carebase(ケアベース)コラム

2026.2.20 介護ICT導入・業務効率化

執筆者:川﨑翔太

【介護福祉士監修】介護記録の書き方完全ガイド|記録漏れを防ぐ5つのポイントと実践的な文例集

監修者プロフィール

  • 監修者名:川﨑翔太
  • 現職:介護支援専門員
  • 経験年数:介護業界17年(現場7年・介護支援専門員10年)
  • 保有資格
    • 介護福祉士
    • 介護支援専門員
    • 福祉住環境コーディネーター2級
    • 福祉用具専門相談員
  • 専門分野
    現役のケアマネジャーとして在宅高齢者のケアマネジメント業務に従事。3年前より介護・健康ジャンルを中心にWEBライターとして活動開始。これまでに介護施設の選び方・介護ICT・介護職員の働き方など多数の記事の執筆を経験。
  • 経歴概要
    介護福祉士として医療機関・介護付き有料老人ホームでの介護現場に従事。ケアマネ資格取得後、地域密着型特養のケアマネジャーを経験し、現在は居宅介護支援事業所ケアマネジャーとして在宅で生活する要介護高齢者のケアマネジメントに携わる。

導入:正しく書けている?介護記録のよくある悩みと課題

介護現場において「介護記録」は、単なる業務の一部ではなく、利用者の安全を守り、ケアの質を高めるために欠かせない重要な役割を担っています。しかし実際には、「何を書けばいいかわからない」「毎回の記録に時間がかかる」「正しく書けているか不安」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

介護記録は、法的にも作成・保存が求められており、万が一のトラブルや事故が発生した際には重要な証拠となります。つまり、記録の内容や書き方ひとつで、施設や職員自身を守ることにもつながるのです。
一方で、日々の業務に追われる中で「とりあえず書く」状態になってしまい、記録の質や効率に課題を感じている現場も少なくありません。

本記事では、介護福祉士監修のもと、法的要件を満たしながらも記録時間を削減できる実践的な書き方をわかりやすく解説します。
5W1Hの基本原則や客観的事実の書き方、トラブル時の記録ポイント、よくあるミスとその対策まで、具体例を交えて紹介。また、すぐに使えるテンプレートや、記録業務を効率化する方法についても詳しく解説します。

「正確に、わかりやすく、そして効率よく」記録を書くためのポイントを押さえれば、日々の負担を軽減しながら、より質の高いケアの提供が可能になります。
初心者の方はもちろん、経験を積んだ方の見直しにも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

介護記録とは?役割と法的な重要性

介護記録は、利用者の安全とケアの質を守るために欠かせない重要な業務の一つです。また、単なる報告書ではなく、チームケアを支える「情報資産」としての役割も持っています。

記録の目的や役割を正しく理解することで、日々の記載内容も大きく変わります。

情報共有を円滑にする役割

介護現場はシフト制で職員の出勤時間がそれぞれ異なる場合があり、業務中は医療職や相談援助職との連携が欠かせません。記録が正確であれば、どの職員が見ても利用者の体調や生活状況を把握できます。

たとえば、食事量の減少や排泄リズムの変化などを記録に残すことで、他の職員と情報を共有でき、適切な対応をとることができます。

ケアの質を維持・向上させる役割

介護記録は、日々の記録を蓄積することで、利用者の変化やケアの効果を客観的に確認できます。そのため、ケアの振り返りや改善に役立ちます。

また、新人職員にとってはケアの学習ツールの一つとなり、ベテラン職員にとっては後輩職員への指導やケアプランの見直しとして役立つでしょう。そのため、記録が充実しているほど、ケアの質が安定しているといえます。

法的証拠としての役割

介護記録は介護保険法にて作成・保存が義務付けられている重要な業務です。特に事故やクレームが発生した際には、当時の状況や職員の対応を客観的に示す資料として扱われます。

日頃から事実に基づいた内容を残しておけば、万が一の場合でも経過を正確に説明でき、結果として職員や施設を守ることにもつながります。

このように介護記録は、「利用者の生活を支える情報」と「現場を守る証拠」の役割を持つ重要な書類です。役割を理解することで、正確で質の高い記録を書く第一歩となります。

介護記録の基本ルール|5W1Hで書く

介護記録を分かりやすく、正確に書くためには「5W1H」を意識することが基本です。何を書けばよいか迷う場合でも、5W1Hの視点に沿って整理すると、多くの職員が状況を把握しやすくなります。

5W1Hとは、下記の6つの要素を指します。

When(いつ) 実施した日時
Where(どこで) 場所や場面
Who(誰が) 利用者・対応した職員
What(何を) 行ったケアや出来事
Why(なぜ) 対応の理由や背景
How(どのように) 具体的な方法や結果

