2026.10.26
介護施設の監査とは?運営指導との違いと入るきっかけ
運営指導の当日に基準違反や虐待の疑いが見つかると、口頭の通告でその場から監査に切り替わることがあります。介護保険法に基づく監査は、基準違反や不正請求、虐待の疑いがあるときに都道府県・市町村が立入検査などで事実を確かめる手続きです。定期的な運営指導(旧・実地指導)とは、目的も通知の時期も異なります。監査が入るきっかけと処分までの流れも、厚生労働省の指針に沿って示します。
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介護施設の監査とは|基準違反や不正の疑いを確かめる行政の立入検査
監査は対象を2つに限り、報告命令・出頭・質問・立入検査で事実を確かめる(出所: 厚生労働省「介護保険施設等監査指針」「介護保険施設等に対する監査マニュアル」に基づき編集部作成)
介護保険法に基づく介護施設の監査とは、基準違反や不正請求、虐待の疑いを都道府県や市町村が確かめる手続きです。帳簿書類の確認や立入検査で事実をつかみ、勧告や指定取消などの措置が必要かを判断します。特別養護老人ホーム・養護老人ホームには、これとは別に、老人福祉法に基づいて原則3年に1回すべての施設に入る一般監査があります。
監査の根拠は介護保険法第76条などで、進め方は厚生労働省の「介護保険施設等監査指針」(最終改正令和6年3月26日)が定めています。監査で確かめる点は、運営基準(人員・設備・運営について都道府県・市町村が条例で定める決まり)に従っているか、介護報酬の請求に不正がないか、虐待がないかです。指針の用語では、基準違反や不正請求とその疑いが「指定基準違反等」です。市町村による虐待の認定や、虐待で利用者に危害が及んでいる疑いは「人格尊重義務違反」と呼び、監査の対象はこの2つに限られています。
監査を行うのは指定権者の都道府県・市町村
監査を行うのは、その施設を指定(許可)した都道府県・市町村で、これを指定権者と呼びます。地域密着型サービスの事業所は、市町村が指定し、監査も行います。
都道府県が指定した施設に、市町村が監査に入ることもあります。その場合、市町村は事前に都道府県へ情報を伝え、基準違反などを認めたら文書で都道府県に通知し、措置は都道府県が判断します(介護保険施設等監査指針 第4 2)。
監査で行政ができること(報告命令・帳簿書類の提出・質問・立入検査)
監査指針 第2は、監査で行政ができることとして、次の4つを挙げ、まとめて「立入検査等」と呼んでいます。報告や帳簿書類の提出・提示を命じること、出頭を求めること、関係者に質問すること、施設に立ち入って設備や帳簿書類を検査することです。
厚生労働省の介護保険施設等に対する監査マニュアルは、関係書類の一時的な預かりや、職員一人ずつの聞き取りと聞き取り調書への署名を挙げています。たとえば運営指導の当日に身体的拘束の記録に説明のつかない点が見つかると、口頭の通告で監査に移り、その場で記録の提示や職員への聞き取りに進むことがあります。
運営指導は定期的に原則1か月前の通知、監査は違反の疑いがあるときに開始時の通知
通知の時期は目安で、罰則規定の記載が監査の通知を見分ける手がかりになる(出所: 厚生労働省「介護保険施設等指導指針」「介護保険施設等監査指針」「老人福祉施設指導監査指針」「令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況」に基づき編集部作成)
運営指導はすべての施設を対象に定期的に行う指導で、原則1か月前までに文書で通知されます。介護保険法に基づく監査は違反の疑いがある施設に限って行われ、通知は監査を始めるときに届きます。令和6年度の実施は運営指導が50,424事業所(所管事業所の16.2%)、監査が1,190件でした(令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況)。
| 項目 | 運営指導(旧・実地指導) | 監査(介護保険法) | 一般監査・特別監査(老人福祉法) |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 介護保険施設等指導指針 | 介護保険法第76条ほか・介護保険施設等監査指針 | 老人福祉法第18条・老人福祉施設指導監査指針 |
