2026.10.26
介護の処遇改善加算とは?令和8年度の取得要件と上位区分に上がる条件
令和8年6月の改定で、介護の処遇改善加算は加算率が引き上げられ、加算Ⅰ・Ⅱには上乗せの区分が加わりました(厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」)。介護の処遇改善加算とは、賃金改善を条件に介護報酬へサービスごとの加算率を上乗せする加算です。区分は昇給の仕組みや研修、職場環境の取組をどこまで整えたかで上がります。加算率と区分ごとの要件、配分のルール、届出の期限を令和8年度の通知で確認できます。
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介護の処遇改善加算とは?令和8年6月に広がった3つの点
介護の処遇改善加算とは、賃金改善を条件に介護報酬へサービスごとの加算率を上乗せする加算です。加算を受けた事業所は、加算額に相当する賃金改善を行う義務を負います。賃金改善には基本給・手当・賞与が含まれ、法定福利費の事業主負担の増加分も含められます。
正式名称は「介護職員等処遇改善加算」で、令和6年6月に従来の3つの処遇改善の加算を一本化して生まれました(厚生労働省の通知(老発0313第6号・令和8年度分)、以下「通知」)。令和8年度の年度途中の改定では、介護従事者に月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置に加え、生産性向上や協働化に取り組む事業所の介護職員には月0.7万円(2.4%)が上乗せされます(令和8年度介護報酬改定の概要)。定期昇給0.2万円を含めると、介護職員については最大で月1.9万円(6.3%)の賃上げを実現する措置とされています。この額は制度上の最大値で、職員ごとの実際の賃上げ額はサービスごとの加算率と事業所内の配分によって変わります。
1. 対象が介護職員から介護従事者全体へ広がった
これまで処遇改善加算の主な対象は介護職員でした。令和8年6月からは対象が介護従事者、つまり看護職員や生活相談員、事務職員など介護サービスに携わる職員全体へ広がり、それに合わせて加算率も引き上げられています。
2. 生産性向上や協働化に取り組む事業所の上乗せ区分ができた
令和8年6月の算定分から、加算Ⅰは「加算Ⅰイ」と「加算Ⅰロ」に、加算Ⅱは「加算Ⅱイ」と「加算Ⅱロ」に分かれました。ロの区分は、生産性向上や協働化の取組を示す令和8年度特例要件を満たした事業所が取れる上乗せの区分です。特例要件は令和8年6月以降の算定に係る要件のため、4月・5月の算定では満たす必要はありません(厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」 問8-3)。
3. 訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援なども対象になった
これまで処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援などにも加算が新設されました。加算率は訪問看護1.8%、訪問リハビリテーション1.5%、居宅介護支援・介護予防支援2.1%です(令和8年度介護報酬改定の概要)。算定には、加算Ⅳに準ずる要件か、令和8年度特例要件のどちらかを満たします。
処遇改善加算の区分と加算率|加算額の計算方法
処遇改善加算の加算額は、処遇改善加算を除いた1月の総単位数に、サービスと区分(加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ)ごとの加算率を掛けて出します。加算率は通所介護で8.3%〜12.0%、訪問介護で17.0%〜28.7%です(令和8年度介護報酬改定の概要)。
令和8年6月以降の加算率は、次のとおりです。同じ区分でもサービスによって加算率が大きく異なるため、自施設のサービスの行で区分ごとの差を見比べます。
| サービス | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% | 20.7% | 17.0% |
| 夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 26.7% | 27.8% | 24.6% | 25.7% | 20.4% | 16.7% |
| 訪問入浴介護 | 12.2% | 13.3% | 11.6% | 12.7% | 10.1% | 8.5% |
| 通所介護 | 11.1% | 12.0% | 10.9% | 11.8% | 9.9% | 8.3% |
