carebase(ケアベース)コラム
2025.8.1 介護ICT導入・業務効率化
介護記録の電子化とは?効率化を実現するアプリ活用とDXの第一歩
なぜ今「介護記録の電子化・効率化」が求められているのか?
介護現場では今、「記録業務に追われて本来のケアに集中できない」という声が少なくありません。
紙の記録やExcel管理では、転記作業や記載漏れ、情報共有の遅れが発生しやすく、結果として職員の負担や残業時間の増加につながってしまいます。
こうした課題を背景に、介護記録の電子化や介護記録の効率化に注目が集まっています。
特に近年は、スマートフォンやタブレットを活用した介護記録アプリの普及が進み、記録作業そのものを見直す動きが加速しています。
単に紙をデジタルに置き換えるだけでなく、業務全体を見直す「介護記録のIT化」「介護記録DX」という考え方も、介護業界では重要なキーワードになりつつあります。
本記事では、介護記録を電子化することで何が変わるのか、効率化によって現場にどのようなメリットが生まれるのかを整理しながら、介護記録アプリを活用した具体的な改善ポイントをわかりやすく解説します。これから電子化を検討している施設はもちろん、すでにITツールを導入しているものの定着に悩んでいる方にも役立つ内容です。
介護記録業務の現状と課題|なぜ“効率化”が進まないのか
多くの介護施設では、紙の介護記録やExcel管理が今も使われています。
一定の運用はできるものの、現場の忙しさや人手不足が進む中で、こうした管理方法は次第に限界を迎えています。
介護記録業務が非効率なままだと、職員の負担増加や記録の質低下につながり、結果として現場全体に悪影響を及ぼします。
紙・Excel管理に限界がある理由
紙やExcelによる介護記録では、次のような問題が発生しやすくなります。
- 現場でメモを取り、後から清書するため二重入力が発生する
- 記録時間が確保できず、記載漏れや内容のばらつきが起こりやすい
- ファイルや書類が分散し、必要な情報を探すのに時間がかかる
- 情報共有が遅れ、申し送りミスや確認不足につながる
- 管理者が記録を確認・集計する際に手間と時間がかかる
こうした状態では、介護記録の本来の目的である「情報共有」「ケアの質向上」を十分に果たすことが難しくなります。
介護職員の負担が現場に与える影響
介護記録業務の非効率さは、介護職員の働き方にも大きな影響を与えます。
- 記録業務が原因で残業が増えやすい
- 「ケアより記録が優先されている」という不満が生まれやすい
- 業務への負担感が強まり、離職リスクが高まる
- 記録の簡略化により、ケアの質や安全性が低下する恐れがある
このような課題を解決するため、近年は介護記録の効率化や介護記録の電子化に取り組む施設が増えています。単なる業務削減ではなく、現場の働きやすさとケアの質を両立させる手段として、介護記録の見直しが求められているのです。
介護記録の電子化とは?IT化・DXとの違いを整理
介護記録の見直しを検討する中で、「電子化」「IT化」「DX」といった言葉を目にする機会が増えています。いずれも似た意味に感じられますが、実際には目的や取り組みの範囲が異なります。ここでは、介護記録におけるそれぞれの違いを整理しながら、なぜ今この考え方が重要なのかを解説します。
介護記録の「電子化」とは
介護記録の電子化とは、これまで紙で管理していた記録をデジタルデータに置き換えることを指します。まずは記録の保存・閲覧をデジタル化することで、業務の土台を整える段階と言えます。
介護記録を電子化することでできること
- 紙の記録をデータとして保存・管理できる
- 過去の記録をすぐに検索・確認できる
- 紛失や劣化のリスクを減らせる
- 複数の職員が同時に記録を確認できる
電子化は、介護記録の効率化に向けた第一歩であり、多くの施設が最初に取り組みやすい方法です。
介護記録のIT化とは
IT化は、単に記録をデジタルにするだけでなく、ITツールを活用して業務そのものを効率化する取り組みを指します。介護記録アプリやクラウドサービスの導入が、これに該当します。
介護記録IT化で実現できること
- スマホやタブレットでのその場入力
- テンプレートや選択式入力による記録時間の短縮
- 情報のリアルタイム共有
- 集計や確認作業の自動化
介護記録のIT化が進むことで、記録作業にかかる時間を削減し、職員がケアに集中できる環境を整えやすくなります。
介護記録DXとは
介護記録DXは、電子化やIT化を土台にしながら、業務プロセスや働き方そのものを変革していく考え方です。記録を「残すための作業」から「現場改善に活かす情報」へと進化させることが目的です。
介護記録DXで目指す状態
- 記録データを活用したケアの質向上
- 管理者のマネジメント負担軽減
- 多職種連携や情報共有の強化
- 将来の人材不足を見据えた業務設計
電子化 → IT化 → DX は一気に進める必要はありません。まずは自施設の課題に合った形で電子化・IT化に取り組み、段階的にDXを目指すことが現実的です。
介護記録を電子化・効率化する5つのメリット
