carebase(ケアベース)コラム

2026.2.22 介護ICT導入・業務効率化

【図解で分かる】バイタルチェックの正しい手順と記録方法|測定ミスを防ぐ5つのコツと異常値の見極め方

はじめに

介護現場において欠かせない業務のひとつが「バイタルチェック」です。
しかし実際の現場では、「測定手順に自信がない」「この数値は異常なのか判断に迷う」「忙しくて記録が抜けてしまう」といった悩みを抱えている方も少なくありません。特に新人スタッフにとっては、正確な測定と判断の両立はハードルが高く感じられることもあるでしょう。

そこで本記事では、バイタルチェックの基本手順を図解を交えながら分かりやすく解説します。さらに、測定ミスを防ぐための具体的なポイントや、異常値の見極め方、緊急時の対応フローまで網羅的に紹介。加えて、記録漏れを防ぐためのデジタルツール活用法についても触れていきます。
新人の方は基礎の確認として、ベテランの方は手順の見直しとして、ぜひ日々の業務に役立ててください。

バイタルチェックとは?介護現場での重要性

日々のケアの中で行うバイタルチェックは、単なるルーティン作業ではなく、利用者の「いつもと違う」をいち早く察知するための重要な観察業務です。数値として現れる変化の裏には、体調悪化や疾患の兆候が隠れていることも多く、適切に測定・判断することが安全な介護につながります。

バイタルサインの基本項目

バイタルチェックでは、主に以下の5つの項目を測定します。

  • 体温:発熱や低体温の有無を確認
  • 脈拍:心拍数やリズムの異常を把握
  • 血圧:循環状態や高血圧・低血圧の確認
  • 呼吸:呼吸数やリズム、努力呼吸の有無を観察
  • SpO2(血中酸素飽和度):体内の酸素状態をチェック

これらはそれぞれ独立した指標でありながら、組み合わせて見ることで、より正確に利用者の状態を把握することができます。

なぜ毎日の測定が必要なのか

バイタルは「その日の体調」を反映するだけでなく、「普段との違い」を見つけるためにも継続的な測定が重要です。特に高齢者の場合、症状がはっきり出にくいことも多く、数値のわずかな変化が体調悪化のサインになることがあります。
日々のデータを蓄積しておくことで、平常時の基準(ベースライン)が分かり、異常の早期発見につながります。

見逃すと危険なケース例

バイタルチェックを正しく行わないと、以下のような変化を見逃す可能性があります。

  • 微熱の持続による感染症の初期症状
  • 脈拍の乱れからくる不整脈
  • 血圧の急激な変動による体調悪化
  • 呼吸数の増加による呼吸器トラブル
  • SpO2の低下による低酸素状態

こうした異常は、早期に気づけば重症化を防げるケースも少なくありません。そのため、バイタルチェックは「ただ測る」のではなく、「変化に気づく」ことを意識して行うことが大切です。

バイタルチェックの基本手順(全体の流れ)

正確なバイタル測定を行うためには、「どの順番で」「どのような状態で」測るかが非常に重要です。自己流で進めてしまうと、数値に誤差が生じたり、異常の見逃しにつながる可能性もあります。ここでは、基本となる測定の流れを図解とともに確認していきましょう。

バイタルチェックの全体フロー

  1. 準備
    • 室温・静かさを確認
    • 利用者の安静状態確認
    • 食後・入浴後・運動直後は避ける
  2. 安静
    • 測定前1〜3分は落ち着かせる
  3. 呼吸測定
    • 自然な呼吸を観察
    • 意識させず静かに測定
  4. 脈拍測定
    • 橈骨動脈で計測
    • 30秒×2回で正確に
  5. 血圧測定
    • カフの位置・腕の高さを確認
    • 安静状態で測定
  6. 体温測定
    • 腋窩・口腔など正しい部位で
    • 直後の入浴や飲食に注意
  7. SpO2測定
    • 指先に装着、手の冷えやマニキュアに注意
  8. 記録
    • 数値だけでなく利用者の様子も
    • 測定条件も明記
  9. 報告
    • 異常値や気になる変化は速やかに上司・看護師へ