| 地域密着型通所介護 | 11.7% | 12.7% | 11.5% | 12.5% | 10.5% | 8.9% |
| 通所リハビリテーション | 10.3% | 11.1% | 10.0% | 10.8% | 8.3% | 7.0% |
| 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護 | 14.8% | 15.9% | 14.2% | 15.3% | 13.0% | 10.8% |
| 認知症対応型通所介護 | 21.6% | 23.6% | 20.9% | 22.9% | 18.5% | 15.7% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 17.1% | 18.6% | 16.8% | 18.3% | 15.6% | 12.8% |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 16.8% | 17.7% | 16.5% | 17.4% | 15.3% | 12.5% |
| 認知症対応型共同生活介護 | 21.0% | 22.8% | 20.2% | 22.0% | 17.9% | 14.9% |
| 介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所生活介護 | 16.3% | 17.6% | 15.9% | 17.2% | 13.6% | 11.3% |
| 介護老人保健施設・短期入所療養介護(介護老人保健施設) | 9.0% | 9.7% | 8.6% | 9.3% | 6.9% | 5.9% |
| 介護医療院・短期入所療養介護(介護医療院・病院等) | 6.2% | 6.6% | 5.8% | 6.2% | 4.7% | 4.0% |
(出所: 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」。訪問入浴介護・通所リハビリテーションなど介護予防サービスがあるものは介護予防も同じ加算率)
加算額は1月の総単位数に加算率を掛けて出す
総単位数とは、基本サービス費に処遇改善加算以外の加算・減算を反映した、1月分の介護報酬の単位数です(通知)。加算率は、サービスごとの常勤換算(常勤の職員が働く時間を基準に職員数を数え直した人数)の職員数をもとに設定されています。
たとえば1月の総単位数が5万単位の通所介護を仮定します。加算Ⅰイ(11.1%)なら5,550単位、加算Ⅰロ(12.0%)なら6,000単位で、差は450単位です。この単位数に地域区分ごとの1単位の単価を掛けた額が、加算の金額です。同じサービスでも区分が1段上がると加算率が変わるため、まず自施設の現在の区分と次の区分の差を加算率表で確かめます。
加算Ⅰ〜Ⅳを分ける算定要件と令和8年度特例要件
処遇改善加算の区分は、要件を下の区分から順に積み上げるほど上位になる仕組みです。加算Ⅳは、賃金体系と研修の整備に職場環境の取組を加えた事業所が取ります。その上に、加算Ⅲは昇給の仕組みを加えた事業所が取ります。加算Ⅱは、年収440万円以上の介護職員を1人以上置き、職場環境等の取組を区分ごとに2つ以上(生産性向上は3つ以上)に増やして公表した事業所が取ります。加算Ⅰは、これに介護福祉士等の配置を加えた事業所が取ります。加算Ⅰロ・Ⅱロは、さらに令和8年度特例要件を満たした事業所が取ります。
| 要件 | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 月額賃金改善要件 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組み) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
| キャリアパス要件Ⅳ(年収440万円以上の職員) | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
| キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置) | ○ | ○ | - | - | - | - |
| 職場環境等要件 | 区分ごと2以上 | 区分ごと2以上 | 区分ごと2以上 | 区分ごと2以上 | 区分ごと1以上 | 区分ごと1以上 |
| 職場環境等の取組の公表 | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
