2026.9.15
介護技術を高めるには?自己流を抜け出す学び方と振り返りの手順
介護技術は、介助の根拠を理解し、福祉用具と手順を選び、振り返りで直す順に積み上げると伸びます。厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針は、介護・看護作業について「人を抱え上げる作業は、原則、人力では行わせない」と定めており、力の使い方を体で覚える方向とは前提が違います。技術の中身から学び方の選び方、施設としての標準化までを、公的機関の資料をもとに整理しました。
介助の手順が職員ごとに変わるのを直したい方は
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介護技術とは?介助の動作と観察・声かけ・記録がひと組で働く
観察・声かけ・介助の動作・記録の4つを一組で回すと、練習で確認する範囲が動作だけに偏りません(出所: 介護技術を構成する4要素と上達の基準の整理に基づき編集部作成)
介護技術とは、体を動かす介助と、その前後で行う観察・声かけ・記録をひとまとまりで実行する力のことです。動作だけを切り出して練習しても、その日の体調や環境が変われば同じやり方は通用しません。4つがつながって、はじめて現場で使える技術になります。
介助の動作は、観察と声かけとセットで成り立つ
同じ移乗でも、その日の体調や可動域を確かめてから方法を選びます。動かす前に何をするかを伝えて同意を得て、終わったあとに様子を記録して次の担当へ渡すまでが一連の流れです。
動作だけを取り出すと、観察と声かけが抜けたまま速さだけが上がります。練習では、動作の前後に何を見て、何を伝え、何を残すかまで一組で確認します。
上達の基準は速さではなく、利用者がどれだけ自分の力を使えたか
介助が速い職員を上手いと評価すると、利用者が自分の力を使う場面が削られます。上達の基準は、同じ介助の中で利用者がどれだけ自分の力を使えたかに置きます。抱え上げを原則人力では行わせないとする腰痛予防対策指針のもとでは、速く抱えて移せることは目指す形になりません。立ち上がりで手すりへ手を伸ばしてもらうまで待てるか。そこが現場で確かめられる基準です。
介護技術が伸びない2つの原因
介護技術が伸びない原因は、手順だけを覚えて「なぜその介助なのか」を知らないことと、教える人によって手順が変わることの2つです。どちらも覚えの良し悪しではなく、根拠と教え方という直せる場所にあります。
1. 手順は覚えたが、なぜその介助なのかを知らない
「足を肩幅に開く」「膝を立ててから体を向ける」といった手順は、繰り返せば覚えられます。ただし、なぜその姿勢を取るのかを知らなければ、利用者の体格や麻痺の有無、ベッドの高さが変わったときに同じ手順が使えません。
根拠まで理解している職員は、条件が変わったときに自分で手順を組み直せます。伸び方が鈍いときに見るのは、覚えた手順の数ではなく、その手順を選んだ理由を説明できるかどうかです。
2. 教える人によって手順が変わり、直す基準がない
厚生労働省の介護分野における生産性向上ポータルサイトは、OJTについて「教育担当によって教え方にブレが生じてしまっては、事業所全体で業務の手順やケアの質を一定に保つことが難しくなってしまいます」と指摘しています。
CareBase(ケアベース)は、この教え方のブレを個人の資質ではなく、教える手順が決まっていないところから生じる問題として扱っています。伸び悩みを覚えの問題と教わり方の問題に切り分けると、次の対策が決まります。
体への負担を減らす介助は、腰を低くする姿勢と福祉用具の併用で作る
2つの作り方を自施設の点検4項目まで下ろすと、着手すべき場面が特定できます(出所: 厚生労働省「腰痛予防対策」に基づき編集部作成)
介助する職員の体への負担を減らすには、利用者に近づいて腰を低くし、抱え上げる場面では福祉用具に持ち上げてもらう形に置き換えます。厚生労働省の腰痛予防対策は、腰に負担がかかる作業について機械による自動化を行い、それが難しい場合は台車などの補助機器で省力化することを求めています。
利用者に近づき、腰を低くして大きな筋肉を使う
少ない力で人を支えられるのは、体の重心の位置と、足で支える面の広さを利用しているからです。ボディメカニクスとは、この力学の考え方を介助の姿勢と動作に当てはめる方法のことです。原理を押さえておけば、体格やベッドの高さが変わっても、足の置き方と体の向きを自分で組み立て直せます。
同ページの作業管理は、作業対象にできるだけ身体を近づけること、不自然な姿勢では前屈やひねりを小さくし頻度と時間を減らすことを挙げています。ベッドから車いすへ移乗する場面なら、車いすを近くに置き、足を肩幅に開いて膝を曲げ、腰を落とした姿勢から体の向きを変える形です。
抱え上げは原則人力で行わず、福祉用具を前提に手順を組む