こちらの要素を押さえて記録することで、情報不足や誤解を防ぐことが可能です。たとえば「食事介助をした」だけではなく、「12時、居室にてA様に昼食の全介助を実施。嚥下状態を確認しながらゆっくり提供し、主食7割摂取」と記録すると、具体的な状況が明らかになります。

一方で、「いつもより元気がない」「しっかり食べた」などの曖昧な表現は、読む人によって解釈が異なります。主観的な言葉ではなく、事実を中心に記録することが重要です。

また、5W1Hを意識した記録は、申し送りやケアの見直しにも役立ちます。新人職員にとっては「何を書くか」の判断基準になり、ベテラン職員にとっては指導やケアの振り返りに活用できます。

まずは5W1Hを基本ルールとして、誰が読んでも理解できる記録を心がけることが大切です。

記録漏れを防ぐ5つのポイント

介護記録の質を保つうえで最も重要なのは、記録漏れを防ぐことです。記載されていないケアは「実施していない」と判断される可能性があり、申し送りミスや事故の原因につながります。

現場で確実に記録を残すために、5つのポイントを押さえておくことが大切です。

  1. ケア直後にメモを残す
    記録漏れの多くは「あとで書こう」と思ったまま忘れてしまうことが原因です。ケア直後にメモを取る習慣をつけることで、重要な情報の抜けを防げます。
    忙しい時間帯でも、短いキーワードだけでも残しておくと安心です。
  2. 5W1Hをチェックしながら記録する
    「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」を確認しながら書くと、自然と情報の抜けが減ります。書き終えたあとに5W1Hを見直すだけでも、記録の精度は大きく向上するでしょう。
  3. ルーティン業務こそかんたんに記録する
    毎日の食事や排泄などの定型業務は、慣れによって省略されがちです。しかし、変化がなくても「通常通り」と記載することで、状態が安定している証拠になります。
    記録がない状態を作らないことが重要です。
  4. 申し送りとセットで確認する
    勤務交代時の申し送り内容と記録を照らし合わせることで、書き忘れに気づきやすくなります。リーダーやベテラン職員は、チーム全体の記録状況を確認する習慣を持つとよいでしょう。
  5. 記録しやすい環境を整える
    記録様式が複雑だったり入力端末が不足していると、記録漏れの原因になります。よりシンプルな記録様式やテンプレートの活用、入力ルールの統一など、現場全体で記録しやすい環境を整えることも重要です。

記録漏れは個人の行動や仕組みづくりで防ぐことが可能です。日々の小さな工夫を積み重ねることで、正確で信頼性の高い介護記録につながります。

よくある介護記録のミスとその対策

介護記録は日々書き慣れてくると、無意識のうちに不適切な書き方になることがあります。こちらでは、現場でありがちな介護記録のミスについて解説します。

  1. 主観的な表現を書いてしまう
    「元気がない」「機嫌が悪い」などの主観的な表現は、人によって解釈が変わります。記録は誰が読んでも同じ状況を理解できるよう、客観的な事実で記録することが重要です。

    • × 元気がない様子だった
    • 表情乏しく、声かけに対する返答が少ない状態
    • × 不機嫌だった
    • 眉間にしわを寄せ、問いかけに対し返答なし

    感情や印象ではなく、利用者の行動や反応を具体的に記録することで、正確な情報共有につながります。

  2. 情報が少なく状況が伝わらない
    内容が簡潔すぎると、実際にどのようなケアを行ったのか分かりません。5W1Hを意識し、時間や状況、結果まで記録することが大切です。

    • ×食事介助を行った
    • 12時10分、食堂にてA様の昼食介助を実施。職員◯◯が右側より介助し、主食6割・副食8割摂取。食後むせ込みなし、水分200ml摂取確認
    • ×入浴した
    • 14時、浴室にてC様の入浴介助を実施。職員田中が更衣から洗身まで全介助。湯温40℃、入浴時間10分。表情穏やかで「気持ちいい」と発言あり、皮膚トラブルなし

    このように、具体的な数字や様子を加えるだけで、記録の質は大きく向上します。

  3. 記録のタイミングが遅い
    後からまとめて記録すると、記憶が曖昧になり重要な変化を見落とす可能性があります。ケア直後にメモや入力を行う習慣をつけることが重要です。

    • ×午前中の出来事をまとめて記録
    • ケア実施後すぐに要点をメモし、勤務内に記録へ反映
    • ×詳細を思い出せず「変化なし」と記載
    • 排泄回数・食事量などその都度メモして正確に記載

