carebase(ケアベース)コラム

2025.12.22

介護記録のデジタル化は必要?メリット・デメリットと費用・導入判断のポイント

介護記録デジタル化の現状と、なぜ今注目されているのか

介護現場では、慢性的な人手不足や業務量の増加を背景に、記録業務の効率化が大きな課題となっています。こうした状況のなかで注目されているのが、介護記録のデジタル化です。紙やExcelで行っていた記録を、専用の介護記録システムへ移行する事業所は年々増えています。

背景には、国全体で進められている介護DXの流れがあります。記録・申し送り・情報共有をデジタル化することで、職員の負担を軽減し、ケアの質を維持・向上させることが求められています。一方で、「本当に現場で使いこなせるのか」「デメリットはないのか」といった不安を抱えたまま、検討が止まってしまうケースも少なくありません。

本コラムでは、介護記録のデジタル化について、メリットだけでなくデメリットも正直に整理し、導入判断に活かせる視点を提供します。

介護記録のデジタル化で、こんな不安はありませんか?

「介護記録をデジタル化した方がいいのは分かるけれど、本当にうまくいくのだろうか」
そう感じている施設は少なくありません。

実際、介護記録システムの導入を検討している事業所では、導入前に似たような悩みを抱えているケースが多く見られます。特に多いのが、次の5つの不安です。

1. 職員が使いこなせるか不安

紙記録に慣れている現場では、「入力が難しそう」「ITに苦手意識のある職員が多い」といった声がよく聞かれます。特に年齢層が幅広い職場では、「使える人と使えない人で差が出るのでは」と心配になることもあるでしょう。

2. 導入費用が高そう

介護記録システムは、「高額なシステム投資が必要」というイメージを持たれやすい分野です。システム利用料だけでなく、タブレット端末や通信環境の整備まで考えると、「結局いくらかかるのか分からない」と感じる施設も少なくありません。

3. 現場の負担が増えそう

導入初期は操作を覚える必要があるため、「むしろ手間が増えるのでは?」という不安もあります。特に慢性的な人手不足の現場では、新しい運用を覚える余裕がないと感じることもあるでしょう。

4. 本当に業務効率化につながるのか

「記録時間が短くなる」「申し送りが楽になる」と聞いても、自施設で同じように効果が出るのか分からず、判断に迷うケースもあります。紙やExcelでも何とか回っている場合、「本当に変える必要があるのか」という疑問が出るのは自然なことです。

5. 導入しても定着しなかったらどうしよう

せっかく費用をかけて導入しても、現場で使われなくなってしまえば意味がありません。「結局紙に戻った」という話を耳にし、慎重になる管理者の方も多いでしょう。

こうした不安は、決して珍しいものではありません。しかし実際には、導入方法やシステム選びを工夫することで、多くの課題は事前に解消できます。

介護記録のデジタル化とは何か〜紙・Excelからの脱却〜

介護記録のデジタル化とは、日々のケア記録や申し送りを紙やExcelで管理するのではなく、専用の介護記録システムで一元管理することを指します。入力はPCだけでなく、タブレットやスマートフォンから行えるケースが多く、現場での記録がリアルタイムに共有される点が特徴です。

紙記録では、記入漏れや読み間違い、保管スペースの問題がつきまといます。Excel管理の場合でも、ファイルの分散や更新漏れが起こりやすく、情報共有にタイムラグが生じがちです。デジタル化は、こうした「記録が原因で発生するムダ」を減らすための手段として位置づけられます。

紙記録・Excel管理・介護記録システム(デジタル化)の違いのイメージ

介護記録をデジタル化する5つのメリット

1. 記録時間の大幅な削減

デジタル記録では、定型文やテンプレート入力、選択式の項目を活用できるため、手書きやExcel入力と比べて記録時間を短縮しやすくなります。実際に、1記録あたり数分の短縮が積み重なり、1日あたりの業務時間に大きな差が生まれるケースもあります。

2. 情報共有がスムーズになる

入力された記録は即座に共有され、申し送りや確認作業が効率化されます。夜勤・日勤間の情報伝達ミスが減り、「伝えたつもり」「見ていなかった」といったトラブルの防止にもつながります。

