2026.10.26
介護職員の認知症ケア|BPSDが出たとき最初に確かめる3つのこと
介護職員の認知症ケアは、否定せず安心できる関わりを続け、BPSD(行動・心理症状)が出たらまず体の不調と飲んでいる薬の影響を確かめ、環境と声かけも見直します。厚生労働省のかかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)でも、第一選択は向精神薬を使う前の環境やケアの見直しです。場面別の声かけと、記録とカンファレンスで対応をそろえる方法も扱います。
認知症の利用者への関わり方を職員でそろえたい方は
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介護職員の認知症ケアは、否定せず安心できる関わりが基本
認知症ケアの基本は、本人を否定せず、驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない関わりで安心を保つことです。厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1228も、尊厳を保持した日頃の適切な介護が、BPSDの予防と早期対応につながるとしています。
驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない
埼玉県「認知症の人への接し方」は、認知症サポーター養成講座の教材から、この3つの「ない」と対応のポイントを示しています。施設の介助にそのまま当てはまるのは次の3点です。
- 声をかけるときは1人で、後ろからではなく相手の視野に入ってから話しかける
- 目線を合わせ、やさしい口調で話す
- 同時に複数の質問をしない
入浴や排せつの誘導でも、正面から1人で、一度に1つずつ伝えます。「ちょっと待って」の言い換え例は、スピーチロックの解説記事にまとめました。
生活歴と「できること」を知り、本人の役割を残す
家族からの聞き取りで、以前の仕事や家での役割、好きなことを知り、洗濯物をたたむなど本人ができる動作は見守って任せます。Vol.1228が示す認知症チームケア推進加算(BPSDの予防と早期対応にチームで取り組む施設を評価する加算)のワークシートも、「生きがい」「役割」「生活歴・人生史」を、BPSDの背景要因を探す項目に入れています。
中核症状とBPSDの違い|BPSDは体調や環境で強さが変わる
中核症状は、記憶障害や見当識障害など脳の働きの低下で直接起きる症状です。BPSDは不安や体の不快が行動や気持ちに表れたもので、体調や環境、関わり方で強さが変わるため、原因を確かめて対応すると和らぐことがあります。
中核症状は脳の働きの低下で直接起きる
脳の働きが落ちることで直接起きる症状が中核症状です。代表的なものは、新しいことを覚えられない記憶障害、日付や場所が分からなくなる見当識障害、判断や段取りの難しさです。本人の努力では補えないため、予定の伝え方や時計・表示などの手がかりを職員が補います。
BPSDは不安や不快が行動や気持ちに表れたもの
歩き回る、大声を出す、介護を拒む、物を盗られたと言うといった変化がBPSDです。前述のガイドラインは、認知症の人の約60〜90%が何らかのBPSDを経験するとしています。多くの利用者に起こるため、特定の職員の対応力の問題として抱え込まず、原因を探す対象として扱います。Vol.1228のワークシートの記入例でも、家族を探してフロアを歩く80歳の女性の行動の背景として見立てられているのは、周りの言葉が分からない疎外感と午後の疲労の重なりです。
BPSDが出たとき最初に確かめる3つのこと
BPSDが出たら、まず痛み・便秘・脱水などの体の不調と、飲んでいる薬の影響を確かめます。あわせて見直すのが、周りの音や室温などの環境と、職員の声かけの仕方・本人の気持ちです。前述のガイドラインも、体の病気や薬の影響を確かめたうえで、薬を使わない対応(非薬物的介入)を家族や介護スタッフと検討することを第一選択としています。
| 確かめること | 主な確認項目 |
|---|---|
| 1. 体の不調と飲んでいる薬の影響 | 痛み、便秘、脱水、感染症、視覚・聴覚の低下、服薬状況の変化 |
| 2. 環境 | 周囲の音・声、におい、室温、なじみの場所・なじみの関係 |
| 3. 声かけと本人の気持ち | 言葉かけが伝わっているか、意志にそぐわないと感じていないか、不安や孤独、伝えたいことがあるか |
出所: BPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)p.3、身体拘束廃止・防止の手引き p.11、介護保険最新情報Vol.1228 ワークシートに基づき編集部作成
1. 痛み・便秘・脱水などの体の不調と、飲んでいる薬の影響
ガイドラインは、感染症や脱水、痛み、便秘、視覚や聴覚の低下、薬剤の影響を、BPSDに似た症状を起こす要因として先に除外するよう求めています。介護職員にできるのは、たとえば夕方に落ち着かなくなった利用者の排便の有無と水分量を記録で確かめ、変化を看護職員や医師へ伝えることです。薬の追加や中止は医師が判断するため、職員は服薬が変わった時期と行動の変化が重なっていないかを伝えるところまでを受け持ちます。
2. 音や明るさ、人の出入りなどの環境
