carebase(ケアベース)コラム
2025.12.24 補助金・助成金
執筆者:川﨑翔太
【2025年度最新版】介護記録システム導入で使える補助金・助成金完全ガイド─都道府県別の申請方法とチェックリスト付き(保存版)【専門家監修】
監修者プロフィール
- 監修者名:川﨑翔太
- 現職:介護支援専門員
- 経験年数:介護業界17年(現場7年・介護支援専門員10年)
- 保有資格
- 介護福祉士
- 介護支援専門員
- 福祉住環境コーディネーター2級
- 福祉用具専門相談員
- 専門分野
現役のケアマネジャーとして在宅高齢者のケアマネジメント業務に従事。3年前より介護・健康ジャンルを中心にWEBライターとして活動開始。これまでに介護施設の選び方・介護ICT・介護職員の働き方など多数の記事の執筆を経験。 - 経歴概要
介護福祉士として医療機関・介護付き有料老人ホームでの介護現場に従事。ケアマネ資格取得後、地域密着型特養のケアマネジャーを経験し、現在は居宅介護支援事業所ケアマネジャーとして在宅で生活する要介護高齢者のケアマネジメントに携わる。
介護ICT化が進むいま、補助金をどう活用すべきか
介護業界では国が掲げる「介護DX」の推進が加速しており、介護記録システムをはじめとするICTツールの導入は、もはや“必須の取り組み”となりつつあります。
こうした流れを後押しするため、国や自治体はさまざまな補助金・助成金制度を用意しており、介護事業者がシステム導入コストを大きく抑えながら、ICT化を進められる環境が整ってきています。
しかし、「どの補助金が使えるのか」「自治体ごとの制度が複雑で比較できない」「申請書の書き方がわからない」など、多くの事業者が制度の活用に踏み出せていないのも実情です。
この記事では、介護記録システム導入時に使える2025年度最新の補助金・助成金情報を網羅し、厚生労働省・経済産業省の国の制度から、主要10都道府県の自治体支援策までをわかりやすく整理。
さらに、申請の流れ、必要書類チェックリストなど、実際の申請に役立つ具体的な内容を専門家監修のもと解説します。
これから介護DXを進めたい事業者にとって、「どの補助金を使うべきか」「どのタイミングで申請すべきか」がわかる、2025年度版の保存版ガイドです。
2025年度の介護ICT支援制度はどう変わる?最新ポイントを解説
2025年度は、国が推進する介護DX政策に沿って、介護現場のICT支援制度が段階的に見直しや拡充される動きが出ています。
特に、補助金の対象範囲や補助率、申請方法など、採択に関わる重要なポイントが変わりつつあるため、以下のような最新の制度動向をおさえることが重要です。
介護情報基盤の整備が本格化
厚生労働省は、介護サービス利用者・介護事業所・自治体・医療機関などが情報を共有できる「介護情報基盤」の整備を進めています。
これは、介護業務を電子化し、情報連携による業務効率化とサービスの質向上を目的としたもので、2026年4月の本格運用開始を見据えた動きです。
2025年秋には、介護情報基盤ポータルに機能が追加され、助成金申請の受付も開始されています。
この制度は、新しい情報連携の仕組みに対応するため、対応機器やマイナンバーカードの読み取り設備、セキュリティ対策ソフトなどの導入支援も含まれています。
そのため、介護事業所にとって無視できない流れとなっています。
介護テクノロジー導入支援制度の継続と自治体への支援
2025年度も介護テクノロジー導入支援事業が継続されます。
これは、介護ロボットやICT機器、システム導入にかかる費用の一部を補助する制度で、職員の業務負担軽減や生産性向上を目的としています。
また、自治体レベルでも多くの補助金制度が実施されており、具体的には大阪府では導入費用の3/4を補助する制度が公募されていました。
このように、国と自治体が連携してICT・介護テクノロジー導入を支援する体制が整いつつあります。
しかし、補助対象や補助率は地域によって異なるため、事業所ごとに最新の公募情報を確認することが重要です。
DX推進に向けた補助・助成のポイント
2025年度の制度では、単に機器を購入するだけでなく、業務フローの見直しや他システムとの連携、導入後の定着支援なども重視される傾向があります。
例えば、業務改善計画を提出することが補助要件となるケースもあり、DX推進を前提とした支援制度設計が進んでいます。
加えて、自治体ごとの補助金制度では、見守りAIや勤怠管理クラウドなどのソフトウェア費用も対象になる場合があり、現場の実務負担軽減につながる支援の幅が広がっています。
介護DX関連予算の確保と中長期的な方針