| 令和8年度特例要件 | - | ○ | - | ○ | - | - |
(出所: 厚生労働省の通知(老発0313第6号・令和8年度分)表2-2)
月額賃金改善要件とキャリアパス要件Ⅰ〜Ⅴ
月額賃金改善要件は、加算Ⅳの加算額(ほかの区分では加算Ⅳを取った場合の見込み額)の2分の1以上を、基本給か毎月決まって支払う手当の改善に充てる要件です。キャリアパス要件は、職員の職位・研修・昇給などの仕組みを就業規則等で定める要件で、5つあります(通知)。
キャリアパス要件Ⅰは職位や職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備、要件Ⅱは研修の計画づくりと実施、全介護職員への周知です。年間の研修計画の立て方は介護の研修テーマと年間計画の組み方にまとめました。要件Ⅲは経験・資格・評価のいずれかで昇給する仕組みで、評価で昇給を判定する場合の評価項目の決め方は介護の人事考課の書き方で詳しく解説しています。要件Ⅳは経験・技能のある介護職員のうち1人以上の年収を440万円以上にすること、要件Ⅴはサービスごとに一定以上の介護福祉士等を配置することです。たとえば、昇給の仕組みはあるものの年収440万円以上の職員がいない施設は加算Ⅲにとどまります。ただし小規模で賃金のバランスに配慮が必要な場合など、合理的な説明があれば要件Ⅳの例外が認められます。
令和8年度特例要件を満たすと要件の整備を誓約で申請できる
令和8年度特例要件は、次の3つのうち自施設のサービスに当てはまるものを1つ満たす要件です(通知)。
- 訪問・通所サービスなど: ケアプランデータ連携システム(ケアプランや実績をデータでやり取りするシステム)を利用する。加入だけでは足りず、利用が必要です
- 施設サービスなど: 生産性向上推進体制加算(見守り機器などの導入と業務改善の継続を評価する加算)のⅠかⅡを算定する
- 法人: 所属する法人が社会福祉連携推進法人(社会福祉法人などが連携して業務を進めるための法人)に参加している
特例要件を満たす事業所は、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳと職場環境等要件を「令和9年3月末までに整備する」と誓約すれば、申請の時点から要件を満たすものとして扱われます。誓約した要件は期限までに整え、実績報告書で報告します。特例要件の根拠資料は、システムの使用画面のスクリーンショットや体制届などを2年間保存し、指定権者(事業所を指定した都道府県や市町村)から求められたら提出します(Q&A問8-4)。生産性向上推進体制加算の要件は介護の生産性向上の取組と進め方もあわせて確認してください。
加算Ⅰ・Ⅱに届いていない事業所が止まっている要件
| 調査 | 項目 | 割合 |
|---|---|---|
| 令和7年度実態調査 | 加算Ⅰを取得 | 54.9% |
| 令和7年度実態調査 | 加算Ⅱを取得 | 28.7% |
| 令和7年度実態調査 | 加算Ⅲを取得 | 9.2% |
| 令和7年度実態調査 | 加算Ⅳを取得 | 4.0% |
| 令和6年度調査 | 加算Ⅲの事業所が加算Ⅱを取らない理由: 職種間・事業所間の賃金のバランスが崩れる懸念 | 35.4% |
| 令和6年度調査 | 加算Ⅲの事業所が加算Ⅱを取らない理由: 年額の賃金要件の定め方が分からない | 29.2% |
(出所: 厚生労働省「令和7年度介護職員等の職場環境や処遇に関する実態調査の結果(速報版)」「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」)
令和7年度の調査では加算Ⅰ・Ⅱの事業所が8割を超え、加算Ⅲ・Ⅳは合わせて1割強です。加算Ⅲの事業所が加算Ⅱを取らない理由の上位2つは、どちらも年収440万円の要件に関するものでした。2つの調査を重ねると、加算Ⅲから加算Ⅱへの壁は、年収440万円の要件をどう定めるかにあると読めます。加算Ⅱを目指す施設は、年収440万円以上にする介護職員と、例外にあたる場合の説明を先に決めておくと、計画書の作成に進めます。要件は年度ごとの改定で変わるため、最新の基準をご確認ください。加算Ⅰイ・Ⅱイの事業所は自施設のサービスに当てはまる令和8年度特例要件を1つ満たせば加算Ⅰロ・Ⅱロに上がれ、加算Ⅲの事業所は年収440万円以上にする介護職員を決めることが加算Ⅱへの最初の一歩です。あわせて職場環境等の取組を区分ごとに2つ以上にそろえ、公表の準備を進めます。
職場環境等要件は28項目から区分ごとに取組を選ぶ