3. 必要な情報をすぐに検索できる

過去の記録をキーワードや期間、利用者ごとに検索できる点も大きなメリットです。紙ファイルをめくる手間がなくなり、実地指導や監査対応の際にも迅速に資料を提示できます。

4. データの紛失・劣化リスクを防げる

クラウド型のシステムでは自動バックアップが行われ、災害や事故による記録消失リスクを軽減できます。長期保管が必要な介護記録において、安心材料のひとつとなります。

5. 実地指導・加算対応がしやすくなる

記録の抜け漏れや表現のばらつきを減らすことで、実地指導時の指摘リスクを抑えやすくなります。加算算定に必要な記録の整理もしやすく、管理者の負担軽減につながります。

一方で知っておきたい、デジタル化のデメリット

デジタル化には多くのメリットがありますが、万能ではありません。導入前に把握しておきたいデメリットも存在します。

代表的なのが初期コストです。システム利用料や端末導入費が発生するため、費用面の不安を感じる事業所は少なくありません。また、操作に慣れるまで一定の時間が必要で、職員のITリテラシーに差がある場合は、定着まで工夫が求められます。

さらに、システムトラブルやネットワーク障害への不安、紙記録への慣れからくる心理的抵抗感も、導入をためらう要因になりやすいポイントです。

carebase(ケアベース)のデジタル化のデメリットイメージ

デメリットは解消できる|現場で実践されている対策とは

デジタル化のデメリットは、事前に対策を講じることで多くが解消できます。実際に導入がうまくいっている事業所では、以下のような工夫が行われています。

初期コストへの対策
導入費用については、補助金や助成金の活用により実質的な負担を抑えることが可能です。介護記録システムはICT導入支援の対象になるケースが多く、費用面のハードルは想像より低くなることもあります。

操作への不安への対策
「ITが苦手な職員が多い」という不安に対しては、直感的に使えるシステムの選定に加え、導入時のサポート体制が重要になります。実際には、日々のスマートフォン操作に近い感覚で使えるケースも多く、短期間で定着する事業所も少なくありません。

定着しないリスクへの対策
一度にすべてを切り替えるのではなく、まずは一部業務から段階的に導入することで、現場の負担を抑えながら運用を定着させることができます。成功している事業所の多くは、「完璧を目指さない」導入を選択しています。

システムトラブルへの対策
クラウド型システムでは、データの自動バックアップやサポート対応が整備されているため、紙よりも安全性が高いケースもあります。万が一に備えた運用ルールを事前に決めておくことで、リスクは最小限に抑えられます。

これらの対策を踏まえると、デジタル化の課題は「導入できない理由」ではなく、「適切に進めるためのポイント」と捉えることができます。

助成金を活用した場合、実際の負担額はどれくらい?

「デジタル化したいけれど、費用が心配」という施設は少なくありません。しかし、介護記録システムはICT導入支援事業などの補助制度の対象になるケースがあり、実際の負担額を大きく抑えられる可能性があります。

たとえば、介護記録システムの導入費用が100万円だった場合でも、補助率によっては自己負担額は大幅に軽減されます。

【導入コストのシミュレーション例】

ケース①:導入費用100万円/補助率3/4の場合

  • 導入費用:100万円
  • 補助金額:75万円
  • 自己負担額:約25万円

ケース②:導入費用150万円/補助率1/2の場合

  • 導入費用:150万円
  • 補助金額:75万円
  • 自己負担額:約75万円

もちろん、対象条件や自治体ごとの制度内容によって金額は異なります。ただ、「高そうだから無理」と最初から判断してしまうのは、少しもったいないかもしれません。

特に近年は、介護現場のICT化を後押しする流れが強まっており、支援制度が利用しやすいタイミングでもあります。まずは、自施設が対象になる制度があるかを確認してみることをおすすめします。

紙記録とデジタル記録の違いを比較する

介護記録のデジタル化を検討する際、「結局、何がどれだけ変わるのか」が見えないと判断が難しくなります。ここでは、紙記録とデジタル記録を主要項目ごとに比較します。

比較表【紙記録 / デジタル記録】

比較項目 紙記録 デジタル記録
記録にかかる時間 手書き中心で時間がかかりやすい テンプレート・選択式で短縮しやすい
情報共有 申し送り・回覧が必要 入力と同時にリアルタイム共有
検索性 過去記録を探すのに手間 利用者名・日付などで即検索
記録の統一 書き方が職員ごとにばらつく 表記・項目を標準化しやすい
保管・管理 ファイル・保管スペースが必要 クラウド保存で省スペース
実地指導対応 書類準備に時間がかかる 必要記録をすぐ提示可能
紛失リスク 災害・劣化のリスクあり バックアップで低減