| 目的 | サービスの質・運営体制・報酬請求の指導 | 指定基準違反等・人格尊重義務違反の事実確認と措置の判断 | 運営が確認項目・確認文書に沿っているかの確認 |
| 対象 | すべての事業所 | 違反の疑いがある事業所 | 一般監査は全施設、特別監査は不正・虐待などの疑いがある施設 |
| 頻度 | 指定の有効期間(6年)に1回以上。施設系・居住系は3年に1回が望ましい | 定期ではない(必要と認めたとき) | 一般監査は原則3年に1回、特別監査は必要なとき |
| 通知 | 原則1か月前までに文書(虐待が疑われる場合などは開始時) | 監査開始時に文書(運営指導の途中で移るときは口頭) | あらかじめ文書(特別監査は開始時のことがある) |
| 主な結果 | 指導。違反の疑いがあれば監査へ移ることがある | 改善報告・勧告・命令・指定の効力停止・指定取消 | 文書指導・改善報告、改善されなければ改善命令等 |
| 令和6年度の実施 | 50,424事業所 | 1,190件 | 特養は一般監査3,108・特別監査33、養護は一般監査263・特別監査6 |
出所: 厚生労働省「介護保険施設等指導指針」「介護保険施設等監査指針」「老人福祉施設指導監査指針」「令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況」に基づき編集部作成
運営指導は全事業所が対象で、原則1か月前に文書で通知
介護保険施設等運営指導マニュアルは、運営指導を指定の有効期間(介護保険の事業所としての指定が効力を持つ期間。6年)のうちに1回以上行うとし、施設系・居住系サービスは3年に1回の頻度が望ましいとしています。
通知は文書で、原則として実施日の1か月前までに届きます。ただし、高齢者虐待が疑われるなど、事前に知らせると日ごろのサービスの様子を確かめられない場合は、指導を始めるときに通知されます(指導指針 第5 2(1))。以前は実地指導と呼ばれていました。
監査は疑いがある事業所が対象で、通知は監査を始めるとき
監査指針 第3は、通報や苦情などの情報を踏まえ、基準違反や虐待を確かめる必要があると認めたときに監査を行うとしており、決まった周期はありません。
監査の通知は文書で、監査を始めるときに届きます。運営指導の途中で監査に移るときは、口頭で通告されます(同 第4 1(1))。監査マニュアルの立場も、実施通知は監査当日でも構わず、口頭で通告したときは改めて文書で通知するのが望ましい、というものです。
通知書に虚偽報告・検査忌避の罰則規定が書かれていれば監査の通知
運営指導と監査の通知には、それぞれ指針で決められた事項が書かれます。
| No | 運営指導の通知事項(指導指針 第5 2(1)) | 監査の通知事項(監査指針 第4 1(1)) |
|---|---|---|
| 1 | 運営指導の根拠規定及び目的 | 監査の根拠規定 |
| 2 | 日時及び場所 | 日時及び場所 |
| 3 | 指導担当者 | 監査担当者 |
| 4 | 介護保険施設等の出席者 | 出席者 |
| 5 | 準備すべき書類等 | 必要な書類等 |
| 6 | 当日の進め方、流れ等 | 虚偽の報告又は答弁、検査忌避等に関する罰則規定 |
出所: 厚生労働省「介護保険施設等指導指針」「介護保険施設等監査指針」に基づき編集部作成
届いた通知が監査かどうかは、「虚偽の報告又は答弁、検査忌避等に関する罰則規定」が書かれているかで確かめます。この項目は監査の通知事項にだけあります。根拠規定はどちらの通知にも書かれるため、見分ける手がかりになりません。通知の時期も目安にとどまり、虐待が疑われる運営指導は開始時に通知されます。様式は自治体ごとに異なるため、判断がつかないときは通知書の担当課に確認してください。運営指導と分かったあとの準備の進め方は、介護の実地指導(運営指導)チェックリストにまとめました。
特別養護老人ホーム・養護老人ホームで「一般監査」と書かれた通知は、老人福祉法に基づく定期の監査です。
特別養護老人ホームの「一般監査」「特別監査」は老人福祉法の指導監査
特別養護老人ホームと養護老人ホームには、介護保険法の監査とは別に、老人福祉法第18条に基づく指導監査があります。老人福祉施設指導監査指針は、これを一般監査と特別監査に分けています。一般監査は、原則3年に1回、すべての施設に実地で行う定期の監査です。特別監査は、運営の不正や著しい不当、最低基準違反、高齢者虐待が疑われるときや、一般監査で改善がみられないとき、一般監査を正当な理由なく拒んだときに行われます。