職場環境等要件は、賃金以外の働きやすさに関する6区分28項目から、加算区分に応じた数の取組を選んで実施する要件です。加算Ⅰ・Ⅱなら区分ごとに2つ(生産性向上は3つ)、加算Ⅲ・Ⅳなら区分ごとに1つ(生産性向上は2つ)が必要です(通知)。
6区分と加算区分ごとに必要な取組の数
| 区分 | 項目番号 | 取組の例 | 加算Ⅰ・Ⅱ | 加算Ⅲ・Ⅳ |
|---|---|---|---|---|
| 入職促進に向けた取組 | 1〜4 | 経営理念や人材育成方針の明確化、経験にこだわらない採用の仕組み | 2以上 | 1以上 |
| 資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | 5〜8 | 実務者研修などの受講支援、定期的なキャリア面談 | 2以上 | 1以上 |
| 両立支援・多様な働き方の推進 | 9〜12 | 短時間正規職員制度、有給休暇の取得促進 | 2以上 | 1以上 |
| 腰痛を含む心身の健康管理 | 13〜16 | 職員相談窓口の設置、腰痛対策の研修 | 2以上 | 1以上 |
| 生産性向上のための取組 | 17〜24 | 業務改善の体制づくり、業務手順書の作成、介護ソフトの導入 | 3以上(17か18を含む) | 2以上 |
| やりがい・働きがいの醸成 | 25〜28 | ミーティングでの気づきの共有、好事例や利用者からの謝意の共有 | 2以上 | 1以上 |
(出所: 厚生労働省の通知(老発0313第6号・令和8年度分)表4)
1つの項目に複数の取組が並んでいる場合は、そのうち1つを満たせば項目を満たしたことになります(Q&A問7-2)。生産性向上推進体制加算を算定している事業所は生産性向上の区分を満たし、1法人で1事業所だけを運営する小規模な事業者は協働化の取組である要件24の実施で同じ区分を満たせます。まずは自施設ですでにしている取組を28項目に当てはめ、区分ごとに足りない数を数えてみてください。
生産性向上の取組は加算Ⅰ・Ⅱなら要件17か要件18を含めて3つ選ぶ
加算Ⅰ・Ⅱでは、生産性向上の区分から3つ以上を選び、その中に要件17か要件18を含めます。加算Ⅲ・Ⅳは2つ以上でよく、要件17・18は必須ではありません。要件17は業務改善の体制づくりで、委員会やプロジェクトチームの立ち上げのほか、外部の研修会の活用も含まれます。厚生労働省の職場環境等要件 取組の事例集には、業務改善の最初の段取りを示した事例が載っています。その事例では、厚生労働省の「生産性向上の取組の進め方」の動画を聴講し、外部セミナーに参加したうえで拠点の実行リーダーを決めています。要件18は、課題の抽出や業務時間調査などによる現場の課題の見える化です。
要件20は業務手順書の作成や記録・報告様式の工夫、要件21は介護ソフトやタブレットの導入です。同事例集には、インカムの文字起こし機能で記録を口頭で入力する実例もあります。手順書づくりは介護マニュアルの作り方が参考になります。該当するか迷う取組は、計画書を出す前に指定権者へ確認してください。
要件17で委員会を立ち上げた施設では、開催のたびに話し合った内容を議事録に残す手間が生じます。委員会の議事録に書く5項目と記入例は、生産性向上委員会の議事録の記入例にまとめました。AI議事録とは、会議の録音をAIが書き起こし、話した人ごとに分けて要約し、議事録の下書きにする仕組みです。CareBase(ケアベース)AI議事録は、会議の録音から会議の種類ごとの様式に沿った議事録の下書きを作ります。AIが作るのはあくまで下書きです。職員が要約の各項目から元の発言を開いて確かめ、修正して確定します。編集した人・日時・変更前後は履歴に残り、確定した議事録は押印欄付きPDFで回覧できます。
職員が確定した議事録の画面。要約の各項目に「根拠」リンクが付き、書き起こし全文と操作履歴をタブで切り替えて確かめられる(出所: CareBase(ケアベース)AI議事録 製品画面)
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加算Ⅰ・Ⅱは取組の内容を外部に公表する
加算Ⅰ・Ⅱを取る事業所は、実施した職場環境等の取組を外部から見える形で公表しなければなりません。介護サービス情報公表制度(事業所の情報をインターネットで公表する国の仕組み)で処遇改善加算の算定状況を報告し、取組の項目と具体的な内容を「事業所の特色」の欄に書きます。この制度の対象外の事業所は、自社のホームページなどで公表する形です。
加算分を賃金に配分するときのルール
