carebase(ケアベース)コラム

2025.9.1 介護ICT導入・業務効率化

介護ICT導入の失敗を防ぐ! よくある落とし穴と回避のポイント

導入したのに逆効果?介護ICT導入で失敗しないために

介護現場では、人手不足や業務の効率化が差し迫った課題となっており、その解決策としてICTの導入が進んでいます。
記録や情報共有をシステム化すれば、職員の負担軽減やサービス品質の向上につながると期待し、導入する施設は増えています。

しかし実際には
「使いこなせずに運用されなくなった」
「想定以上にコストがかかり負担になった」
「現場の業務フローに合わず、かえって手間が増えた」

といった失敗例も少なくありません。
せっかく導入しても活用できなければ、費用も時間も無駄になってしまいます。

この記事では、介護ICT導入でよくある失敗のパターンとその回避法を整理し、導入前に押さえておきたいチェックポイントを解説します。

よくある導入失敗の4つのパターン

1.操作が複雑で現場に浸透しない

ICTシステムの導入で最も多い失敗のひとつが、操作の複雑さです。
介護施設では、年齢層の高い職員やICTに不慣れなスタッフが多く、直感的に使えないシステムはすぐに現場で敬遠されてしまいます。

  • 利用者の記録を入力する画面が多く、どこに何を入れればいいのか迷う
  • ボタンやメニューの場所が分かりにくく、操作を覚えるのに時間がかかる
  • 「あれ?これどうやるんだっけ…」と業務の合間に操作方法を調べる手間が増える

このように、操作が複雑だとせっかく導入したICTも十分に活用されず、業務の効率化や情報共有といった導入目的が達成できないリスクが高まります。
つまり、ICTの導入において操作の簡潔さは重要なポイントなのです。

2. コストが想定以上に膨らむ

費用面の見通しを甘く見積もることもよくある失敗です。
初期費用だけでなく、月額利用料やサポート費用、システムのアップデート費用など、総額で考えると想定以上に膨らむケースがあります。

特に、補助金や助成金を前提に導入計画を立てると、補助金終了後のランニングコストが負担となることがあります。
また、現場の要望に応じたカスタマイズや追加機能の導入が必要になると、当初の予算を大きく上回ることも少なくありません。

コスト管理が不十分なまま導入を進めると、経済的負担だけでなく、導入後の運用体制にも影響が及びます。予算超過や運用困難によって、システムを十分に活用できなくなるリスクがあることを、事前に把握しておくことが重要です。

3. 現場の業務フローに合わない

ICTシステムが現場の実際の業務フローに合わない場合、導入しても思うように活用できないことがあります。

具体的には、以下のような問題が起こりやすいです。

  • 入力手順や画面構成が施設独自の業務手順とずれていると、職員は二重に作業を行わざるを得なくなる
  • 紙での記録とICTでの入力が重複し、かえって業務負担が増えるケースがある
  • システムに合わせて業務を無理に変更すると、現場での混乱やミスの原因になる

このような状況では、ICT導入の目的である「業務の効率化」や「情報の一元管理」が十分に達成できません。
そのため、導入前に現場フローとの整合性を確認し、必要に応じてシステムのカスタマイズや運用ルールの調整を行うことが重要です。

4. 導入目的が曖昧

ICTを導入する際に、明確な目的を定めないまま進めてしまうケースも少なくありません。
「便利そうだから」「補助金があるから」といった理由で導入を決めると、現場にとっての必要性や活用方法が曖昧になり、結果としてシステムが使われない状況に陥ります。

  • 導入の目的が不明確なため、職員にとってICT活用の動機が見えにくい
  • 「何を効率化したいのか」「どの業務を改善したいのか」が具体化されていない
  • 業務時間の短縮率や記録の精度向上などを設定していないため、導入効果が測定できない

このような状況では、導入後に「思ったような成果が出ない」という結果になりやすいです。
そのため、ICT導入前には目的を明確化し、具体的な改善目標や効果指標を設定することが、失敗を回避するために欠かせません。

失敗を回避するためのポイント

介護ICT導入における失敗例を整理すると、こうした典型的な要因であることが分かります。
では、これらのリスクをどのように回避すればよいのでしょうか。
ポイントは大きく分けて4つです。