一般監査の通知を受けたことだけで、施設が疑われているとは限りません。介護保険法の手続きでは、届いた通知に罰則規定の記載があるかを確かめれば、疑いを確かめる監査の通知かどうかが分かります。
監査が入るのは通報やデータ分析、運営指導で違反の疑いが出たとき
7つの端緒を通報・虐待・請求データ・運営指導の4経路に分け、施設側で備える点と対応づけた(出所: 厚生労働省「介護保険施設等監査指針」「介護保険施設等指導指針」に基づき編集部作成)
介護保険法に基づく監査は、基準違反・不正請求・虐待の疑いを確かめる必要があると行政が判断したときに入ります。判断の材料は、通報・苦情や虐待の認定、国保連・保険者からの情報、請求データの分析、運営指導での確認などで、監査指針 第3は次の7つを挙げています。
- 通報・苦情・相談等に基づく情報
- 市町村による虐待の認定や、虐待等で利用者の生命・身体の安全に危害が及んでいる疑いの情報
- 国民健康保険団体連合会・地域包括支援センターへ寄せられる苦情
- 国民健康保険団体連合会・保険者からの通報情報
- 介護給付費適正化システムの分析から特異な傾向を示す施設
- 介護サービス情報の報告の拒否等に関する情報
- 運営指導で認めた(疑いを含む)指定基準違反等・人格尊重義務違反
利用者・家族・職員・地域からの通報や苦情・相談
指針の文言は「通報・苦情・相談等に基づく情報」で、情報を寄せる人を限っていません。利用者や家族の苦情のほか、職員からの通報や地域の住民からの相談も、必要と判断されれば監査のきっかけになり得ます。
施設が受けた苦情は、受けた日時、内容、施設がとった対応と結果を記録に残しておくと、同じ苦情が行政に寄せられたときに経緯を説明できます。
高齢者虐待の認定や、利用者の生命・身体に危害が及ぶ疑い
人格尊重義務違反(市町村が虐待を認定した場合や、虐待等で利用者の生命・身体の安全に危害が及んでいる疑いがある場合を指す監査指針の用語)は、基準違反や不正請求と並ぶ監査の対象です。市町村による虐待の認定は、それ自体が監査の端緒になります。
虐待が疑われるときは、運営指導でも事前に通知せず、指導を始めるときに通知できます(指導指針 第5 2(1))。運営指導の最中に虐待の疑いが見つかれば、その場で監査に移ることもあります。
国保連・保険者からの通報や、介護給付費の請求データの特異傾向
国保連(国民健康保険団体連合会。介護報酬の審査と支払いを担う団体)や保険者(介護保険を運営する市町村)からの通報も、監査の端緒です。介護給付費適正化システム(介護報酬の請求データを分析する仕組み)の分析で特異な傾向が出た施設も対象になるため、施設側では、請求の内容がサービス提供記録や加算の算定根拠と対応していることを説明できるようにしておきます。
介護サービス情報の公表制度で求められる報告の拒否等(介護保険法第115条の35第4項)も端緒の1つです。
運営指導の途中で見つかった基準違反や虐待の疑い
7つ目の端緒は、運営指導で認めた基準違反や虐待、またはその疑いです(監査指針 第3 2)。運営指導の途中でこうした事実が見つかると、その場で口頭の通告により監査に移ることがあります(同 第4 1(1))。
運営指導で示した記録と説明が食い違うと、その食い違いが基準違反の疑いとして監査で確かめられることがあるため、記録の中身を担当者以外の職員も説明できるかまで見ておきます。
監査では疑いに関わる帳簿書類を、運営指導では委員会の記録を含む確認文書を見られる
監査では、基準違反・不正請求・虐待の疑いに関わる帳簿書類の提出や提示を、疑いの内容に応じて求められます。運営指導では、サービスの実施状況・運営体制・報酬請求について決められた確認文書を見られ、委員会は「開催状況及び結果がわかるもの」がその中に入っています。
令和6年度の処分理由は不正請求・法令違反・人格尊重義務違反の順に多い
監査で問題になった事由は、厚生労働省の公表統計から分かります。「令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況」によると、令和6年度に指定取消や指定の効力停止を受けたのは158事業所でした。処分事由は多い順に不正請求、法令違反、人格尊重義務違反、虚偽答弁です。1件に複数の事由が当たる場合があり、158事業所のうち約5割が不正請求で処分されています。
