carebase(ケアベース)コラム
2025.9.27 介護ICT導入・業務効率化
執筆者:柴田崇晴
補助金を活用して介護ソフトを導入する方法
監修者プロフィール
監修者名:柴田崇晴
保有資格:社会福祉士・主任介護支援専門員
経験年数:25年の相談支援業務
専門分野:介護施設運営・職員教育等
経歴概要:福祉大学を卒業後、高齢者福祉の分野で25年従事。高齢者施設の管理者をしながら都道府県・市町村の職能団体役員として活動中
失敗しない申請の流れ
介護現場において業務効率を図ったり、スムーズに情報を共有したりするには「介護ソフト」は欠かせません。
しかし「コストが高いのでは」と不安に感じ、導入まであと一歩を踏み出せない方もいるのではないでしょうか。
実際は、国や自治体の介護IT補助金や助成金を活用すれば、初期費用の負担を大幅に軽減できます。
この記事では、補助金を使って介護ソフトを導入し成功したケースや申請の流れ、失敗しない申請のポイントを解説します。
介護ソフト導入の壁は「費用」
介護施設の管理者にとって、介護ソフトの導入は業務効率化・記録ミス削減・職員教育の標準化といった大きなメリットがあります。
しかし現実には、
「初期費用が高くて手が出せない」
「予算が限られていてIT投資は難しい」
という声が多く、導入が進まない施設も少なくありません。
(令和5年度「介護労働実態調査」をもとに筆者が作成)
これは介護ソフトの導入状況について、令和5年介護労働安定センターが調査した結果をもとにグラフ化したものです。
調査結果によると介護施設では80.7%ソフトが導入されている一方、ホームヘルパーなど訪問系サービスでは65.7%、小規模多機能などの居住系は58.7%と半数近くしか導入されていないことがわかりました。
とはいえ、人材不足や業務の効率化を考えると、介護現場へのIT導入は急務といっても過言ではありません。
こうした導入障壁を下げる手段として活用できるのが、介護に関するIT補助金です。
介護ソフト導入で使える補助金・助成金の種類
使える代表的な制度
介護ソフトを導入する際に活用できる国の補助金や助成金を一覧表にしました。
国は、介護の生産性向上のためにICT機器の活用を推奨していますので、少しでも興味があれば、積極的に補助金取得に取り組んではいかがでしょうか。
| 名称 | 内容 | 補助対象・ポイント |
| 介護テクノロジー導入・定着支援事業(ICT補助金) | 介護サービス事業者の業務効率化、生産性向上のため、ICT機器・ソフト等の導入を支援 | ソフトウェア・ICT機器本体・更新費用など対象。 補助率は高め(例:国・都道府県で3/4あるいは4/5など) |
| IT導入補助金 | 中小企業・小規模事業者向けで、業務効率化・DX推進が目的。介護ソフト・請求・記録システム等も対象 | 補助率・補助上限は申請枠による(例:1/2〜2/3、一定の上限額あり) 介護事業者も一般企業の一つとして申請できる |
自治体独自の助成制度
東京都、大阪府、福岡県などの自治体では、介護事業者向けICT助成金があり、タブレットやサーバー代も含めて補助される場合があります。
自治体独自の助成制度は、国の補助金よりも対象が具体的で採択率が高い点が大きなメリットです。地域の実情に合わせて設計されているため、介護ソフトやIT機器の導入に直結しやすく、導入後のフォロー体制も手厚い場合があります。
また、国の補助金と併用できるケースもあるので、自己負担をさらに軽減することが可能です。
日頃から地域の情報を収集し、スケジュールに合わせて申請準備を進めることをおすすめします。
人材育成・教育系の補助
介護業界には関係がないテーマに思われるかもしれませんが、「介護の生産性向上」のためには、人材育成・チームケア・情報共有の効率化がその柱とされています。
そのため、これらに関わる研修や取り組みには補助制度が活用できる場合があります。
主な補助制度の一部を紹介します。
| 名称 | 内容 | 補助対象・ポイント |
| 教育訓練給付制度 | 指定の研修・講座を受講した場合、受講料の一部が給付される制度。 | 初任者研修、実務者研修、ケアマネ受験対策講座など厚労省指定講座が対象。 雇用保険加入期間が条件 申請はハローワーク |
| 外国人材受け入れ 支援補助金 |
介護人材として外国人の雇用をおこなった事業所に対して、費用補助がうけられる。 | 日本語や介護の勉強のための教材購入 マニュアルや説明書の作成・翻訳 研修や講習の費用 |
<参考:教育訓練給付金|厚生労働省>
<参考:外国人介護人材の受入れ|厚生労働省>
失敗しない申請の流れ
補助金取得に失敗しないためには、申請の流れをつかんでおくことが大切です。
この章では「申請したことがない」「申請が通るか不安」という方に具体的な申請までの流れとステップごとのポイントを紹介します。
ステップ1:補助金の要件確認
補助金を活用する際、最も重要なのは自分の目的と補助要件が合っているかの確認です。
制度によって対象経費や申請条件が細かく定められており、確認を怠ると、本来補助されるはずの費用も自己負担になってしまいます。