このように、日常業務の効率と管理面ではデジタル記録が優位である一方、初期コストや操作習得といったハードルも存在します。重要なのは、「どの項目を重視するか」を事業所ごとに整理することです。

自施設は今導入すべき?介護記録デジタル化チェックリスト

「興味はあるけれど、うちの施設はまだ早い気がする」
そう感じている場合は、まず現場の課題を整理してみましょう。

次の項目に当てはまるものが多いほど、介護記録のデジタル化による改善効果を感じやすい可能性があります。

  • 記録業務が残業の原因になっている
  • 申し送りミス・伝達漏れが起きやすい
  • 実地指導の準備に時間がかかる
  • 職員ごとに記録内容のばらつきがある
  • 紙ファイルの管理や保管スペースに困っている
  • 新人教育に時間がかかっている
  • 夜勤・日勤間で情報共有の抜け漏れがある
  • 記録確認や検索に時間がかかる

3つ以上当てはまる場合は、デジタル化を検討する価値が高い状態といえます。

ただし、すべてを一気に切り替える必要はありません。最初は申し送り機能だけ、記録機能だけなど、一部業務から段階的に始める施設も多くあります。

重要なのは、「紙をなくすこと」を目的にするのではなく、「現場の負担を減らすこと」を目的に考えることです。

導入がうまくいく事業所に共通する考え方のイメージ

導入がうまくいく事業所に共通する考え方とは

介護記録のデジタル化は、同じシステムを導入しても「うまく定着する事業所」と「現場で使われなくなる事業所」に分かれることがあります。その差を生むのは、システムの性能そのものよりも、導入時の考え方や進め方にあるケースがほとんどです。

うまくいっている事業所に共通しているのは、「現場の業務を変えること」よりも、「現場の負担を減らすこと」を優先している点です。
記録項目や入力ルールを、現場の実情に合わせて整理したうえで導入しているため、「システムに合わせて働き方を変える」状態になりにくく、自然に業務に組み込まれていきます。

また、導入初期から完璧な運用を目指していないことも特徴です。
まずは一部の業務や記録から使い始め、現場の声を拾いながら調整していくことで、「使いづらさ」が大きな不満になる前に改善されています。このプロセスがあることで、職員の心理的なハードルも下がり、「思ったより負担が増えなかった」という評価につながりやすくなります。

一方で、つまずきやすいケースとして多いのが、「とにかく紙をやめること」をゴールにしてしまうパターンです。業務フローの整理や説明が不十分なまま一斉切り替えを行うと、入力ルールが曖昧になり、結果として記録の質や業務効率が下がってしまうこともあります。

デジタル化を成功させるために重要なのは、
「現場がどう使うか」「何が楽になるのか」を、導入前に共有しておくことです。
この視点を持つことで、デジタル化は“負担の増える変化”ではなく、“現場を支える仕組み”として機能しやすくなります。

よくある失敗パターンと回避策|定着しない原因とは?

介護記録のデジタル化は、システムを導入すれば必ず成功するわけではありません。実際には、「導入したけれど現場で使われなかった」「結局紙運用に戻った」というケースもあります。

