入力すればよいかが明確になり、教育負担を軽くできます。
動画マニュアル機能を備えたシステムを併用すれば、OJTへの依存を減らし、教える内容を統一できます。繰り返し視聴できるため理解度も高めやすく、外国人スタッフの教育にも対応しやすくなります。実際、厚生労働省の効果報告の自由記述では、ICT導入により「外国人技能実習生が記録可能になった」という声も挙がっています(厚生労働省、2026年6月時点)。
要点: 申し送りの電子化は、情報共有のしやすさ(90.3%)・記録時間の削減(78.7%)・引き継ぎの可視化という3点で、定量データに裏づけられた効果が確認されています。記録だけでなく申し送りまで電子化することで、入力した情報が引き継ぎに活きる流れが完成します。
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知っておきたい申し送り電子化のデメリットと対策
初期コスト・IT苦手意識・システムトラブルの課題と対策を対で整理(出所: 厚生労働省 ICT導入支援事業 令和3年度 導入効果報告の整理に基づき編集部作成)
申し送りの電子化には、初期コスト・職員のIT苦手意識・システムトラブルへの備えという課題があります。いずれも事前の対策で軽減できる範囲であり、メリットとあわせて理解しておくことが導入判断の精度を高めます。
初期コスト・端末整備(課題に挙げる事業所は約9割)
電子化には、介護ソフトの利用料に加え、タブレット端末や通信環境の整備費がかかります。厚生労働省のICT導入支援事業 令和3年度の効果報告でも、課題としてパソコンやソフト、システム等の導入のための費用補助を挙げた事業所が89.8%と最多でした(厚生労働省、2026年6月時点)。費用が導入のハードルになっている現状は明確です。
この課題に対しては、後述する介護テクノロジー導入支援事業などの補助金を活用できる場合があり、初期負担を抑えられることもあります。一度にすべての端末を揃えるのではなく、まず一部のユニットから段階的に導入する方法も、初期負担を分散させる現実的な選択肢になります。
職員のIT苦手意識(同じく約9割が課題視)
同じ調査では、パソコンやソフトに対する職員の苦手意識の解消・研修等を課題に挙げた事業所が89.5%と、費用に並ぶ高さでした(厚生労働省、2026年6月時点)。年齢層の幅広い職場では、使える人と使えない人で差が出ることへの懸念もあります。
対策としては、日々のスマートフォン操作に近い感覚で使える、操作のシンプルなシステムを選ぶことが第一歩です。あわせて、導入研修の実施、操作マニュアルの整備、フォロー担当者の配置といった支援体制を整えることで、定着までの不安を抑えられます。トップダウンで一斉に押し付けるのではなく、職員の納得を得ながら少しずつ活用範囲を広げた施設で定着が進みやすい傾向も、同調査の自由記述から読み取れます。
システムトラブル・セキュリティへの備え
ネットワーク障害やシステムトラブルへの不安、個人情報の取扱いへの懸念も、導入をためらう要因になります。クラウド型のシステムは自動バックアップが行われるため、紙のように災害や劣化で記録が失われるリスクを抑えられる側面があります。一方で、ログイン管理や端末紛失時の対応ルール、アクセス権限の設定を事前に決めておくことは欠かせません。万が一の通信障害に備え、一時的に紙で運用する手順を併せて用意しておくと、現場が止まる事態を避けられます。
電磁的記録の取扱いにあたっては、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」や「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が参照資料として案内されています(三重県、2026年6月時点)。これらを踏まえて運用ルールを整備しておくことが、安全な電子化の前提になります。
紙・口頭運用と電子化を客観的に比較する
紙・口頭運用と電子化は、情報共有の即時性・抜け漏れの起きやすさ・記録の手間で電子化が優位な一方、初期コストと習熟の面では電子化に負担があります。どの項目を重視するかを施設ごとに整理することが、導入判断の軸になります。
以下は、申し送りに関わる主要な評価軸ごとに、紙・口頭運用と電子化を同じ基準で比較した表です。電子化のデメリット側も併記しています。
| 評価軸 | 紙・口頭運用 | 電子化(申し送り) |
|---|---|---|
| 情報共有の即時性 | 確認までタイムラグが生じる | 入力と同時に全員へ共有 |
| 抜け漏れ・伝達ミス | 口頭依存・確認漏れが起きやすい | 未読既読・通知で見落としを抑制 |
| 記録・転記の手間 | 同じ内容を複数書類に二重入力 | 入力情報を他書類にも活用 |