Vol.1228のワークシートが環境の項目に挙げるのは、周囲の音・声やにおい、室温、なじみの場所や関係です。行動が出た時間と場所を記録から拾い、その時間帯のテレビの音や照明、人の出入りを見に行くと、変えられる環境が見つかります。
3. 声かけの仕方と本人の気持ち
厚生労働省の身体拘束廃止・防止の手引きは、BPSDの原因として6つを想定しています。職員の言葉かけが不適当かその意味が分からない、自分の意志にそぐわない、不安や孤独、身体的な不快や苦痛、身の危険、何らかの意思表示です。このうち不快や苦痛と身の危険を除く4つは、職員の関わり方と本人の気持ちに関わる原因で、声かけを変えれば取り除ける可能性があるものです。薬を使わない対応のうち、こうした関わり方と環境の見直しが、介護職員が日々の介助の中で担える部分です。
確かめた体調の変化や、落ち着いたときの声かけは記録に残し、次の勤務の職員と共有します。確かめる3つのことを施設で決めておけば、誰が対応しても同じところから原因を探せます。 CareBase(ケアベース)は、日々の介護記録をスマホやタブレットで入力し、職員間で共有できるよう自動で整理する仕組みです。
体調の変化と試したケアの記録を職員間で共有したい方は
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BPSDが出やすい4つの場面と声かけの例
どの場面でも、行動を止める前に本人の訴えを受け止め、思い当たる原因に合わせて声かけと環境を変えます。止める言葉は、手引きが原因に挙げる「自分の意志にそぐわない」という感覚を強めかねないためです。
1. 「家に帰る」と歩き回るとき
引き止める前に「どちらへ行かれますか」と目的を尋ね、一緒に歩きながら話を聞きます。返す言葉を決める手がかりは、家族を探しているのか、夕食の支度を気にしているのかといった目的です。夕方に集中するなら、疲れや空腹が重なっていないかも記録で確かめます。
2. 入浴や食事を拒むとき
無理に誘わず時間をずらし、声をかける職員を1人に決めて、「お風呂にしましょう」と一度に1つずつ伝えます。拒む日が続くときに看護職員と確かめたいのが、口の中の痛みや便秘の有無です。
3. 大声を出す・手が出るとき
周りの音や人の数を減らし、少し距離をとって落ち着いた声で話しかけます。そのうえで「何か嫌なことがありましたか」と理由を尋ね、答えに合わせて声かけや環境を変えます。手引きは、身体拘束が本人の苦痛を生みBPSDを悪化させると説明しており、拘束するかどうかは職員個人ではなく施設として判断します。例外として認められる3要件と経過記録の書き方は、身体拘束の解説記事で詳しく解説しています。
4. 「財布を盗られた」と言うとき
「盗っていません」と否定せず、「それは心配ですね、一緒に探しましょう」と受け止め、本人が自分で見つけられるよう近くへ誘います。ほかの場面の声かけの参考になるのが、介護のコミュニケーション事例集です。
職員ごとの対応の差は、記録とカンファレンスでそろえる
職員ごとの対応の差は、起きたこと・試したケア・その後の様子を記録し、カンファレンスで背景要因を話し合ってケアを1つに決めることでそろえます。Vol.1228も、対象者1人につき月1回以上のカンファレンスでBPSDを評価し、ケアを振り返って計画を見直すよう求めています。これは認知症チームケア推進加算の要件で、最新の基準は指定権者(都道府県・市町村)に確認してください。
記録には起きたこと・試したケア・その後の様子を残す
記録には、いつ・どこで・直前に何があったか、本人の言葉、試した対応、その後の様子を残し、「寂しそうに見えた」のような職員の見立ては事実と分けて書きます。「不穏」とだけ書くと、次の職員は何が起きたかを再現できません。書き方全般は、介護記録の書き方完全ガイドもあわせて確認してください。
厚生労働省のワークシートで背景要因を話し合う
Vol.1228のワークシートは、背景要因を健康状態・身体的ニーズ、その他の要因(生きがい・役割など)、薬剤、環境の4区分で点検します。記入例では、午後に家族を探して歩く女性について6項目にチェックし、「まずは、午後の疲労に焦点を当ててはどうか」と見立てを絞っています。決めたケアは、おやつ前の30分ほど居室で休むよう声をかけることの1つです。評価にはBPSD25Q(BPSDの重症度を0〜125点で表す評価尺度)を使い、初回25点が取組後に15点になっています。加算を算定しない施設にとっても、この4区分は原因の見落としを防ぐ点検表です。話し合いの結論をケア1つと次に振り返る日まで決めて記録に残すと、対応が職員ごとにぶれにくくなります。
カンファレンスで決めたケアと振り返る日を議事録に残す
Vol.1228は、状態や環境が変わったときもその都度カンファレンスを開き、状態の評価、ケア計画の策定、ケアの振り返り、再評価、計画の見直しを行うとしています。議事録に残すのは、参加者、検討した背景要因、決めたケア、次に振り返る日の4つです。認知症専門ケア加算(認知症介護の専門研修の修了者を中心に認知症ケアを行う事業所を評価する加算)も、認知症ケアの留意事項の伝達や技術的指導の会議を定期的に開くことを要件にしています(令和3年度介護報酬改定の主な事項)。最新の基準は指定権者に確認してください。職員の役割分担は介護のチームケアで扱っています。カンファレンスの記録に残す8項目と例文は、介護のケアカンファレンス記録の書き方が参考になります。