不正請求も虚偽答弁も、記録と請求、説明と事実の食い違いが問われる事由で、サービス提供記録と請求の内容が対応していれば記録で事実を示せます。
運営指導で確認される観点はサービスの実施状況・運営体制・報酬請求の3つ
指導指針 第3 2(1)は、運営指導を次の3つの形で行うとしています。
- 介護サービスの実施状況指導: 個別のサービスの質についての指導
- 最低基準等運営体制指導: 基準に定める運営体制についての指導
- 報酬請求指導: 加算などの介護報酬の請求が適正かについての指導
確認は確認項目・確認文書に基づいて行い、確認項目以外は特段の事情がない限り確認せず、確認文書以外の書類は原則として求めません(同 第3 2(3))。準備する文書は原則として前年度から直近の実績で、電子で管理している記録は画面で確認し、印刷した書類の準備は求めないとされています(同 第5 2(3)エ)。指摘されやすい記録の不備と事前準備は、介護施設の運営指導・実地指導対策ガイドで詳しく解説しています。
委員会は「開催状況及び結果がわかるもの」が確認文書に入る
介護保険施設等運営指導マニュアルの別添「確認文書・確認項目一覧」では、委員会の記録が確認文書に入っています。介護老人福祉施設の場合、委員会ごとの確認文書は次のとおりです。
| 委員会 | 確認文書(原文) |
|---|---|
| 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会 | 身体的拘束等の適正化検討委員会の開催状況及び結果がわかるもの |
| 感染症及び食中毒の予防・まん延の防止のための対策を検討する委員会 | 感染症及び食中毒の予防・まん延の防止のための対策を検討する委員会の開催状況・結果がわかるもの |
| 事故発生の防止のための委員会 | 事故発生防止のための委員会の開催状況及び結果がわかるもの |
| 虐待の防止のための対策を検討する委員会 | 虐待の防止のための対策を検討する委員会の開催状況及び結果がわかるもの |
| 生産性向上のための委員会(令和9年3月31日まで努力義務) | 生産性向上のための委員会の開催状況がわかるもの |
出所: 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添(301 介護老人福祉施設)に基づき編集部作成
身体的拘束等適正化検討委員会(身体拘束を減らすための対策を話し合う委員会)は、3月に1回以上開いているかが確認項目に挙がっています。生産性向上の委員会(利用者の安全・サービスの質の確保・職員の負担軽減を検討する委員会)は、確認文書の文言が「開催状況がわかるもの」です。確認文書はサービス種別ごとに異なり、基準も改定されるため、最新の基準をご確認ください。委員会ごとの設置義務と開催頻度は、介護施設の委員会の設置義務で一覧にしています。身体拘束の3要件と経過記録の書き方は、身体拘束とは?介護施設で認められる3要件もあわせて確認してください。
委員会の議事録は所在と修正の経緯を説明できる形で残す
議事録が担当者ごとのファイルや紙に分かれていると、担当者が不在のときに探し出せず、会議のあとに書き直した箇所の経緯も説明しにくくなります。まずは、直近の委員会の議事録がどこにあり、誰が見られる状態かを確かめてください。委員会は開いた事実だけでなく結果が分かる記録まで確認文書に入るため、議事録はすぐ示せる場所に保管しておきます。会議のあとに書き直した議事録は、誰がいつどこを直したかも残しておくと、担当者以外でも経緯を説明できます。
AI議事録とは、会議の録音から発言者を分けて文字に起こし(話者分離・書き起こし)、様式の項目ごとにまとめる(要約)仕組みのことです。CareBase(ケアベース)AI議事録は、録音して会議の種類を選ぶと、その様式に沿った議事録の下書きをAIが作ります。要約の各項目から根拠となる元の発言を開けて、編集した人・日時・変更前後の内容は修正の履歴として残る仕組みです。確定後の議事録は編集できず、確定の取り消しは施設管理者だけが行え、その操作も履歴に残ります。AIが作るのは下書きのため、職員が元の発言を確かめて修正・確定し、押印欄付きPDFで回覧します。
要約の各項目に「根拠」リンクが付き、最終編集者・最終確定者の欄と操作履歴のタブで、誰が直して誰が確定したかをたどれる画面(出所: CareBase(ケアベース)AI議事録 製品画面)