同ページは、腰に過度の負担がかかる作業を「無理に1人ではさせない」としています。そのうえで姿勢・動作・手順・時間の作業標準を策定し、新しい機器を導入したときにも見直すことを求めています。求められているのは個人の熟練ではなく作業標準の策定だと、CareBase(ケアベース)は捉えています。
| 指針の作業管理項目 | 求めていること | 現場での確認点 |
|---|---|---|
| 自動化・省力化 | 補助機器で省力化する | 用具なしの移乗が残っていないか |
| 作業姿勢・動作 | 体を近づけ前屈とひねりを減らす | ベッドの高さを毎回合わせているか |
| 作業の実施体制 | 負担の大きい作業を1人でさせない | 2人で行う場面を決めてあるか |
| 作業標準の策定 | 手順の標準を定めて見直す | 用具を入れたあと手順書を直したか |
出所: 厚生労働省「腰痛予防対策」の作業管理に基づき編集部作成
自施設の移乗手順に1人で抱え上げる場面が残っていないかを点検し、残っていれば福祉用具か人員配置で置き換えます。抱え上げを前提にしない手順へ組み替えることが、体への負担を減らす介助の出発点です。
介護技術を高める学び方は5つ|身につく力と時間の取り方で選ぶ
課題が個別の判断なら左下、共通の手順なら右上の手段が向きます(出所: 厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト」に基づき編集部作成)
学び方は、現場で教わる・まとめて学ぶ・いつでも見返す・職員同士で体験する・資格で学び直すの5つで、身につく力と時間の取り方が違います。自分の課題が個別の判断にあるのか、全員でそろえる共通手順にあるのかで、選ぶ手段が変わります。
並べる観点は、身につく力・向かないこと・時間の取り方・記録の残り方の4点です。前の2点は生産性向上ポータルサイトが述べる各手段の性質を基に、時間の取り方は現場で確保できる時間の形から、記録の残り方は受けた事実を後から確認できるかどうかから置きました。
| 学び方 | 身につく力 | 向かないこと | 時間の取り方 | 記録の残り方 |
|---|---|---|---|---|
| OJT | 利用者ごとの判断 | 全員への一斉伝達 | 勤務中に短時間で | 残す運用を別に決める |
| 集合研修・勉強会 | 共通の手順と根拠 | 利用者ごとの判断 | 日程を確保しまとめて | 実施記録として残る |
| 動画マニュアル・eラーニング | 手順の反復確認 | 力加減の確認 | 空き時間にいつでも | 受講履歴として残る |
| 職員同士の相互体験 | 受ける側の感覚 | 体系的な学習 | 勤務中の短い時間で | 残す運用を別に決める |
| 資格取得 | 根拠と制度の整理 | 自施設手順の統一 | 受講期間を確保して | 修了の記録として残る |
出所: 厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト」の各手段の説明と、現場で確保できる時間・記録の残り方の整理に基づき編集部作成
1. OJTで、その利用者に合わせた判断を教わる
同サイトのOJTの項目は「OJT は研修会や勉強会で習得することが難しい実践力を身につけることができます」としています。利用者ごとに異なる可動域や声かけの間合いは、その場で教わる形が向く一方、教える人が変われば内容も変わるため、OJTだけに任せると手順はそろいません。
2. 集合研修・勉強会で、共通の手順と根拠をそろえる
集合研修や勉強会は、同じ内容を全員が同時に受けられる点が強みです。日程と会場、現場を回す代替の人員が要るため回数は限られ、義務づけられた研修と重ねて年間計画に組み込むと時間を確保しやすくなります。種類と回数の整理は介護施設の法定研修にまとめました。取り上げるテーマの選び方は介護の研修テーマ18選で整理しています。
3. 動画マニュアルとeラーニングで、いつでも同じ手順を見返す
同サイトの情報共有の工夫は「画像、動画を活用することで、視覚的データの保存や共有も可能となります」としています。見て覚える方式で取りこぼした部分を、各自の空き時間に補える手段です。力のかかり方は画面越しに確かめられないため、OJTや相互体験と組み合わせます。位置づけは介護の研修動画とはで詳しく解説しています。
4. 職員同士で介助し合い、受ける側の感覚を確かめる
職員同士で介助し合うと、腕を強く引かれたときの痛みや、声かけがないまま体が動かされる不安が、受ける側の感覚としてわかります。準備するものが少なく、勤務時間内の短い時間でも実施できます。気づきはその場で書き出し、申し送りで共有します。
5. 資格取得で、根拠をまとめて学び直す
厚生労働省は介護員養成研修として介護職員初任者研修などの区分を定めています。初任者研修から実務者研修、介護福祉士と進むと、介助の根拠と制度をまとめて学び直せます。ただし受講期間の確保が要り、待遇への反映は施設ごとの制度次第です。