| 夜勤・日勤/多職種の連携 | 口頭中心でズレが生じやすい | 同じ情報を同時に参照 |
| 検索・履歴の参照 | 過去記録を探すのに時間がかかる | 利用者名・日付で即検索 |
| 保管・監査対応 | 保管スペースが必要・準備に時間 | 電磁的記録で保存・即時提示 |
| 初期コスト・習熟 | 追加コストは小さい | 端末費・利用料・習熟期間が必要 |
この比較から見えるのは、日常業務の効率と引き継ぎの正確性では電子化が優位である一方、初期コストと操作習得というハードルが残るという構図です。重要なのは「紙をなくすこと」自体を目的にするのではなく、「どの課題を最優先で解決したいか」を起点に判断することです。残業削減を優先するのか、伝達ミスの防止を優先するのか、監査対応の効率化を優先するのかで、必要な機能や導入範囲は変わってきます。
電子化の効果を感じやすい施設の特徴
申し送りの電子化による改善効果は、すべての施設で一律ではありません。特に効果を感じやすいのは、紙・口頭運用の限界から生まれる課題を抱えている施設です。次の項目に当てはまるものが多いほど、電子化を検討する価値が高い状態にあります。
- 記録や申し送りの作成が残業の原因になっている
- 夜勤・日勤間で情報共有の抜け漏れが起きやすい
- 口頭依存で「伝えたつもり」のトラブルが発生している
- 職員ごとに記録・申し送りの書き方にばらつきがある
- 紙ノートやバインダーが現場に1冊しかなく、同時に見られない
- 実地指導や加算対応の書類準備に時間がかかっている
- 新人や外国人スタッフの記録教育に負担を感じている
これらは、いずれも紙・口頭運用の構造的な限界から生まれる課題です。介護労働安定センターの令和6年度調査では、従業員が不足していると感じる事業所が65.2%にのぼり(介護労働安定センター、2026年6月時点)、限られた人数で質を保つ必要に迫られています。3つ以上当てはまる場合は、申し送りの電子化を前向きに検討する段階に入っていると評価できます。
要点: 電子化は情報共有の即時性・正確性・検索性で紙運用を上回りますが、初期コストと習熟は課題として残ります。自施設が重視する評価軸を先に決めることが、過不足のない導入につながります。
申し送り電子化の費用(補助金が使える場合も)
申し送り電子化の費用は、介護ソフトの利用料・端末・通信環境で構成されます。介護テクノロジー導入支援事業などの補助金を活用できる場合があり、初期負担を抑えられることもあります。
費用の内訳と料金形態
電子化にかかる費用は、主に介護ソフトの利用料、タブレット端末、Wi-Fiなどの通信環境で構成されます。厚生労働省のICT導入支援事業 令和3年度の状況では、補助対象となったICT機器は介護ソフトが67.5%、タブレット端末が53.6%、Wi-Fi機器が20.8%でした(厚生労働省、2026年6月時点)。端末や通信環境も含めて初期費用を見積もることが、導入後のギャップを防ぐポイントになります。
介護ソフトの提供形態は、クラウド型が70.3%とオンプレミス型(27.0%)を上回ります。支払い形態は購入時一括が67.1%、月額払が20.1%、年額が8.5%という分布でした(厚生労働省、2026年6月時点)。月額制のクラウド型を選べば、初期費用を抑えながら導入できる選択肢が広がります。
補助金を活用できる場合がある
費用負担を抑える手段として、介護テクノロジー導入支援事業などの補助金を活用できる場合があります。申し送りの電子化は「文書量半減」や「記録・情報共有の効率化」という補助の方向性と合致しやすい取り組みです。補助率・上限額・受付状況は年度や都道府県によって異なるため、最新の要件や申請の流れは所管自治体で確認する必要があります。介護ソフトに使える補助金の種類・補助率・申請手順は、【2026年度版】介護ソフトの補助金まとめ|種類・補助率・申請手順で詳しく整理しています。
要点: 申し送り電子化の費用は、介護ソフトの利用料・端末・通信環境で構成されます。クラウド型・月額制を選べば初期費用も抑えやすく、要件を満たせば介護テクノロジー導入支援事業などの補助金を活用できる場合があります。
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申し送りを電子化する進め方(5ステップ)
申し送りの電子化は、現状の棚卸し→目的の明確化→システム選定→運用整備→段階導入の5ステップで進めると定着しやすくなります。いきなり全面切り替えをするのではなく、課題を整理してから段階的に広げることがポイントです。
1. 現状の申し送り業務を棚卸しする
最初のステップは、いまの申し送り・記録業務にどんな無駄があるかを可視化することです。業務ごとに記録方法・入力回数・課題を書き出すと、二重入力や確認漏れが発生している箇所が見えてきます。