2025年度の制度改正・支援制度は単年度だけでなく、中長期的なDX推進の方向性を反映しています。
令和7年度の厚生労働省の補正予算では、介護情報基盤整備や介護テクノロジー開発支援として200億円超の予算が計上されています。
このように、国として介護現場のデジタル化を後押しする体制が強化されており、今後数年をかけて制度や基準が整理・拡充されていくことが予想されます。
国の補助金制度(最新情報)
2025年度の国の補助金制度は、単なるICT機器の導入支援から一歩進み、「介護DXにどれだけ貢献するか」がより重視される内容へと整理されています。
システムを入れること自体が目的ではなく、業務改善や人材不足への対応につながるかどうかが補助金制度の採択を左右する重要なポイントとなっています。
介護テクノロジー導入支援事業(厚生労働省)
介護テクノロジー導入支援事業は、介護現場の生産性向上と職員の負担軽減を目的とした制度です。
介護記録システムをはじめ、情報共有や業務効率化に資するICTツールが主要な補助対象となっています。
補助率は原則1/2〜3/4で、補助上限額は事業所の規模や導入内容によって異なります。
2025年度は、ICT機器の整備そのものよりも、記録の標準化や業務フロー全体の見直しにつながる導入かによって明確に評価される点が特徴です。
申請する際は「記録作成時間がどれだけ短縮されるか」「情報共有がどう改善されるか」など、具体的な業務改善効果を示すことが重要になります。
IT導入補助金(経済産業省)
IT導入補助金は、中小事業者のデジタル化を幅広く支援する制度で、介護事業所も対象です。
介護記録システムが事前にITツールとして登録されていれば活用でき、補助率は原則1/2、補助額は最大150万円程度まで拡充されています。
2025年度は、単一業務の効率化だけでなく、複数業務を横断したデータ活用や業務連携が評価されやすい方向性が示されています。
業務プロセス全体のデジタル化をどのように実現するかを整理して申請することが、採択につながるポイントです。
このように、2025年度の補助金制度は「なぜこのICTが必要なのか」「導入後にどのような変化が生まれるのか」を説明できるかが、これまで以上に求められています。
どんな介護記録システムが補助対象になる?
介護記録システムを補助金で導入するには、「記録ができる」だけでは不十分です。
さまざまな補助金制度では、介護現場の生産性向上や職員の負担軽減につながるICTであるかが重視されており、一定の機能や仕様を満たす必要があります。
例えば、記録作成・情報共有・請求業務を一体的に効率化でき、転記作業を減らせる仕組みを備えていることが求められます。
また、「ケアプランデータ連携標準仕様」など国が定める標準仕様への対応は、導入計画の評価を高める要素です。
さらに、クラウド型またはクラウド連携により、複数の端末での情報共有やバックアップができるかという点も評価されやすいポイントです。
加えて、導入後の業務改善計画や効果検証の見通し、個人情報を扱うためのセキュリティ対策が明示されているかも重要になります。
このように、補助対象となるかどうかは機能面だけでなく、「どのような改善につながるか」を説明できるかが重要となるでしょう。
【主要10都道府県】介護ICT導入の補助金一覧
2025年度(令和7年度)に各自治体が実施する介護ICT・介護テクノロジー導入支援の補助金制度は、以下の通りです。
| 都道府県 | 制度名 | 補助率 | 申請時期 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 葛飾区デジタル化支援事業費補助金 | 1/2 | 令和7年4月1日 〜令和8年2月27日 |
| 神奈川県 | 令和7年度川崎市福祉製品導入促進補助金 | 1/2 | 令和7年6月4日 ~令和8年1月23日 |
| 千葉県 | 介護テクノロジー定着支援事業費補助金 | 3/4 | 令和7年8月4日 〜令和7年8月27日 |
| 埼玉県 | 戸田市介護ロボット等導入支援事業補助金 | 記載無し | 記載無し |
| 愛知県 | 小牧市中小企業デジタル化支援補助金 | 1/2 | 記載無し |
| 大阪府 | 介護テクノロジー導入支援事業補助金 | 3/4 | 令和7年6月11日 ~令和7年7月23日 |
| 兵庫県 | 介護テクノロジー導入支援事業 | 3/4 | 令和7年8月25日 ~令和7年9月24日 |
| 京都府 | 介護テクノロジー等定着支援事業補助金 | 3/4 | 令和7年7月11日 ~令和7年7月18日 |