ただし、失敗する施設には共通点があります。事前に知っておけば、多くは回避可能です。

失敗パターン1:一斉切り替えで現場が混乱する

「今日からすべて電子化します」と急に運用を変えると、現場の負担が急増し、混乱が起きやすくなります。特に繁忙期や人手不足の時期は、反発につながることもあります。

回避策
最初は一部ユニットのみ、または申し送り・記録など限定的な業務から始めましょう。成功体験を積みながら段階的に広げることで、定着しやすくなります。

失敗パターン2:機能の多さだけで選んでしまう

「高機能だから安心」と考えて導入しても、操作が複雑だと現場では使われません。実際には、“機能の多さ”より“使いやすさ”の方が定着に影響するケースが多くあります。

回避策
現場職員が直感的に使えるかを重視し、デモ画面や無料体験などで事前確認を行いましょう。

失敗パターン3:「何のために導入するか」が曖昧

目的が不明確なまま進めると、「結局何が良くなるの?」という不満が出やすくなります。管理者と現場の認識にズレが生まれる原因にもなります。

回避策
「記録時間を減らしたい」「申し送りミスを防ぎたい」「実地指導対応を楽にしたい」など、改善したい課題を事前に明確にしましょう。

失敗パターン4:現場説明が不足している

現場職員に十分な説明がないまま導入すると、「仕事が増える」「管理が厳しくなる」と誤解されることがあります。

回避策
導入前に「何が楽になるのか」「どんなメリットがあるのか」を共有し、現場目線で不安を解消しておくことが重要です。

デジタル化の成功を左右するのは、システムそのものよりも“導入の進め方”です。無理なく始め、現場に合う形へ調整していくことが、定着への近道になります。

デジタル化を検討すべき事業所の特徴チェックのイメージ

デジタル化を検討すべき事業所の特徴チェック

次のような状況が当てはまる場合、介護記録のデジタル化は検討価値が高いといえます。

  • 記録業務が残業や業務圧迫の原因になっている
  • 申し送りミス・情報の行き違いが起きやすい
  • 実地指導や加算対応の準備に時間がかかる
  • 職員の入れ替わりがあり、記録教育に負担を感じている

逆に、「今すぐ全てを変える必要はない」と感じる場合でも、一部業務からのデジタル化という選択肢もあります。

失敗しない介護記録ツールの選定基準

介護記録のデジタル化を成功させるためには、「何を基準に選ぶか」を明確にすることが重要です。以下のポイントを事前に整理しておきましょう。

① 現場が直感的に使える操作性か
② 初期費用・月額費用が明確か
③ 導入・運用サポート体制があるか
④ 必要な機能に過不足がないか
⑤ 将来的な拡張性があるか

これらの観点で比較することで、自事業所に合ったツールを選びやすくなります。

carebase(ケアベース)で進める、無理のない介護記録デジタル化

介護記録システムを選ぶ際には、機能の多さだけでなく「現場で使い続けられるか」が重要です。ケアベースは、直感的に操作できるUI設計と、導入時のサポート体制により、デジタル化への不安を軽減しながら移行を進められる点が特徴です。

段階的な導入支援や、事業所の運営形態に合わせた活用提案により、「まずは使ってみる」状態を作りやすいのもポイントです。

介護記録システム選定では、「機能で何ができるのか」を具体的に知ることも欠かせません。
以下のコラムでは全機能一覧をまとめています。

carebase(ケアベース)全機能一覧 〜記録・マニュアル・申し送りを網羅した完全ガイド〜

現場で使えて負担を減らせる介護記録・介護特化マニュアルシステム「carebase(ケアベース)」の画像

まとめ|メリットとデメリットを理解した上で、最適な形でデジタル化を進める

介護記録のデジタル化は、業務効率化や情報共有の質を高める一方で、導入方法を誤ると現場の負担になる可能性もあります。だからこそ、メリットだけでなくデメリットも正しく理解し、自事業所に合った進め方を選ぶことが重要です。
比較表や事例を参考にしながら、「どこを改善したいのか」「何を優先したいのか」を整理することで、デジタル化は現場を支える心強い手段になります。

特に重要なのは、「デジタル化そのもの」を目的にしないことです。記録時間を短縮したいのか、申し送りミスを減らしたいのか、実地指導への対応を楽にしたいのか、事業所ごとに課題は異なります。目的が明確になれば、必要な機能や導入範囲も自然と絞り込めます。

また、すべてを一度に切り替える必要はありません。紙と併用しながら一部業務から始める、特定のユニットで試験的に導入するなど、段階的な進め方を選ぶことで、現場の不安や抵抗感を抑えながら移行することが可能です。
デジタル化は「我慢して慣れるもの」ではなく、「現場が楽になるための仕組み」です。無理のないペースで取り入れることが、結果的に定着と効果につながります。

介護記録のデジタル化を検討中の方は、
carebase(ケアベース)の機能・導入イメージ・サポート内容をまとめた資料をご活用ください。
事業所の規模や課題に合わせた導入検討に役立ちます。

介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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