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監査のあとの流れ|改善報告から指定取消までの処分の段階
監査後は改善報告が最も多く、命令・効力停止・指定取消の前には聴聞・弁明の機会がある(出所: 厚生労働省「介護保険施設等監査指針」「令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況」に基づき編集部作成)
監査の結果は文書で通知され、問題の重さに応じて改善報告、勧告、命令、指定の効力の停止、指定取消の順に重い措置がとられます。令和6年度の監査後の対応は改善報告が470件と最も多く、改善勧告が205件で、指定取消などの行政処分は158件でした(令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況)。
| 段階 | 内容 | 手続き・公表 |
|---|---|---|
| 改善報告 | 改善事項を通知し、期限を定めて報告を求める(令和6年度470件) | 行政指導 |
| 勧告 | 基準違反等(介護報酬の請求に関することを除く)に、期限を定めて文書で勧告する(令和6年度205件) | 期限内に従わないと公表されることがある |
| 命令 | 正当な理由なく勧告に従わないとき、期限を定めて命令する | 公示・事前に聴聞等 |
| 指定の効力の一部停止 | 期間を定めて指定の一部の効力を止める(令和6年度86件) | 公示・事前に聴聞等 |
| 指定の効力の全部停止 | 期間を定めて指定の全部の効力を止める(令和6年度13件) | 公示・事前に聴聞等 |
| 指定取消 | 指定を取り消す(令和6年度59件) | 公示・事前に聴聞等 |
出所: 厚生労働省「介護保険施設等監査指針」「介護保険施設等に対する監査マニュアル」「令和6年度における指導・監査及び指定取消処分等の状況」に基づき編集部作成
結果は文書で通知され、改善が必要な事項は期限つきで報告する
監査指針 第4 3(8)は、監査の結果を文書で通知するとしています。勧告や命令などに当たらない改善事項も、その旨を通知し、期限を定めて報告を求めます。
改善報告を求められたら、通知に書かれた期限と報告の方法を確かめ、指摘ごとに直した内容を報告する流れです。
勧告・命令・指定の効力停止・指定取消の順に重くなる
勧告は、基準違反等が確認されたときに期限を定めて文書で行われ、介護報酬の請求に関することは対象外です。期限内に従わないときは公表されることがあり、正当な理由なく従わないときは命令に進みます。
指定の取消しや効力の停止は、違反の内容が介護保険法第77条第1項各号などに当たる場合に行われます。監査マニュアルは、効力の一部停止の例として、新規利用者の受入停止や、期間を限って報酬額を通常の70%とする上限設定を挙げています。役員などが組織的に関与した不正で指定が取り消されると、同じサービス類型の事業所は指定取消から5年間、原則として新規の指定や更新を受けられません。処分の基準や運用は改定されることがあるため、最新の基準をご確認ください。
命令や指定取消の前には聴聞・弁明の機会が設けられる
命令や指定の取消し・効力の停止に当たると認められる場合、行政は監査のあと、行政手続法第13条第1項に基づいて聴聞または弁明の機会を与えなければなりません(監査指針 第4 4)。聴聞・弁明の機会は、処分が決まる前に施設側が言い分を述べられる手続きです。
手続きの進め方や不服の申立ては個別の事情で変わるため、指定権者の担当課や弁護士などの専門家に相談してください。
不正請求は返還額に40%を上乗せして徴収される
指定取消などの処分(命令を除く)をした事業所が、偽りその他不正の行為で介護報酬を受け取っていたときは、行政は返還させるべき額の徴収を保険者に求めます。この額には、原則として返還させるべき額の100分の40が加えられます(監査指針 第4 5)。たとえば返還させる額が100万円なら、徴収額は40万円を加えた計140万円です。
令和6年度に指定取消などに伴って返還を求めた額は約11億5千万円で、令和5年度以前の監査分のうち令和6年度中に確定した額を含みます。監査は入った時点で指定取消になる手続きではなく、改善報告から段階を踏み、重い処分の前には施設側が言い分を述べる機会があります。
