carebase(ケアベース)コラム

2026.2.26 教育・人材育成

執筆者:柴田崇晴

【介護施設管理者監修】外国人介護職員の育成マニュアル|定着率を向上させる教育プログラムの作り方

監修者プロフィール

  • 監修者名:柴田崇晴
  • 経験年数:25年の相談支援業務
  • 保有資格
    • 社会福祉士
    • 主任介護支援専門員
  • 専門分野:介護施設運営・職員教育等
  • 経歴概要
    福祉大学を卒業後、高齢者福祉の分野で25年従事。高齢者施設の管理者をしながら都道府県・市町村の職能団体役員として活動中

はじめに

近年、介護業界では人材不足の深刻化に伴い、外国人介護職員の採用が急速に進んでいます。しかしその一方で、「教育がうまくいかない」「意思疎通が難しい」「せっかく採用してもすぐに離職してしまう」といった課題に悩む施設も少なくありません。

特に、言語や文化の違いは現場に大きな影響を与えます。業務手順の理解に時間がかかるだけでなく、指示のニュアンスが正しく伝わらず、思わぬミスや事故につながるリスクもあります。また、日本独特の「報連相」やチームワークの文化に戸惑い、孤立してしまうケースも見受けられます。

こうした問題の多くは、個々の能力ではなく「教育の仕組み」に原因があります。従来のようにOJT任せの属人的な指導では、教える人によって内容や質にばらつきが生じ、結果として職員の不安やストレスを増大させてしまいます。

本記事では、20年以上にわたり介護施設を運営してきた管理者の視点から、外国人介護職員の定着率を高めるための具体的な育成方法を解説します。
さらに、明日から使える育成チェックリストも掲載しています。外国人職員の育成に課題を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

外国人介護職員の育成が難しい3つの理由

外国人介護職員の育成がうまくいかない背景には、いくつかの共通した課題があります。これらを正しく理解せずに対策を講じても、表面的な改善にとどまり、根本的な解決にはつながりません。
一般社団外国人介護留学生支援機構の分析によれば、外国人介護職員の定着を促進する上で介護現場に欠けているものとして、言葉の壁によるコミュニケーションや文化の理解不足、未熟なキャリア支援であることがあげられています。
これら現場で起きやすい代表的な3つの課題を整理し、育成が難しくなる原因を明確にしていきましょう。

① 言語の壁による業務理解の遅れ

介護業務においてスタッフやご利用者とコミュニケーションをとるためには、日常会話が話せるというだけでは不十分です。さらに介護業務となれば、「話す」だけでなく「聞く・読む・書く」能力も同時に求められます。また、標準語をある程度マスターしたとしても、方言や専門用語などがさらに意思疎通の壁を高くしているといっても過言ではありません。
これは、外国人介護職員だけでなく、受け入れる施設側にも存在する共通の壁といえます。

公益財団法人介護労働安定センターの調査結果によれば、「外国人の受け入れをしていない施設」へ受け入れていない理由を調査したところ、意思疎通が難しいからと答えた事業所が37.1%であることが分かりました。つまり、働く前から「言葉の壁」によって受け入れが制限されていることが分かります。
<参考:令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について|公益財団法人介護労働安定センター

② 文化・価値観の違い

文化や価値観の違いは、言葉以上に現場の連携やサービスの質へ影響します。管理者は就労前後を通じて外国人介護職員へ丁寧な説明と理解確認を行い、同時に日本人スタッフへの理解促進も不可欠です。
相互理解を深め、管理者が継続的に調整することが定着の鍵となります。

③ 教育体制が属人化している

属人化とは、特定の職員にその職務が集中していることをいいます。
教育体制の視点でいえば、指導者を固定することで教育方針や研修内容が統一化され、外国人介護職員との信頼関係が築きやすいというメリットがあります。
その一方で、担当が複数になると研修内容がばらついたり、指導者と受講する職員の相性によって研修の質が左右されたりするデメリットもあります。

定着率を高める育成の基本設計とは

令和6年度に公益社団法人全国老人福祉施設協議会により、「外国人介護職員が良い職場と感じるポイント」についてアンケートがとられました。その結果、評価の高い要素として次の項目が挙げられています。