  • 現場目線での操作性の確認
  • コスト管理の徹底
  • 業務フローとの整合
  • 導入目的の明確化

導入前にこれらを押さえることで、ICTの本来の目的である業務効率化や情報共有の改善を確実に実現することができます。
それぞれのポイントを具体的に解説していきます。

1. 現場目線での操作性を確認

ICT導入の成功には何よりも現場での使いやすさが重要です。
いくら高機能なシステムでも職員が操作に困難を感じると、定着せずに活用されなくなります。

具体的には、導入前に以下の点を確認することが有効です。

  • デモ利用やトライアルを現場スタッフに試してもらう
    実際の操作感を確認することで、複雑な画面構成や分かりにくい操作がないかを事前に把握できます。
  • 直感的に操作できるかをチェックする
    ボタンの配置や入力手順が分かりやすいかどうか、初めて触れる職員でも迷わず操作できるかを確認します。
  • 入力負担の軽減を意識する
    記録内容の自動補完やテンプレートの活用など、少ない操作で必要な情報を入力できる仕組みを検討します。

現場目線で操作性を確認することで、導入後の定着率が格段に高まり、業務効率化や情報共有の効果を十分に引き出すことが可能になります。

2. コストシミュレーションを徹底

ICT導入においては、初期費用だけでなく、ランニングコストやサポート費用も含めた総合的な費用計画が重要です。費用面の見通しが甘いと、導入後に予算オーバーや運用困難に直面する可能性があります。

具体的には、以下のポイントを押さえておくと効果的です。

  • 初期費用だけでなく月額利用料やサポート費用をすべて洗い出す
    導入費用だけに目を向けると、運用開始後に予想以上の支出が発生することがあります。
  • 補助金や助成金を活用する場合は、終了後のランニングコストも計算する
    補助金が終了した後も継続的に運用できるかを確認しておくことが重要です。
  • 追加機能やカスタマイズの費用も考慮する
    現場のニーズに応じた調整や機能追加が必要になる場合、当初の予算を上回ることがあります。

事前にコストシミュレーションを徹底しておくことで、予算超過のリスクを減らし、安心して導入・運用を進めることができます。

3. 自施設の業務フローに合わせる

ICTを導入する際、システムの仕様が現場の業務フローに合っているかを確認することは非常に重要です。
業務フローに合わないシステムは、入力の二度手間や無理な作業手順の変更を招き、導入効果を妨げることがあります。

導入前に確認しておきたいポイント3つ

  • 現場の1日の流れを整理してシステムに反映できるか確認する
    記録や連絡、申し送りのタイミングなど、現場業務の実態に合わせた設定が可能かをチェックします。
  • カスタマイズや柔軟な設定が可能かを確認する
    補助金が終了した後も継続的に運用できるかを確認しておくことが重要です。
  • 追加機能やカスタマイズの費用も考慮する
    固定のフォーマットや操作手順しかできない場合、現場の実務に沿った運用が困難になります。
  • 現場スタッフからのフィードバックを反映できる仕組みを作る
    導入後も改善を続けられる体制を整えることで、システム定着率が高まります。

現場フローに合わせたシステム運用を検討することで、二重作業や無理な運用変更を避け、ICT導入の本来の目的である効率化と情報共有を実現できます。

4. 自施設の業務フローに合わせる

ICTを導入する際には、目的を明確にすることが不可欠です。
導入の理由が曖昧だと、現場スタッフが利用意義を理解できず、システムが定着しない原因となります。

目的を明確にするためのポイント

  • 改善したい業務や課題を具体的に洗い出す
    例:記録業務の効率化、職員間の情報共有、事故防止など。
  • 達成したい目標やKPIを設定する
    例:記録入力時間の削減率、残業時間の短縮、誤記録の減少など。
  • 目的を職員に共有し、活用意義を理解してもらう
    導入後もスタッフが「なぜ使うのか」を理解できるようにすることで、定着率が高まります。

導入目的を具体化し、達成指標を設定することで、ICTの導入効果を測定しやすくなり、失敗を未然に防ぐことができます。

介護の現場をより良くするために

今回は、介護ICT導入でよくある失敗のパターンと、それを回避するためのポイントをご紹介しました。
ICTの導入は失敗のリスクが高いと感じるかもしれませんが、事前にポイントを押さえて準備すれば十分に回避できます。

計画的に導入を進めることでICTの導入効果を最大化し、現場の効率化と情報共有の改善につなげることができます。

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