| 福岡県 | 介護DX支援事業費補助金 | 3/4 | 令和7年7月11日 ~令和7年8月29日 |
| 北海道 | 介護ロボット・ICT導入支援制度 | 3/4 | 令和7年10月20日 ~令和7年11月10日 |
補助率や上限額は自治体ごとに異なるため、申請前に必ず公式サイトで詳細を確認してください。
参考・引用元(公式情報)
自治体ごとの特徴と申請時の違い
各種補助金制度は、申請する自治体によって要件や評価の視点が異なるため、各自治体の方針を理解したうえで準備することが重要です。
全国共通の書き方で申請すると、評価ポイントとずれてしまう可能性があるため、注意が必要です。
例えば、東京都や大阪府では、介護DXの推進や業務プロセス全体の効率化など、中長期的な生産性向上への貢献が重視される傾向があります。
一方、神奈川県や千葉県では、記録業務の削減や職員の負担軽減、定着支援といった現場目線の改善効果が評価されやすい点が特徴です。
また、埼玉県・愛知県・兵庫県では、導入前後の変化を数値や業務フローで示す具体的な計画書が求められます。
このように、申請書は一律ではなく、自治体ごとの狙いに合わせて内容を調整することが、採択につながる重要なポイントです。
初めてでも迷わない。補助金申請の流れを6ステップで解説
介護ICT補助金の申請は手順を押さえれば、初めてでも迷わず進められます。
そのためには、全体像を把握し、どの段階で何を準備すべきかを理解することが求められます。
具体的な6つのステップは、以下の通りです。
①公募要領・対象制度の確認
②導入計画・必要資料の準備
③見積書作成と業者との調整
④申請書の提出(自治体・支援機関へ)
⑤採択後の契約・導入
⑥導入後の実績報告・交付申請
このように、制度自体が準備・申請・実績報告と明確なステップが定められており、順序どおり進めることで、書類漏れや期限超過を防ぐことができます。
特に初めての場合、情報収集や準備に時間がかかるため、余裕をもって準備を始めることが成功のポイントとなるでしょう。
書類漏れを防ぐ!必要書類チェックリスト
補助金申請で多い不採択の理由の一つが、書類の不備です。
介護ICT補助金申請は提出書類の種類が多く、記載項目も専門的であるため、書類漏れや記載ミスが発生しがちです。
書類の不備が確認されると審査から外される可能性があるため、チェックリストを活用し、必要書類を漏れなく揃えましょう。
提出前に確認すべき主な必要書類は、以下の通りです。
- 申請書(公募要領に沿った記載)
- 事業計画書(導入目的・効果の具体化)
- 見積書(複数社あればなお良い)
- 事業所概要(登記簿謄本、定款など)
- 経理書類(決算書・納税証明等)
また、IT導入補助金などではチェックリスト付きの申請マニュアルが公式に配布されており、必要書類のチェックポイントが細かく示されています。
事前にマニュアルを熟読し、確認することも必要です。
採択される申請書はこう書く(サンプル付き)
採択される申請書を書くために重要なのは、現状の課題・導入目的・導入後の効果を具体的に結び付けて記載することです。
IT導入補助金や介護テクノロジー導入支援事業の審査では、以下の2つのポイントが明確に説明されているか重視されています。
- なぜ今このICT機器が必要なのか
- 導入によって業務やサービスがどのように改善されるのか
単なる設備導入の説明ではなく、業務改善や生産性向上につながる根拠を示すことが採択のポイントです。
では、ICT機器の導入目的をテーマにし、具体的な記載例・NG例と修正例をご紹介します。
実際の申請書 記載例(導入目的)
「当事業所では現在、紙による介護記録管理を行っており、記録作成や職員間の情報共有に時間を要しています。本システムを導入することで、記録入力時間の短縮とリアルタイムでの情報共有を可能にし、職員の業務負担軽減とケアの質向上を図ります。」
NG例と修正例
NG例
「業務効率化のため、介護記録システムを導入したい。」
このような記載では、課題や改善効果が抽象的なので、審査側に導入の必要性が伝わりにくく、不採択となる可能性があります。
修正例
「記録作成に1日あたり約◯分を要している現状を改善するため、介護記録システムを導入し、入力時間の短縮と職員負担の軽減を目指します。」
このように、現状の課題 ・導入理由 ・数値や行動レベルでの効果という流れで具体的に記載すると、導入目的が伝わりやすく、採択率の向上につながります。
審査で見られるポイントはここ
補助金の審査では「必要性の明確さ」と「費用対効果の説得力」が重視されます。
