carebase(ケアベース)コラム

2025.10.24 介護ICT導入・業務効率化

介護ICTで実現する介護DX─介護施設の業務効率化ロードマップ(実践編)─

人手不足時代に求められる“次の一手”とは

介護現場では今、「人手不足」「採用難」「定着率の低下」が深刻な課題となっています。
介護報酬改定や制度変更への対応に追われるなか、限られた人員で質の高いケアを提供することが求められています。
記録・申し送り・研修といった日々の業務が積み重なり、職員が利用者とじっくり向き合う時間が圧迫されている、そんな現場の声は少なくありません。
この状況を打開するカギとして注目されているのが、ICTを活用した業務のデジタルシフト(介護DX)です。
ICT導入の目的は、単に紙の記録を電子化することではありません。
現場の仕組みそのものを見直し、職員が本来のケアに集中できる環境を整えること。
この記事では、ICT導入による業務効率化の全体像と、導入を成功に導くための実践ステップを解説します。

介護ICT導入で得られる3つの効果

ICT導入の効果は、「短期・中期・長期(投資回収)」の3段階で捉えることができます。
 

効果の段階 内容 期待できる成果
短期(導入〜半年) 記録の電子化、申し送りの効率化 記録時間の大幅削減・情報共有のスピード向上
中期(半年〜1年) 教育・マニュアルの標準化 新人教育の時間短縮・業務の属人化防止
長期(1〜2年以降) 定着による生産性向上 管理コスト削減・離職率低下・ケアの質向上

 

たとえば、ケアベース導入施設では、記録時間を最大約80%削減し、申し送り業務の負担を大幅に軽減。
「記録に追われていた時間が、利用者とのコミュニケーションに使えるようになった」との声が多く寄せられています。
こうした変化は、単なるシステム導入ではなく“働き方改革”そのものです。

介護DXを阻む3つの導入課題と乗り越え方

ICT導入が進まない背景には、共通する3つの壁があります。

① コストへの不安

初期投資や月額費用を負担に感じる施設も多いですが、「介護テクノロジー導入支援事業」などの助成金・補助金制度を活用することで、導入費用の最大2/3が補助される場合もあります。
設備投資と比べて回収期間が短く、運用に乗れば継続的なコスト削減が可能です。
また、ICTは導入直後こそコストがかかりますが、「紙の印刷」「ファイル保管」「申し送りの時間」といった見えない固定費を削減する効果が高く、1〜2年で費用対効果を実感する施設が多くあります。

② 職員の抵抗感

「パソコンが苦手」「操作が難しそう」といった心理的ハードルは、操作性とサポート体制で解消できます。
ケアベースは、介護職員が“直感的に使える”シンプルなUI設計を採用し、導入時の研修・伴走支援を徹底。
ただし最も大切なのは、「現場を巻き込むプロセス」です。
ICTは“上から与えられる道具”ではなく、“現場が使いこなす仕組み”。
現場リーダーを中心に小さな成功体験を積み重ね、「これなら便利だ」と感じる瞬間を共有することが、定着への第一歩です。

③ 運用の定着

導入後の「使われなくなる」問題を防ぐには、業務フロー全体をICTに合わせて最適化することが重要です。
紙運用と併用する期間を短縮し、管理者がデータ活用の中心となることで、施設全体での定着率が大幅に向上します。
成功する施設では、「記録→分析→改善」という流れを日常業務に組み込み、ICTを“気づきのツール”として活用しています。
例えば、入力データから夜勤時の対応パターンを見直したり、LIFE提出データを根拠にケア方針を改善したりといった形で、ICTを職員の“考える力”の支援ツールにしています。

ICT導入ロードマップ(実践ステップ)

ここでは、介護施設が実際にICT導入を進める際のプロセスを、わかりやすく整理します。

ステップ1|現状の課題を可視化する

まずは、現場の業務を洗い出し、「どこにムダや重複があるか」を明確にします。
例:
・記録が二重入力になっている
・申し送りに30分以上かかっている
・新人教育の進捗が見えない
この段階で現場の声を丁寧にヒアリングすることが、後のICT定着に直結します。

ステップ2|目的と効果を設定する

「どんな課題を解決したいのか」「どの業務を効率化したいのか」を明確にします。
目的を曖昧にしたまま導入すると、成果が見えづらくなります。
例:
・記録時間を50%削減したい
・夜勤・日勤の情報共有ミスをゼロにしたい
・教育をマニュアル化して属人化を防ぐ

ステップ4|導入・職員教育・定着支援

導入時には、管理者向け・職員向けの研修を分けて実施するのが効果的です。
ケアベースでは、導入前の設定支援から、初期研修、運用後のフォローまでワンストップで対応しています。

ケアベースが支援する「現場発」のDX

ケアベースは、介護現場の声をもとに開発された現場起点のICTプラットフォームです。
記録・マニュアル・教育を一体化し、すべてをクラウドで管理することで、
「書く・伝える・育てる」を同時に効率化します。

主な特長

・誰でも使える操作性:ボタンや入力画面をシンプルに設計
・リアルタイム共有:申し送り・記録・報告書を即時に反映
・教育支援機能:動画マニュアル・チェックリストを自動配信
・クラウド一元管理:データが施設間でも連携可能

導入施設では、記録時間を最大約80%削減し、申し送り業務の負担も軽減。
これにより、業務効率だけでなく、職員の定着率向上・ケア品質の安定化にも寄与しています。

これからの介護×ICTが描く未来

今後、ICTは単なる業務支援ツールから、「現場を育てる仕組み」へと進化します。
記録データが自動的に蓄積・分析され、AIがケア内容の最適化を提案する。
利用者の状態変化を早期に察知し、転倒リスクを予測、そんな未来がすぐそこまで来ています。
何より重要なのは、「テクノロジーが人を置き換える」のではなく、
“人の感性や判断を支える”介護ICTという発想です。
システムが時間を生み出し、その時間を「人と向き合うケア」に使える。
それこそが、ICT導入の本当の価値です。

投資回収の考え方|ICTは“コスト削減ツール”ではなく“人材投資”

ICT導入を「費用」として捉えるか、「投資」として捉えるかで、その成果は大きく変わります。
仮に、1日あたりの記録時間を職員1人で30分削減できれば、
1ヶ月(20日勤務)で約10時間、年間では120時間の削減になります。
施設全体で見ると、年間数百時間分の人件費に相当する効果が生まれます。
つまりICTは、
「人の代わりに働く仕組み」ではなく、
「人がよりよく働くための仕組み」。
現場を支える人材を守るための“仕組み投資”こそ、DXの本質です。

まとめ|ICT導入は「未来の標準装備」に

介護DXは、一部の先進施設だけの取り組みではありません。
国も「介護ICT化の標準化」を推進しており、
今後はすべての施設にICT導入が求められる時代がやってきます。
ケアベースでは、介護現場の実情に合わせたICT導入プランを提案し、
導入から定着までを一貫してサポートしています。
まずは、自施設に合った導入ロードマップを描くところから始めてみてください。

コラム一覧へ

おすすめ記事