  1. 職場内のコミュニケーションが良好(66.5%)
  2. 悩みや不満を相談できる体制が整っている(55.7%)
  3. 希望に合わせてシフトを組んでもらえる(52.5%)
  4. 有給休暇が取得しやすい(52.2%)

一方で、「給料が良い」との回答は39.8%にとどまり、金銭面だけでは評価していないことが分かります。人材確保が厳しい中、外国人介護職員を一時的な戦力としてではなく、むしろ、組織の中核を担う人材として育成し、定着を図る視点が求められているのです。

だからこそ施設としては、場当たり的な対応に終始せず、育成の流れを「仕組み」として設計し、組織全体で継続的に運用していくことが重要です。
<参考:令和6年度外国人介護人材定着度調査報告書|公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

①動画マニュアルで言語の壁を解消する方法

言葉の違いによるコミュニケーションストレスは、外国人介護職員、日本人スタッフ双方にとって最も大きな壁の一つです。この課題を解決する手段として注目されているのが、動画マニュアルの活用です。視覚的に学べる環境を整えることで、言語への依存を減らし、より正確で効率的な教育が可能になります。ここでは、動画マニュアルの具体的な活用方法を紹介します。

業務手順が「見てわかる」動画
介護職が一般的におこなう食事介助や入浴介助、移乗などを実演形式で示す動画です。字幕や図解を加えることで言語理解に依存せず学べる構成とし、繰り返し視聴できることで理解の定着と指導負担の軽減につなげられます。良い例と悪い例も示しておくと、さらに理解が深まるでしょう。

職場ルール・文化理解動画
挨拶やご利用者へのマナー、報連相など私たちが当たり前におこなっていることでも丁寧に解説します。対応方法の説明はもちろん、なぜそうすべきなのか、なぜダメなのか、までしっかりと伝えることが重要です。この作業は手間や時間がかかってしまう内容ですが、これからの職場内での人間関係形成にも関わる重要な内容なので、しっかり取り組みましょう。

困ったときの対応ナビ
体調不良や事故などの緊急時、また相談が必要な場面での行動手順を分かりやすく示した動画はとても重要です。誰に・いつ・どのように伝えるのかを具体的に示すことで安心感が生まれます。その結果、心理的負担が軽減され、早期に支援を受けられる体制があることを伝えることができます。

carebase(ケアベース)は、動画マニュアルを活用して効率的な職場環境づくりをサポートします。現場で必要なときにすぐ確認でき、教育内容を統一できるだけでなく、職員一人ひとりの進捗状況も把握できます。

②失敗しないOJT計画の立て方

OJTは介護現場における基本的な教育手法ですが、計画性がないまま進めてしまうと、指導のばらつきや教育漏れが発生しやすくなります。特に外国人介護職員の場合は、段階的に理解を深められる設計が不可欠です。ここでは、誰でも再現できるOJT計画の立て方と、進捗管理のポイントを解説します。

分かりやすい目標の設定
開始前に到達目標や習得すべき内容を具体的に示し、指導者と対象者双方で共有することが重要です。自分にとって何が必要か、この施設では何を期待されているのかを明確にすることで、スムーズな指導、習得につながります。

指導内容と指導者の設定
育成は指導者によって成果が大きく左右されると言われています。だからこそ、指導担当者の役割や教える内容をあらかじめ明確にし、教え方に差が出ないようにすることが大切です。指導マニュアルや共通テキストを整備すれば、OJTの質を安定させ、教育を標準化することができます。

carebase(ケアベース)は記録共有と動画マニュアル機能により確認漏れを防ぎ、指導の抜け漏れを抑えOJTの質向上に貢献します。

③メンター制度の設計と運用ポイント

外国人介護職員が安心して働き続けるためには、業務の習得支援だけでなく、日々の不安や悩みに寄り添う精神的なサポートが欠かせません。その役割を担う仕組みの一つが「メンター制度」です。身近に相談できる存在がいることで、職場での悩みに早期に対応でき、孤立の防止や定着の促進につながります。