測定前の準備(環境・利用者の状態確認)

まず重要なのが、正確に測定できる環境を整えることです。室温が極端に低い・高い場合や、騒がしい環境では、バイタルに影響が出ることがあります。
また、利用者の状態も事前に確認しておきましょう。

  • 食後すぐではないか
  • 入浴直後ではないか
  • 運動や移動の直後ではないか
  • 体調に変化(顔色・表情)はないか

これらを確認し、できるだけ安静な状態で測定を行うことが基本です。

各バイタルの正しい測定方法

正確なバイタルチェックを行うには、それぞれの項目ごとに測定方法や注意点を押さえることが重要です。
ここでは、体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2の5項目を解説します。測定順序やポイントを守ることで、より正確な数値を取得できます。

  1. 体温の測定方法
    • 測定部位:腋窩、口腔、耳、額(体温計の種類による)
    • 安静状態で測定:入浴直後や運動直後は避ける
    • 測定手順:体温計を正しく装着し、規定時間を守る

    ポイント

    • 腋窩なら、腕を軽く閉じて体温計を腋の中心に当てる
    • 耳式なら、耳道の向きや角度を確認
  2. 脈拍の測定方法
    • 測定部位:橈骨動脈(手首)や頸動脈(緊急時)
    • 時間:30秒×2回で数えるとより正確
    • 観察内容:脈拍数、リズム、強さの変化

    ※注意:意識させると脈が変わることがあるため、自然に測定する
    ポイント

    • 手首に指を置き、軽く押さえてカウント
    • 不整脈や弱い脈の見分け方を補足
  3. 血圧の測定方法
    • カフの位置:心臓と同じ高さにセット
    • 安静状態:測定前に1〜3分は座位で落ち着かせる
    • 測定方法:手動血圧計は正しい加圧・減圧速度を守る
    • 注意:腕を組んだり、力を入れたりすると誤差が出る

    ポイント

    • カフを上腕に巻き、心臓の高さで測定
    • 誤った位置や腕の角度も示すと親切
  4. 呼吸の測定方法
    • 観察内容:呼吸数、リズム、努力呼吸の有無
    • 測定方法:利用者に意識させず、胸や肩の動きを観察
    • 時間:1分間カウントするのが基本

    ポイント

    • 胸部の動きに沿ってカウント
    • 不規則呼吸や浅い呼吸の例も補足
  5. SpO2の測定方法
    • 測定部位:指先、耳たぶ
    • 注意:手先の冷え、マニキュア、爪の長さで誤差が出やすい
    • 測定方法:パルスオキシメーターを装着し、安定するまで待つ

    ポイント

    • 指先に装着して液晶の数値を確認
    • 正常値の目安(95〜100%)を補足

バイタル値はなぜ変わる?時間帯・状態による変動要因

バイタルサインは「一定の数値」ではなく、そのときの体の状態によって常に変化しています。同じ利用者であっても、時間帯や行動、体調によって数値は大きく変わるため、その背景を理解しておくことが正確な判断につながります。