    忙しい時は短いキーワードでも良いので、その場で残しておくことが記録の精度向上につながります。

  4. 感情的・否定的な表現を使う
    記録に感情的な表現や否定的な言葉を入れると、トラブルの原因になるケースもあります。事実のみを冷静に記録することが必要です。

    • ×わがままを言って拒否した
    • 入浴を勧めるも首を横に振り「入りたくない」と発言あり
    • ×何度言っても理解しない
    • 同様の説明を3回行うも、内容理解が難しい様子

    記録は評価を書く場ではなく、事実を共有するためのものです。客観的な表現を徹底しましょう。

  5. 変化がないと記録しない
    状態が安定していると「特変なし」などかんたんに済ませがちですが、普段と変わりないことも重要な情報です。記録がないと状態確認ができません。

    • ×特になし
    • 食事・排泄・バイタルともに大きな変化なく安定して経過
    • ×記録省略
    • 夜間覚醒なく入眠。定時巡視時も安静に過ごされている

    「変化がない」という事実も、継続的なケアの重要な記録になります。

    このようなミスは、日々の書き方を少し意識するだけで防ぐことが可能です。職場内で記録の基準を共有し、誰が見ても分かる記録を目指すことが、質の高いケアの実現につながります。

トラブル時の介護記録の書き方

転倒や体調急変などのトラブル発生時は、介護記録が利用者の安全確保と職員・施設を守る重要な証拠になります。事実を時系列で、客観的かつ具体的に記録することが最も重要です。

主観や推測を避け、5W1Hを意識して記載することで、後から誰が見ても状況を正確に状況を把握できます。

たとえば転倒時は「いつ・どこで・誰が発見し・どのような状態だったか・その後どう対応したか」を順序立てて書きます。

  • 発見時の状況(姿勢・表情・出血や痛みの有無)
  • 実施した対応(バイタル測定、看護師報告、家族連絡など)
  • 利用者の発言や様子

これらを事実ベースで残すことが重要です。また、「不注意で転倒したと思われる」などの推測や、「大丈夫そうだった」といった曖昧な表現は避けることが必要です。

代わりに「左側臥位で床上に座り込んでいるところを発見」「本人より『足が滑った』との発言あり」など、確認できた事実のみを記録します。

トラブル時の記録は、事故原因の分析や再発防止にも直結します。慌ただしい状況でも、落ち着いて客観的な事実を整理し、簡潔かつ正確に記録できるよう心がけましょう。

すぐ使える!介護記録のテンプレートと文例

介護記録を効率的かつ正確に記録するためには「迷わず書ける型」を持つことが重要です。
これから紹介するテンプレートは、5W1Hを押さえて作成しています。

あらかじめ項目が整理されているため、記入内容の抜け漏れを防ぎ、誰が読んでも状況が分かる記録を短時間で作成できます。また、毎回文章を一から考える必要がなくなり、記録にかかる時間の短縮や職員間の表現のばらつきも減らせます。

こちらでは、日常業務で使用頻度の高い4つの場面別テンプレートと文例を紹介します。

  • 食事介助の記録テンプレート
    【時間・場所】/【介助内容】/【摂取量】/【様子・発言】

    記録例
    12時10分、食堂にて昼食介助を実施。全介助にて対応。主食6割、副食8割摂取。むせ込みなし、水分200ml摂取。「おいしい」と発言あり、表情安定している。

  • 入浴介助の記録テンプレート
    【時間・場所】/【介助内容】/【入浴中の様子】/【皮膚状態】

    記録例
    14時、個浴にて入浴介助実施。更衣・洗身ともに全介助。湯温40℃、入浴時間10分。表情穏やかで拒否なし。発赤や皮膚トラブル認めず。

  • 排泄介助の記録テンプレート
    【時間・場所】/【介助内容】/【排泄状況】/【利用者の様子】

    記録例
    10時30分、居室トイレにて排泄介助実施。歩行不安定のため見守り介助。排尿あり、排便なし。排泄後「すっきりした」と発言あり。

  • 体調変化時の記録テンプレート
    【発生時間】/【訴え・症状】/【バイタル】/【対応内容】/【経過】

    記録例
    15時頃、「頭が少し痛い」と訴えあり。体温37.5℃、血圧128/76mmHg。看護師へ報告し安静臥床とする。30分後再検温37.2℃、表情落ち着きあり。