単に導入する理由を書くのではなく、導入によってどのような課題が解決するか・具体的な効果を論理的に示すことが評価につながります。
具体的には、以下の3つのポイントがチェックされます。
- 現状の課題とその原因が明確か
- 導入効果が具体的な数値や業務改善の事例として示されているか
- 導入後の効果検証体制があるか
例えば、東京都の場合は導入によって解決すべき課題の分析・具体的な活用方法・期待される効果の説明などが審査ポイントとして明記されています。
さらに「IT導入補助金」でも採択率が下がる中、計画の精度が審査で差を生む要素になっており、通常枠でも採択率は30〜50%となっています。
そのため、審査では「何を」「なぜ」「どう活かすか」を具体的に示すことが補助金制度の採択の結果に左右されるでしょう。
現場がよくやる申請ミスと対策
介護ICT補助金の申請でよくあるミスは、書類の不備・申請期日の遅れ・導入効果の記載不足です。
なぜなら、介護現場が日々の業務に追われる中で、申請スケジュールや必要書類の細かい要件が後回しになりがちだからです。
こうした、書類の不備や期限遅れは、審査前に不採択になる原因として代表的なパターンの一つでもあります。
しかし、以下のように事前準備とチェック体制の整備を行うことで、ミスを防ぐことができます。
- 書類の不備:マニュアルやチェックリストを作成し、事前に複数人で確認する。
- 申請期日の遅れ:カレンダーで提出期限を共有し、逆算したスケジュールを設定する。
- 効果の記載不足:導入効果を数値化し、現場の課題と結びつけて論理的に記載する。
このように、ミスを防ぐ仕組みを先に整えておくことで、補助金の採択へとつながるでしょう。
監修者による実務的アドバイス
採択されやすい申請書の共通点は、課題が具体的で、導入後の変化がイメージしやすい点が挙げられます。
申請書に導入目的や理由を記載する際、日々の業務で困っていることを自分たちの言葉で書くことが重要です。
具体的な作業時間や負担感を示し、ICT導入によってどのように課題を解決できるかを明確にすると、審査を通過し、採択されやすいでしょう。
ケアベースはどの補助金に対応?
介護記録システム「ケアベース」は、補助金を活用した導入を検討しやすいICTツールの一つです。
ケアベースは、スマートフォンやタブレットでの記録入力、職員間のリアルタイムな情報共有、記録業務の時間短縮など、介護現場の負担軽減につながる機能を備えています。
こうした特長は、IT導入補助金や介護テクノロジー導入支援事業などで求められる「業務改善効果」との親和性が高いです。
また、導入目的や活用方法を整理しやすい資料が用意されているため、申請書作成時の説明材料としても活用しやすいでしょう。
しかし、どの補助金が使えるかは、事業所の規模やサービス種別、導入内容によって異なります。
そのため、事前にお問い合わせを頂くことで、こちらも活用できる補助金制度について調べることができます。
補助金制度を活用してケアベース導入を検討している方は、ぜひご相談ください。
補助金を使うとどれだけお得?
補助金を活用すると、介護ICT導入の初期費用は大きく軽減できます。
国の制度では導入費用の1/2〜3/4が補助対象となり、負担を抑えられる仕組みが整っています。
例えば、IT導入補助金を活用して介護記録システムを24万円で導入した場合、補助率3/4なら補助額は18万円となります。
そのため、実質負担は6万円で済むため、初期費用にかかるコストを下げることができます。
介護テクノロジー導入支援事業でも、事業所規模に応じて上限額が設定されており、高額なICT機器の導入でも費用を抑えることが可能です。
このように、補助金を前提に導入計画を立てることで、費用面の不安を減らしながら業務効率化を進められる点は大きなメリットです。
まとめ:補助金を活かしたICT導入は、介護現場の未来を大きく変える
介護ICTの導入は、業務効率化や職員負担の軽減にとどまらず、ケアの質の向上にも直結します。
補助金を活用することで、初期費用のハードルを下げながら、現場に合ったシステム導入を進めることが可能です。
一方で、制度選択や申請書の内容によって結果が左右される点には注意が必要です。
事前に自施設の課題や導入目的を整理し、専門的な視点を取り入れて準備を進めることが重要でしょう。
今年度分の補助金は受付終了となっている自治体もありますが、介護記録のIT化や介護DXを支援する制度は例年継続的に実施されています。
2026年以降の最新情報を早めに確認し、補助金を活かした計画的なICT導入につなげていきましょう。
執筆者:川﨑翔太