加算分は全額を賃金改善に充て、新たに増えた分はベースアップを基本に配り、看護職員や事務職員など介護職員以外の職種にも配分できます。加算Ⅳ相当額の2分の1以上は基本給か毎月の手当に充てます(通知)。
ベースアップとは、賃金表を改めて基本給や毎月の手当を一律に引き上げることです。令和8年度に新規算定・上位区分への移行・加算率の引上げで前年度より増えた加算額は、過去の賃金改善の実績に関わらず、新しい賃金改善に充てます。ベースアップだけで対応が難しい場合は、手当や賞与などの一時金を組み合わせてもかまいません。特定の賃金項目を含め、賃金の水準を下げないことも求められます。
介護職員以外の職種にも配分できるが偏った配分は認められない
配分先には介護職員以外の全職種が含まれ、看護職員や介護支援専門員、生活相談員、事務職員にも配分できます。一方で、一部の職員や同じ法人の一部の事業所だけに集中させるなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分はできません(Q&A問2-6)。令和7年度の実態調査では、引き上げの対象を「施設・事業所の職員全員」とした事業所が68.9%でした。介護職員以外の配分先は看護職員63.0%、生活相談員・支援相談員54.8%、事務職員54.4%の順です。職員全員を対象にする配分が多数派のため、計画書では看護職員などへの配分の扱いを先に決めておくと、組み立てに迷いません。職員の定着に向けた施策は介護職の離職防止で原因データと対策を紹介しています。
賃金改善額が加算額に届かなかったときの扱い
実績報告で賃金改善額が加算額を下回ると、算定要件を満たさないものとして返還の対象になります。ただし、不足した分を賞与などの一時金として職員に追加で配分すれば、返還を求めない扱いも認められています(Q&A問1-9)。配分の方法は処遇改善計画書などで職員に周知し、職員から照会があれば書面などで分かりやすく回答する決まりです。配分の範囲と方法を計画書で職員に示しておくと、照会への回答と実績報告の両方をそのまま進められます。
届出の流れと期限|計画書・実績報告・根拠資料の保存
処遇改善加算は、処遇改善計画書を算定を始める月の前々月の末日までに、体制届を居宅系は前月15日・施設系は当月1日までに指定権者へ出します。実績報告書は最後の加算支払月の翌々月の末日(令和8年度分は通常令和9年7月31日)までに出します(通知)。
| 書類 | 期限 | 令和8年度の日付・備考 |
|---|---|---|
| 体制届(体制等状況一覧表など) | 居宅系は算定を始める月の前月15日、施設系は当月1日 | 4月からの新規算定・区分変更は4月1日(自治体の判断で4月15日も可) |
| 処遇改善計画書 | その年度で初めて算定する月の前々月の末日 | 令和8年4月15日(新設サービスのみの事業者は6月15日) |
| 実績報告書 | 年度の最後の加算支払月の翌々月の末日 | 通常は令和9年7月31日 |
| 変更届 | 居宅系は変更後の算定開始月の前月15日、施設系は同月1日 | 区分の変更、キャリアパス要件の適合状況の変更など |
(出所: 厚生労働省の通知(老発0313第6号・令和8年度分))
体制届は加算を算定する体制を届け出る書類、実績報告書は年度の賃金改善の結果を報告する書類です。たとえば施設系サービスが年度の途中で区分を上げる場合は、変更後の算定開始月の1日までに変更届を出します。複数の事業所を持つ法人は、計画書などを法人単位でまとめて作成してもかまいません。
計画書と実績報告書は根拠資料と一緒に2年間保存する
計画書と実績報告書は、記載内容の根拠となる資料と一緒に2年間の保存が必要です。保管する書類には、賃金・任用要件・昇給の規程を含む就業規則等と、労働保険に加入していることが分かる書類があります。実績報告の根拠となる給与明細や勤務記録も含まれます。届出時の一律の添付は求められず、指定権者から求められたら速やかに提示します。まだ加算を届け出ていない事業所が挙げる理由の上位は、算定要件を達成できない(27.0%)と事務作業が煩雑(25.7%)です(令和7年度の実態調査)。
個別の判断に迷う場合は、指定権者か厚生労働省の処遇改善加算の相談窓口(電話050-3733-0222、9:00〜18:00、土日・祝日を含む)に相談できます。通知・Q&Aと様式は厚生労働省の処遇改善特設ページに掲載されているため、最新の基準をご確認ください。
処遇改善加算の研修と記録の準備を進めるならCareBase(ケアベース)
研修の計画と実施の記録、業務手順書を日々の運用の中で残しておくと、キャリアパス要件Ⅱの研修と職場環境等要件の業務手順書の取組を、後から施設ごとに確かめられます。