介護記録の電子化やIT化は、「記録を楽にするための施策」と思われがちですが、実際には現場全体の働き方やケアの質に大きな変化をもたらします。ここでは、介護記録を電子化・効率化することで得られる代表的な5つのメリットを整理します。
1. 記録にかかる時間を大幅に削減できる
電子化や介護記録アプリを活用することで、記録業務そのものを効率化できます。
- テンプレートや選択式入力により、記録作成がスムーズになる
- 音声入力やコピー機能で入力の手間を減らせる
- 二重入力が不要になり、記録時間を短縮できる
記録にかかる時間が減ることで、職員は本来のケア業務により多くの時間を割けるようになります。
2. 情報共有がスムーズになり、申し送りミスを防げる
紙の記録では、情報共有のタイミングや伝達方法にばらつきが生じやすくなります。電子化することで、こうした課題を解消できます。
- 記録内容をリアルタイムで共有できる
- 申し送り事項や注意点をすぐに確認できる
- 多職種間で同じ情報を同時に把握できる
情報共有の精度が上がることで、ケアの抜け漏れや対応ミスの防止にもつながります。
3. 記録の質・正確性が向上する
介護記録アプリでは、入力ルールやフォーマットを統一しやすいため、記録内容の質を安定させることができます。
- 記載項目が整理され、書き漏れを防げる
- 表現のばらつきを抑え、読みやすい記録になる
- 後から内容を振り返りやすくなる
記録の質が向上することで、ケアの振り返りや改善にも活かしやすくなります。
4. 管理者の確認・集計業務が楽になる
介護記録の電子化は、現場職員だけでなく管理者にとっても大きなメリットがあります。
- 記録の確認や承認を効率的に行える
- 日報・月報などの集計作業を自動化できる
- データをもとに現場状況を把握しやすくなる
管理業務の負担が減ることで、マネジメントや職員育成に時間を使えるようになります。
5. 職員満足度・定着率の向上につながる
記録業務の負担軽減は、働きやすさの向上にも直結します。
- 残業時間の削減につながる
- 「記録に追われる」というストレスが減る
- 業務効率化により職場への満足度が高まる
結果として、離職防止や人材定着といった面でも、介護記録の電子化・効率化は重要な役割を果たします。
介護記録の電子化で現場はどう変わったか
介護記録の電子化は、「記録を楽にするための施策」として語られることが多いものの、実際に現場で起きている変化はそれだけにとどまりません。
記録方法を見直したことで、日々の業務の流れや職員の意識、さらには施設全体の働き方まで少しずつ変わっていくケースが増えています。
実際に介護記録の電子化・IT化に取り組んだ現場では、次のような変化が見られています。
電子化によって現場で起きた主な変化
- 記録のために動く時間が減った
- 「あとで書く」がなくなり、記録がリアルタイム化
- 申し送りや確認作業がスムーズになった
- 記録に対する心理的な負担が軽減された
- 管理者が現場の状況を把握しやすくなった
介護記録アプリでできること|現場が変わる具体機能
介護記録の電子化や効率化をさらに進めるには、専用の介護記録アプリの活用が有効です。アプリを導入することで、記録作業のスピードが上がるだけでなく、現場全体の情報共有やケアの質にも好影響を与えます。ここでは、アプリで実現できる代表的な機能と、その現場での変化を紹介します。
1. 記録入力の効率化
アプリでは、紙やExcelに比べて入力方法が工夫されており、作業時間を短縮できます。
- テンプレート・選択式入力で簡単に記録
- 音声入力で手書きの手間を削減
- その場で入力できるため、後でまとめる必要がなくなる
これにより、記録業務にかかる時間が大幅に減り、職員は利用者のケアに集中できるようになります。
2. 利用者情報の一元管理
アプリでは、利用者ごとの情報を一元管理できます。
- 個別のケア記録、バイタル情報、写真などをまとめて保存
- 過去の記録を簡単に検索・参照できる
- 利用者ごとの状況をすぐに確認でき、ケア計画の精度が向上
一元管理により、記録の漏れや情報の混乱を防ぎやすくなります。
3. 写真や音声など多様なデータの活用
紙では扱いにくい写真や音声も、アプリでは簡単に記録に組み込めます。
- 状態変化やケアの様子を写真で記録
- 音声メモで詳細な情報を簡単に残せる
- 視覚・聴覚情報を活用することで、ケアの振り返りや申し送りがより正確に
これにより、介護記録が単なる文字情報にとどまらず、現場で実際に役立つ情報として活用できます。
4. リアルタイム共有と多職種連携の強化
アプリを活用すれば、情報共有がリアルタイムで行えます。
- 記録を入力した瞬間に管理者や他の職員と共有可能
- シフトが違う職員も、すぐに最新情報を確認できる
- ケアマネジャーや看護師など、他職種との連携がスムーズに
リアルタイム共有は、ケアの質向上やミス防止にもつながります。
5. 現場の移動時間や手間の削減
スマホやタブレットで記録できるため、現場の動き方も変わります。
- 記録のために事務所に戻る必要がなくなる
- 施設内の移動中でも情報を入力・確認できる
- 紙の管理・印刷・ファイル整理の手間を削減