| 業務内容 | 記録方法 | 入力回数 | 課題 |
|---|---|---|---|
| バイタル記録 | 紙 | 2回 | 転記が発生 |
| 申し送り | ノート | 1回 | 確認漏れ |
| 日報作成 | Excel | 2回 | 集計に時間がかかる |
| LIFE提出 | 手入力 | 3回 | 二重入力が多い |
このように整理することで、どの業務を電子化すれば効果が大きいかを判断しやすくなります。申し送りは確認漏れが起きやすく、記録と連動させることで二度手間も解消しやすい領域です。棚卸しの段階で「どこに無駄があるか」を共有しておくと、現場の納得も得やすくなります。
2. 電子化の目的(残業・ミス・監査対応)を決める
電子化を成功させる事業所に共通するのは、「何のために導入するか」が明確な点です。目的が曖昧なまま進めると、「結局何が良くなったのか」という不満が出やすく、管理者と現場の認識にもズレが生まれます。
記録時間を減らしたいのか、申し送りミスを防ぎたいのか、実地指導への対応を楽にしたいのか。改善したい課題を先に決めることで、必要な機能や導入範囲を絞り込めます。目的が定まれば、システム比較の評価軸も自然と決まります。
3. 現場が使えるシステムを選ぶ
申し送りに使うシステムは、多機能であることより「現場で使いやすいこと」を優先すると定着しやすくなります。比較の際は、次のような観点を確認しておくと過不足のない選定ができます。
- 操作が直感的で分かりやすいか
- スマホ・タブレットに対応しているか
- テンプレート入力ができるか
- 申し送り機能(優先度・未読既読・通知)があるか
- LIFE提出に対応しているか
- 教育機能(動画マニュアル等)があるか
- 権限管理ができるか
- サポート体制があるか
- 無料トライアルがあるか
厚生労働省は、補助対象となる介護ソフトについて「記録業務・情報共有業務・請求業務を一気通貫で行える(転記等の業務が発生しない)もの」という考え方を示しています(厚生労働省 介護テクノロジーの利用促進、2026年6月時点)。記録と申し送りが分断されず、入力した情報がそのまま引き継ぎに活きるかどうかは、選定の重要な判断材料になります。無料トライアルがあれば、現場職員が直感的に使えるかをデモ画面で事前に確認しておくと、導入後のミスマッチを防げます。高機能であることだけを基準に選ぶと、操作が複雑で現場に使われないケースもあるため、申し送りで日常的に使う機能にしぼって、操作のしやすさを優先するのが定着への近道です。
4. 運用ルール・端末・教育を整える
システムを選んだら、導入前に運用ルールを整えます。リアルタイム入力にするかまとめ入力を許可するか、記録表現をどう統一するか、誰が確認・承認するかといった運用面のルールを決めておくと、現場の混乱を防げます。
端末面では、タブレットの台数が足りるか、Wi-Fi環境は安定しているか、ログイン管理や紛失時の対応をどうするかを確認します。教育面では、導入研修の実施、操作マニュアルの整備、フォロー担当者の配置、ITが苦手な職員への支援体制を準備しておくことが、定着の土台になります。
5. 段階導入と効果検証を行う
最後のステップは、一部業務から段階的に始め、効果を検証しながら広げることです。一斉切り替えは現場の負担を急増させ、繁忙期や人手不足の時期には反発につながりやすくなります。まずは申し送りや記録など限定的な業務から始め、成功体験を積みながら範囲を広げる方法が現実的です。
厚生労働省の効果報告でも、ICT導入で効果を出した事業所は導入時に工夫を重ねています。情報共有の方法を見直した事業所が87.7%、記録・報告様式を見直したが84.9%、業務手順書・マニュアルを作成した(申し送り等の標準化等)が71.1%にのぼりました(厚生労働省、2026年6月時点)。システムを入れるだけでなく、運用と標準化をセットで進めることが効果につながっています。導入後は週次・月次でミスの傾向や記録漏れを振り返り、運用ルールを現場に合わせて微調整していくと、定着が安定します。申し送りだけでなく記録・研修まで含めて施設全体の情報共有を効率化する観点は、介護施設の情報共有を効率化する方法|申し送り・記録・研修を一元化するコツも参考になります。
申し送りを電子化して引き継ぎを効率化するならcarebase(ケアベース)
carebase(ケアベース)は、申し送りを電子化し、記録・教育まで一つのクラウドで一元管理できる介護施設向けの業務支援システムです。記録した情報がそのまま申し送りに連動するため、二重入力を減らしながら引き継ぎの精度を高められます。
申し送りと記録を同じ画面で連携させたい方は