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監査や運営指導に備える記録の管理方法は、サービス提供記録・研修の計画及び実績・委員会の議事録を担当者が不在でも一か所から探して示せるか、委員会の議事録を修正の経緯までたどれるかの2点で比べます。1つ目を見るのは、これらの記録がどれも運営指導の確認文書に入るためです。2つ目を見るのは、書き直した議事録の中身を担当者以外が説明するときの手がかりになるためです。紙や担当者ごとの表計算ファイルでは、記録の所在が担当者の記憶に頼りやすく、メモから書き直した議事録には、どこを誰が直したかが残りにくくなります。
CareBase(ケアベース)は、介護記録・申し送り・マニュアルを一つのクラウドにまとめる仕組みを提供しています。求められた記録は、担当者がいなくても同じ場所から取り出せてはじめて示せると考えているためです。法定研修管理は研修実施記録を自動で保存し、委員会の議事録はAI議事録で元の発言と修正の履歴をたどれる形で残せます(AIが作るのは下書きで、職員が確認して確定します)。AI議事録は本体の機能の一部で、単体でも導入できます。導入実績は100社以上です。
生産性向上推進委員会や虐待防止委員会の議事録が1つの一覧に並び、キーワード・ステータス・開催日で探せる画面(出所: CareBase(ケアベース)AI議事録 製品画面)
このため、委員会の議事録や研修記録が担当者ごとのファイルや紙に分かれていて、運営指導の通知が届くたびに探し出している施設に向いています。議事録を書き直した経緯を残せていないだけなら、記録システムを入れ替えずにAI議事録から始められ、料金は録音1時間あたり500円(税抜)です。
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介護施設の監査についてよくある質問
介護施設の監査は何年ごとに入りますか?
定期的に入るのは、運営指導と、特別養護老人ホーム・養護老人ホームの一般監査です。運営指導は指定の有効期間(6年)に1回以上、特養・養護の一般監査は原則3年に1回です。介護保険法に基づく監査は違反の疑いがあるときに入るもので、決まった周期はありません。
介護施設の監査は抜き打ちで行われますか?
介護保険法に基づく監査の通知は監査を始めるときに行われ、当日でも構わないとされています。運営指導は原則1か月前までに文書で通知されますが、虐待が疑われる場合などは指導を始めるときに通知されます。
介護施設の監査は誰が行いますか?
その施設を指定した都道府県・市町村(指定権者)の職員が担当です。都道府県が指定した施設に市町村が監査に入ることもあり、その場合は都道府県と連携して進めます。
介護施設の監査や運営指導の必要書類はどこで確認できますか?
運営指導の書類は、厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添の確認文書・確認項目一覧で、サービス種別ごとに確認できます。監査で求められる書類は、実施通知の「必要な書類等」の欄に書かれています。
CareBase(ケアベース)で監査に備えて委員会の議事録や研修記録をまとめて管理できますか?
管理できます。研修実施記録は法定研修管理で自動保存され、職員別に実施状況を確認できる仕組みです。委員会の議事録はAI議事録が録音から様式に沿った下書きを作り、職員が元の発言を確かめて確定したうえで押印欄付きPDFにできます。次の委員会から使うか検討する際は、フォームにメールアドレスを入力すると担当者からAI議事録の資料が届きます。
まとめ
介護保険法に基づく監査は、基準違反・不正請求・虐待の疑いを確かめる行政の手続きで、定期的な運営指導とは目的と通知の時期が違います。自施設が対象になるかやどう対応するかは、指定権者の担当課や専門家に確認してください。通知が届いたら罰則規定の記載を確かめ、委員会の議事録と研修記録の保管場所を点検しておきます。
CareBase(ケアベース)は、複数の施設を本部で一元管理できます。CareBase(ケアベース)AI議事録は10人程度までの話者を自動で分けて下書きを作り、話者と内容は職員が確認します。施設ごとに記録の置き場所が違う法人や、参加者の多い委員会の議事録を残す施設に向いています。
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