キャリアパス要件Ⅱでは研修計画に沿って研修を実施し、全ての介護職員に周知します。要件20は業務手順書の作成です。そこで道具は、研修計画どおりの実施と全介護職員への周知を施設ごとに後から確かめられるか、業務手順書を職員が見られる形で共有できるか、の2点で選びます。紙や表計算ソフトの受講名簿でも記録はできるものの、施設が増えるほど、施設ごとの受講状況を集める作業が別に要るのが難点です。
CareBase(ケアベース)は、研修と手順書の記録を残す作業を支える機能をそろえています。新人研修や新任責任者研修などの研修コースを設計して配信し、研修の実施記録を自動で保存し、施設ごとの研修完了率と未受講者数をダッシュボードに表示します。業務手順書は動画・画像・テキストを組み合わせたマニュアルとして作成・共有でき、導入は100社以上です。研修の実施記録と受講状況が施設ごとにそろうため、研修計画どおりに進んでいるかを年度の途中でも施設単位で確かめられます。なお、要件を満たすかどうかの判断は指定権者が行います。録音から議事録の下書きを作り職員が確認して確定するCareBase(ケアベース)AI議事録も機能の一部で、AI議事録だけの単独導入も可能です。
研修の受講管理を紙の名簿で行っていて、加算Ⅳを含むすべての区分で必要な研修の実施と周知を、施設ごとに確かめたい施設に向いています。特例要件で誓約し、令和9年3月末までに研修の仕組みを整える施設や、複数の事業所の受講状況を法人でまとめて見たい場合にも合います。料金は1施設あたりの月額制です。プランにより異なりますので、詳細はお問い合わせください。
研修の受講状況と手順書をまとめたい方は
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処遇改善加算についてよくある質問
介護の処遇改善加算の拡充はいつから適用されますか?
令和8年6月の算定分から適用されます。加算Ⅰロ・Ⅱロの区分と令和8年度特例要件は6月以降の算定に適用され、4月・5月の算定では特例要件を満たす必要はありません。ただし4月・5月にキャリアパス要件や職場環境等要件の整備を誓約して申請する場合は、特例要件を満たすことが必要です(Q&A問8-3)。
処遇改善加算で利用者の負担は変わりますか?
事業所が加算を算定すると、介護サービスの利用料が上がる可能性があります。通知でも処遇改善加算は区分支給限度基準額の算定対象から除かれているため、利用中のサービスの回数や時間には影響しません。自己負担が一定額を超えた場合は、高額介護サービス費の払い戻しの仕組みがあります(厚生労働省の利用者向けリーフレット(令和6年度改正時のもの))。
介護と障害福祉を両方運営している場合、処遇改善加算の賃金はどう按分しますか?
介護と障害福祉サービスを兼務する職員の賃金は、介護サービス事業所での賃金を常勤換算で計算して按分することが想定されています。計算が難しい場合は、その職員が実際に収入として得ている額で判断してかまいません(Q&A問2-7)。
処遇改善加算の職場環境等要件は毎年新しい取組が必要ですか?
前年度から続けて算定する場合は、これまでの取組を続けていれば足り、毎年新しい取組を加える必要はありません(Q&A問7-1)。
CareBase(ケアベース)は処遇改善加算の研修計画や研修記録の管理に使えますか?
使えます。CareBase(ケアベース)は研修コースを設計して職員へ配信でき、研修の実施記録は自動で保存され、施設ごとの研修完了率と未受講者数を一覧で確かめられます。料金は1施設あたりの月額制で、プランにより異なります。導入を検討する場合は、自施設の研修計画を手元に用意してお問い合わせください。
まとめ
介護の処遇改善加算は、賃金改善を条件に加算率を上乗せする加算です。昇給の仕組み、年収440万円以上の職員、職場環境等要件の取組数を順に満たすと上位区分へ上がります。加算Ⅰロ・Ⅱロは、これに令和8年度特例要件を加えて取ります。要件の整備を誓約で申請できるのは特例要件を満たす事業所だけです。加算率表と要件表で自施設の次の区分を確かめ、計画書の期限から逆算して準備しましょう。
CareBase(ケアベース)は研修の実施記録を自動で保存し、施設ごとの研修完了率と未受講者数を表示します。すべての区分で必要な研修が施設ごとに進んでいるかを、年度の途中でも確かめられます。委員会の議事録は、録音1時間あたり500円(税抜)のCareBase(ケアベース)AI議事録で下書きを作り、職員が確かめて確定します。
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