carebase(ケアベース)のサービス資料を見る
申し送り・記録・教育を一元管理できる
carebase(ケアベース)は、介護現場向けに設計されたクラウド型の記録・申し送りシステムです。記録テンプレートによる標準化、申し送り機能との連携、動画マニュアルによる教育支援、LIFE対応のデータ管理を一元化できる点が特徴です。記録・情報共有を分断せず一気通貫で行える設計は、厚生労働省が補助対象の介護ソフトに求める「転記等の業務が発生しない」という方向性とも合致します。
データ上は、記録の電子化が7割を超えて普及する一方、申し送り(職員間の情報共有)の電子化は4割に届いていません(介護労働安定センター、2026年6月時点)。記録と申し送りをつないで一元化できるツールは、この普及格差を埋め、入力した情報を引き継ぎまで活かす観点で合理的な選択肢になります。導入を判断する際は、carebase(ケアベース)を含めて複数のシステムを、操作性・申し送り機能・LIFE対応・サポート体制・費用という同じ評価軸で比較し、自施設の課題に合うかどうかを確認することをおすすめします。
現場が使いやすいシンプル設計とサポート体制
介護現場では「多機能」より「簡単に使えること」が定着を左右します。carebase(ケアベース)は、タップ中心の簡単な入力、見やすい画面設計、リアルタイム共有によって、現場に定着しやすい環境を整えています。職員のIT苦手意識が約9割の事業所で課題に挙がる現状(厚生労働省、2026年6月時点)を踏まえると、操作のシンプルさは導入時のハードルを下げる要素になります。
導入時には、初期設定支援・操作研修・運用相談・継続フォローといったサポートも用意されているため、ICT化が初めての施設でも段階的に運用を始められます。機能・料金・導入要件の詳細は資料で確認できます(資料請求は無料です)。
申し送り電子化のよくある質問(FAQ)
申し送りの電子化とは何ですか?
口頭や紙で行っていた引き継ぎを介護記録システムなどに入力し、全スタッフがリアルタイムで同じ情報を確認できるようにすることです。優先度タグや未読既読の管理で、伝達漏れや「伝えたつもり」を減らせます。記録と連動させれば、入力した情報がそのまま申し送りに活き、夜勤・日勤の交代や多職種への引き継ぎもスムーズになります。紙ノートのように1冊しかなくて同時に見られない、という制約も解消できます。
介護記録・申し送りを電子化しても、監査や実地指導で問題ありませんか?
問題ありません。令和3年厚生労働省令第9号により、記録の作成・保存等を電磁的記録で行うことが認められています(三重県、2026年6月時点)。ただし、解釈通知の留意事項は自治体によって運用が分かれる場合があるため、導入前に所管自治体で確認しておくと安心です。
申し送り電子化の費用はどれくらいで、補助金は使えますか?
費用は介護ソフトの利用料・端末・通信環境で構成され、クラウド型・月額制を選べば初期費用を抑えやすくなります。介護テクノロジー導入支援事業などの補助金を活用できる場合があり、補助金の種類・補助率・申請手順は本文の「申し送り電子化の費用(補助金が使える場合も)」で案内しています。
ITが苦手な職員が多くても定着しますか?
操作のシンプルなシステムを選び、研修・マニュアル・フォロー体制を整えれば定着は進みやすくなります。厚生労働省の調査では職員の苦手意識を課題とする事業所が89.5%にのぼりますが(厚生労働省、2026年6月時点)、一斉切り替えではなく一部業務から段階的に始め、職員の納得を得ながら広げた施設で定着しやすい傾向が報告されています。
まとめ
申し送りの電子化は、口頭や紙に頼った引き継ぎを記録・即時共有の仕組みに変えることで、伝達漏れの防止、記録の二度手間の削減、引き継ぎの正確性向上につながります。厚生労働省の調査では情報共有のしやすさを9割の事業所が実感しており、効果は定量的にも確認されています。一方で、初期コストや職員の苦手意識といった課題は残るため、補助制度の活用と段階的な導入で負担を抑えることが現実的です。介護現場では記録の電子化が先行する一方、申し送りの電子化は遅れているのが現状であり、記録と申し送りをつないで一元化することが、入力した情報を引き継ぎまで活かす鍵になります。まずは自施設の申し送り業務を棚卸しし、解決したい課題を明確にするところから始めてみてください。
記録と申し送りを一元化して引き継ぎを効率化したい方は
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介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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