本章では、外国人介護職員の定着支援に資する効果的なメンター制度の作り方と、現場で実践しやすい運用のコツについて紹介します。

メンター=支援者と位置付ける
メンターの役割を「評価者」ではなく「支援者」と定義し、その目的を丁寧に共有することが大切です。つまり、成長を見守りながら安心して相談できる伴走者であるという存在だと認識してもらいましょう。役割が十分に共有されていないと、双方に遠慮や負担が生まれてしまいます。そのため、制度開始前に役割と目的をしっかり確認しておくことが重要です。

メンターへの支援体制も重要
メンターの選任は、経験や部署だけでなく、信頼関係を築ける人物かどうかが重要です。メンターの人柄は、外国人介護職員の安心感や心理的な支えに大きく影響するからです。
ただし、最初から最適な組み合わせかどうかは分かりません。
だからこそ、すべてをメンター任せにせず、管理者が定期的に状況を確認し、孤立や負担が生じていないかを支えることが、制度を継続させるポイントとなります。

定期的な対話機会を仕組み化する
面談の回数や話し合う内容をあらかじめ決めておくことで、忙しさによる実施漏れを防ぐことができます。また業務確認で終わらず日常的な雑談でお互いの人となりが分かり、その結果信頼関係が深まったり、課題の早期把握につながったりすることもあるので、ちょっとした合間でも対話をする機会として大切にしましょう。

④評価・フィードバックの正しいやり方

評価やフィードバックは、職員の成長を促すだけでなく、モチベーションや定着率にも大きく影響します。不透明な評価や一方的な指摘は、不信感や離職の原因にもなりかねません。外国人介護職員にも伝わりやすく、納得感のある評価を行うためのポイントについて解説します。

あらかじめ評価基準を伝えておく
基準をあらかじめ伝えておくことが納得感のある評価につながります。
何を重視し、どの状態を目標とするのか、特に外国人介護職員には具体例やイラストを活用して説明することで誤解を防ぐことができます。

評判や感覚に頼らない評価
評判や感覚ではなく観察した事実をもとに評価結果を伝えることが重要です。良い点と改善点をバランスよく伝えることで、評価結果を前向きに受け止めやすくなり、成長意欲の維持にもつながります。可能であれば、評価に関わる言動や対応を見たときにその場で評価、指導すると記憶が新しいうちに具体的に振り返ることができ、改善につながりやすくなります。

一緒に評価をおこなうこと
評価は一方的に伝えるものではなく、対話を通じて一緒に進める大切な機会です。
評価内容を共有するだけでなく、本人の感想や意向を丁寧に聞き取り、認識のすり合わせを行うことで信頼関係が深まります。
そうした積み重ねが、外国人介護職員の安心感と成長実感につながり、結果として職場への定着を後押しします。

⑤明日から使える育成チェックリスト

「何から始めればいいかわからない」という方のために、すぐに活用できる育成チェックリストをご用意しました。現状の教育体制を見直す際の指標として活用することで、抜け漏れの防止や改善点の明確化につながります。まずは、できるところから一つずつ取り組んでいきましょう。

育成チェックリスト
2025年度の介護ICT支援制度はどう変わる?最新ポイントを解説の画像

外国人介護職員の育成は「仕組み化」で定着率が変わる

外国人介護職員の育成を成功させるためには、個人の経験や勘に頼るのではなく、教育を「再現性のある仕組み」として整えることが不可欠です。つまり、誰が指導しても同じ水準で育成できる体制を構築することが重要です。
そのためには、自施設の教育体制を見直し、できるところから一つずつ「仕組み化」を進めていきましょう。

外国人職員の育成を仕組み化するならcarebase(ケアベース)を活用しませんか?

外国人介護職員の育成において、「教育の属人化」や「進捗の見えにくさ」に課題を感じていませんか?carebase(ケアベース)を活用すれば、介護記録と教育を一元管理し、指導履歴や成長過程を可視化することができます。これにより、誰が担当しても一定の教育品質を保ち、現場全体で育成を支える仕組みを構築できます。まずは資料請求やデモを通じて、貴施設の課題解決にどのように役立つのかをご確認ください。

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