このように、テンプレートの活用によって、書く内容に迷う時間が減り、記録の質を一定に保てます。結果として情報共有の精度やケアの安全性向上につながります。

職場全体で共通の型を持つことで、介護記録をより効果的なツールとして活用できるでしょう。

記録業務を効率化する方法

介護記録は重要な業務ですが、書き方や環境を少し見直すだけで負担は大きく軽減できます。こちらでは、現場ですぐ実践できる効率化の方法を解説します。

  1. テンプレートや用語を施設内で統一する
    記録の書き方が職員ごとに異なると、内容の確認や申し送りに余計な時間がかかります。また、同じ出来事でも表現がバラバラでは、読み手が状況を正確に把握するまでに時間が必要です。

    記録のテンプレートや使用する用語の統一し、あらかじめ記入項目や表現の基準を決めることで、誰が書いても一定の質を保てます。新人職員も迷わず記入できるようになり、指導の手間も減るでしょう。

    施設全体で記録の型を共有することが、効率化と情報共有の精度向上につながります。

  2. 業務中にメモをとる習慣をつける
    介助やコール対応が続く中で、すべてを記憶して後から記録するのは負担が大きく、記入漏れの原因にもなります。時間が経つほど、細かな様子や発言は思い出しにくくなるものです。

    そのため、業務の合間に短いメモを残す習慣をつけることが大切です。ポケットメモや電子メモを活用し、要点だけを書き留めておきます。

    後から記録する際の手がかりとなり、正確な内容をスムーズに記録できます。記憶に頼らずメモを活用することで、書き直しや確認の手間を減らせるでしょう。

  3. ICTや音声入力を活用する
    記録業務の負担軽減には、ICT機器の活用も効果的です。介護ソフトやタブレット端末を導入している施設では、その場で入力することで転記作業を減らせます。

    紙からパソコンへの書き直しが不要になり、業務効率が向上します。また、音声入力機能を使えば、キーボード操作が苦手な職員でも短時間で記録が可能です。

    さらに、介助後すぐに音声で要点を残しておけば、後から整えるだけで記録が完成します。ICTを上手に取り入れることで、記録時間の短縮と情報共有のスピード向上が期待できます。

  4. 完璧を求めすぎず簡潔に書く
    記録をていねいに書こうとするあまり、文章が長くなりすぎてしまうケースも少なくありません。しかし、介護記録で重要なのは文章の美しさではなく、必要な情報が正確に伝わることです。

    すべてを詳しく書こうとするのではなく、変化や特記事項を中心に簡潔にまとめる意識が求められます。特に問題がない場合は「普段と変わりなし」と端的に記載するだけでも十分です。

    完璧を目指すより、読みやすく要点が伝わる記録を心がけることで、負担を減らしながら質の高い情報共有が実現できるでしょう。

初心者からベテランまで意識したい記録のコツ

介護記録の質を高めるには、経験年数に応じた視点で書き方を見直すことも重要です。初心者は「何を書けばよいか分からない」と悩みがちですが、まずは5W1Hを意識し、見た事実をそのまま記録する基本を徹底しましょう。

難しく考えず、利用者の様子やケア内容を具体的に記録に残す習慣を身につけることが成長への近道です。

一方、経験を積んだ職員ほど注意したいのが、慣れによる省略や主観的表現です。「いつも通り」「問題なし」といった曖昧な表現では、他の職員に状況が伝わりにくいです。客観的事実を簡潔に記録する意識が大切です。

質の高い記録を書くための共通ポイントは次のとおりです。

  • 見た事実を客観的に記載する
  • 具体的な言葉で利用者の様子を表す
  • 読み手を意識し簡潔にまとめる

初心者は基本の徹底、ベテランは記録の見直しを行うことで、職員間の情報共有の精度をより高め、質の高いケアの提供につながるでしょう。

まとめ|介護記録は「正確さ」と「効率」の両立が重要

介護記録は、利用者の安全を守り、ケアの質を高めるための重要な情報資産です。また、法的にも作成・保存が定められている重要な業務です。

正確な介護記録は、職員間の情報共有を支え、万が一の事故やトラブル時には職場や職員を守る証拠にもなります。質の高い記録を実現するためには、5W1Hを基本に客観的事実を具体的に記載すること、主観的・曖昧な表現を避けることが欠かせません。

また、テンプレートやメモ、ICT技術などを活用することで、記録漏れを防ぎながら効率的に記録することが可能です。「正確でわかりやすく、そして効率よく」書く意識を持つことで、日々の負担を軽減し、より安全で質の高い介護の提供につながります。

関連記事

carebase

carebase(ケアベース)の無料体験、
資料請求、お問い合わせはこちら

お問い合わせ

コラム一覧へ

おすすめ記事