5つの手段はどれか1つを選ぶものではなく、課題に応じて割り当てるものです。自分の課題が個別の判断か共通の手順かを決めると、学び方と時間の取り方が決まります。
動画マニュアルで介助の手順を何度でも確認できる形にしたい方は
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振り返りは、1か月で確認できる大きさに目標を割ることから始める
振り返りは、1か月で「できた・できなかった」を言い切れる大きさまで目標を割るところから始めます。「介護技術を上げる」のままでは、達成できたかを判断できず、次に何を変えるかも決まりません。
1か月で確認できる大きさに目標を割る
目標は、他の職員が見ても同じ判断ができる行動の形まで下ろします。
| 漠然とした目標 | 1か月で確認できる形 |
|---|---|
| 移乗が上手くなる | 移乗の前に足の位置を確認してから声をかける |
| 記録を丁寧に書く | 食事量と水分量が前日と変わった日は理由まで書く |
| 利用者に合わせた介助をする | 担当する3名の、起き上がりで使える力を把握する |
出所: 1か月で確認できる目標の書き方の整理に基づき編集部作成
対象の人数や場面まで決めておくと、1か月後の振り返りは短い時間で済みます。
振り返りは記録に残し、次の1回で試す
計画を立てて実行し、結果を確認して次の計画を直す進め方があります。PDCAサイクルとは、この計画・実行・確認・改善を繰り返す枠組みのことです。振り返りをこの形にすると、気づきがその場の記憶で終わりません。
気づいたことは介護記録や手控えに残し、翌日の同じ場面で試して結果を書き足します。1か月分がたまったころには、直せた場面と直せなかった場面が並びます。
施設として介護技術をそろえる3つの取り組み|手順書・OJTの手順・研修時間
課題として多く挙がる書類作成の負担から、着手先の取り組みを決められます(出所: 介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」の事業所調査/厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト」に基づき編集部作成)
施設として技術をそろえるには、手順書を写真や図で作り、教える手順そのものを決めて、記録にかかる時間を減らして研修の時間を作ります。厚生労働省の介護分野における生産性向上ポータルサイトが示す業務改善の取組は7項目で、そのうちの3つが手順書の作成・情報共有の工夫・OJTの仕組みづくりです。
| 取り組み | 何を変えるか | 効きやすい課題 |
|---|---|---|
| 手順書の作成 | 文字だけの手順書をフロー図にする | 職員による手順の違い |
| OJTの仕組みづくり | 教える手順を標準として決める | 指導者ごとの教え方のブレ |
| 情報共有の工夫 | 記録・情報共有・請求事務をつなぐ | 研修に充てる時間の不足 |
出所: 厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト」の7取組から3つを抽出して編集部作成
1. 手順書は写真や図で作り、判断の基準まで書く
同サイトの手順書の作成は「文字だけで書かれた手順書は理解しづらく、読むのに時間がかかります」として、「一目見ただけでわかるフロー図が有効です」と示しています。あわせて、業務がきちんとできているかどうかの目安となる判断の基準を、手順書に明確に記載するよう求めています。
手順書が読まれていないときに見直すのは、職員の意欲ではなく手順書の形式です。作る順番は、各自の業務を書き出し、やるべき手順を決め、フロー図にする流れです。整備の進め方は介護マニュアルの作り方が参考になります。
2. 教える手順そのものを決め、教える側にも研修を用意する
同サイトのOJTの項目は「教える内容にムラがでない、ブレがないように、OJT の標準的な手順を決めましょう」としたうえで、教える側の職員を対象とした研修会など、指導するための技術を身につけさせる仕組みも重要だと示しています。
教える手順を決め、そのうえで教える側の技術も育てる二段構えです。新人向けの手順書づくりは介護施設の新人教育マニュアル作成ガイドもあわせて確認してください。到達度の確認項目は介護の新人教育チェックシートで扱っています。
3. 記録にかかる時間を減らして、研修の時間を作る