会議の録音から発言者を分けて文字に起こし、要点をまとめる仕組みが、AI議事録(話者分離・書き起こし・要約)です。CareBase(ケアベース)AI議事録は、会議の種類でケアカンファレンスを選ぶと、様式に沿った議事録の下書きをAIが作ります。要約の各項目から元の発言を確かめられ、修正の履歴も残ります。AIが作るのは下書きなので、職員が確かめて修正・確定してから押印欄付きPDFで回覧する流れです。
職員が確定した議事録の画面。要約の項目ごとに「根拠」が付き、書き起こし全文と操作履歴のタブに切り替えて確かめられる(出所: CareBase(ケアベース)AI議事録 製品画面)
カンファレンスで決めたケアを元の発言まで確かめられる形で残したい方は
CareBase(ケアベース)AI議事録の資料をダウンロード
利用者ごとの対応と記録を職員全員で共有するならCareBase(ケアベース)
認知症ケアの仕組みは、次の3点で比べます。1. 利用者ごとに決めた対応を夜勤や新人まで同じ形で見られるか。2. 日々の変化を記録で早く共有できるか。3. カンファレンスで決めたケアと理由を後から確かめられるか。口頭や紙の申し送りはその場にいなかった職員に届きにくく、会議のメモから書き直した議事録には、どの発言を理由にケアを決めたかが残りにくいのが難点です。
CareBase(ケアベース)は、Vol.1228が求める対象者ごとのケアの計画は、職員全員が同じ形で見られて初めて続けられると考えています。ご利用者ごとの個別マニュアルを動画・画像・テキストで作れ、介護記録はスマホやタブレットで入力して自動で整理・共有され、申し送りは管理者アカウントで既読・未読を確かめられます。カンファレンスの記録にはCareBase(ケアベース)AI議事録が使え、AI議事録は本体の機能の一部で、単体でも導入できるサービスです。導入実績は100社以上です。
同じ利用者に職員ごとに違う声かけをして本人が混乱する場面が続く施設や、決めたことが夜勤まで伝わらず同じ話し合いを繰り返している施設に向いています。料金は1施設あたりの月額制です。プランにより異なりますので、詳細はお問い合わせください。
認知症ケアについてよくある質問
BPSDの対応マニュアルは施設で作ったほうがよいですか?
確かめる3つのことと記録の項目は施設で共通にし、声かけや環境の工夫は利用者ごとに決めると使いやすくなります。Vol.1228も、ケアの計画が画一的にならないよう対象者ごとに作るよう求めています。
認知症の利用者への対応がつらいと感じたら、どうすればよいですか?
まずは1人で抱えず、起きたことと試した対応を記録に残してカンファレンスで共有することです。BPSDは体調や環境の影響でも強さが変わるため、チームで原因を探すほうが対応を変えやすくなります。気持ちの整え方を紹介しているのは、介護のアンガーマネジメントの記事です。
認知症ケアの研修は、介護職員全員が受ける必要がありますか?
医療・福祉関係の資格を持たない介護職員には、認知症介護基礎研修(認知症介護に最低限必要な知識と技能を学ぶ研修)を受講させる措置が事業者に義務づけられています(令和3年度介護報酬改定の主な事項)。その先にあるのが、認知症介護実践者研修、実践リーダー研修、指導者養成研修の段階です。対象者や受講の流れの確認先は、認知症介護基礎研修の義務化の解説です。施設で行うほかの法定研修とあわせて年間計画を組むなら、種類と回数を整理した介護施設の法定研修の解説が参考になります。
CareBase(ケアベース)で認知症ケアの記録やカンファレンスの議事録を残せますか?
残せます。介護記録はスマホやタブレットで入力して職員間で共有でき、利用者ごとの対応は個別マニュアルにまとめられます。カンファレンスの議事録はCareBase(ケアベース)AI議事録がケアカンファレンスの様式に沿った下書きを作り、職員が元の発言を確かめて確定する流れです。機能の全体はサービス資料で確かめられます。
まとめ
介護職員の認知症ケアは、否定せず安心できる関わりを続け、BPSDが出たらまず体の不調と飲んでいる薬の影響を確かめ、環境と声かけもあわせて見直すことが基本です。薬や診断の判断は医師が行い、介護職員が担うのは体調の変化に気づいて伝えることと、環境とケアの見直しです。確かめた結果と試したケアは記録に残し、カンファレンスでケアを1つに決めて、次に振り返る日まで議事録に残します。
CareBase(ケアベース)なら、介護記録と利用者ごとの個別マニュアルを1か所で見られます。人の入れ替わりが多く、決めたケアを新しく入った職員へ渡す機会が多い施設に合う仕組みです。
記録と利用者ごとのマニュアルを1か所で見られるようにしたい方は
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ケアカンファレンスの議事録を様式に沿った下書きから作りたい方は
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介護ソフトの導入や見直しをご検討中の方は、まずは情報収集から始めてみませんか。
carebase(ケアベース)では、現場に定着する介護記録システムとして、多くの事業所でご活用いただいています。
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