朝・昼・夜での変化

バイタルは1日の中でもリズムがあります。いわゆる「日内変動」と呼ばれるもので、特に体温や血圧に影響が出やすい特徴があります。

  • 体温:朝は低く、夕方にかけて上昇する傾向
  • 血圧:起床後に上がりやすく、夜間は低下しやすい
  • 脈拍:活動量に応じて変動

そのため、「いつ測定したか」を把握しておかないと、正常な変動を異常と誤認してしまう可能性があります。測定時間を揃えることも、正確な比較には重要です。

食事・入浴・運動の影響

日常的な行動もバイタルに大きく影響します。

  • 食後:体温や脈拍が上昇しやすい
  • 入浴後:血圧が変動しやすく、脈拍も上昇
  • 運動後・移動後:呼吸数や脈拍が増加

これらの直後に測定すると、通常より高い数値が出ることがあります。そのため、バイタル測定はできるだけ安静時に行うことが基本です。

高齢者特有の特徴

高齢者の場合、若年者とは異なるバイタルの特徴が見られることがあります。

  • 発熱していても体温が大きく上がらない
  • 脱水や感染症でも症状が出にくい
  • 血圧や脈拍の変動が緩やか、または個人差が大きい

このため、「基準値内だから安心」とは限らず、普段との違いが非常に重要になります。

バイタルチェックでは、単に数値を見るだけでなく、「なぜこの数値なのか」という背景まで考えることが大切です。

異常値の目安と判断基準

バイタルチェックでは、測定した数値が「正常か異常か」を適切に判断することが重要です。ただし、単純に基準値と照らし合わせるだけでは不十分で、利用者ごとの平常値や状態を踏まえて総合的に判断する必要があります。ここでは、基本となる目安と判断のポイントを解説します。

各バイタルの基準値一覧

一般的な成人の基準値は以下の通りです。

項目 基準値(目安)
体温 36.0〜37.0℃
脈拍 60〜100回/分
血圧 収縮期:100〜140mmHg
拡張期:60〜90mmHg
呼吸 12〜20回/分
SpO2 95〜100%

※高齢者や持病のある方は、この範囲から外れていても平常である場合があります。

要注意・緊急レベルの目安

以下のような数値が見られた場合は、注意または迅速な対応が必要です。

要注意レベル

  • 体温:37.5℃以上(微熱)
  • 脈拍:100回/分以上、または50回/分以下
  • 血圧:収縮期150mmHg以上、または90mmHg以下
  • 呼吸:20回/分以上
  • SpO2:93〜94%

→ 経過観察しつつ、状態の変化に注意する

緊急レベル

  • 体温:38.0℃以上、または35.0℃以下
  • 脈拍:120回/分以上、または40回/分以下
  • 血圧:収縮期180mmHg以上、または80mmHg以下
  • 呼吸:30回/分以上、または極端に少ない
  • SpO2:92%以下

→ 速やかに報告し、指示を仰ぐ・医療対応を検討

バイタルチェックは「基準値に当てはめる作業」ではなく、「変化を読み取る観察力」が求められる業務です。次のセクションでは、異常値を確認した際の具体的な対応フローについて解説します。

異常時の対応フロー

バイタルチェックで異常値が確認された場合は、迅速かつ適切な対応が求められます。
判断や対応が遅れると、重症化につながるリスクもあるため、あらかじめ対応の流れを理解しておくことが重要です。

  1. ①異常値の確認
    まずは測定した数値が本当に異常かどうかを確認します。

    • 測定ミスの可能性はないか
    • 測定条件(食後・入浴後など)に問題はないか
    • 機器の不具合はないか

    明らかに通常と異なる場合でも、焦らず一度落ち着いて状況を整理することが大切です。

  2. ②利用者の状態観察
    数値だけでなく、利用者の様子をしっかり観察します。

    • 顔色(蒼白・紅潮など)
    • 呼吸状態(苦しそう・浅いなど)
    • 意識レベル(ぼんやり・反応が鈍い)
    • 訴え(痛み・だるさ・息苦しさ)

    数値と身体状況を合わせて判断することで、緊急性の高いケースを見極めやすくなります。

  3. ③再測定
    異常値が出た場合は、必ず再測定を行いましょう。

    • 測定部位や姿勢を見直す
    • 安静にしてから再度測定する
    • 別の機器があれば比較する

    これにより、測定ミスによる誤判断を防ぐことができます。

  4. ④報告(エスカレーション)
    異常が疑われる場合は、速やかに上司や看護師へ報告します。

    • いつ・どの数値が・どのように異常だったか
    • 利用者の状態(表情・訴えなど)
    • 再測定の結果

    「数値+状態」をセットで伝えることが重要です。

  5. ⑤指示に基づく対応
    報告後は、指示に従って適切に対応します。

    • 安静保持
    • 水分補給
    • 受診・救急対応の判断
    • 継続的なバイタル測定

    自己判断で対応を進めず、必ず指示に基づいて行動しましょう。

測定ミスを防ぐ5つのチェックポイント

バイタルチェックは日常的に行う業務だからこそ、ちょっとした油断や思い込みによる測定ミスが起こりやすいものです。ここでは、現場でよくあるミスと、その防止策を5つにまとめて解説します。