せっかくの支援制度も、事前に条件や期限を把握し、適切に申請しなければ活かすことができません。
正しい情報収集が、補助金を最大限に活用する第一歩となるのです。
【確認するポイント】
・補助対象となるソフト・機器かの確認
・補助率・上限額の確認
・申請スケジュールの把握
ステップ2:導入目的を明確にする
補助金を申請する際に大切なのは、「補助を受けること」が目的ではないということです。
補助を活用して導入した設備やシステムが、介護現場にどのような効果をもたらすかを明確にしておくことが重要です。
また、導入しても現場スタッフが活用しなければ意味がありません。
導入を成功させるために目的や効果は、事業所全体で共有しておきましょう。
【導入目的の例】
・記録ミスを減らして利用者の安全性を高めるため
・新人教育を効率化して人材定着率を改善するため
・申し送りを効率化して残業時間を削減するため
ステップ3:必要書類の準備
補助金や助成金を受けるには、必ず目的や活用方法を明記した計画書が必要です。
自治体側も、使い道や金額、期待される効果が補助対象に合っているかを確認する必要があります。
そのため、面倒に感じても、丁寧に書類を準備することがとても重要です。
申請用紙や様式は所定のものがホームページで公開されている場合がありますので、確認しておきましょう。
【必要な書類(制度によって異なります)】
・事業計画書
・見積書(ソフト+機器)
・導入後の効果を示す資料
ステップ4:申請と実績報告
助成金によっては、申請してから審査を経て交付されるものや、導入後に報告して交付されるものなど異なります。
また、導入後の「実績報告」に不備があると交付されないこともあるので注意が必要です。
この記事で紹介した助成金の申請、交付の流れを一部ご紹介します。
| 名 称 | 申請と交付の流れ |
| 介護テクノロジー導入・定着支援事業(ICT補助金) |
|
| IT導入補助金 |
|
| 教育訓練給付制度 |
【注意】雇用保険の加入が条件となります。 |
介護ソフト導入での失敗事例と成功事例
この章では実際に介護ソフトを導入したにも関わらず、補助が受けられなかった失敗事例や見事に介護ソフトを導入し業務改善に成功した事例を紹介します。
失敗事例
介護ソフトを導入し、人材育成や業務過多を解消しようとしたものの、補助金対象外となってしまった事業所のケースには次のようなものがあります。
・補助金対象外のソフトを導入してしまい、補助を受けられなかった
・書類不備で期限に間に合わなかった
・職員教育が追いつかず、ソフトが使われなくなった
成功事例(carebaseを導入したケース)
特別養護老人ホームA園では、今年度から介護ソフト「Carebase」を導入し、業務の効率化、人材育成など生産性の向上に本格的に取り組むことにしました。
「Carebase」は介護テクノロジー導入・定着支援事業の補助対象となるため、申請もスムーズに行われ、その結果、次のような効果を得ることができました。
・記録時間を40%削減、申し送りミスは大幅減少
・利用者・家族アンケートでサービス満足度が前年度より大幅アップ
・動画マニュアルにより新人教育の効率が改善し、離職率が低下
Carebaseが補助金活用で選ばれる理由
補助金対象の機能が充実
介護ITソフトがたくさんある中で、Carebaseが補助金を活用し多くの現場で選ばれているのには理由があります。
それは補助金の要件を満たしているのはもちろん、現場のニーズに応える魅力的な機能が豊富に備わっているということです。たとえば次のような機能です。
・クラウド型の介護記録アプリなので、いつでもどこでも情報共有
・記録ミスを防ぐアラート機能で、大切な介護やケアを見える化
・動画マニュアルがサービスの標準化と質の向上を実現
導入支援サポート
専門知識を持つCarebaseが、事業所に最適なシステム選びから申請手続きまでを一貫してサポートするため、導入までの手間や負担を大幅に軽減します。
また、不慣れな補助金申請をスムーズに進め、申請採択の可能性を高められることも大きな利点です。
【サポート例】
・制度説明
・書類準備のアドバイス
・導入後の運用フォロー
専門家監修コメント
介護現場の生産性向上は、もはや待ったなしの課題です。
IT化は、この課題を解決する鍵。これまで膨大な時間を要していた事務作業をデジタルに置き換えれば、ご利用者と寄り添う時間、そして一人ひとりの生活の質を高めるケアの時間を、私たちはもっと生み出せるはずです。
専門的なデジタル化やIT導入は、プロに任せましょう。
私たちは、介護のプロとして、本来の使命である「質の高い介護サービス」に集中する。
それが、未来の介護現場を創るための、最も重要な一歩です。
まとめ:補助金を活用して介護ソフト導入を実現しよう
介護ソフトやITツールは、補助金・助成金を活用すれば導入コストを大幅に抑えられます。ただし、失敗を避けるには「対象要件の確認」「書類準備」「導入目的の明確化」を忘れてはいけません。
実際にCarebaseは補助金を活用して導入され、記録管理の効率化や職員教育の改善に成功しています。今こそ、介護現場の生産性向上とサービスの質向上のために、IT導入を検討するチャンスです。