これにより、介護職員の身体的負担や作業ストレスも軽減されます。
介護記録電子化で失敗しやすいポイントと注意点
介護記録の電子化やアプリ導入は多くのメリットがありますが、進め方を誤ると「思ったほど効率化できない」「現場に定着しない」といった失敗につながることもあります。ここでは、実際によくあるつまずきポイントと、その注意点を解説します。
1. 導入すること自体が目的になってしまう
電子化やIT化を進める際にありがちなのが、「システムを入れること」がゴールになってしまうケースです。
- 現場の課題を整理しないまま導入してしまう
- 「流行っているから」「補助金があるから」という理由だけで選んでしまう
- 電子化後の運用ルールが決まっていない
この状態では、介護記録の効率化は進まず、逆に業務が複雑になる可能性があります。まずは「何を改善したいのか」を明確にすることが重要です。
2. 操作が難しく、現場に定着しない
介護記録アプリは種類が多く、機能もさまざまです。しかし、操作が複雑なツールを選んでしまうと、現場の負担が増えてしまいます。
- 操作を覚えるのに時間がかかる
- ITに不慣れな職員が使いこなせない
- 結果的に紙と併用する状態が続いてしまう
使いやすさは、介護記録電子化を成功させるための重要なポイントです。
3. 現場職員を巻き込まずに進めてしまう
管理者主導で電子化を進めた場合、現場との温度差が生まれることがあります。
- 現場の意見が反映されていない
- 「やらされ感」が強くなってしまう
- 新しい運用に対する抵抗が生まれる
導入前から現場職員の声を聞き、小さな改善を積み重ねることが定着への近道です。
4. サポート体制を確認せずに導入してしまう
電子化後のトラブルや疑問にすぐ対応できないと、現場の不安が大きくなります。
- 操作方法が分からないときに相談できない
- 初期設定や運用ルール作りに時間がかかる
- 導入後のフォローがなく、使い方が定着しない
介護記録のIT化・DXを進めるうえでは、導入後のサポート体制も重要な判断基準です。
介護記録電子化・DXを成功させるための3つのポイント
介護記録の電子化やIT化は、正しい進め方をすれば確実に現場改善につながります。重要なのは、一気に完璧を目指すのではなく、自施設の状況に合わせて段階的に取り組むことです。ここでは、介護記録の電子化・DXを成功させるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
1. 現場目線でツールを選ぶ
介護記録の効率化を実現するためには、実際に使う現場職員の目線が欠かせません。
- 入力操作が直感的で分かりやすいか
- スマホやタブレットで無理なく使えるか
- 日々の業務フローに自然に組み込めるか
管理者の視点だけでなく、現場の声を反映したツール選定が、定着のしやすさにつながります。
2. 小さく始めて段階的にDXを目指す
介護記録DXという言葉から、大規模な改革をイメージする方も多いかもしれません。しかし、最初からすべてを変える必要はありません。
- まずは記録の電子化から始める
- 次にアプリ活用によるIT化を進める
- 慣れてきた段階でデータ活用や業務改善に広げる
このように、電子化 → IT化 → DX と段階的に進めることで、現場の負担を抑えながら改善を続けることができます。
3. 導入後のサポートと定着支援を重視する
介護記録の電子化は、導入して終わりではありません。運用が定着して初めて効果を発揮します。
- 初期設定や運用ルール作りを支援してもらえるか
- 操作に困ったときにすぐ相談できるか
- 定期的なフォローや改善提案があるか
サポート体制が整っているサービスを選ぶことで、介護記録のIT化・DXを無理なく進めることができます。
まとめ:介護記録の電子化は「効率化」だけでなく未来への投資
介護現場では、記録業務の負担が職員の働き方やケアの質に大きく影響しています。紙やExcelによる管理には限界があり、こうした課題を解決する手段として、介護記録の電子化や介護記録の効率化が注目されています。
介護記録を電子化することで、記録時間の短縮や情報共有のスムーズ化が進み、現場の業務負担を軽減できます。さらに、介護記録アプリを活用したIT化によって、記録の質や正確性が向上し、管理者のマネジメント業務も効率化されます。これらは単なる業務改善にとどまらず、職員が本来のケアに集中できる環境づくりにつながります。
また、電子化やIT化を土台に進める介護記録DXは、将来的な人材不足や業務の高度化に備えるための重要な取り組みです。すべてを一度に変える必要はなく、自施設の課題に合わせて段階的に進めることで、無理なく現場改善を実現できます。
介護記録の見直しは、「今の業務を楽にする」だけでなく、「これからも選ばれ続ける施設であるための投資」と言えるでしょう。まずは、日々の記録業務を振り返り、小さな改善から介護記録の電子化・効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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