①測定前に「安静状態」を確保する

測定前の状態によって、バイタルは大きく変動します。
こうした状況では正確な値が出にくいため、1〜3分程度の安静時間を確保してから測定することが基本です。

②正しい測定部位・位置を守る

測定位置がズレると、数値に誤差が生じます。
「なんとなく」で測るのではなく、正しい位置を意識して毎回確認する習慣をつけましょう。

③測定中の動きや会話に注意する

測定中のちょっとした動きも誤差の原因になります。
特に血圧や脈拍は影響を受けやすいため、測定中はできるだけ静かな環境を保つことが大切です。

④機器の状態をチェックする

機器の不具合や使用方法の誤りも、見落としがちなポイントです。
「いつもと違う数値が出た」と感じた場合は、機器の状態も疑う視点を持ちましょう。

⑤測定値はその場で記録する

後回しにすることで、記録ミスや漏れが発生しやすくなります。
これを防ぐためには、測定後すぐにその場で記録することが基本です。可能であれば、デジタルツールの活用も有効です。

記録漏れを防ぐデジタルツール活用法

忙しい現場では「後で記録しようと思って忘れる」「記録ミスが起きる」といった課題も少なくありません。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、デジタルツールの活用です。

デジタル化によるメリット

  • その場で入力・即時保存できるため記録漏れを防げる
  • 数値入力のフォーマット化により、記録のばらつきを防止
  • 過去データとの比較が簡単で、変化に気づきやすい
  • スタッフ間でリアルタイム共有が可能

紙の記録では難しかった「即時性」と「共有性」が大きな強みです。

導入時のポイント

デジタルツールを効果的に活用するためには、以下の点を意識しましょう。

  • 誰でも使いやすいシンプルな操作性
  • 現場の業務フローに合っているか
  • 入力項目が過不足なく設計されているか
  • スタッフ全員でルールを統一する

バイタルチェックは「測定して終わり」ではなく、「記録して活かす」ことが重要です。デジタルツールを上手に取り入れながら、より安全で効率的な現場づくりを目指しましょう。

まとめ|正しい手順と判断でバイタルチェックの精度を高めよう

バイタルチェックは、利用者の体調変化をいち早く察知するための重要な業務です。体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2といった数値は、日々の小さな変化を積み重ねて見ることで、大きな異常の早期発見につながります。

そのためには、正しい測定手順を守ることはもちろん、時間帯や状態による変動を理解し、数値の背景まで考える視点が欠かせません。また、異常値が出た際には、落ち着いて「確認・観察・再測定・報告」の流れを実践することが、安全な対応につながります。

バイタル管理の精度を高めるなら「carebase(ケアベース)」の活用を

さらに、デジタルツールを活用した記録管理によって、業務の精度と効率は大きく向上します。こうしたバイタル管理の質を高める手段として注目されているのが、介護現場向けのデジタルツール「carebase(ケアベース)」です。

carebaseを活用することで、バイタルチェック業務は大きく効率化されます。

  • 測定後すぐにその場で入力・記録
  • 入力フォーマットの統一による記録ミス防止
  • スタッフ間でリアルタイムに情報共有
  • 過去データの蓄積・グラフ化で変化を可視化

これにより、「記録する負担」を減らしながら、より正確で抜け漏れのない管理が可能になります。
まずは「記録のタイミング」や「共有方法」など、日々の業務の中で改善できるポイントから見直してみましょう。

その一歩として、carebase(ケアベース)のようなツールを取り入れることで、バイタルチェックの精度と効率は大きく変わります。
現場の負担を減らしながら、より安全で質の高い介護を実現していきましょう。

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