令和7年度の介護労働実態調査の事業所調査では、事業を運営する上での課題を複数回答で尋ねています(n=8,899事業所)。「教育・研修の時間が十分に取れない」は39.3%、「指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で、時間に追われている」は47.5%でした。書類作成の負担のほうが、多くの事業所で課題として挙がっています。同じ調査では、採用や職場定着・離職防止の方策として「事業所内外での研修機会の充実」を行っている事業所が55.9%あり、実施している事業所のうち27.4%が職場定着に効果があったと回答しています。研修の時間をつくることは、ケアの質をそろえることと職員の定着の両方に関わります。
先に挙げた情報共有の工夫の項目でも、厚生労働省は「介護記録、情報共有、請求事務が一気通貫となったソフトの導入が最も効率的なものとなります」と記しています。CareBase(ケアベース)は、研修時間を確保する打ち手を記録業務の見直しと同時に進める立場です。研修の時間を増やす前に、記録と転記にかかっている時間を数えます。
3つの取り組みは順番に進めるものではありません。どれが欠けているかを先に決めてから着手してください。指導者ごとの手順の違いは、手順書とOJTの手順を決めるところから縮められます。
介助の手順をそろえて教える時間を確保するなら CareBase(ケアベース)
教育の仕組みを選ぶときは、手順を動画や画像で残せるか、誰がどこまで受けたかを確認できるか、記録と教育を同じサービスでまとめて扱えるかの3点を見ます。この3点に照らすと、自施設に足りないものがわかります。紙の手順書と口頭のOJTだけでは、改訂した手順が全員に届いたかと、誰が未受講かを後から追えません。
CareBase(ケアベース)は、動画・画像・テキストを組み合わせた法人独自マニュアルを作成でき、更新履歴管理により改訂版を全施設へ即時反映します。学習コースごとに職員の受講進捗を追跡でき、法定研修の実施記録も自動で残る仕組みです。動画制作オプションでは1テーマあたり約1時間の撮影を行い、撮影後およそ2週間で編集を完了して納品します。マニュアルと記録は同じサービスの中で扱え、1施設あたりの月額料金は、マニュアルシステムが30,000円、記録システムが30,000円、両方をまとめたプランが45,000円です。導入している法人は100社以上です。
指導者ごとに介助の手順が変わっている施設、紙の手順書が現場で読まれていないと感じている施設は、先に挙げた3点のうち自施設に欠けているものから確認してください。
介護技術を高めるうえでよくある質問
厚生労働省が出している介護技術の手引きやマニュアルはありますか?
介助作業の安全基準は「職場における腰痛予防対策指針」に、手順書やOJTの整え方は「介護分野における生産性向上ポータルサイト」に公開されています。介護技術の手順そのものは、この2つを土台に、各施設が自施設の手順書として作る形です。
介護技術の研修は無料で受けられますか?
費用は実施主体によって異なります。施設内の勉強会や職員同士の相互体験は、費用をかけずに始められます。受講できる研修と費用は地域で違うため、条件は都道府県・市区町村の担当窓口で確認してください。
介護技術の指導者になるには何が必要ですか?
介助の技術に加えて、教える手順を身につける必要があります。生産性向上ポータルサイトは、指導するための技術を身につけさせる仕組みが重要だとしています。自分の介助が上手いことと、他人に同じ手順を再現させられることは別の技術です。
CareBase(ケアベース)では、介護技術の手順を動画マニュアルにして全職員へ共有できますか?
共有できます。動画・画像・テキストを組み合わせた法人独自マニュアルを作成でき、更新履歴管理により改訂版が全施設へ即時反映される仕組みです。学習コースごとに職員の受講進捗を追跡できるため、誰がどこまで見たかを確認したうえで指導できます。対応できる範囲は、サービス資料で確認してください。
まとめ
介護技術の向上は、介助の根拠を理解し、福祉用具と手順を選び、振り返りで直す順に積み上げることで進みます。個人の練習で伸ばせるのは介助の判断と動作まで。指導者ごとの手順のばらつきは、手順書とOJTの手順を決める組織側の作業です。まず自施設の手順書が現場で読まれているかを確認し、読まれていないなら形式を写真・図・動画へ変えるところから着手してください。
CareBase(ケアベース)は、介護記録をスマートフォンやタブレットから入力し、情報を自動で整理・共有します。手順書づくりと研修記録の管理を、記録の見直しと同じ流れで進めたい施設に向いています。
手順書づくりと研修記録の管理をまとめて進めたい方へ
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介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
費用や機能、導入事例について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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